英語と書評 de 海馬之玄関

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再出発の英文法:目的語と補語

2008年05月29日 17時22分22秒 | 英文法の話題

[1]目的語と補語
今回のテーマは「目的語」と「補語」です。まずは、基本的な理解をおさらいしておきましょう。

●目的語
目的語は、「~を」とか「~に」という動作の対象を表すもので、「目的語=Object」の「O」として英語の五つの文型の中の三つの文型で使われます。つまり、第3文型・第4文型・第5文型のセンテンスでは目的語は不可欠の要素。


第3文型:S→V→O 
We purchased computer peripherals and other gadgets.
(私達はコンピューターの周辺機器といくらかの装置類を購入した)
「computer peripherals and other gadgets」が「O」

第4文型:S→V→O→O 
He gives us a two-hour TOEIC lesson every Wednesday evening.
(彼は毎水曜日の夕方、私達に2時間のTOEIC授業をしてくれる)
「us」が前の「O」,「a two-hour TOEIC lesson」が後の「O」

第5文型:S→V→O→C 
Team KABU named its new SNS “Conservative Reformers’ Forum”
(KABUチームはその新しいソーシャル・ネットワーキング・サーヴィスに「保守改革派協議隊」という名称をつけた)「its new SNS」が目的語「O」


ここで「5文型論」について復習しておきましょう。この『再出発の英文法』では幾つもの記事で何度も書いており、読者の皆さんには「耳タコ」でしょうが、”It is important to say again and again what is important.”(重要なことは何度でも繰り返すことが肝要)、これがあらゆる学習の one of Tips(大切なコツ)ですからここでも書きます。

「5文型論」は、単に、与えられた英文を五つの類型のどれかに分類するお遊びではありません。そのポイントは、現在、母語話者と公用語話者を含め世界中に15億人あまりいる英語使用者がそれこそ日々毎日話したり書いたりしている、少なくとも数兆から数十兆の英語のセンテンスも、ある基準を用いれば例外なくそのすべてがたったの五個に分類できるという途方もない主張なのです。

而して、その「ある基準」というのは、(イ)すべての英語のセンテンスには主語と述語動詞が、そして、場合によっては補語と目的語が含まれていなければならない。(ロ)補語と目的語が不要なパターンと必要なパターンの組み合わせにより、結局、英語のセンテンスは5種類しかない。(ハ)ある英語のセンテンスに含まれる単語が、主語・述語動詞・目的語・補語のどれでもない場合にはその単語は「修飾語」であり、「修飾語」は(英語の文の種類=「文型」を決定する)「文の要素」ではない。という三つの約束事なのです。このことの凄さを下の「▲5文型:五つの英文の種類」の表で確認してください。

▲5文型:五つの英文の種類
第1文型:S→V
第2文型:S→V→C
第3文型:S→V→O
第4文型:S→V→O→O
第5文型:S→V→O→C

☆記号説明:
S=主語, V=述語動詞,
C=補語, O=目的語



なるほど「5文型論」は優れもの。そして、目的語と補語は(主語・述語動詞と並んで)数千兆というか無限に存在しうる英文を5種類に仕分けする「5文型論」の<神通力>を支える縁の下の力持ち(?)である。そういうことも紹介できたかと思います。では、しかし、その縁の下の力持ちの「目的語」とは何なのか、「補語」とは何でしょうか。上で「目的語」について一瞥したのですから「補語」についても基本的な理解をおさらいしておきましょう。


●補語
補語は、「~である」とか「~になる」や「~に見える」という主語の状態や変化を表すもので、「補語=Complement」の「C 」として英語の五つの文型の中の二つで使われます。上の「▲5文型:五つの英文の種類」の表でも明らかなように、第2文型・第4文型の二つの英語のセンテンスでは補語は不可欠の要素。


第2文型:S→V→C  
Puffy AmiYumi became a duo with Yumi Yoshimura and Ami Onuki in 1996.
(吉村由美と大貫亜美の二人は1996年にデュオグループのパフィーを結成した)
「a duo」が「C」

第5文型:S→V→O→C 
Team KABU named its new SNS “Conservative Reformers’ Forum.”
(KABUチームはその新しいソーシャル・ネットワーキング・サーヴィスに「保守改革派協議隊」という名称をつけた)「“Conservative Reformers’ Forum”」が補語「C」





[2] 文の要素としての「目的語」と「補語」
ものすごく簡単なことですが、ものすごく大切なことを確認します。

次の【 】の中の単語は「目的語」でしょうかそれとも「補語」でしょうか?

【econometrics】【challenging】【Yumi】【true】【mail-magazine】


なに、質問の意味がわからない? 答えを言うようですが、質問をもう一度書いておきますと、「上の5つの語句は「目的語」か「補語」か、どちらでしょうか?」というのが質問です。

答えは? 答えは、そう、

「単語だけ見せられても、「目的語」か「補語」かなどは答えようがない」です。このある意味馬鹿馬鹿しい思考実験が示唆していることは、けれど重要だと思います。つまり、

「目的語」や「補語」は英文の中に置かれて始めて定まる


畢竟、「目的語」や「補語」というものは英文の中で(そのセンテンスに実際に含まれている)単語が果たしている「特定の役割」のことなのです。これは例えば、2008年のシーズンで「ラミレス」はプロ野球の巨人の打線の中に置かれて始めて「巨人の4番バッター」になるのであり、巨人の打線と無関係に「ラミレス」を取り出して「4番バッター」か「3番バッター」と議論しても意味がないのと同じこと。

「S→V→・・・」という英語のセンテンスの中に置かれて始めて、ある単語は「目的語」や「補語」になる。以下の例文でこの経緯を確認してください。

第3文型:S→V→O 
I studied econometrics for the term paper yesterday.
(昨日は、期末提出論文に備えて数量経済学を勉強した)
「econometrics」が目的語(O)

第4文型:S→V→O→O 
Yumi’s boyfriend taught her social studies during the retake period.
(亜美さんの彼が追試験期間中、社会を彼女に教えた)
「her」が前の(O), 「social studies」が後の(O)

第5文型:S→V→O→C 
Puffy Ami Yumi’s staff called their challenging mail-magazine “True Asia.”
(パフィーのスタッフ達は彼等の(ビジネス的に)挑戦的なメルマガを「アジアの純真」と呼んでいる)「their mail-magazine」が目的語(O),“True Asia”が(C)





[3] 「目的語」と「補語」の差異
「目的語」と「補語」はどう違うのでしょうか。この項では、述語動詞と関連づけて「目的語」と「補語」の差異について一緒に考えてみましょう。

◆目的語は「S→V」;補語は「S=V」
英文法の参考書にはよく、「目的語には名詞や代名詞が、そして、補語には名詞・代名詞の他に形容詞もなることができる」「述語動詞の後に名詞や代名詞が置かれている場合、「主語=名詞・代名詞」ならその名詞類は補語、「主語≠名詞・代名詞」ならその名詞類は目的語である」と書かれています。

英文法というか「文法用語」があまり好きではない方は、ここまで読んだだけでもう投げ出してしまいそうな説明かもしれませんが、この説明自体は満更嘘ではない。もちろん、

Yumi Yoshimura and Ami Onuki formed Puffy AmiYumi together.
Both Yumi Yoshimura and Ami Onuki are Puffy AmiYumi members.
Yumi-chan and Ami-chan are very cute and cool.
(吉村由美さんと大貫亜美さんはパフィーを結成した)
(吉村由美さんも大貫亜美さんもともにパフィーのメンバーだ)
(由美ちゃんも亜美ちゃんも超カッコ可愛い)

と聞いて、「Yumi Yoshimura and Ami Onuki」=「Puffy AmiYumi」だろう! だったら上二つの例文の「Puffy AmiYumi」「Puffy AmiYumi members」は両方とも「補語」じゃないんですか(本当は、上の例文の「Puffy AmiYumi」は目的語ですよぉー!)。生身の人間が「可愛い」とか「カッコいい」とかの性質と同じなわけないでしょうが、と言われる方も時々おられる。しかし、「主語=補語」「主語≠目的語」という説明は過半の英文について過半の英語学習者を一応は納得させているものではある。

畢竟、「名詞」や「代名詞」や「形容詞」がどんなものか既にわかっている方にとっては、または、ある単語を辞書で調べたときに、その単語の品詞(=「名詞」や「動詞」など、大きく8グループに分かれる、まあー、単語の種類のことです。)が幸いにも「名詞」や「代名詞」、あるいは、「形容詞」しかないケースならこの説明はそう分かりにくくもないと思います。次の例文を参照してください。

(1)S=C:Mr. Tennsisu= an assistant manager
Mr. Tennsisu is one of assistant managers of the task-force team.
(テンシスさんは、そのプロジェクトチームのマネージャー補佐の一人です)

(2)S≠O:Mr. Tennsisu ≠ an excellent report
Mr. Tennsisu submitted an excellent report to his boss.
(テンシスさんは、素晴らしいレポートを彼の上司に提出した)


けれども、ある単語が名詞であるか代名詞であるかは、実は、いつも容易にわかることではない(英文法アレルギーの読者の方は、この後この節の最後まで飛ばしてください!)。究極の所、ある単語が名詞であるか動詞であるか、はたまた、形容詞なのか副詞なのかは、その単語が実際の英文センテンスの中でどのような働きをしているかを見なければわからないのです。

つまり、実際の英文の中でのある単語の働きに注目した英文のパターン認識が文型の考え方ですから、結局、上の「目的語と補語の識別のTips」は、「文型がわからなければ品詞が定められない」「品詞がわからなければ文型を確定できない」という悪循環に読者を陥らせかねない。これが初級の英文法学習者にとっての(特に、英語学習を再出発しようとする大学生・大学院生、社会人にとっての)「躓きの石」の一つだと思います。


●文型論と品詞論の<不確定性理論?>
文型がわからなければ品詞は決められない!
品詞がわからなければ文型を確定できない?






◆「目的語」と「補語」の違いは述語動詞の違い
結局は、【目的語は「S≠V」, 補語は「S=V」】と同じことになるのですが、目的語と補語の違いは、英語の文を大きく2種類に分けて考えれば理解しやすいかもしれません。すなわち、英語のセンテンスには、

「なんとかは・・・・である/・・・・になる/・・・・をする」というタイプと、「なんとかは~に対して・・・・をする」というタイプの2種類しかないらしい、と。そして、(文法用語なんか覚えなくてもよいのですが)前者のタイプに使われる動詞が「自動詞」、後者のタイプに使われる動詞を「他動詞」と呼ぶのです。

而して、「自動詞」と「他動詞」の区別が(その直後に来る要素が)「補語」なのか「目的語」なのかを決定する、と。畢竟、具体的な動詞に着目することが「目的語」と「補語」を識別する急がば回れの正攻法。そう私は考えています。以下、例文を通してこのポイントを確認しましょう。

●英語の二つのタイプのセンテンスと二つのタイプの動詞
Aタイプ:「なんとかは・・・・である/・・・・になる/・・・・をする」
Bタイプ:「なんとかは~に対して・・・・をする」

☆Aタイプの英語のセンテンスの述語動詞→「自動詞」
☆Bタイプの英語のセンテンスの述語動詞→「他動詞」


(A)「An online communicationは・・・・である」
An online communication is a very useful means for distance education.
(オンラインコミュニケーションは遠隔地教育にとって大変有用な手段です)

(B)「The Turk government は~を・・・・する」
The Turk government criticized a US house’s resolution condemning Turkey.
(トルコ政府はアメリカ下院が採択したトルコを非難する決議を批判した)


英文が「なんとかは・・・・である」と「なんとかは~に対して・・・・をする」の2種類に分類できるとすると、当然、Aタイプでは「・・・・」が存在しなければ意味は完結しません。他方、Bタイプでは「~に対して」が欠けていれば意味不明です。よって、Aタイプのセンテンスを取る動詞の中で、その動詞自体の語義に「・・・・」が含まれていない場合には「・・・・」を補わなければならず、Bタイプのセンテンスを取る動詞が作る英文では「~に対して」を加えなければならない。

もうわかりましたか。

そうなんです。

このようにAタイプのセンテンスで補われる「・・・・」が「補語」と呼ばれ、Bタイプのセンテンスに加えられる「~に対して」を「目的語」というのです。

つまり、英文用語の厳めしい「虚飾」をはぎ取るとき、「目的語」と「補語」は、それらが実際に含まれる英文のタイプによって使い分けられる。更に、その英語のセンテンスがAタイプとBタイプのどちらであるかは述語動詞によって決まってくるという仕組み。

ですから、ある単語が補語か目的語かを速く確実に判定するためには(=速く正確に英文の意味を理解するためには)、多くの動詞について、それらが、実際に具体的な英語のセンテンスの述語動詞としてAタイプとBタイプのどちらを取るかを一つずつ覚えるしかありません。

つまり、「ビジネス英語にもTOEICにもTOEFLにも王道はない!」ということ。残念な結論ですが、「この世の中にそんな美味しい話しが落ちているわけない」という認識こそ、ロングタームでは最大の「現世利益」をもたらす福音ですよ。ということで、脳髄と身体に汗して英語頑張りましょう! Puffyの大貫亜美と吉村由美のお二人のように、健全な素人の感性を専門の技に組込めるように、あるいは、日本のものを世界に持って行って勝負できるように。日本の為に共に闘わん!


<確認演習>
この記事で説明したことを例題で確認しておきましょう。

▼例題1:
All the board members < > the CEO.
(A) agreed
(B) agreed to
(C) agreed with
(D) agreed on


訳:取締役会のメンバーはみな最高経営責任者に同意した。
正解:(C)
説明:agree「同意する」は自動詞。「agree with ~」の構文は「人に同意する」、「agree to ~」は「提案等に同意する」の意味になり agreeの後ろにどの前置詞が来るかによって「agree +前置詞+名詞」の名詞が異なることに注意してください。ちなみに、CEOは Chief Executive Officer で企業の「最高経営責任者」。


▼例題2:
All staff have their salary automatically < > in their bank accounts.
(A) deposited
(B) depositing
(C) are deposited
(D) deposit


訳:すべての社員は給与を自動的に自分の銀行口座に振込んでもらっている。
正解:(A)
説明:「have +目的語+過去分詞」で「を~してもらう」「を~させる」という使役の意味になります。ポイントは、この構文の目的語には「物事」が来るのに対して、「他人に~をしてもらう」という表現は、「have + 目的語(人) + V-原形」になることです。下の例文で確認してください。

All staff have the general affairs department automatically deposit their salary in their bank accounts.
(すべての社員は給与を総務部に自分の銀行口座に自動的に振込んでもらっている)


▼例題3:
The next-door neighbor has been < > the noise.
(A) complained
(B) complaining
(C) complained about
(D) complaining about


訳:その隣家の住民はその騒音について苦情を述べている。
正解:(D)
説明:complainは自動詞。よって、「~について苦情を述べる」という場合には、complain の直後に名詞・代名詞が来ることはなく、必ず「complain + about~, complain + of ~」の構文を取ります。尚、「complain about ~」は「物事に対して文句を言う」、 「complain to ~」は「人に対して文句を言う」の意味です。


▼例題4:
KABU < > his high school classmate, Hiroko-chan.
(A) married to
(B) married with
(C) married
(D) was married


訳:KABUは高校の同級生の寛子ちゃんと結婚した。
正解:(C)
説明:marry は他動詞。よって、marryの直後には名詞・代名詞(または名詞相当語句)が置かれなければなりません。ちなみに、「be married to ~」 は「~と結婚している」という状態を表す表現です。

日本人が自動詞と間違えやすい他動詞には marryの他に、inform「~を伝える」, discuss「~について議論する」, consider「~について考慮する」などがあります。自動詞の後ろに名詞・代名詞(あるいは名詞相当語句)が置かれる場合には「述語動詞+前置詞+名詞」の形になり、他動詞の場合には前置詞は不要で「述語動詞+名詞」の形になることを肝に銘じましょう。


▼例題5:
Mekki-san < > to go fishing in the river.
(A) might
(B) would
(C) used
(D) could


訳:メッキさんはその川によく釣りに行ったものだった。
正解:(C)
説明:「used to →V-原形」で「昔はよく~したものだった(今はそうではない)」という過去の規則的な習慣や状態を表します。ちなみに、「used to +V-原形」全体がこの例文の述語動詞であり、go shopping, go fishingの「V-ing」は現在では「現在分詞」と考えられていますので、例題5のセンテンスは第1文型と考えられます。


▼例題6:
All the members of crew are < > either Social Health Insurance or National Health Insurance.

(A) entitle to
(B) entitle
(C) eligible for
(D) eligible


訳:すべての乗組員は社会保険もしくは国民健康保険に加入する資格がある。
正解:(C)
説明:「~ する資格がある」は「be eligible for ~」または 「be entitled to V-原形」を使って表現します。例題のセンテンスの場合、「be eligible for」を一塊の他動詞と捉えれば第3文型、「主語 → be eligible for + 名詞句」を「S→V→C→前置詞(for)+ 名詞句」と捉えれば第2文型と考えられます。

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1 コメント

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目的語??? (フラワーポット)
2011-08-22 09:08:18
はじめまして。
すみません。英語初心者です。
ある英語勉強系ページに、

>The father said to the child, "Stay there."(自動詞)
>父親は子どもに「そこにいなさい」と言った。

・・・とあったのですが、間違っていたらすみません。
これ、調べてみたのですが、どうも自分の印象では「他動詞」っぽいように思うのです。

ジーニアス英和大辞典(CASIO XD-A10000) の「say」の項、「最初の用例」 SVO(M) が近いような感じです。
下のほうにある、自動詞の用法/用例を見てみると、「なんか違う感じ」がしてしょうがないのです。

調べ方、あるいは、理解の仕方がまちがっているのかも・・・と思いますが、取りあえず今の自分には上に書いたような理解以外、できな

い状態です。 どうなのでしょう? やはり「自動詞」でしょうか?
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