孤高のハダカの王様 // 北米と欧州スキーツアー //

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カオルとツエルマット vol.6

2006-05-05 09:02:19 | ツエルマット 2005
1/27  山岳ガイド再び

3100M終点ゴルナーグラード駅で「グーパーよい!」威勢のよい声が響く。今日の山岳ガイドもふたり、過去2日間一緒に滑ってくれた陽気なガイド・ハービーと、カオル自身2年半ぶりの再会を果たしたアンドレ。
アンドレとはスイス駐在時にヘルンリ小屋へのハイキングや氷河ハイキングで今回同様に山岳ガイドとしてツアーに同行してもらった。35歳と若くまさに今絶頂期にいるガイドである。

パーチームのガイドはウィリー、平井さん、あいちゃん、とりちゃん、くみどん、じぇみぃ、しんちゃんの6名。グーチームのガイドはアンドレ、くっしー、う~やん、たつみさん、中谷さん、たかだっち、カオルの6名。

まったく何も気にしないでグーパーで班分けをしてみた。くっしーにも2日間も通訳をしてもらったし、う~やん、たつみさんにもテールガイドをしてもらっていたから3人と一緒のチームになりテールガイドに従事できることになったのは嬉しいことだ。

降雪から4日経ちそろそろ雪が落ち着き始めると同時に場所によってはもの凄いクラストになっている。今日のガイド・アンドレが案内してくれたところは「クラスと巡りの旅」だったのかもしれない。
オフピステの1本は長い。海外スキーの醍醐味のひとつとして長い距離を滑るというものがある。一気に5km,10km滑りきるというのは日本ではできないことだ。

今回のオフピステ山岳ガイドも標高差1000Mを滑らないとリフトやケーブルカー、駅にたどり着く事はできないのは当たり前。しかも化け物の様な体力を持つ山岳ガイドと滑るのだからこっちも相当な気合を入れていかないとならない、気を抜けば滑落その他危険な怪我が待っている、かなりの体力気力が要求される。


ゴルナーグラードからガント方面へ滑り降りて行く。トラバースやハイクするところもあるけれど必ずノートラックの場所へ連れて行ってくれる。
しかし今日はハードだ、ウィンドウパック(強風で表面が固められた斜面)を滑らなくてはならない。体重の軽い女子はとても不利だ。たかだっちはこのハードなクラスとをバリバリと割って滑って行く。

アンドレがヒザ上くらいの深雪を楽しそうに滑って行く。ようやくそういう雪のところについたのか。よし!皆でアンドレと同じ弧を横に並べて行こう!
1番手くっしースタート。あれれれれれ?1ターン目からアンドレのものたはかけ離れたターン弧になってしまいスノーボーダーが描くような馬鹿でかいものになってしまう、普通じゃねーぞこの斜面。 たかだっち、中谷さんも続くがターン弧を並べ揃えるどころの騒ぎじゃない、キャンパスは大荒れ。 満を持して登場のたつみさん、う~やんでさえもこのひどいクラストに大苦戦。
みんながどーにかこーにか滑りきった時にアンドレがニヤっと笑ってひと言「イージー」。この男・・・・

たつみさん、う~やんは今回のツアーグループの中でも抜群にスキーが上手。気合を入れた場面ではいつも完璧に滑り降りてくる。しかしこの斜面に苦戦したことでスキー熱に再び熱く火がついたのか滑り終え斜面を振り返りながら「やっぱりスキーは楽しいなあ」と、う~やんがポツリとひと言、とても心に残り印象的だった。
  
ガントからもう一度ゴルナーグラードへ登りこのツアーでまだ一度も行っていないシュトックホルン(3100M)へ向かう。
シュトックホルンへは今日も一般スキーヤーは上がってこれない。山岳ガイドと一緒でないとゴンドラにも乗せてもらえない。もちろん自分たちにはアンドレという怪物のようなガイドが一緒なのであがることができる。

シュトックホルン山頂の景色はとても雄大で、モンテローザ(4632M)を目の前にみることができ、真下にはゴルナー氷河が流れているのだった。この自然の生み出した芸術にはただただため息がでるのみであった。

シュトックホルンは昨日開いたばかり、しかも山岳ガイド付でないとくることができなので、ノートラックだらけ。標高3100Mの雪はまだまだ軽く最高の雪質だ。
滑る⇒トラバース⇒滑る⇒トラバースを繰り返しながら今日のランチレストラン「レストランフーリー」を目指す。
12:30の予約に間に合わない計算になってきた。「12:45には間に合うだろう」とアンドレ。ここからが凄かった、標高も2400M以下になり林間へ突入コースをショートカットし森林破壊を続けながら滑る滑る。超高速で滑って行くアンドレ追う我ら、アンドレを見失うわけにはいかない。スルスルと木々の間をすり抜けて滑り降りて行くアンドレ、必死について行く我らに明らかに疲れの色が見え始めた。「あと10分だ。」アンドレは言う。あと10分頑張ろう。

沢を左手に見ながら右曲がりし消えていくアンドレ。次々と追いかけていく我ら6人、周りの木々にも気を付けながらもハイスピードのトラバースを続けていたところでカオルの目の前を滑っていたくっしーが曲がりきれずに左に飛転倒した。

初めはツリーホール(気の真下の雪の積もっていない場所)に落ちたのかと思ったがくっしーは沢へ向かって落ちていた。 これはマズイ、目の前にいた中谷さんにくっしーが転んだことをアンドレに伝えてもらう。
転倒したくっしーは木に絡まり足が変な方向へ向いている。ヤバイ、早くなんとかしなくては。スキーを脱ぎくっしーの救出へ向かうが1歩沢へ足を踏み入れただけで大腿まで埋まる、これでは近づくことができない。

足がヘンな方向へ向き痛がるくっしー、自力ではどうしようもできない。1歩1歩慎重に確認しながら近づくカオル、腰まで埋まる。 なんとかくっしーまでたどり着き先ずスキーを外す。ここから戻れるのかという不安を抱えながらくっしーの痛みにゆがんだ顔がなくなりホッとする。ストックが片方沢の穴へ落ちかけている、生還を最優先するカオル、ストックが気になるくっしー。どうにかこうにかストックも救出しスキーのある場所まで登り始めるが、たった1メートルが登れない。足場を作ろうとしてもスカスカの雪の上ではどうにもならない、雪の下の岩を探して足場にする。くっしーにはストックで三点支持をするように言う。

一体どれくらい時間がかかったのかわからない、ようやく無事にもとのルートに戻ってきた時には息は乱れ汗をかいていた。無事生還を喜び息を整えアンドレ達を追う、オイオイこの先もずいぶんとハードなトラバースだなあ、アンドレ。

結局「レストランフーリー」には1:15PMに到着。近道は時として遠回りになる「急がば回れ」名格言だ。
「レストランフーリー」ではプレゼントランチのポトフとロシティのソーセージ添えが用意されている、ポトフは身体が温まりロシティは今日も美味しかった。

午後はフルグサテル(3365M)まで行き金網越しにイタリアを見下ろす。
ここからウンターテオドルグレッチャー(ウンター下方氷河)を滑り始める。深雪もたっぷりあり今までにない角度からのマッターホルンを眺める事ができた。3000Mを越えてのカメラの撮影はインナーグローブをしたままでも指が凍りそうになる。外したグローブもほんの少しの水分が瞬間的に凍りつく。

撮影を終えグローブをはめ直しながら緩斜面を直進している最中に中谷さんにニアミスをしてしまった。今回のおれのレンタルスキーはツインチップ。後ろに向かってスプレーのように雪煙を巻き上げる。この雪煙をまともにくらい中谷さんが転んでしまう。スイマセン、もっと離れて滑るべきでした、ホントにすいません。
楽しみにしていた氷河スキーを終えFuriを抜けバス停に到着。ものすごくハードだったけど最高の一日だったよ、アンドレどうもありがとう。

今晩は皆と過ごせるラストナイト&しんちゃんの28回目の誕生日。誕生日おめでとう!!!ManyHappyReturns!
お祝いにと買ってきたグラッパを自分で注いで飲むカオル、かなり上機嫌。 トリちゃんへのプレゼントワインも美味しく頂き10PMまではなんとか記憶があるがそれ以降は定かではない。いつどうやてベットへ行ったのだろう?これが皆と過ごした最後の夜だった。

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