Joe's Labo

城繁幸公式。
というか避難所。移行か?
なんか使いづらいな・・・

公務員制度改革が必要な理由

2010-03-08 14:18:47 | その他
僕の新書はなぜか入試にやたらと引用されるのだけど、某法科大学院の入試論文にも登場したらしい。
送られてきた見本をみると、なかなか良い設問なので、ここはひとつ筆者として解答してみたい。

まず、拙著「3年で辞めた若者はどこへ行ったのか  アウトサイダーの時代」129p〜の官僚編が引用される。
要するに、官僚の天下りはそれ自体がコストであるが、あらゆる改革が彼ら自身の“既得権”という
フィルターを通して実施されるため、骨抜きになりますよというお話。

それに対して、まず以下のような小論が提示される。
【要旨】
アフリカの途上国を見てもわかるように、国家の安定した発展のためには、強固で安定した公務員組織が
不可欠だ。そのため、国家公務員は一致団結し、一歯車として国家のために活動すべきである。
そう考えると、公務員がおのおのキャリアを磨き、転職市場で評価されるような専門性を身につけて
しまうと、公務員組織が不安定になってしまう。
しかも公務員には民間と違って幅の広い視野が必要だから、一芸に秀でた専門職より、行政全般に
精通したゼネラリストを育成すべきだ。
年功序列と終身雇用を維持してこそ、官僚は仕事に専念でき、国家は繁栄する。
天下りによって官僚のモチベーションが維持できるなら、むしろそれは国家にとって望ましいことだ。

【設問】
設問は、拙著を踏まえた上で上記ロジックに800字以内で反論しろというもの。
城繁幸なりに論述すれば、こうなる。

【解答例】
目標となる国家像が明確な場合、中央官僚による一極支配はそれなりに有効である。
つまり、戦後、新興の工業国としてアメリカという先進国にキャッチアップする過程では、
強固な官僚組織に依存するだけである程度の効果はあった。
ところが、ポスト工業化の段階ではこの方法は限界があり、民間の裁量に委ねるしかない。
官から民へ。民営化や規制緩和といったキーワードが主役になる。

ところが、年功序列制度の官僚機構は、中高年の消化のために大量の天下りポストを必要とするから
こういった改革に対する抵抗勢力となってしまう。
実質破たん状態にも関わらず「賦課方式だから年金は破綻してないですよ」と平気で嘘をつく厚労省の
天下り官僚などが代表だ。
「官僚の人事制度」という本丸に手をつけることなく天下りだけを禁止すれば、組織は崩壊して
政策や法案の作成能力は大幅に低下するだろう。
そもそも、彼らも全力で抵抗するだろうから、改革案の骨抜き→国民失望→政権交代といった
おなじみのプロセスが今後もずっと続くかもしれない。

逆に、序列ではなく成果に応じてキャッシュを支払う年俸制などに移行すれば、霞が関は抵抗勢力から
改革の推進者に生まれ変わるだろう。公務員制度改革こそ、すべての改革の一里塚である。
以上。
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キーワード
キャッチアップ 年功序列制度 モチベーション ゼネラリスト 国家公務員 法科大学院
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20 コメント

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組織変幻自在 (台湾的日本人)
2010-03-08 17:01:47
うーん、私はそこまでの反論は考えられませんでした。もっと城さんの本を読んで自分なりに考えてみます。

どうしても素人考えだと「官僚=悪」みたいな考えになっちゃうんですが、ここまでの日本を作るのに彼らはすごく貢献もしているんですよね。もちろん、今は抵抗勢力的にもなってますが。

なんというか、時代や環境とかによって、どんな組織も毒にも薬にもなっちゃうんですね。そう思うと常に「変幻自在」でないといけないな、と考えてしまいます。
Unknown (Shimotaka)
2010-03-08 18:52:17
入試にも使われるようになると、それだけ広く読まれている証ですが模範回答が模範とならないリスクもあって複雑ですね…。

一応国家公務員の身分保障には、
>年功序列と終身雇用を維持してこそ、官僚は仕事に専念でき、国家は繁栄する。
というのが理由としてありますよね。労働権の一部制限の代償の意味ももちろんありますが。


全然関係ないですが、昨日のたかじんのそこまでいって委員会で新社会党という謎の党が「若者の雇用のために海外の工場を国内に戻すべき」と言い、「具体的な…」→「内部留保を」と返してみんなに突っ込まれているのに笑いました。おおむね城さんの主張通り+売れ残りも入ってると、完全にやっつけられてました。他の質問でも論に具体的なビジョンが全くなく、あんなのが国政に出るのは勘弁願いたいです。
回答例 (kenji)
2010-03-08 21:30:56
>国家の安定した発展のためには、強固で安定した公務員組織が不可欠だ。

それならば、強固で安定した公務員組織があれば国家の安定した発展があるか?

これは一概には言えない。つまり国家の発展と公務員組織とは関係がないということである。一つの国だけではなく、色々な国がアルから、その競争は民間会社のそれと何等変わらない。したがって国の行政組織と民間の組織とそれぞれ別物では無く、国家を構成する一部分である。パーツである。設問にはその考えはない。
 何故であろうか?
それが設問の限界である。
したがって
>しかも公務員には民間と違って幅の広い視野が必要だから、一芸に秀でた専門職より、行政全般に
精通したゼネラリストを育成すべきだ。

現代世界を知らない時代遅れのうぬぼれた見方が出てくる。行政府の一員と民間の一員の相互交換ができる組織が必要である。
 銭がほしい人は民間へ行く事である。つまりモチベーシィオンは
>天下りによって官僚のモチベーションが維持できるなら
では無く別のところに、持つ道徳を持った人々がなる事だろう。
Unknown ( )
2010-03-08 21:38:22
設問の小論、面白いですね。
興味深いのは「アフリカの途上国」以外は全て「終身雇用のゼネラリストなら国家が繁栄するから、終身雇用のゼネラリストにすべき」というトートロジーで貫かれていることですね。
現実に公務員の皆様が行う反論(?)にとても似た性質の文で、その意味でも興味深いです。

日本はアフリカの途上国じゃないから! 笑
それとも報酬を(生産性に合わせて)アフリカ並みにしてでも終身雇用にしろっていう意味でしょうか 笑
皮肉というスパイスがよく効いている (城)
2010-03-08 21:51:28
>新社会党という謎の党が「若者の雇用のために海外の工場を国内に戻すべき」と言い

まだこんなのいるんだ(笑)
でも地上波でも突っ込まれるとは、だいぶ視聴者のリテラシーも上がってきたな、よしよし。

>設問の小論、面白いですね。

この設問の作成者は、おそらく元役人かそれに近いポジションで働いた経験があり、問題の本質をよく理解していると思う。
公務員制度というより給料制度全般の改善を (Unknown)
2010-03-08 21:52:19
公務員に限らず正社員の世界でありがちな事
25歳ヒラより40歳課長の方が給料は高い
のは誰が見ても明らか
30歳ヒラより30歳主任の方が給料が高い
はまあそうだろうと思う。
ここまではだれしも納得はできる。
しかるに
35歳ヒラと35歳係長の毎月の支払い額(=手取り)はほぼ一緒でボーナスに多少差が有る程度
とか
45歳課長より45歳係長どころかその年でヒラの方が総年収は多い
とかいう状況は改善するべきかもしれません。

Unknown (KOポーイ)
2010-03-08 23:56:54
 何もかも民間の裁量にまかせられるわけじゃないです。年金なんかは典型ですけど、官でしかできない、官がプロにならざるをえないわけです。
 清家教授も言っていましたが、プロを否定するのではなく、いかに政治家が官僚を使いこなすかが大事な点ではないでしょうか。いい仕事をさせるための天下りにかわる仕組みが不可欠でしょう。一般的には年俸制はなじまないと思いますが、課題が明確な一部のポスト(政治任用職など)であれば年俸制の方がいいかもしれません。
 
政治家は素人に頼るな 清家篤慶應大学教授(07/09日経「領空侵犯」)
 官僚との関係でも政治家が十分に責任を果たしていないところがあります。 官僚は行政の各分野の専門家で政治家はその助けを借りて行政を進めます。  専門家である官僚が自分の分野が重要だと考えるのは当然だし、また、そうでなければプロにはなれません。そうした中、それぞれの分野に軽重をつけるのが、素人の良識を持った政治家の仕事でしょう。ですから『縦割り行政はけしからん』 などと言う政治家は自らの役割を忘れているとしかいえません。
政治があれで大丈夫? (けけけけけ)
2010-03-09 00:37:26
そもそも政治家・官僚にそれなりの能力があるのか大いに疑問です。総理は特に、内閣をまとめ上げるどころか、周りに右往左往して何がしたいのか全くわかりません。

官僚も官僚で、もっともらしい説明はするが、そこに正確性・正当性が一切見あたりません。結局マスコミを抱き込んで嘘八百流してるだけです。
(経営者も、大して能力のある人とは思えませんが、底は城さんが知ってらっしゃいますので、例の富士通の・・・)

結局、日本社会は「バカがさっさと偉くなってるだけ」です。そんな人間には一秒でも早くお亡くなりになった方がいいと思います。その方が犠牲が少なくてすみます。(どうせ「バカは死ななきゃ直らない」って言うくらいですから、このくらい問題ないでしょう。)

Unknown (JFK)
2010-03-09 01:15:21
国家公務員は一致団結し、一歯車として国家のために活動し、年功序列と終身雇用を維持することで官僚は仕事に専念でき、天下りによって官僚のモチベーションが維持することで国家が発展し、みんながハッピーになればそれはそれでいいのでしょうけど、現実は違いますからね。。。前提から論理破綻している訳で。

たまに、城さんへの反論を目にするのですが、そのほとんどが、「終身雇用・年功序列破壊が前提にあってケシカラン。終身雇用・年功序列を維持したままで国家が発展していく方法をまずは考えるべき!」といった内容ですよね。これも、前提が全く異なっているので、当然論点がかみ合う訳ないですよね。。。
大手の人件費もデフレ化へ (yasu)
2010-03-09 09:17:00
トヨタ初任給また据え置きへ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100309-00000053-san-bus_all

城さん的には「想定の範囲内」てとこですか。
これからどんどん厳しくなりそうですなあ。
官庁も富士通も同じか? (tana)
2010-03-09 12:19:27
http://diamond.jp/series/closeup_e/10_03_13_001/?page=4

官僚化した大手企業でも同じことが言えそうです。
上記のダイヤモンドによると富士通の野副氏はかなり大胆な改革派で、それゆえ抵抗勢力も多くかなり嫌われいたそうですね。
なぜ官から民へなの? (新卒制度を禁止しろ!)
2010-03-09 13:00:17
城さんは素晴らしい。
”そのとおり!”といつも感銘を受けます。
でも、”ポスト工業化の段階ではこの方法は限界があり、民間の裁量に委ねるしかない。”という部分は、なぜそうなのかを説明しなくて良いの?と感じました。「3年で辞めた若者はどこへ行ったのか」にも書かれていないなら、引用本を踏まえているので正解なんでしょうけど、”解答例”しか読まないと、なんでポスト工業化の段階では強固な官僚組織が有効ではないの?とか思ってしまいます。なぜ今の公務員制度が限界かは重要な部分なので、簡潔に記載すべきではないでしょうか?
う〜ん (???)
2010-03-09 23:31:47
>序列ではなく成果に応じてキャッシュを支払う年俸制などに移行すれば、

公務員の仕事で成果主義を導入するのは民間以上に難しいと思いますけどね。民間の場合まだ利益がでれば成果がでたということでまだしも基準がはっきりしていますが、公務員の場合省庁や部署によってやる仕事まったく違いますし何を持って成果と判断するか評価基準自体がものすごく作りにくいです。しいてやるなら経済成長率とリンクさせるとかですかね?ただ経済成長に影響している省庁や部署ばかりじゃないですしねぇ。
公務員改革をやるというのはいいですが、具体論に入ると極めて弱いのは否めないです。
改革歓迎 (山田祐太)
2010-03-10 00:31:31
キャッチアップ時代→欧米に追い付け、追い越せだったから常に“答え”のある問題を解いていたようなもんでしょう。

一方で脱工業化時代では、答えではなく”問題は何か”から考えなくてはなりません。

官僚組織では問題発見どころか、問題を隠蔽してるわけだし(年金問題)。
公務員改革が実現できて初めて次のステージへ日本が進めると思います。
政治主導の建前論 (だいじなもの)
2010-03-10 10:57:24
城さんの言うことはごもっともなのですが、気になるのはこの点です

>逆に、序列ではなく成果に応じてキャッシュを支払う年俸制などに移行すれば、霞が関は抵抗勢力から
改革の推進者に生まれ変わるだろう。

「改革」を、選挙を経ていない一官吏にやらせてしまってよいことなのでしょうか?
その失敗(することが多いと思いますが)に国民は納得するのでしょうか?

評価制度なんて入れてしまうと、評価欲しさに無茶する官僚が、GSのように国の資産や優良企業を外国に売り飛ばす(短期では高評価)様子が目に浮かびますが・・・

まぁ、交通警官くらいだったら評価制度とマッチする感じになるのだとは思います。反則金の10%は警官の取り分とか。でも違反する人が一気にいなくなって、制度はすぐに崩壊するんじゃないかとも思います。(長期的に評価が高いのはこういうこと?)

個人的には霞ヶ関は抵抗勢力でいいのだと思います。
現存の制度の守護者でいて、抵抗力が強ければ強いだけ優秀ということでしょう。
現状は、それをねじ伏せられない政治家のほうにのみ問題があるだけなのだと思いますが・・
「改革」は本来は議員や秘書がシンクタンクをやらなければならないのではないでしょうか。

家族知人を政策秘書に登録して、給料は党に入れてしまって秘書が機能していないだとか、党議党則に縛られて幹事長の意に沿わないことは何も言えないだとか、そういう政治を馬鹿にしたような人にはとっととご退場いただきたい感じです。(が、これを当選させるのが民意であるならば、それ以上は何も言えませんけれども。)

建前論なのは重々承知ですが、ここはまだ崩してはならないもののような気がします・・・
新卒絶対主義・年功序列・終身雇用 (NAO)
2010-03-10 22:01:39
池田信夫氏によると日本の官僚も戦前トップの内務省などは年功序列ではなかった。旧大蔵省は戦前も戦後も完全に年功序列。
戦後民間大企業が年功序列を導入したのは旧大蔵省に倣ってのこと。
上官が絶対正しい軍隊型のライン組織には新卒絶対主義・年功序列・終身雇用は有効でしょうが今時そんなの流行るわけない。
ちなみに民主党が統治機構モデルとする英国の大蔵省では職員採用時期は決まっていないそうです。
Unknown (五月雨祭)
2010-03-12 16:59:25
新社会党と言えばみんなの党の川田龍平議員もそうですからみんなの党も信用が少しばかり・・
自分も???さんと同じく成果といっても全て数値化する事が可能なのでしょうか?
そして短期的な評価に迎合し易くなっているイギリスみたいな現状にしない様に具体策が望まれるんじゃないでしょうか(仮に民間が評価となっても人間で有る限り今と同じく貯金の奪い合いで恣意的になるのは避けられないかと考えます
公務員ネタは (ベルカンプ)
2010-03-13 11:34:55
食いつきが悪いような気がするのですが公務員が結構いるせいですかね?(笑)

公務員の成果主義に否定的な意見もあるけど
公務員だけやらないって訳にはいかないでしょう。
個人差は当然あるはずだし。
日本の公務員の平均年収は世界基準の2倍 (Bow)
2010-03-14 14:52:47
民間企業の年功序列制が修正されつつあるのに
公務員の給与制度が今のままでいいわけないですよね。

日本と世界の公務員平均年収
http://www.ojibleau.com/2008/12/post-4.html

>日本の国家公務員の平均年収は662.7万円、地方公務員の平均年収は728.2万円
> 公務員の平均年収はドイツ 355万円、イギリス 410万円、カナダ 320万円、
>フランス 310万円、アメリカ340万円になります。
>日本の公務員の平均年収はほかの国々よりほぼ2倍とは多すぎですね。

>アメリカの公務員の年収は職級によって差がつきますが、
>日本のように年功序列制度がないため、勤続年数によって年収が変わるということはありません。
>アメリカは職級だけで年収が決まってしまうので、まさに実力主義なのです。

公務員の給与制度・人事制度を民間基準で見直さないかぎり
国民の消費税増税にたいする理解もえられないし、日本の財源問題も解決しないでしょう。
公務員の給与が問題 (坂口)
2010-07-01 00:10:55
天下りは民間にもありますし、定年まで職を保障することに問題を感じているというより、公務員を除いた国民が問題と考えているのは公務員の給与が、民間平均にくらべて約1.5倍という官民格差です。
例えば今年の生活基準としてデジタルで35歳年収が去年370万円、今年350万円と打ち出せば、公務員は生活保障という意味では、毎年変わることはおかしいですので、35歳平均を3年前と変わらず400万円と設定。
このように生活の基準となる具体的な年収を定めるべきです。

ただし地方によっては平均年収200万円というところもあります。地方公務員は地域によって変えるべきです。

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