孫は祖父より1億円損をする 世代会計が示す格差・日本 (朝日新書)島澤 諭,山下 努朝日新聞出版このアイテムの詳細を見る |
世代間の受益と負担の格差を計算し、世代間格差を浮き彫りにする世代会計について解説。
「モノ言う若者の会」と今後発表予定の若者マニフェストの話も一部登場している。
(正確には、マニフェストはいくつかの団体の合同なのだが)
ある程度、こういった問題について興味のある人には
だまされないための年金・医療・介護入門―社会保障改革の正しい見方・考え方
をお勧めしたいが、入門書としては本書を幅広くお勧めしたい。
著者の言うように、問題の存在をしるきっかけになるはずだ。
内容については、バブル崩壊以降、日本全体が痛みを伴う改革の代わりに、主に国債に
頼って次世代にツケを廻し続けた現状が延々と続く。
これでもかい、というほど続くが、事実なんだからしかたない。
そして受益と負担の格差は、今後生まれる世代と現在の老人との間で1億円近くにまで
拡大するとする。
ツケ回しの代表例は、04年の年金制度改革だろう。
過去の積み立て不足分400兆円が、ほぼすべて現役世代の保険料引き上げと
税金(これも現役世代の負担だろう)で穴埋めされてしまったものだ。
守られたのは、日本の純資産の8割を保有する高齢者の既得権だ。
「賦課方式だから、若者は奉仕しろ」というロジックだけで正当化できるだろうか?
僕にはどう考えても、今の2,30代の老後が、今の老人ほどに豊かだとはとてもとても
思えないのだ。ならば、賦課方式自体を見直して、基礎年金部分の税方式といった積立方式
に移行すべきではなかったか。
さらにいえば、年金制度最大の問題は、恐らく無資産・無家業・基礎年金だけで老後に
突入する非正規雇用層だ。今、雇用と年金の双方で手を打たないということは、最終破壊的
なツケの先送りではないのか。
「未納者が多くても破綻はしない」などという言い訳は詭弁に過ぎない。
その400兆円と国債と今後増加するであろう社会保障給付分(+経済危機対策のバラマキも)
を背負って、若者は国を引っ張っていかなくてはならないわけだ。
余談だが、国債と言うのは単純に消費の先食いのことだ。
今でも稀に「国内向け内国債だからいくら刷っても云々」という人間がいるが、
以前も書いたように、貸し手と返し手が違うわけだから、これも世代間格差生産装置だ。
たとえば。
「あなたのお爺様はとても満ち足りた生活をし、お父様はそこそこの人生を送ったのだから
あなたは生涯賃金半分でも年金半分でもトータルでは幸せなのですよ我慢しなさい」
と言われて納得する人間などいるだろうか。
しかも償還のために増税するなら、結局は国債など金融資産を持っている家計に無資産の
家計から補填することになり、文字通り中流はさらに追い詰められることになる。
ということから考えて、「良い国債」とは、子や孫からみても十分に価値を生むもの
あるいはそういう価値を生み出すような改革に使うべきだというのは明らかだろう。
断じて橋でも道路でも金持ちのバラマキでもない。
そういう価値とは何か、価値を生む改革とは何かという議論の代わりに、
「うちは15兆円!」「じゃあうちは21兆円!」という議論が政治の場で
なされている状況は、絶望的かもしれない。
では、誰が悪いのだろうか。
まずは政治家か。確かに責任は重大だが、彼らは国民によって選ばれているわけだから
選挙で淘汰しなかった有権者も同罪だ。
ならば国民に正しい知識を伝える義務を怠ったメディアか。
これも間違いなく有罪だが、彼らは国民の見たがるものを流してきただけに過ぎない。
ダイヤモンドの「正社員を賃下げしろ」というコラムや
NHKラジオでの「派遣社員の3年で正社員ルールを凍結すべき」という学者の発言に
抗議が殺到する現実を見てもわかるとおり、視聴者側もまったく同罪だろう。
ならば、エコノミストや学者はどうか?
残念ながら民主主義体制ではいかなる学説自論も自由に流布可能なので、商売のために
モリタクみたいなのが暗躍して百家争鳴となるのはやむをえない。
要するに、社会全体に責任があるのだ。もちろん、きっちり意思表示しなかった若手にも
責任はある。
著者は、ちんたら議論している余裕は既に無く、与野党問わず日本の未来のために
協力しろと説くが、現状では議論すら始まっていないというのが実情だ。
なんだかんだ言いつつも、今の日本はまだまだ心地よい国なのだろう。
それでもこの手の本が続いて世に出るようになっただけでも、良しとするべきか。
少子化問題についても、ここ5年(?)ほど前からトピックになってますが、抜本的な対策はなされず。。
若者の投票率の低さ(=政治・将来への意識の低さ)は
いかんともしがたいですね・・・
>若者の投票率の低さ(=政治・将来への意識の低さ)はいかんともしがたいですね・・・
同感です。
その上、ただでさえ若者人口(=若者票)が少ないのが痛いです。
政治家は選挙に勝ちたい(自分の生活もかかってるから)
→たくさん得票する必要がある。
→じゃあ、たくさん得票してくれる年齢層にアピールするのが効果的だ。
→若い世代より年寄りが喜ぶ政策だ!
→当選。「見事な選択と集中だった!」
どんな政治家も当選しないと意味がないですから・・・
この際、多少は公約違反してもいいから当選された方にはもっと世代間問題の本質を意識した政策をしてほしい。。。
「次の選挙」があるからだめか・・・
俗な言い方だが一番いいやり方は、たくさん子供を持って、彼らから金を取ることだがそれができない。
結局政府はあてにならない。政府は跡形も無くなくなるが年をとって、飯を食わなければならないことは、生きるかぎり、必要である。(?)
つまり老後の資金を政府に預けたのが間違いであり、もともとわが国の年金は老後のために作られた訳ではない。
出自が異なる。生まれが異なる。
其れが表に現れた。
苦しいが政府を当てにせずにやることで、今後大インフレになると私は思うが、そのときに物をいうものを若い人は持つことで、年よりは楢山節考で行くのが我々日本人の伝統だ。家という単位で行動するしかないだろう。
つまり今の年よりは金を自らの子供にお家のためだといて、遺産として、渡し、自らは楢山節考にしたがって行動することが社会においても各個人においても、多分一番被害が少ないと私は見ている。
そして能のない我々日本人は其れしかできないだろう。其れすらできないか。
実際そのようにしている日本人は多いが都市生活者か借金こいている人々は無理だろう。
事態はすでに神様の出番だと私は思って生きている。
ただ、この心地よさって何なんだろうって考えると、どうしても小説の「家畜人ヤプー」を思い出してしまいます。奴隷化していく中で、そこに耐えているうちに悦びを見出してしまう、そんな心地よさのような気がします。
一言で言えば、パワー不足。そういうことなのでしょう。
「自分が投票しようがしまいが何にも変わらない(可能性が非常に高い)」
というのは事実なわけで
いちいち時間割いていくのはだりぃなぁなんて思っちゃうわけです。
「問題を先送りにするな」です。
日本の独特なつるみ社会というか、
多数を占める既得権益層が幅を利かせて、
状況が変わっても変革のスピードが何事も遅い。
卑しい価値観を捨てて、
潔い価値観を普及させることが必要です。
国民は安易に多数派に流れると思われるので、
何とかそういう風にマインドコントロールできないかな。
来月から基本給10%カットだそうです。
周囲では今月から自宅待機&いきなり基本給40%カッ
トなんて話もあるので、まだ恵まれてるなと私は思っ
ていたのですが、今日の昼休みに会社の後輩から延々
と愚痴を聞かされました。
「自分は1979年生まれだが、物心ついてから景気がい
いと実感したことが一度もない。」
「結婚を考えている彼女がいるが、給与カットされた
ら結婚なんて切り出せない。」
「この会社に骨を埋めようと思ってきたのに、いきな
りこんな目にあうなんて・・・。夏のボーナスももら
えないのか。」
「俺は成人してから欠かさず選挙に行って投票してき
た。社会が少しでもよくなるように。でも、今は無力
感でいっぱいだ。」
私は「今は我慢のしどころだよ。転職しても今より条
件がわるくなるだけだから」としか言えませんでし
た。
「残念ながら、今の賃金制度では、君がいくらがんば
っても給料があがることは難しい。会社に骨を埋める
ことすら難しいだろう。」とは言えんかったです。
若年層もまだ、「サラリーマンでいれば親の世代ぐら
いの生活水準はなんとか維持できる」と思ってい
る・・・。いや、無理やり思い込もうとしてるみたい
ですね。
ドッカン、ドッカンと巨艦が轟沈していくのはいつな
んでしょうね。
6月末の株主総会ラッシュに何かが起こるのではない
かと個人的には思っていますが・・・。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090514-00000039-jij-soci
若い世代からどんどん希望が失われていることを象徴していますね。
やり切れません。
やり切れません。
2ちゃんでの盛り上がり方がひどいですね。
自殺願望のある30代が多いのってどうなんでしょうか。
> 責任はある。
これでは戦後の一億総懺悔論で軍部の責任をあいまいにしたのと、
同じ論法じゃないですか?
勘弁してくださいよ