Joe's Labo

城繁幸公式。
というか避難所。移行か?
なんか使いづらいな・・・

からっぽな国

2009-11-18 12:17:04 | その他
ところで、半日ほど仕分けを眺めている間中、ずっと感じていた疑問がある。
今まで、誰がこの国を動かしてきたのか、ということだ。

とりあえず、一番偉かったのが官僚であることは間違いない。
制度設計者自身がまともに説明も出来ないような事業を乱立させ、維持のために
税金や年金積立金、郵貯などをつぎ込んできたのだから。
(当然、相当な額がパーになっているはず)
しかも説明責任も結果責任も問われていない。

いつのまにやら日本の中心に、霞が関という大木がどっしり生えていたようなもの
だろう。ついでに言えば、その大木の根元で言われるがまま、ずっとうたた寝を
していたのが自民党である。社会党のことを
「政権運営のことなんて何も考えちゃいない無責任政党だった」という人がいるが、
考えていないという点では自民党もまったく同じだろう。
いざ野党に落ちてみると、逆さにして振っても何も出てこないわけだ。

しかし、官が偉かったのは事実としても、じゃあ官を動かしていたものは何かというと
それがまったく見えてこない。理想、欲得、エゴ、そういった生々しい熱のような
ものが、彼らからはまったく感じられない。
昭和40年代に立ち上げた事業を維持し続ける必要性を問われ、困った顔をする官僚は、
どう見ても大悪人などではなく、無理難題を言われて困っている普通のサラリーマン
そのものだ。

結局のところ、官僚自身、何も考えてはいなかったのだろう。
ただ、組織とともに“自転”し続けてきただけなのだ。

そう考えると、意志のない霞が関という大木が、しゃにむに根だけを伸ばしていった
というのが、戦後60年の現実ではないか。
三島由紀夫じゃないけれど、まさに「無機質でからっぽな日本」である。

もちろん、何も考えてこなかったという意味では、国民も同じである。
この事業仕分けは、そういうからっぽの事実をあけすけにし、
「おまえらも無為無策の片棒を担いできたんだぞ」という赤裸々な事実を、有権者に
突きつけているような気がする。

ならば、一回こっきりとはいえ、この会議の意味はとても重い。
後半戦は24日からスタートの予定だ。
本丸的なもの以外は座れると思うので、興味のある人は一度行ってみることを
おススメする。

多くの人はなんとなく「自分は歯車だ」と感じて日々を生きているだろうが、
歯車だけで一国が成り立っていたと知れば驚くに違いない。

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32 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Unknown)
2009-11-18 13:13:24
いくまでもなく、インターネットで見れますよ。
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Unknown (Unknown)
2009-11-18 13:18:19
社民党の場合はそれでも、
護憲・反基地・反原発・母子家庭
公共交通・女性問題・沖縄などが逆さに振ったら
出てきたけど、自民党の場合は何も出てこない。
改憲とスポーツくらいしか見当たらないわ。
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Unknown (Willy)
2009-11-18 13:39:38
同感です。省の壁なんて取っ払って政府が管理職(課長級くらい?)の人事を直接全部決められるようにしたらもっと真面目に国のことを考える官僚も増えるんじゃないかと思います。省別採用なんかも馬鹿げてますね。職種や専門分野別にやればいいと思います。
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歯車の国 (元派遣)
2009-11-18 15:28:56
そうでしょうね。

からっぽで中身がないから
体育会系的な悪しき根性論が蔓延るんでしょう。

作家の村上春樹氏はノモンハン事件から
日本的システムの本質はカオスであることを見抜き
「日本は第二次大戦を反省していない」と言いましたが
まさにその通りだと思います。
戦略性のないトップとそれに従うだけの歯車の国、日本
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組織が人格を持つと (ザンビア河野)
2009-11-18 15:39:33
おじゃまします。ちっぽけな詩人ですが一言。

官僚組織と軍組織、企業などの「組織」が法律や制度の上で人格をもちだすと、「体」のないその人格が生きている人間を疎外しだすという構図がどの国でも一般的じゃないでしょうか。

疎外される対象は組織の中にいる人間すらその中に含まれるでしょうね。
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空虚な中心、ってやつですね。 (しみず)
2009-11-18 17:17:25
池田信夫さんの記事ですが。
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51294626.html

ともかく、
日本では、もともとの価値観として、
「つくる・構成する」ということよりも、「自然とそうなった」ということのほうが、上位に置かれるみたいですからね。尊ばれるというか。

したがって、
「(積極的に)おれが社会をつくるんだ!!」という感じよりも、「(伝統的に)そういうことになってるんだから。みんなそうやってるんだから」ということのほうが、強力な論理として作用してしまうんだと思います。
「空気よめ」的なことも、そこから出てくるんだと思います。

ということは、
「リーダーが変われば、みんな従う」のではなく、「みんなが変われば、みんな従う」という、ほとんど変わりようがない状況になるんだと思います。

++++++++++
ところで、城さんは、
雇用の常識「本当に見えるウソ」海老沢嗣生
(amazon)http://www.amazon.co.jp/雇用の常識「本当に見えるウソ」-海老原-嗣生/dp/4833419122
について、
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一般向けの小ネタ集なので読んでいない。
付け加えておくと、リクルートは良くも悪くも非年功序列型企業なので、日本型雇用の問題点は理解できないと思う。
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とおっしゃっていましたが(6月の時点で)、
先日、本屋で平台においてあったので、ぱらぱらとめくってみましたら、城さんの著書『たった1%の賃下げが99%を幸せにする』が引用されており、批判されていました。
2回、斬られていました。

しかも、
森永卓郎さんや、中谷巌さんと、あつかいが同列でした。

以上です。失礼しました。
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Unknown (Unknown)
2009-11-18 18:47:34
インターネットで見るのと、現場に行くのとでは、得られる(感じる)ものが違うんでしょうね、やっぱり。
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間違っていますよ (八目山人)
2009-11-18 19:00:52
悪いのはマスコミです。

自民党の中にいる人に聞きましたが、久米宏のニュースステーションを観て、その言っている事を、出来るだけ実現するように、政治をやっていると言っていました。

それと上から2つ目の人、戦後ズーと社会党が政権与党だったら、今の日本が在りましたか。

岸晋介とか池田隼人など立派でしたよ。
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官僚には期待しないほうがいいかも (ラーメン二郎栃木街道店)
2009-11-18 19:11:50
元大蔵省出身で経済学者の野口悠紀雄氏の
コラム超整理日誌には96年の官僚の接待問題の時に
なぜ、みんな官僚になるかといえば接待をしてもらいたいわけでもなく(官僚の多くは接待嫌いとも書いてあった)、国を動かせる権限を持ちたいわけでもなく最後まで面倒を見てもらえるからだと書いてありました。最後まで面倒を見てもらえるからこそ
20代、30代の時の200時間にも及ぶ毎月の残業時間にも耐えられるとも書いてありました。
90年代前半までは官僚神話(世界一優秀とか高潔であるとか)がありましたが官僚も小市民と変わらないと分かった現在、組織とともに自転する存在
にしか過ぎないのも仕方ないのかと思いました。
組織を改革しようと上に逆らって追い出され今後の人生設計が狂うぐらいなら上に従順して出世して少しでも良い天下り先を確保したほうが良いと思いますよね。
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Unknown (よし)
2009-11-18 19:32:08
政権をとったばかりの民主党を叩くのが酷であるのと同様に、野党自民党を叩くのは酷です。
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