Joe's Labo

城繁幸公式。
というか避難所。移行か?
なんか使いづらいな・・・

出版工船

2009-04-30 09:26:50 | その他
先日、こんなニュースがあった。手抜き作業のツケを誰が払うか、という話だ。
この会社とお付き合いはないので、以下は一般論。

いつも言っているように、労働条件を見直すのはとてつもなく骨が折れる作業であり
通常の企業では難しい。
これは、中小企業しかいない出版業界もそう。
ただ、売上自体はどこも下がっているから、どこかで誰かにしわ寄せしないといけない。
そこでポピュラーなのが、編集プロダクションに一山いくらで丸投げする方法だ。
これなら、現時点で払える原資をベースに契約を組めるから、柔軟な設定が可能だし
新規に人員を採用して固定費化するリスクもない。

ただ、正社員と請負代金の間で競争原理が働くわけではないから
労働対価には生産性を超えた決定的な格差が生じてしまう。

1000万円貰っている20代の社員と、300万円で仕事掛け持ち、3連徹夜
なんて人が作った本が、同じ出版社名で並んでいるわけだ。

職務給だとありえない話だが、日本は職能給の国なのでこういう困ったことになる。
一時期、メディアは鬼の首でもとったように大手メーカーの偽装請負を叩いていたが
僕の知る限り、少なくともメーカーではここまでの格差は生じていない。
工場で事実上の指揮命令下においたのは法律的に問題があったのは事実だが
オフィスすら与えずに丸投げして後はしらんぷりという方が倫理的には悪質な
気がするのは僕だけか。

まあ、編プロというのは昔からそういうサバイバルな仕事だし、そこから叩き上げて
出版社に転職したり、起業したりする人もいるので、キャリアパス的には悪い話
ではないのかもしれない。

最近は新聞社系の出版物も丸投げが目に付く。
軒先を貸してショバ代とっているようなもので、しかもいらなくなったらいつでも
叩き出せるから、これほど会社と労組にとって便利な存在はない。

よく週刊誌などで過酷な労働現場のルポみたいなのやっていて、
「そんなの中小の編プロ取材すれば良いじゃん」と思っていたのだが
いつだったか某誌で本当に取り上げてるのには笑った。
多分、編集者がバカで上記の階級構造を理解してないか、
編集者自体がフリーランスで、階級闘争の一環として
取り上げたかのどちらかだろう。


某政党もいい加減、いもしない資本階級なんて忘れて、今そこにある階級に
向き合うべきだ。




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2 コメント

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Unknown (さるやま いっぺい)
2009-04-30 13:52:14
http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/51513077.html

ってことですよね。
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Unknown (松本孝行)
2009-04-30 18:00:25
こりゃきついですねぇ。
もし私がこの仕事請け負って失敗したら1000万の賠償金ですか…なんて不平等な(笑)
おっしゃるようにメーカーの下請けだとここまでひどいことはないですね。ただ、下請け構造から脱却できる力を持たないようになるというデメリットもありますが。

下請け法が改正されたはずですが、なかなかこの構図から抜け出すことは難しいようですね。どうしたものか…
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