ぶんやさんち

ぶんやさんの記録

徒長――苗踏みローラー

2009-06-08 14:09:53 | ときのまにまに
「徒長」という言葉をご存じですか。恥ずかしながら、この歳になるまでこの単語を知りませんでした。意味は何となく分かるのですが、読み方が分かりません。それで漢和辞典で調べますと、「トチョウ」と読むらしく、意味は「植物の茎や葉がむやみにのびる」と説明されていました。確認のために広辞苑も開いてみました。「肥料の過多や光線の不足などが原因で、植物の茎葉が伸びすぎること」とあります。どうやら、この単語は農業用語のようです。
この単語に出会ったのは、福島君のブログ「職業:百姓」(http://blog.100sho.net/)で、彼はこんなことを言っています。
「麦踏みという言葉があるが、同じように稲にも苗踏みがある。とはいっても祖父は稲を踏むなんて考えたこともないそうだ」。そして美しい苗床とローラーのようなものの写真があり、「150mmの塩ビパイプを加工して、中に水を入れた」掃除機のようなもので苗床の上を押すようになでている。それが「苗踏みローラ-」と呼ばれる特殊な道具のようです。
流石に苗床の上を踏むことは出来ませんが、この道具を使ってソッと軽く稲の苗を上からなぞり、「麦踏み効果」を狙っているようである。福島君はそのことについて、次のように説明している。「なぜ苗を踏むのかというと、稲の箱苗というのは通常の生育状況よりはるかに密植である。そのため、1ヶ月の育苗期間では苗どうしが重なり合い徒長してしまうからだ。そこで、上からの力が苗にかかることで、植物体内でエチレンというホルモンが生成される。エチレンは植物体を太く、がっちりにさせる効果があるため、軟弱に伸びすぎない、強い稲になるというわけ」。ここに「徒長」という単語が出てくる。要するに過保護の環境で育てられた稲からは、美味しい米はできないということで、程度のストレスとプレッシャーを与えることによって、稲の内部から強靱なホルモンが形成されるということのようです。
福島君のブログを読んでいるといろいろ教えられます。もちろん農業のことが中心ですが、人生を考える上でも貴重な教訓があります。植物でも人間でも、健全に育つためには適度な苦労、艱難、プレッシャーが必要なようです。問題は人間の成長のために必要な苗踏みローラーとは何かということでしょう。

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