ぶんやさんち

ぶんやさんの記録

「キリストに倣いて」 イミタチオ・クリスティ  Imitatio Christi

2010-02-20 14:01:36 | 雑文
「イミタチオ・クリスティ」という言葉も説明しなければならない時代になってしまった。わたしが若い頃は、日本のキリスト教界においても、「イミタチオ・クリスティ」といえば大体のことは通じていたように思う。この本は中世のヨーロッパで修道士トマス・ア・ケンピスの著とされ、聖書に次いで全世界で読まれているキリスト教修養書で、キリスト者の生き方についての最高レベルの指導書である。日本ではパスカル研究や讃美歌作者として知られている由木康先生によって『キリストに倣いて』として翻訳されている。残念ながら現在は絶版になっている。
トマス・ア・ケンピスはこの書一冊だけを残したが、この一冊によって今でも全世界のキリスト者に今も覚えられ、影響を与え続けている。
夏目漱石はロンドンに留学したとき、ロンドンに到着して約2ヶ月程たった頃、1901年1月2日に、この本の小型英訳本『Of The Imitation of Chirist 』 と出会い、この本のあちらこちらに英語で時には日本語で感想を書き込みをしながら読んだという。その箇所が40カ所に及ぶといわれている。ここから「漱石とキリスト教」というような論文も発表されているほどである。見方によっては、だから漱石のキリスト教理解は入信にまで至らなかったということもできるかも知れない。
この本をどう読み、どう理解するかということは各人の信仰のあり方によるであろう。極端に言うと、この書を表表紙から裏表紙まで完全に読まなくても、少なくともわたしたちのこの書がわたしたちにとっての貴重な遺産であることだけは確かである。
幸い、ツイッターという新しいコミュニケイション手段によって、この『イミタチオ・クリステ』の由木先生の名訳を毎日、食事のように、味わうことができるようになった。最近アップされたものを紹介しておこう。
< http://twitter.com/naraite >

○ 高ぶった貪欲な人は、平安を得ないが、貧しい謙遜な人は、常に全き平安のうちにある。
○ 人は何ものかを過度に求めると、たちまち不安になる。
○ もし実益を刈り取りたいと思うならば、謙遜単純にかつ忠実に読むがよい。決して学者の名を得ようとして読んではならぬ。
○ 善良な生活は人を神のみ前に聡明ならしめ、多くのことに練達ならしめる。
○ 人の語るすべてのことを軽々しく信ぜず、人から聞いたことを心なく他人に話さないことも、知恵の一部である。

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