知的財産研究室

弁護士高橋淳のブロクです。最高裁HPに掲載される最新判例等の知財に関する話題を取り上げます。

ドフトエフスキー「罪と罰」を読む

2011-01-31 22:30:44 | 読書
ドフトエフスキー「罪と罰」を再読。 村上龍の「愛と幻想のファシズム」の中で、娼婦が読んでいたのが、「罪と罰」です。いわく「くだらない恋愛小説よ」。 「罪と罰」、いろいろな要素を含んだ小説です。恋愛も罪であり、罰が与えられることもあるということでしょうか。 奥が深い小説です。     . . . 本文を読む

ヘニング・マンケル「目くらましの道」を読む

2011-01-29 14:37:45 | 読書
「目くらましの道」を英語版で読んだのが僕のマンケル・デビューでした。当時通っていたベルリッツの英語の先生に勧められました。 全編に漂う暗さと冬の長いスウェーデンのイメージがシンクロしつつ、現代社会の抱える病理に戦慄を感じるとともに、家庭と仕事の摩擦、娘、父親との関係に悩むヴァランダー刑事に共感したものでした。 今回、日本語版で読みましたが、大筋の理解に誤りがなかったことを確認できて一安心でした . . . 本文を読む

東野圭吾「白夜行」を読む

2011-01-28 23:12:15 | 読書
東野圭吾「白夜行」を読了しました。文庫本にして800ページ強ですが、全く退屈させません。さすがです。 東野さんは、理系出身の強みを生かし科学的トリックを構築できる一方(例:ガリレオシリーズ)、人間の「悪意」を表現することができる稀有な作家です。また、「名探偵の掟」などの本格推理小説の究極のテーマに挑んだ作品や「毒笑小説」などのお笑い小説も書いてしまう方です。     . . . 本文を読む

クランプ装置審決

2011-01-28 21:44:48 | 最新知財裁判例
平成22(行ケ)10131:2部 請求認容 本件は、無効審判請求不成立の審決を本件発明の進歩性を否定して取り消したものです。 争点は、甲34発明に甲32発明を適用して、本件発明に想到することが容易であるか否かです。本件発明と甲34発明との相違点の一つつが一定の構成の流量調整弁であり、それが甲32に記載されている(甲32発明)ことには争いがなかったようです。しかし、審決は、甲32発明の流量調整 . . . 本文を読む

未支給の退職慰労金年金債権の喪失

2011-01-27 23:57:12 | 最高裁判例(知財以外)
平成21(受)1154 本判決は、株主総会の決議を経て内規に従い支払われることになった取締役の退職慰労年金につき、集団的、画一的な処理が制度上要請されているという理由のみから、内規の廃止により未支給の退職慰労金年金債権を喪失させることはできない、と判断しました上で、黙示の契約の成否及び事情変更の原則の適否について判断させるため、本件を原審に差し戻しました。 本件は当然の結論と思われますが、黙示 . . . 本文を読む

将来の金の価格と消費者契約法の「重要事項」

2011-01-27 23:41:42 | 最高裁判例(知財以外)
平成22年3月30日 本判決は、金の商品先物取引の委託契約において将来の金の価格は消費者契約法4条2項本文にいう「重要事項」に当たらない旨判断しました。 その理由は、同項の文言は、同条1項2号とは異なり、将来の金の価格のような不確実な事項を含意するような文言が用いられていないということです。 本判決の文言解釈は正当と思われますが、それを支える実質的価値判断の部分が不明であり、今後の検討が期待 . . . 本文を読む

賃貸人の修繕義務違反による営業利益相当の損害

2011-01-27 23:30:33 | 最高裁判例(知財以外)
平成19(受)102 本判決は、店舗の賃借人が賃貸人の修繕義務の不履行により被った営業利益相当の損害について、賃借人が損害を回復又は減少させる措置を執ることができたと解される時期以降に被った損害のすべてが通常損害とはいえないと判断しました。 これは、賃借人に対して条理又は信義則に基づき損害回避義務を認めたものです。損害を回復又は減少させる措置を執ることができたと解される時期は、ケース・バイ・ケ . . . 本文を読む

またがり建物に対する優先譲受け

2011-01-27 23:24:45 | 最高裁判例(知財以外)
平成18年(許)45 本判決は、「賃借権の目的物である土地とほかの土地上にまたがって建築されている建物を競売により取得した第三者が借地借家法20条1項に基づき、賃借権の譲渡の承諾に代わる許可を求める旨の申立てをした場合において、借地権設定者が、自ら当該建物及び賃借権の譲渡を受ける申立てをすることは許されない。」と判示しました。 . . . 本文を読む

水系ゲル化侵害訴訟

2011-01-26 21:56:04 | 特許侵害訴訟
平成20(ワ)14169:29部 請求棄却 属否論で決着がついたケースです。 「オレフィンー無水マレイン酸共重合体」という用語が、そのアンモニウム塩等を含むかが争点でした。 本判決は、①用語の一般的意義と②明細書の記載に照らしてこれを否定しました。①については、化学構造と水溶性の相違が根拠です。 併せて、本特許は、詳細は説明に実施可能な程度の記載がないという理由で無効審判により無効とされ . . . 本文を読む

ダブルアーム審決1

2011-01-26 21:41:13 | 最新知財裁判例
平成21年(行ケ)10204:4部 請求棄却 本件は、無効審判成立の審決が維持されたものです。 本判決は、引用発明に対し周知技術であるコラム型の移動装置を採用することは容易であると述べています。 また、二組のアーム部の肘関節部が突出する方向について、干渉防止のためにこれを同方向とすることはむしろ当然であって、設計事項であると述べています。「当然」であることの証拠は引用されていませんが、一般 . . . 本文を読む

ダブルアーム審決2

2011-01-26 21:22:05 | 最新知財裁判例
平成22年(行ケ)10034:4部 請求認容 本件は無効審判不成立の審決取消を認めたものです。 分割要件違反について、「特許請求の範囲が、作用効果を奏さない構成を含むからといって、必ずしも常に分割要件を欠くものということはできない」と述べています。作用効果の特許性との関係という観点からも注目されるべき判示です。 引用発明に周知技術を適用することは容易であると述べられています。ここでは、周知 . . . 本文を読む

技術的範囲の解釈と当てはめ

2011-01-26 12:55:15 | 特許侵害訴訟
技術的範囲の解釈と当てはめ    1 3ステップ及び侵害類型 1―1 3ステップ 属否論とは、特許発明の技術的範囲に対象製品が属するか否かという議論である。この判断は、以下の3ステップにより実施される。 ① 特許請求の範囲を構成要件に分説 ② 被告製品の構成の分説 ③ 対比   1-2 侵害類型 侵害類型は、まず、直接侵害と間接侵害に分かれる。間接 . . . 本文を読む

コリオリ流量計審決

2011-01-25 17:52:33 | 知的財産権訴訟
平成22年(行ケ)10124:3部 請求認容 本件は、拒絶査定不服審判不成立審決を取り消したものです。 理由は意見書提出の機会を与えるのが不可欠であったところ、これを奪う手続き上の違法があるということです。 本判決は、一般論として、審決が拒絶理由通知又は拒絶査定において示された理由付けを付加又は変更する旨の判断を示す際には、特段の事情のない限り、意見書を提出する機会を与えなければならないと . . . 本文を読む

ロクラク東京地裁判決

2011-01-23 18:30:43 | 著作権
事実関係の正確な理解のためにロクラク地裁判決を改めて読んでみました。 地裁判決は、本件サービスの目的について、「利用者に、日本のテレビ番組の複製物を取得させることを目的として構築されたものと解するのが相当であり、一連の操作において、日本のテレビ番組を複製し、複製した番組データを日本国外に送信することが、重要な意味を有するものということができる」と認定しています。本件サービスの場合、複製の主体が事 . . . 本文を読む

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