知的財産研究室

弁護士高橋淳のブロクです。最高裁HPに掲載される最新判例等の知財に関する話題を取り上げます。

ダブルアーム審決1

2011-01-26 21:41:13 | 最新知財裁判例

平成21年(行ケ)10204:4部

請求棄却

本件は、無効審判成立の審決が維持されたものです。

本判決は、引用発明に対し周知技術であるコラム型の移動装置を採用することは容易であると述べています。

また、二組のアーム部の肘関節部が突出する方向について、干渉防止のためにこれを同方向とすることはむしろ当然であって、設計事項であると述べています。「当然」であることの証拠は引用されていませんが、一般人にも理解可能な経験則(あるいは顕著な事実)の適用であるため証拠は不要との理解ではないかと思われます。

原告の主張に対する応答部分において、周知例において、当該発明固有の課題を解決するための特有の構成として、コラム型の上下移動機構装置を採用した事情はうかがわれないと述べられていますが、これは、引用発明に対し周知技術を適用することの阻害要因がないことを述べているものでしょうか。

また、「肘関節部との干渉を避けるという目的からすると、移動機構を肘関節部の突出方向と反対側に設けることは、むしろ当業者がまず第一に着想する構成ということもできるから、肘関節部突出と移動機構との干渉を回避する方法が複数存在するとしても、省スペース化という課題を前提に、当業者が適宜選択することが可能である」と述べています。この部分は、発明の目的からみて当然採用されるべき構成であるが、先行文献が発見できないというような場合に利用できるロジックであり、重要と思われます。もっとも、「むしろ当業者がまず第一に着想する構成」といえる根拠の説明又は証拠が必要か否かは見解が分かれ得るところであり、今後の議論が期待されます。

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