今年のFOSS4G2007に、またあのオラクルが 「Developing GeoSpatial applications for Oracle XE」というタイトルでワークショップの申し込みをしたそうだ。
Oracle XEというのは、OracleデータベースのExpress Editionという制限付きでフリーで提供されているものだ。昨年のワークショップでも発表があり、論議になったものだ。
Oracleから提出されたワークショップの概要によると、「このワークショップでは、Oracle XEとOracle MapViewerを使って簡単でパワフルな”Geo Tags"と呼ばれる地理空間アプリケーションの開発方法を説明する」となっている。
さて、FOSSとはFree and Open Source Softwareのことであり、Free かつ(and) Openであるソフトウェアを意味する。 OralceXEはFreeで提供されるが、Openではない。つまり、andという条件を満たしていない。なのに、なぜこのカンファレンスで発表したがるのか?
ブラジルのPaulo Marcondesが皮肉っている「Which kind of 'free' are we talking here? Speech or beer? (ここで言う”free”ってどんな意味? 無料でスピーチができる、あるいは無料のビール?)」
間髪入れず、AutodeskのGary Langが「Beer. No source. (ビールだ。ソースじゃない。)」
私も思う。OracleはFOSSの意味をわかっていない、いや正確には「あえてわかろうとしない」のだろう。Oracleにとっては、FOSS4G2007は、彼らのプロモーションの場の1つに過ぎない。しかも、Oracleはスポンサーではない。Workshopへの参加料は”free(無料)”なのだ。昨年もOracleは参加費無料でOracleXEの”プロモーション”だけして帰って行った。
さてここでどうするかだ。
Markus Netelerの言うように、「FOSS4G2007はFOSSのためのカンファレンスで、OSGeo財団が主催するのだから、OSGeo財団の目的に適合したものを行うべきだ(Oracleのようなワークショップは適合しない)。」という考え方も1つ。そして、一方で、Jody Garnettのように、「Oracleはオープンソースとの関わりを(会社買収を含めて)学ぼうとしているのだから、デモの機会や交流を行えばそれだけ、将来いっしょにやることができる」という見方もある。
ナナイモ市のJason Birchがまとめている。「This is a "Free and Open Source" conference not a "Free or Open Source" conference.(これは”FreeかつOpen Source”のカンファレンスであって、”FreeまたはOpen Source”のカンファレンスじゃない」。
私もそう思う。本当にOracleがFOSS4Gのコミュニティと関わりを持ちたいのなら、プロモーションから始めるのではなくて、まず参加者として来場し、そこで学んだ上でアプローチを開始すべきである。
一昨年、Autodeskが実際にそこからアプローチを始めた。彼らはFOSS4Gコミュニティに敬意を表した。コミュニティが了承するまでは、自らは一切のプロモーションは行わなかった。しかも、OSGeo財団としての展示においては、一切企業名の露出を控えた。
このように、先例があるのだから、Oracleも学ぶべきだと思う。そういう意図がないのならば、ただ乗りのプロモーション活動は止めるべきである。
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こんな参加の仕方をするとOrcaleはかえってイメージダウンになってしまうと思うが、そんなことはお構いなしなのであろうか?
FOSS4Gは、現在も将来もプロプラエタリなソフトウエアと共存・共栄することが重要なのですが、OracleのようにOSS系RDBMSを有り余る資金力でどんどん買収しており、これは彼らの寡占状態を継続させたいという意思の現れであり、ある意味で「OSS潰し」と言われても仕方ない状況での、FOSS4G2007での無料セミナー枠のみの参加とは、あきれてしまう。
AutodeskはOracleと空間オプション開発やOGCコンプライアンスの部分で協力・協調関係にある仲なのだから、是非彼らに適切な行動を取るようにアドバイスして欲しい。こんなことを許していたらOSGeoのスポンサーを集めることなど夢になってしまう。
「言論の自由」・「ビールの無償提供」の選択で、Oracle は裕福なのでビールを無償提供して Oracle addict になっていただきたいのであって、政治的な「自由」の文脈で参加しているのではないと主張している、と理解すべきなのでは?
Free と Open Source では、Free のほうが政治的に「過激」、と。それが FOSS の F と OS の意味なのではないのですか?
オープンソースの意思とは異なるオラクルの自我中心の思想が垣間見えますが、大手企業がコミットしたくなるFOSS4Gはアッパレとも思いました。
所詮、時代はオープンソースの流れですし、自然淘汰されていくと思いますので、現状では寛容の精神で迎え入れてあげるのも、ひとつの手と思います。
Well, I just wanted to add this link. It explains pretty nice the "Categories of Free and Non-Free Software".
http://www.gnu.org/philosophy/categories.ja.html
(Didn't read the Japanese but only the English version)