横浜スローライフ -- My slow life in Yokohama

位置情報、地理情報に関するサービス、その他日常生活から思ったことを気ままに記す不定期のんびり日記

Oracle XEの”Free”って?

2007年03月03日 11時29分30秒 | OSGeo/FOSS4G

 今年のFOSS4G2007に、またあのオラクルが 「Developing GeoSpatial applications for Oracle XE」というタイトルでワークショップの申し込みをしたそうだ。
 Oracle XEというのは、OracleデータベースのExpress Editionという制限付きでフリーで提供されているものだ。昨年のワークショップでも発表があり、論議になったものだ。

 Oracleから提出されたワークショップの概要によると、「このワークショップでは、Oracle XEとOracle MapViewerを使って簡単でパワフルな”Geo Tags"と呼ばれる地理空間アプリケーションの開発方法を説明する」となっている。

 さて、FOSSとはFree and Open Source Softwareのことであり、Free かつ(and) Openであるソフトウェアを意味する。 OralceXEはFreeで提供されるが、Openではない。つまり、andという条件を満たしていない。なのに、なぜこのカンファレンスで発表したがるのか?

 ブラジルのPaulo Marcondesが皮肉っている「Which kind of 'free' are we talking here? Speech or beer? (ここで言う”free”ってどんな意味? 無料でスピーチができる、あるいは無料のビール?)」
 間髪入れず、AutodeskのGary Langが「Beer. No source. (ビールだ。ソースじゃない。)」

 私も思う。OracleはFOSSの意味をわかっていない、いや正確には「あえてわかろうとしない」のだろう。Oracleにとっては、FOSS4G2007は、彼らのプロモーションの場の1つに過ぎない。しかも、Oracleはスポンサーではない。Workshopへの参加料は”free(無料)”なのだ。昨年もOracleは参加費無料でOracleXEの”プロモーション”だけして帰って行った。

 さてここでどうするかだ。
 Markus Netelerの言うように、「FOSS4G2007はFOSSのためのカンファレンスで、OSGeo財団が主催するのだから、OSGeo財団の目的に適合したものを行うべきだ(Oracleのようなワークショップは適合しない)。」という考え方も1つ。そして、一方で、Jody Garnettのように、「Oracleはオープンソースとの関わりを(会社買収を含めて)学ぼうとしているのだから、デモの機会や交流を行えばそれだけ、将来いっしょにやることができる」という見方もある。

  ナナイモ市のJason Birchがまとめている。「This is a "Free and Open Source" conference not a "Free or Open Source" conference.(これは”FreeかつOpen Source”のカンファレンスであって、”FreeまたはOpen Source”のカンファレンスじゃない」。
 私もそう思う。本当にOracleがFOSS4Gのコミュニティと関わりを持ちたいのなら、プロモーションから始めるのではなくて、まず参加者として来場し、そこで学んだ上でアプローチを開始すべきである。

 一昨年、Autodeskが実際にそこからアプローチを始めた。彼らはFOSS4Gコミュニティに敬意を表した。コミュニティが了承するまでは、自らは一切のプロモーションは行わなかった。しかも、OSGeo財団としての展示においては、一切企業名の露出を控えた。

 このように、先例があるのだから、Oracleも学ぶべきだと思う。そういう意図がないのならば、ただ乗りのプロモーション活動は止めるべきである。


最新の画像もっと見る

4 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
スポンサーにならせるべき (かめおやじ(keny))
2007-03-05 09:10:26
Oracleのような会社が、スポンサーにならず、無料セミナー枠を利用して、「無料」とは言えOSSではない製品の宣伝をするのは、全く論外と思います。辞退させるか、スポンサーになってもらうかのどちらかにすべきである。
こんな参加の仕方をするとOrcaleはかえってイメージダウンになってしまうと思うが、そんなことはお構いなしなのであろうか?
FOSS4Gは、現在も将来もプロプラエタリなソフトウエアと共存・共栄することが重要なのですが、OracleのようにOSS系RDBMSを有り余る資金力でどんどん買収しており、これは彼らの寡占状態を継続させたいという意思の現れであり、ある意味で「OSS潰し」と言われても仕方ない状況での、FOSS4G2007での無料セミナー枠のみの参加とは、あきれてしまう。
AutodeskはOracleと空間オプション開発やOGCコンプライアンスの部分で協力・協調関係にある仲なのだから、是非彼らに適切な行動を取るようにアドバイスして欲しい。こんなことを許していたらOSGeoのスポンサーを集めることなど夢になってしまう。
返信する
free の意味を分かっていない? (Unknown)
2007-03-05 09:51:51
free が自由か無料かということではないのでしょうか。

「言論の自由」・「ビールの無償提供」の選択で、Oracle は裕福なのでビールを無償提供して Oracle addict になっていただきたいのであって、政治的な「自由」の文脈で参加しているのではないと主張している、と理解すべきなのでは?

Free と Open Source では、Free のほうが政治的に「過激」、と。それが FOSS の F と OS の意味なのではないのですか?
返信する
寛容である姿勢も。。。 (Yaskey)
2007-03-06 21:17:26
詳しいことは分かりませんが、凡人の意見として。

オープンソースの意思とは異なるオラクルの自我中心の思想が垣間見えますが、大手企業がコミットしたくなるFOSS4Gはアッパレとも思いました。

所詮、時代はオープンソースの流れですし、自然淘汰されていくと思いますので、現状では寛容の精神で迎え入れてあげるのも、ひとつの手と思います。
返信する
Categories of Free and Non-Free Software (ダニエル)
2007-03-07 12:57:18
Is this the first comment in English?
Well, I just wanted to add this link. It explains pretty nice the "Categories of Free and Non-Free Software".
http://www.gnu.org/philosophy/categories.ja.html
(Didn't read the Japanese but only the English version)
返信する

post a comment