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旧民訴法のほうがよかった?

2011年02月05日 | ご案内
 「旧民訴法のほうがよかった面がある」
 次回2月20日のシンポ(当ブログ1月25日欄及び下記案内参照)の準備会で、弁護士の方から伺った話である。新民訴法(新民事訴訟法、平成10年1月1日施行)の定着・発展が大切と考えてきた世代の人間としては、耳を疑ってしまった。そんなはずはない、と言いたかったが、当該弁護士の話にもなるほどと思わせるものがあった。
 
 新民訴法では、主に弁論準備手続により、裁判所と当事者側が議論をして争点整理していくことを期待し、旧民訴法(旧民事訴訟法)下の書面交換という「3分間弁論」と呼ばれた儀式的な手続を克服することを指向している。しかし、上記弁護士が言うには、① 最近、弁論準備手続が形骸化し、議論が活発でなく、同手続が書面交換の場と化している傾向があり、「3分間準備手続」になっている,② 「3分間弁論」では、弁論が公開下に行われるだけに、次の事件で待っている弁護士や当事者たちが手続を眺めており(注:同じ時刻に多くの事件の弁論期日が指定されていたため、法廷で順番を待つ人が多かった。)、監視機能が働いたし、待っている弁護士も、短い時間とは言え、前の事件での裁判所と弁護士のやりとりで学ぶものもそこそこあったが、「3分間弁論準備手続」では、弁論準備手続が十分な公開下で行われるものではないから、監視機能も教育的機能も働かない、③ その結果、「3分間弁論」に比べて、「3分間弁論準備手続」は、緊張感がなく、弁護士も成長しないなどというのである。そのため、冒頭のような言葉が出てくるのであった。

 私のように、事件の多寡はあっても、ウイークデイは毎日に近い状態で弁論準備手続を行っている裁判官としては、「3分間弁論準備手続」などというものは、例外的な事例と信じたいのであるが、仮にそのような事例が多くあるとすればゆゆしき事態であり、もう一度法曹全体で、新民事訴訟法下の実務の運用について考え直す必要があると感じさせられた。

 次回のシンポでは、このような「3分間準備手続」についても取り上げてみたいと思っている。実際どうなのか、学者や弁護士の方からも多くの意見を伺いたい。裁判官としても、自分の行っているものが、批判されるような弁論準備手続に堕していないか、もう一度振り返ってみる必要があると思われる。そして、これからどうすべきなのか、一緒に考えてみたい。裁判官だけでなく、学者や弁護士の方々(事前連絡は不要ですが、当ブログのコメント欄やHPのご意見欄に匿名ででも、何か書き込みをしていただけると幸いです。)、是非ご参加いただきたい。

                 記
日時 平成23年2月20日(日曜日。土曜日ではありません。)
場所 「大阪弥生会館」JR大阪駅の北側 TEL06-6373-1841
  【シンポ】
   午後1時から午後5時ころまで
  「民事紛争解決の新しい試みに向けて」
   新民訴の集中審理方式の現状の問題点
   日弁連で検討中の民事審判,ディスカバリーなどについて
   労働審判の手法を通常民事訴訟に応用するこのと是非について
   簡裁少額訴訟・調停の改革の試みについて
   (内容に多少の変更はあり得ます。)

  

 

2 コメント

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Unknown (temari)
2011-02-06 19:10:56
新民訴法の密室での弁論準備手続を批判的に傍観していた者として、一線の弁護士の慨嘆は「やっぱりそうか~」というふうに思ってしまいました。
でも、今までこんな声が聞こえてこなかったのは何故でしょう。
裁判官と弁護士だけではなく、民事訴訟で大きな役割を担っている書記官にも議論に加わっていただく必要があるのではないでしょうか。
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進歩ジウムに先立ち!観覧車も見ゆる!大阪地裁民事部・傍聴したい (秦野真弓)
2011-02-06 22:21:35
大阪での進歩ジウム!出席いたします
@私は低学歴の為[将来ホームレス職に就任する]と心に決めている為!大阪環状線・新今宮駅付近の一泊!1500円の宿を予約し
将来の私=ホームレスの方々と対話致した致したい
@さて最近!開廷表みる限り⇒[東京地方裁判所内部で裁判官様の配置替え]活発
@例:元東京地裁行政部・ヴ総括様だった 大門匡(だいもんたすく)様は→民事執行センターに転勤後→現在・東京地裁商事部に栄転された模様
@私は大門匡裁判長様の行政部時代の訴訟指揮好きでした
@大門匡裁判長様は
「私は難民です・大門さん・たすくて・原告様]vs[何でも難民と認める事!だいもんだい・旨の国側]双方に気配りされました
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