泉区生活支援ネットワーク

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「配慮の弁当」 引く手あまた 仙台の就労支援施設(「河北新報」)

2023年05月05日 | 施設情報
(「河北新報」令和5年5月5日付記事より引用)
 仙台市青葉区の就労継続支援A型事業所リアルスマイルは、新型コロナウイルス禍を逆手に取り、宿泊療養者の弁当製造・配達で存在感を発揮している。責任の重さから他業者が二の足を踏むアレルギー食に狙いを定め、多くのホテルから指名された。8日に新型コロナは感染症法上の位置付けが5類に移るため、今後は増加が見込まれる旅行客向けに活路を見いだす。
 
 整然と並んだ容器に、煮物やあえ物が詰められていく。リアルスマイルの一室で4月27日、利用者とスタッフが忙しく作業に当たっていた。感染状況が落ち着く中でもアレルギー対応の弁当を1日210個作り、ホテルへ届けるという。

 利用者の熊谷文女さん(63)は「療養者の楽しみは食事だけ。きれいに盛り付けるようにしている」と話す。回復を支えるという使命感が仕事の原動力だ。

 代表理事の笹尾征志さん(50)が療養者向けの取り組みを始めたのは2020年9月。当初は1人でイスラム教徒の戒律に沿ったハラル食材で弁当を作っていた。感染者の1割ほどは何らかの食物アレルギーがあるとされ、次第にアレルギー対応の弁当を任されるようになった。

 原因物質は卵や小麦など28品目に及ぶ。厳格な確認作業が要るため通常の4倍ほどの手間がかかる上、混入すれば命に直結する問題になりかねず、大手企業は手を出したがらない。笹尾さんは「隙間産業こそ商機」と積極的に引き受けた。

 「あそこは断らない」。ホテル業界にそんな情報が出回り始めると、次々と注文が舞い込んだ。スタッフを雇い、ピークの22年8月には最大で1日1300個を製造。朝食用を午前6時半まで納めるため、徹夜で働く日もあった。

 もともと障害者雇用に関心があった笹尾さんは22年11月、リアルスマイルを設立。弁当製造と配達を事業の柱に据えた。8人いる利用者は食物アレルギー対応という社会問題の解決に関わりつつ、月に最大16万円ほどの賃金を得ている。

 新型コロナの5類移行で宿泊療養が終了することから、療養者向けの弁当製造は7日で終える。ただ、寝る間も惜しんで作り続けたおかけでホテル業界などからの引き合いは多い。「今後インバウンド(訪日客)が戻るし、コロナ禍で拡大したデリバリーの風習は残る。旅行客のハラル食やアレルギー食の配達という需要があるだろう」。笹尾さんは明るく見通した。
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