荒仏師 運慶
梓澤 要 著 新潮社 / 2016.5
少年の頃「醜い顔」と嘲られた運慶は、それゆえ美に敏感となった。
鎌倉武士の逞しい肉体に目を奪われ、女の姿態を仏の姿に写しとる。
その手にあるのは鑿一つ。
荒ぶる野心、快慶との確執、飽くなき美の追求。だが絶頂期、病が襲った…。
戦乱渦巻く時代に、美と祈りのはざまで格闘し続けた天才のすべてを描く渾身の歴史小説。
第一章 光る眼
第二章 新しい時代、新しい国
第三章 棟梁の座
第四章 霊験
第五章 巨像
第六章 復活
第七章 一刀三拝
読み終わるのに時間がかかってしまいました…。
昨年、仏像巡りツアーに参加して以来、仏像に興味が湧き…。
となると、やっぱり運慶の仏像に目が行くようになります。
死ぬまでに一体でも多く運慶仏をこの目で見たいです。
読み終わるまでに時間がかかったのには、描かれていた運慶がかなり俗っぽい性格のようで、微妙に引いてしまった…というのが原因です。
ただ、病に倒れても見事に復活し、弟子たちに指示を与えながら慶派のお像を残し、生きる意味とか、生かされるとか、そういうことを強く感じました。
写真集で拝見する運慶仏は、何度見ても息を飲みます。
その凄さから勝手なイメージとして、ただひたすらに仏に近づきながら…と思っていたので、本に描かれていた運慶は違っていたので…、あー。
と言っても、運慶が彫ったお象たちが今も大切に大切に残されていることを思うと、それだけで充分かと思います。
運慶と重慶上人の関わり方はよかったと思いました。