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ただの映画好き日記

観た映画と読んだ本の自分用メモ。

アレクサンドリア

2012-04-28 | 映画 ア行


4世紀、ローマ帝国末期のエジプト、アレクサンドリア。宗教をめぐる市民の対立から街が荒廃する中、類まれなる美貌と明晰な頭脳を持った女性天文学者ヒュパティア(レイチェル・ワイズ)は、分け隔てなく弟子たちを受け入れ、講義を行なっていた。彼女は訴える。「世の中で何が起きようと、私たちは兄弟です。」生徒でもあり、後にアレクサンドリアの長官となるオレステス(オスカー・アイザック)、そして奴隷ダオス(マックス・ミンゲラ)は密かに彼女に想いを寄せていた。やがて、科学を否定するキリスト教徒たちと、それを拒絶する学者たちの間で、激しい対立が勃発。戦いの最中、キリスト教指導者は知る。この都市の有力者たちに多大な影響を与えているのは、ヒュパティアだということに。そして攻撃の矛先は、彼女に向けられたのだった。

アレクサンドリア 2009年/スペイン/アレハンドロ・アメナーバル





こうやって戦争が始まったんだな~と思いました。
1600年が経とうとも、未だに自分が優位に立ちたくて、相手を認めずに殺し合っているというのはとても惨めだなと思いました。
宗教といっても、所詮、受け入れ崇拝しお祈りするのも行動するのも人間であって、その人間たちの頭の中は浅はかで、行いは愚か。
映画では、最初はどっちもどっちという印象を持ちましたが、新興であるキリスト教は、謙虚であるべきだと思いました。
後からきたものが威張ってどうする?と強く思いました。

神は唯一という考え、信じるものにとってはそれはそうでしょうが、他人に押し付けることではないと思いますし、自分だけが信じていればいいことなのではないでしょうか。
異教徒とみなしたユダヤ人たちを迫害するということは、つまり、やってることはヒトラーと同じだと思いました。
どこに愛や敬虔があるのかと、どんな頭にも理解できるようでなければダメなのではないでしょうか。
曲解があってはならないはずです。

宗教だけではなく、哲学が盛り込まれていましたが、それは同時にヒュパティアの聡明さと天才的能力がアピールされていて良かったと思います。
しかしながら、私としては、やはり、単純に宗教戦争という印象が残りました。
もっともっと彼女の偉大さや大発見に時間を割いてほしかったかなと思います。

そして、切な過ぎるラストには、涙と共に怒りの気持ちでいっぱいでした。
こんな酷いことを愛と敬虔が深いはずのキリスト教徒ができるなど、一体全体、どんな宗教なんだ?と本当に怒りでいっぱいになりました。
ただの野蛮人であり、こういう行いを神様とやらが求めていたのだとしたら、テロリストと同じではないでしょうか。
ダオスが唯一出来たことがヒュパティアの苦痛を軽くすることだけだったというのが本当に切ないです。

これ以上の残酷さがあったようですが、もちろん、鵜呑みにはできませんが、明らかにキリスト教のイメージは悪くなりました。
この先、様々なことがあり悪の部分は捨て去ってきたのだとは思いますが…、所詮は人間、頭の中は浅はかで、行いは愚か…に変わりはないかもしれませんね、私自身も含めてですが(キリスト教徒ではありませんが)。

レイチェル・ワイズ、いいですね。
もっと、ヒュパティアのシーンが多ければもっともっと素晴らしかったと思います。
そして、ダオス役のマックス・ミンゲラ、野蛮人への変貌振りが見事だったと思います。
奴隷時代とは打って変わって、宗教と暴力がある限り強くいられるというおかしな自信に満ちあふれた表情は素晴らしかったと思います。
ラストのヒュパティアの息を止める時の表情もとても切なくて良かったと思います。
シュネシオス役のルパート・エヴァンスは、何かでお見かけしたような気がするのですが、もしかしたら、誰かに似ているだけかしら?ちょっと気になりました。

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