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ただの映画好き日記

観た映画と読んだ本の自分用メモ。

フード・インク

2012-03-28 | 映画 ハ行


体にいいオーガニック・フードとスーパーに並ぶお手頃価格の“フード"。同じ食品でも価格にこれほど差があるのはなぜなのか?その理由は農業が巨大企業になってしまった異常な食事情にあった…。地平線まで続く巨大なとうもろこし畑や、飛行機を使って一瞬で散布する農薬。世界最大級の精肉工場のベルトコンベアーで処理されていく牛や豚。アメリカサイズのダイナミックな農業スタイルはより安く、効率良く食べ物を収穫するためのもののはずだった。しかしそれが生み出したのは、数社のみが莫大な利益を得る業界のおかしな構造と、日本でも表示が義務付けられていない“遺伝子組み換え食品"の問題、さらに低所得者層に集中する糖尿病、相次ぐ食中毒…。
この問題作をプロデュースしたのは映画『ファースト・フード・ネイション』の元となった「ファーストフードが世界を食い尽くす」の著者であるエリック・シュローサー。アメリカでは農業の工業化問題の第一人者と言われる彼と、監督のロバート・ケナーとが、実に6年もの歳月をかけ完成させた。知らない間に大きなシステムに組み込まれてしまった私たちが、今、本当に食べたいものは何なのか?観れば必ず今日のごはん選びが変わる、フード・ドキュメンタリー。

フード・インク 2008年/アメリカ/ロバート・ケナー






大腸菌O-157は、本来、草食である牛に安価で太らせやすいコーンを与えたから発生した…。
通常の大腸菌がコーン飼料によって耐酸性を持つようになり、より危険な大腸菌に変わったのだという。
コーンを食べさせたことによって大腸菌が突然変異を起こし、O-157という株が出来上がってしまったということである。
O-157も驚いたが、生きている牛の胃に穴を開けて消化しているところを観察していることにも驚いた…。

2歳の子供がハンバーガーのパテが原因で死亡。
パテから大腸菌が検出された。
酷い話だけど、2歳の子供にファストフードを食べさせるのもどうなんだろう?と思った。
アメリカに住んでいながら、食に対して危機感を持っていない証拠で、今更、「信用していたから…」というのも通用しないと思った。
そうして考え出されたのが、アンモニアで殺菌したパテ……。
こんなおかしなものを食べて幸せなの?おかしいと思わない?
おまけに、垂れ流しされている家畜の糞尿が葉物野菜を汚染!
危険なのは肉類だけではないということで、どうして垂れ流しが許されるのかな~?

食肉工場の作業員の多くは不法移民であり、その不法移民の多くはメキシコのコーン農民たち。
彼らは、北米自由貿易協定(NAFTA)により米国産の安価なコーンには勝てず、150万人以上のメキシコ農民が失職。
そして、アメリカの食肉会社がメキシコで雇用活動。
だけど、雇用された彼らは不法移民。
アメリカ政府は、不法移民と知って雇用している会社を検挙せず、メキシコ人を逮捕する。
しかも、1日の逮捕者数は生産ラインに影響が出ない程度の人数と決まっている、というのがなんともはや…。
いかに、国と大企業が仲良しかってこと。
消費者たちも、安いバーガーの陰に、こういった状況と、あまりにも安い賃金で過酷な仕事を強いられ、しかも、逮捕を恐れながらも仕事しているメキシコ人がいるということを知るべきだと思った。

DDTやベトナムの枯葉剤を作ったモンサント社がラウンドアップという除草剤を開発。
そこで登場するのが遺伝子組み換え大豆だ。
この遺伝子組み換え大豆は、ラウンドアップ除草剤の耐性を持っている。
ラウンドアップ除草剤を散布すれば雑草は枯れるけど、この遺伝子組み換え大豆は当然枯れない。
モンサント社がこの遺伝子組み換え大豆を売り始めた1996年には全米で2%のシェアだったのが、2008年には90%を占めたという。
このモンサント社の遺伝子組み換えをしラウンドアップ除草剤に耐性を持たせた大豆はモンサント社の特許。
モンサント社の特許ということで、各農家は種子の保存をしてはいけない。
モンサント社は全国に偵察チームを派遣して、特許侵害がされていないかを調査しているそうだ。
種子を保存している農家を見つければ、もちろん、特許侵害で裁判開始。
農家が大企業に勝てるわけがない。

ところで、2008年には90%がこのモンサント社の遺伝子組み換え大豆ならば、日本のスーパーでよく見る「遺伝子組換えでない」大豆というのは、どこの大豆なんだろう?国産大豆ならば国産と書いてあるはずで、お醤油、お豆腐、豆乳、油揚げなど、普段口にしている大豆製品が気になってきた。
除草剤の耐性を持っていることよりも、こんな企業の大豆を口にすることの方が絶対に嫌だ。

できるだけ国産ものを食べるように意識しているし、原材料の出所の判らないお総菜、レトルトは買わずに自分で作るようにしている。
だけど、調味料だけは原材料が国産ではないことを承知しての購入。
本当に、これとこれだけは諦めよう…という感じだ。
日本もTPPが締結され、安価な外国産の食べ物が売られるようになった場合、国産のものが手に入らなくなることがかなり心配。
国産品の値上がりは覚悟しているし、逆にブランド化された方がいいと思うし、何より農家を応援したい気持ちと、頑張ってもらわなくちゃ困ります!という思いが大きいので、より吟味して他で節約してでも国産のものを買うつもりでいる。
が、入手困難なんてことになったらどうしよう…という不安がある。
そして、万が一、表示義務がなくなれば恐ろし過ぎる!!

家畜に対しては、シーンを見ると切なくなるが、今更キレイゴトを言うつもりはなく、お肉を買わないわけにはいかないのが現実だから。
私はあまり食べないけれど、夫と犬には食べさせなければならない。
魚ばかり食べさせても塩分が気になるし、本人もやはりお肉が食べたいだろうし。
もちろん、必要な分だけ頂きます…という気持ちで買っているし、食べ物を無駄にすることはない。


労働者や動物に優しく
環境を大事にする企業から買う
スーパーに行ったら
旬のものを買う
有機食品を買う
成分を知る
ラベルを読む
地産食品を買う
農家の直販で買う
家庭菜園を楽しむ(たとえ小さくても)
家族みんなで料理を作り家族そろって食べる
健康な食品は私たちの権利


アメリカ国内では少しずつ食への感心が高まり、より安全なものを求めてきているのだと思う。
そして、国こそが変化していかなければならない。
となると、大企業が困ることになり、生き残る為には次なるターゲットを見つけなくてはならない。
当然、ターゲットは日本?
日本の農業を守るため、つまりは、自分たちの食の安全を守るためには、TPPはもってのほかだと痛感した。
アメリカの食文化を見習ってはいけない、アメリカの食文化は変わろうとしているのであって、それは、日本のような安全な食文化の方向へと変わろうとしているのだと感じた。
なので、見習われるべき日本が逆行してはならない。
国家をもひれ伏してきたタバコ業界が衰退したように、食についても変化させることは可能であり、それは、個々人の考えを改めることから始まるのだと思う。

ただ、この記事を書いているうちに、安全なものを食べたい!から、日本の農業を守りたい!という気持ちが強くなってきた……。
当然、今年も福島の桃を食べるのが楽しみだ。

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