みちのくレースのおたのしみ

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史上初?の49kg/ジュライカップ

2007年07月21日 | 岩手競馬
 今日・土曜日メインのジュライカップ。新聞やネットの出馬表を見て何か気付いた事はありませんでしたか?
 そう。負担重量49kgという馬がいるのですよね(2枠2番ユーセイキャロル)。
 ハンデ戦のない岩手競馬では負担重量は基本的にクラスや馬齢によって決められており、規定の中で一番軽かったのは牝馬の53kg。これに減量騎手が乗った時の-3kgで50kgというのが実戦の場合での最軽量でした。今回登場した49kgというのは、恐らくですが岩手競馬史上初・最軽量の負担重量だと思われます(IBCの加藤さんとかうちの松尾とかも50kg以下は記憶にない、と言っておりましたから、少なくともここ30年かそこらの間では登場した事のない斤量でしょう)。

 ではなぜ突然49kgが登場したか?それはジュライカップの負担重量設定が特別に変えられたから、という事によるもののようです。
 前回の1000m戦・みなづき賞を思い出してください。出走馬の半分くらいが59kgを背負ってましたよね。岩手競馬のこれまでの規定では、例えばB1級の特別戦にC級の馬が格上挑戦してきた場合、格上挑戦してきた方が規定の重量を背負うのに対し、本来のクラスであるB1級の馬たちが+2kgされる、という仕組みになっていました。
 みなづき賞ではレース本来の負担重量は牡馬57kg・牝馬2kg減だったのですが、格上挑戦馬が入ってきたためにB1級の馬たちが+2kgされ、それで59kgを背負う馬が続出していたのです。

 このルールは昔からあって、本来のクラスの方が追加されるのはおかしい、という声も少なからずあったのですが、格下の馬をあまり軽くすると乗れない騎手が出てくるから、という理由もあって生き残ってきました。
 もっと変だったのは、例えば格上挑戦馬が登録するじゃないですか。それを受けて負担重量が+2される馬が出ると、この馬とこの馬は+2kgね、と登録馬が発表されるわけです。で、その後格上挑戦馬が回避したりしてレースに出てこなくても59kgと発表された斤量はそのままなんですよね。
 それはさておき、この+2kgルールはある程度距離があるレースならまだしも、1000m戦で59kgはさすがに馬に負担が大きいだろう、という声がみなづき賞の前後からありまして、それで今回のジュライカップでは試行という形で規定を変えた模様です。

 レースに出ている10頭はB1級の57kg組とC1格上挑戦の51kg組の2種類しかないですが、出走登録馬の斤量などから想像するに、本来のB1級=57kgを起点にB2・55kg、B3・53kg、C1・51kgと一クラス下がる毎に-2kgしているようです。牝馬はさらに-2。それでC1級の牝馬・ユーセイキャロルが49kgになったというわけですね。



 この斤量ルール、こういう短距離戦に限らず特別戦に全面的に導入していいんじゃないかと思うんです。特にB級やC級の特別には。
 今B1だとかB2だとかクラス毎にやっている特別戦を「B1級以下」とか「C1級以下」にする。で、「B1級以下」の特別にB2とかC1の馬が格上挑戦するときは今回のレースのように負担重量を減らしてやる。
 併せて「勝って同条件」の馬や格上挑戦で上のクラスの特別を勝った馬が賞金の関係で昇級しなかった場合は、現級で走る場合は+1kgくらいの重量追加になる、とかしておけばいいかと。
 クラス間の差が2kgでいいか?とか、もしかしたらレースの時期によって斤量差をいじる必要があるのでは?とか検討が必要な部分は多々あるかと思いますが、うまくすれば下級の特別戦がもっと面白くなるかもしれない。どうでしょ?



 今日ユーセイキャロルに乗る高松亮騎手は「自分は53kgでも2kgくらい重りを持つので、49kgはいつもより少し多めに体重を落として、あと軽い鞍を使えば大丈夫です」と言っておりました。

 そういえば前回のみなづき賞のレース後、菊地康朗騎手が「よこてんさん、ちょっとこの鞍持ってみて下さいよ」とみなづき賞で誰かが使った鞍を差し出したのを持ってみたら、乗馬鞍のようにずっしり重かったです。体重の軽い騎手が59kgに乗るとなると、ヘタすれば10kg近く重りを追加するからそうなるんですね。普通のレース用の鞍なんて指一本で支えられるくらい軽いんですよ。

 あー、また思い出した。
 引退した千田和江騎手が「私は49でも48でも乗れるから、そんな斤量のレースをどんどんやってほしい」と言っていたなあ。千田騎手も軽い人だったから、55kgに乗るときでも7kgだか8kgだか重りを持ってたんだそうで。「ただ走るだけでも馬が辛そうなんです・・・」と言ってました。重りを足すのと人間自体が重いのとでは、重りを足した方が馬が辛いんですってね(人間が重いのは、人間の脚がクッションになるから馬にはまだマシ)。
 この49kgという重量をみていろいろと思い出しました。

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