みちのくレースのおたのしみ

岩手競馬にまつわるあれこれ。とか。

ジョッキーサンタクロース/復興競馬開催

2004年12月22日 | 岩手競馬
 12月18日土曜日の水沢競馬場で、毎年恒例になりました「ジョッキーサンタクロース」が開催されました。簡単ですがそのご報告を。
 この「ジョッキーサンタクロース」は、岩手県内の児童養護施設にいる子供達に楽しいクリスマスを過ごしてもらおうと行われているもので、今年で17回目を数えます。まずは騎手たちがお出迎え。その後はプレゼントやお菓子なんかをもらって、ポニーの引き馬に乗ったり、実際のレースを見てもらうというスケジュール。ここで渡されるプレゼントは、騎手たちが1勝につき100円ずつ積み立ててきた募金で購入されたもので、今年はテレビとビデオデッキのセットが贈られました。

 騎手が扮したサンタクロースや「かけるくん」「はやてくん」の着ぐるみが登場(もちろんこの中に入っているのも騎手)した時も盛り上がりましたが、やっぱり子供達が一番楽しそうだったのは、本物のポニーやサラブレッドを見たり触れたりした時だったようですね。子供達から騎手への質問も「騎手の人は馬の気持ちが分かるのですか?」とか「馬はムチで叩かれたら痛いと思うのですか?」とか、馬の話題になると俄然熱心になっていました。
 これで子供達が馬の生の姿を、「馬の鼻は柔らかい」とか「馬の下唇はぷよぷよしている」とか「冬毛が出ている時はホットカーペットのように暖かい」とかですね、知ってもらえたなら嬉しいですね(って、これらはみんな私の好みのポイントです(^^;))。



 この前日の17日ですが、『新潟県中越地震「災害復旧競馬」』の開催が正式に発表されました。1月8~10日の3日間、各日11R。新たな特別や重賞は設定されず、最終日にエクセレント競走があるに留まるのですが、そのかわりに、というか、岩手初の協賛レースが設定される事になりました。
 “あるある”と言われながらなかなか発表されなかったですが、他競馬場でやったような「開催予定内のレースを復興競馬として行う」ではなく「開催日を増やして行う」が特例なもので、その手続きに時間がかかったようです。

 事務的な部分では、1月4日までの本来の開催の後はクラス変動はない、復旧競馬の分の賞金は来年度のクラス分けにはカウントしない、とか決められてます。そうすると、各種リーディング関係はどうなるのかなあ?
 通常開催と一番違うのは、やっぱり賞金ですね。最下級クラスで1着18万、A級のエクセレントでも38万ですからねえ。ちまたでは早くも「来年度はこれくらいの賞金になるんだろう」と裏読みする声が聞こえてきます。
 昨年度は最終2日間(1月11・12日)で8億3千万余を売り上げましたが、今年はどうなるんでしょうか。協賛レースなんかの効果で盛り上がってほしいものです。

デンゲキヒーローは名古屋、ウツミジョーダンは川崎へ

2004年12月14日 | 岩手競馬
 さいきん堅い話ばかり書いてましたので、たまには普通に競馬の話を。

 名古屋グランプリと東京大賞典双方に登録していたデンゲキヒーローは、名古屋GPの方に向かいます。鞍上は陶文峰騎手。
 昨年もやはりこの両睨みパターンで、結果大井を選んだのですが、今年は名古屋の方へ。2500mの距離はいいとして、194mしかない直線をどう乗り切るか。コースを2周以上回るうちに、どこで勝機を掴むかが注目です。

 浦和記念4着だったウツミジョーダンは、12月23日に川崎競馬場で行われる報知オールスターCに出走予定。浦和記念の結果がよほど悔しかったとみえて、今度こそ勝ちを手にしたいという遠征。鞍上は前回に引き続き小林俊彦騎手です。

 気になるレースが同じ日に二つ。体が二個ほしいと本気で思うのですが、今回は私は名古屋の方に行く事にしました。デンゲキヒーローをあっちに出せ、こっちに出せ、といつも櫻田浩三厩舎の方を煽っている(^^;)いきさつ上、いざ行くという時に追いかけていかないわけにはいきません。川崎はカメラマンのいたるさんにおまかせする事にします。東西で勝ち名乗りを聞けたら最高なんですが・・・。

 忘れてはいけません。明日のクイーン賞にはハイフレンドトーレが出走します。さすがに、前回のTCKディスタフ以上に骨っぽいメンバーが揃いましたが、実績馬が休み明けだったりまだ本調子でなかったりもしますから、案外差は少ないような気がします。明日のレースも注目です!


問題は 競馬の未来の描き方にある

2004年12月11日 | 岩手競馬
 ちょうど今、岩手の県議会で「岩手競馬組合改革実行計画」の件が議事にあがっていまして、50億円融資の話、計画そのものの実効性に対する疑問等々、議論が繰り広げられています。今のところ県側が防戦一方の形で、こういう事になるんだろうな、とは思っていたものの、このあとの方向がどうなるのか非常に気になるところです。
 そんな動向をしばらく見ていよう、なんて思っていたら、今朝の岩手日報に「出直し論急浮上」なんて見出しが出ました。50億融資問題の収束のために、県が出した補正予算案をいったん否決、実行計画の修正も視野に入れながら、改めて臨時議会で検討、という話。
 一番問題になっているのは、実行計画の中で示された将来の売り上げ推移なのでしょう。あと5年ほどの間に100億円規模の売り上げ増を見込む内容は、競馬に好意的な議員さんにも不安視されていたほどですから、批判的な立場の方に机上の空論・絵に描いた餅と突っ込まれるのもむべなるかな、です。

 融資そのものは最終的には行われるだろうと思いますが、このまま再検討・臨時議会開催という流れになった場合、融資が実行されるのがそれだけ遅れていくと思われますし、実行計画の修正を求められるとしてそれに手間取ったら、来年度の開催にむけた準備にも影響するでしょう。新年度がどういう日程になるのか、賞金はどうなるのか等々、できる限り早くはっきりさせないと今年の二の舞ですから、このあたり、スムーズに進んでほしいと願わずにはいられません。

 ま、もともと実行計画そのものがつっこみどころ満載なうえ、いかにもお役所的なまとめ方で「これで岩手競馬がどうなるの?どう変わるの?」というイメージが湧かないものですから、結局、ポコッと生々しく挟まった融資お願い部分ばかりがクローズアップされて、“この融資を通すための計画か?”と思われちゃうんでしょうね。議論して頂きたいところは他にもあるんですが・・・。

 ところでこの「融資」、県から組合に50億円が行ったっきりになる、という性格のものではなくて、あくまでも短期融資・つなぎ融資。組合が馬券を売るなりしたらすぐ返すものです。
 だからといって“たいしたことないじゃん”というものではないですよ。今まで銀行から借りていたものが、累積負債分も大きくなったせいで貸してくれなくなったから、それを県にお願いします、ってことです。「そこまで追い込まれているのか」と受け止めておく部分ではあります。



 ネットで公開されている計画書は11ページまでのものですが、発表会見の際に配られたものでは「別紙」の施策部分がもっと細かく記載されていました。その施策案が、「これ、大丈夫かな?」と思わせるものが結構あるんですね。
 私もそういう計画を作る方の経験をした事がありますから、細かい施策部分はあくまで計画を進めていく上でのメニューであって、必ずしも全てその通りに進むものではない、とは理解しています。理解していますが、これをもってして『乾坤一擲』の改革を進める、そのためのアクションプランだというには、数字合わせ的な部分が多いように感じます。
 少なくとも「競馬開催だけですでに赤字」という状況を解消し、なおかつ自立して負債を減らしていく、という点を一生懸命にアピールするには、そうするしかないのかもしれませんが・・・。

 どうでしょうね。1年の開催日が126日なら、1日平均売り上げ3億、年間で378億の線は意地でも守る。その水準キープに力を注ぐ一方、その水準で競馬開催レベルを黒字にし、負債も返していけるような仕組みを作るというのが一番じゃないでしょうか?
 もうかつての700億なんて売り上げは無理。一場の夢だったと思ってすっぱり忘れる。だいいち、これから少子高齢化が進めば、これまでのように若い世代が新しい顧客として補充されなくなるのですから、現状キープを10年続けるだけでも相当な努力が必要だと思うのです。



 私が一番気にしているのは、実行計画にせよ県議会での議論にせよ、今までの枠組みの中での議論になっている、というところです。
 実行計画があって競馬法改正があって、これから再建・改革を進めていく過程で、岩手競馬のあり方が今までと違うものになるかもしれない。その可能性は、私は高いと思うし、そうならなければならない部分も少なからずあると思う。これからは何かひとつ手を打ったら、それで周辺の条件が次々と変わって、また新しい手を出さなくてはならないような状況になると思います。それなのに、今まで通りの発想でいいのかな?と。
 根本的には「地方競馬の存在意義は財政への貢献のため」という前提を取り払って、自立した存在として定義し直す事だと思いますが、これを言うのはまだ早いかもしれないですね。

 財政競馬の軛につないだままにするか、もっと違う役目を与えるか。それで将来像が大きく変わってくるはず。競馬に何が残されていて何ができるか、できる限りの想像力をもって、最大の可能性を探らないといけない。
 だからといって赤字を棚上げにしろとか言うつもりはないですよ。理想で赤字は減りませんし、メシも食えませんから。
 ただ、将来も競馬をやるならば、なんのためにやるのか?誰のためにやるのか?逆の場合もまたしかり。その視点を落としたままでは、結果がどうなるにせよ誰も幸せになれないと思うんですよね。