社会を見て、聞いて、感じる。

人生そのものがフィールドワーク。

4月29日(土)

2017年05月04日 08時14分05秒 | 2017年

  6時起床。大浴場で汗を流し、身支度を整える。露天風呂に出たら思ったよりも寒くて、やっぱり東京とは違うなと実感させられる。

  朝食は、やはりお米が美味しかった。新潟ではどうしてもお米への期待値が高くなってしまうが、迎える側としてはなかなかのプレッシャーだろう。新潟産こしひかりを使わないわけにはいかないだろうし。

  宿の方に名立駅まで送迎して頂き、8時24分発の普通列車に乗って糸魚川へ。普段、東京の10両とか15両の電車に慣れているせいか、1両編成の列車を見ると何だか可愛らしく感じる。

  糸魚川駅からタクシーに乗り、「フォッサマグナミュージアム」へ。ここは、『糸魚川を代表する美しい鉱物「ヒスイ」や日本列島が誕生した際の大地の裂け目「フォッサマグナ」などをポイントに、地質の時代経過に沿って地球が育んできた自然環境や資源の恵み、また、その一方で人々の暮らしに脅威となる地震や火山、地すべりなどの自然災害について学ぶことのできる』博物館である(HPより抜粋)。私自身、石や地質学への興味はほとんどないのだが、仕事でお付き合いのある企業さんがこの施設と関係があり、何度か話に聞いたことがあったので、寄ってみることにした。そして、これが予想外に面白かった。翡翠だけでなく、天然の金や銅、硫黄といった様々な鉱物が見られたり、日本列島の成り立ちの経過を迫力ある映像で説明してくれたり、初心者でも十分楽しむことが出来る。

翡翠がたくさん展示されている。

3つの翡翠が連結している珍しい状態。

3億年前のサンゴ礁の様子が再現されている。

日本列島の成り立ちがわかりやすく解説されている。知らなかったことばかり。

  バスで糸魚川駅まで戻り、市役所の隣にある「糸魚川歴史民俗資料館」(相馬御風記念館)へ。ここを訪れるのは当初の予定にはなかった。というよりも、存在自体を知らなかった。しかし、帰りのバスの車内放送で「相馬御風記念館」の存在と、相馬御風が早稲田の校歌「都の西北」の作詞者であることを知り、興味を持った。館内は思ったよりも広く、相馬御風の経歴や業績を詳しく知ることが出来る。随分と多才な方だったようだ。また、彼の作詞した楽曲のレコード音源を(カセットテープで、だが)聴くことも出来る。もちろん、「都の西北」を聴いてみた。私自身、それほど愛校心のあるほうではないと思うのだが、それでもこの曲を聴くと心躍る感じがする。また、正式な音源で聴いたのは初めてだったので、「こんな前奏だったんだ」とか、「案外ペースがゆっくりで重厚感あるな」というような気付きもあった。ただ、音楽を流すと館内に響き渡ってしまうので、受付の方々はおそらく私が早稲田の卒業生だとすぐにわかっただろう。だから、帰り際は少し恥ずかしかった。


  駅の反対側(日本海側)に渡り、昨年末に大規模火災が発生した地域を訪れる。報道などで火災の様子は目にしていたが、実際に現場を歩いてみると、非常に広範囲に火が及んだことがわかる。1軒の出火元から、こんなに広がるものなのか。現在はがれきの撤去も終わり、一帯はほとんど更地になっている。小さなお店や住宅がひしめきあっていた地域だと聞いていたので、火災前の様子を想像してみようとしても、出来ない。一方で、真っ黒になった木が立っていたり、建物の残骸が一部そのままになっていたり、火災の爪痕ははっきりと残っていた。

  海沿いの展望台に上る。この展望台からの景色を眺めると、糸魚川が海と山に囲まれた街であるということがよくわかる。

  駅前から15分ほど歩いて、「すし活」で昼食を頂く。快活で優しい大将が握ってくれるお寿司屋さんである。注文は、地魚のおまかせ握り。ここでは、魚の種類を書いたメモを頂けるので、自分が何の魚を食べているのかきちんと把握することが出来る。写真リストも見せてもらえるので、よりイメージしやすい。お寿司はどれも美味しくて、やっぱり魚は白身だなーと思わされる。大将とのお話も楽しくて、魚に関する質問をするとわざわざ実物を見せて下さったり、サービスでホタルイカやタコの頭(身)を出して下さったり、本当にホスピタリティに溢れるお店だった。

ドロエビ。甘くてトロトロな味だが、見た目は案外普通だ。

ホタルイカ。味噌の味が美味しくて印象的。

タコ。足と違って、しゃりっとした食感が少しあって、美味しい。

  糸魚川駅に併設されている鉄道模型コーナーに立ち寄る。ここでは、30分500円で模型の運転が出来る。しかも、各車両の先頭にカメラが設置されているので、運転席からの様子を映像で見ながら運転することが出来るのだ。使われている車両にもこだわりがあるようで、地域に関連のあるものが多く配置されていた。これは、楽しい。

  糸魚川駅13時10分発の大糸線普通列車南小谷行きに乗る。昨日に引き続き、車内はガラガラだ。ボックスシートで足を伸ばしていたらそのまま寝てしまい、気付いたら外では雨が降っていた。

  雨の降る南小谷駅で、14時22分発の特急あずさ26号に乗り換える。先ほどの普通列車同様、車内はガラガラ。私の乗った自由席の車両には、私以外に誰も乗っていない。さすがに途中駅からポツポツと人が乗ってきてくれたのでほっとしたが、さすがに車内に自分しかいないというのは落ち着かない。

  定刻より少し遅れて、16時前に松本駅に、到着。ここからは、カフェ巡り(30分×3本勝負)に挑む。

  1軒目は、松本駅近くにある「プチカフェ・アリス」。店頭の看板に書かれている「ビスケットケーキ」が気になった。チョコレートのビスケットケーキと珈琲を注文。ビスケットケーキは食べて納得、スポンジ部分にビスケットが使われているのだ。それが良い食感を出していて、アーモンド入りのケーキに似ているようにも思えるが、それともまた一味違う美味しさがある。

  2軒目は、中町通りの路地奥にある「cafe chiiann」。お洒落で落ち着いた雰囲気のカフェである。注文は、オリジナルティーとスコーン。一口食べて、スコーンの美味しさに驚かされる。ふんわりサクサク、というとありきたりな表現だが、食感の良さとほのかな甘さ、香ばしさが絶妙なのだ。更に、苺ジャムも絶品。これまで食べたスコーンの中で、ぶっちぎりに美味しい。紅茶も雑味のない純粋な味と香り高さがあって美味しかったし、このお店には参った。

  3軒目は、田川を渡って少し行ったところにある「珈琲茶房かめのや」。今までで一番入りにくい雰囲気のカフェだが、入ってみると店内は思っていたより明るい雰囲気だし、マスターも予想外に若い方だった。注文は、近くにある「翁堂」が作っているという「たぬきケーキ」とブレンドコーヒー。たぬきケーキは昔ながらのバターケーキで、この独特の甘さが懐かしい。珈琲もすっきりとして飲みやすく、ケーキとの相性がとても良かった。また、店内には懐メロが流れており、しかもその選曲が私の好みのものばかりで、時折マスターも口ずさんでいたりと、大らかで居心地の良い雰囲気も好きになった。

  カフェ巡りを終え、18時の開店時間に合わせて「Le Kotori」へ。カウンター席に座り、シェフのおまかせコースをお願いする。前回妻と一緒に松本を訪れた際、ランチで食べた野菜の美味しさが印象に残っていて、今回夕食はここと決めていた。そして今回も期待通り、えんどう豆のポタージュをはじめとした野菜たち、魚やお肉と、本当に素晴らしい料理を堪能することが出来た。

前菜。信州サーモンを中心に、こごみや南瓜、白菜など、個性のある料理が並んでいる。

えんどう豆のポタージュ。えんどう豆をそのまま液体にしたかのような濃厚かつ優しい味。前回は白菜のスープだったが、やっぱりここのスープはすごい。

魚料理はサゴシのオーブン焼き。皮はパリパリ、身はしっとりほくほく、ほのかな塩味。

信州牛のロースト。赤ワイン味噌ソース。ソースが濃厚で、柔らかいお肉とよく合う。

デザートは、クレームブリュレを選んだ。ご馳走様でした。

  中央線上り特急の最終、松本20時00分発のスーパーあずさ36号に乗り、帰途につく。またもや車内はガラガラ。

  23時半前に帰宅。今回の旅行はリゾート列車に乗ることを目的に行程を組んだため、当初はこれといった観光の目玉はないと思っていた。しかし実際に行ってみると、見るところも、食べるところも、魅力的な出会いがたくさんあった。こういう旅も悪くない。


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