「動き出すオタワの政局」
「オタワのテンポも最近速まっているようだが」
「次の総選挙は来春だろうから、それまでに保守政権も陣構えを固めておきたいだろうし、自由党も数日中に新しい党首が決まるから、そうなれば、保守・自由の取組みが本格的に始まるわけだ」
「保守党政権は今年の早春スタートしてから一年近く。 議会では過半数に満たないマイノリティ政権だから、その足取りも最初のうちは危ぶまれたが、まあまあ無事に手堅く守備を守っているようじゃないか」
「ハーパー首相が、閣僚の手綱を引き締めているのはいいとしても、緘口令を敷いて、首相自身がスポークスマンとして表に立つような形になった。 しかし首相自身もメディアに対しては口を鎖したままだから、マスコミの受けは決してよくない」
「しかしメディアの論客達も、失点が少ないから、不承不承一応の合格点を与えてはいるようだね」
「今の所、国民の評価は五分五分だね。 世論調査の結果も真ん中で分かれている。 調査によっては保守党の方が1%多いこともあるから、若し今総選挙が行われれば、保守党が再び少数派政権として返り咲くくとになる。 しかし相手の自由党には、長い間党首が不在だったのだから、新党首が決まれば、それが即次の自由党政権の首相になることは大いにあり得る」
「目前に迫った自由党の党首選びには、8人の候補者が立候補しているが、いずれも優劣をつけ難い人材揃いだ。 その中でもトップを走っているのがイグナチエフだが、ハーバードの教授で国際的にも高名だ。 しかし政治の修羅場を通っていないから、政敵やメディアはその点を突いて、言葉尻をとらえようとしている」
「イグナチエフは『ケベックもネーション』と呼んで、論議に火をつけたが、『ケベックが一つの国民だなんてとんでもない』と否定していたハーパー首相も、ケベックの票を取ることが保守党の過半数獲得には大事なことだとさとって、態度を一変。 自らも『ケベックは統一カナダの中のネーション』とうたうようになった。 政敵も、憲法上の定義に触れないのならという条件で、ハーパー解釈に同調。 一応言葉のゲームとして、ここは受け流すことにしている」
「ネーションという言葉の定義が、皆判っているようで、つきつめるとどうもはっきりしない。 ラテン語の語源まで遡っても決め手がないようだ。 これはフランス語の文化と社会、四百年の歴史の大河に乗ってきた問題で、これからも討議されていかなければならない課題。 我々他国からの新参者は、暫く腕を組んで、ここは砂被りで拝見させていただくことにしましょうか」
(06/11/27)
「オタワのテンポも最近速まっているようだが」
「次の総選挙は来春だろうから、それまでに保守政権も陣構えを固めておきたいだろうし、自由党も数日中に新しい党首が決まるから、そうなれば、保守・自由の取組みが本格的に始まるわけだ」
「保守党政権は今年の早春スタートしてから一年近く。 議会では過半数に満たないマイノリティ政権だから、その足取りも最初のうちは危ぶまれたが、まあまあ無事に手堅く守備を守っているようじゃないか」
「ハーパー首相が、閣僚の手綱を引き締めているのはいいとしても、緘口令を敷いて、首相自身がスポークスマンとして表に立つような形になった。 しかし首相自身もメディアに対しては口を鎖したままだから、マスコミの受けは決してよくない」
「しかしメディアの論客達も、失点が少ないから、不承不承一応の合格点を与えてはいるようだね」
「今の所、国民の評価は五分五分だね。 世論調査の結果も真ん中で分かれている。 調査によっては保守党の方が1%多いこともあるから、若し今総選挙が行われれば、保守党が再び少数派政権として返り咲くくとになる。 しかし相手の自由党には、長い間党首が不在だったのだから、新党首が決まれば、それが即次の自由党政権の首相になることは大いにあり得る」
「目前に迫った自由党の党首選びには、8人の候補者が立候補しているが、いずれも優劣をつけ難い人材揃いだ。 その中でもトップを走っているのがイグナチエフだが、ハーバードの教授で国際的にも高名だ。 しかし政治の修羅場を通っていないから、政敵やメディアはその点を突いて、言葉尻をとらえようとしている」
「イグナチエフは『ケベックもネーション』と呼んで、論議に火をつけたが、『ケベックが一つの国民だなんてとんでもない』と否定していたハーパー首相も、ケベックの票を取ることが保守党の過半数獲得には大事なことだとさとって、態度を一変。 自らも『ケベックは統一カナダの中のネーション』とうたうようになった。 政敵も、憲法上の定義に触れないのならという条件で、ハーパー解釈に同調。 一応言葉のゲームとして、ここは受け流すことにしている」
「ネーションという言葉の定義が、皆判っているようで、つきつめるとどうもはっきりしない。 ラテン語の語源まで遡っても決め手がないようだ。 これはフランス語の文化と社会、四百年の歴史の大河に乗ってきた問題で、これからも討議されていかなければならない課題。 我々他国からの新参者は、暫く腕を組んで、ここは砂被りで拝見させていただくことにしましょうか」
(06/11/27)