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中国の「エイズ村」

2007年01月26日 08時35分41秒 | 時事放談: 中国編
高度経済成長を続ける中国は、その影で深刻な貧富の差を生み、社会的歪みを拡大しつつあります。そのひとつが、売血によるエイズの拡大。今日の東京新聞が最新実態を紹介してくれています。

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売血政策の中国『エイズ村』ルポ

 家族との死別、貧困、発病の恐怖-。行政が進めた売血政策によってエイズ患者が激増した中国河南省の「エイズ村」で、報道統制によって長年固く閉ざされてきた“悲劇”が、現地取材によって浮かび上がった。責任を逃れようと取材を妨害する役人たちの陰で、農民らは記者に感染の悲しみと怒りを切々と訴えた。(中国河南省双廟村で、平岩勇司)

■『息子の血で家建った』

 「この家は息子の血で建てたんだ。死んじまった息子の…」

 人民服姿の男性(60)が真新しい自宅を指さし、涙ぐんでつぶやいた。

 れんが造りの粗末な家が多い集落で、時折、二階建ての白壁の家を見かける。それらは例外なく、売血で得た金で建てられた。豪華な家の中で家族の誰かがエイズウイルス(HIV)に感染するか、死に至っている。

 村を歩くと、どの田畑にも高さ一メートルほどの土盛りがある。農作業の一部かと思ったが、村の長老の一人、張淵海さん(72)は「全部、墓だよ」と教えてくれた。張さんもこの三年間で三人の息子をエイズで失った。「金が無いから遺体は田畑に埋めるだけ。墓標も建てられない」

■差別逃れ改名、発病に不安

 一九九〇年代半ば、河南省の農村に有償献血(売血)センターが次々と現れた。当時の中国は輸血用血液が不足しており「血液がビジネスになる」と考えた地方当局や腐敗幹部らが製薬会社と結託。貧しい農民に売血を奨励した。採血に使う機器は殺菌されず、注射針も使い回された。

 「一回四百ccの売血を、多い時は週五回やったよ。他に金を稼ぐ方法はなかったから」

 暖房のない自宅で作業用コートを着込んだ女性(43)が振り返る。「警察に見つかりたくない」という本人の希望で、深夜に話を聞いた。当時の年収はたった五百元(約七千五百円)。「売血すれば一度に五十元も手に入った。村のみんなが殺到した」

 九九年に夫がエイズで死亡した時、初めてエイズの存在を知った。同時に自分の感染も。「ショックで立つことができず、一日中泣いた」。発熱や嘔吐(おうと)を繰り返し、死を覚悟した。

 現在は政府などから支給される月八十元(約千二百円)が生活の支え。薬は無料だが副作用がつらい。多額の借金をして大学に通わせる娘は、差別を恐れて名前を変えさせた。

 「微熱が続くたびに発病したか不安になる。『お前はいつ死ぬか分からない』と、もう誰も金を貸してくれない。私をこんなに苦しめる役人や企業の連中を許せない」

■追及恐れる地方、取材妨害

 村で取材していた時、砂ぼこりをあげて車が走ってきた。郷長(村長)が警察官を連れて現れ、「取材の許可を得ているのか? 車に乗れ」と要求した。「ことしから許可なしでも取材できるはずだ」。記者は中国政府が配布した取材規定書を見せた。郷長は「それは北京五輪の取材に限った話だ」と言い張る。

 押し問答は一時間続いた。いつの間にか数人の男に取り囲まれた。郷長は携帯電話で上層部の指示を仰ぎ、「事務所に来てくれ。書類を申請すれば取材を認める。だが私たちも同行する」。物腰は柔らかいが、譲る気配は全くない。結局、その場は取材を切り上げざるを得なくなった。

 村当局はその後、取材に応じた村民を取り調べ、二度と応じないよう警告した。「逮捕されるかもしれない」と記者に助けを求める人もいた。

 中国外務省の担当者はこの件について「新しい取材規定が地方に浸透するには時間がかかる」と釈明する。中央政府が情報公開や改善を進めても、責任追及を恐れる地方がそれを妨げる。中国が抱える構造的問題がここでも浮かび上がった。

 【北京=平岩勇司】中国の地方当局が一九九〇年代、貧しい農民に輸血用の有償献血を奨励した「売血」政策により、多くの村民がエイズウイルス(HIV)に感染、周囲から「エイズ村」と差別される河南省東部の柘城県双廟村で、本紙は異例の現地取材を敢行した。

 中国政府は同村での外国人記者の取材を長年禁じてきたが、二〇〇八年北京五輪に向けたイメージアップ戦略の一環で、今月から「相手方の同意があれば当局の許可なしで取材可能」と規制を緩和した。この措置を受けた今回の取材で、「売血」時の不衛生な採血により感染が拡大し、人口約三千人の同村で既に約二百人が病死、約三百人の感染者が発病の不安におびえて暮らす悲惨な実態が明らかになった。

 ただ、規制緩和のもとでも、実際には村の当局者に一時取材を制止されるなど、中央政府の方針が地方に浸透していない現状も確認できた。

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いやはや、過酷な実態に言葉もありません。そこで、「エイズ村」のことをもう少し知りたくて調べてみたら、次の記事にぶつかりました。

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中国のエイズ患者たち

 【大紀元日本7月6日】河南省漢方医学院・第一付属病院の高耀潔(76)医師は1996年に初めてエイズ患者を治療して以来、エイズと性病の予防・治療を始めた。10万元以上の私費を投じ、様々な広報資料を書き上げた後、40万部以上を印刷して人びとに配った。それと同時に、河南省の8つの県へ薬を配って回っている。 2001年には、「ジョナサン・マン世界健康・人権賞」を獲得したが、表彰式への出席を政府に禁止された。その後、高医師は贈られた賞金3万ドルと、フォード基金から提供された一万ドルを使って、『エイズ、性病の予防・治療』という本を12万冊、無料で社会の人々に提供した。

 高医師は自身の著書、『中国のエイズに関する調査』の中で、エイズと戦っている第一線の医師の目から、エイズに苦しむ人々の痛々しい姿を描いている。

 『中国のエイズに関する調査』によると、中国のエイズはほかの国と違い、個別に感染するのではなく、一つの村ないし数個の村の数十世帯で数十人、ひいては百人以上の人々が感染しているという。そのため、これらの村は「エイズ村」と呼ばれている。高医師は数百の「エイズ村」に足を運び、数千人以上のエイズ患者と感染者を調査し、「感染のルートは献血と輸血であることを確信した」という。下記の文章と写真は高耀潔医師の『中国のエイズに関する調査』からの抜粋である。
                            
 1995年前後、中国各地で「血漿経済」がブームになった。当時各地の疫病防止所、母子病院まで血液ステーションを立ち上げ、物流会社、炭鉱、工場、更に各地の人民代表委員会まで、血液の販売を始めた。それら多くの血液ステーションは設備も衛生情況も基準に達していない不法のものであった。

 トラックの上に遠心分離機と繰り返し使われるゴムホース、注射器を載せれば、これで一つの血液ステーションになる。ステーションでは遠心分離機で赤血球を分離し、血漿だけを抽出し、残りの血液を人体に戻すという「単採」の方法を取っている。一回800ccの血液を取り、血液を売りに来た人に40~50元(およそ750円前後)を払い、血液ステーションは血漿を製薬会社に出荷する。

 血液ステーションは、「採血には多くのメリットがある。全採(つまりいったん採血された血を戻さないというやり方)より、単採は健康に良い。血は井戸の水のように、いくら採られても減ることはない。たくさん採血すると、高血圧にかからない」などの宣伝をしている。

 中国中部地方の一部の村では、血を売ることによって生計を立てている者もいる。道路は血を売りに行く農民で混雑しており、皆誘い合って血液ステーションに向かっていく。そのうちの90%は若者である。

 ステーションでは消毒が徹底的に行われておらず、さらに規定された手順どおりに作業していないため、採取された血を戻すときにエイズ感染を引き起こしてしまう。

 政府のエイズ予防教育の中では、性交渉による感染が過剰に宣伝されたため、多くの感染者は周囲から白い目で見られており、精神的にも追い詰められている。多額の治療代をつぎ込んでも一向に治らない農民たちは、自分の死後、残される子供たちの行く末を悲嘆し、血を売ったことをひたすら後悔するばかりである。

 児童の中にも感染者がいる。本の中で紹介された5人の児童感染者のうち、4人は輸血による感染だった。児童エイズ患者の治療経験がある医者は不足しており、感染された子供たちの境遇はもっと悲惨である。

 エイズの農村での大流行は貧困によるものである。現在、この感染の現象は中国の中部地区だけにとどまらず、更に拡大している。

(05/07/06 10:57)

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恐ろしい話です。基本的人権という概念のない非民主主義国家の哀しさが全面に出た話ではないでしょうか。こういう実態を中国政府はどのように対処しようとしているのか、問い詰めたい気でいっぱいです。

しかし、これで分かったことは、中国で献血をするのは論外であるとしても、輸血すら相当なリスクを抱えるということです。

北京オリンピックを前にして、経済拡大政策ばかりではなく、中国政府にはしてもらわなければならないことが山のようにあると痛感させられる記事です。

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3 コメント

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エイズ村 (ノリヲ)
2007-02-11 21:42:49
私はエイズ村を取材した経験を持つカメラマンです。現地の状況は実に悲惨です。記事をアップしてますので参考にして下さい。
はじめまして。 (ムラポン)
2007-04-20 01:52:26
はじめまして。
突然のコメント失礼します。
中年といわれる年代に差し掛かり、最近めっきり性欲がなくなってしまいました。
そこで、性に関することを色々と調べ始め、同じような悩みをもつ方達と情報交換を出来ればと思い、ブログを始めました。
よろしければぜひ見に来てください。
沢山の仲間と出会って、これからの人生を楽しく生きていけたらと思っています。
諸悪の根源、貧困。 (激誠神風)
2010-12-16 19:50:19
アジアの貧困地帯は信じられない世界。まず、政治が間違っている。そして、人の上に立つ人間の心に間違いがある。
よくもこんな不幸や悲劇や悲惨が存在するものだ、と呆れてしまう。
中国は、3千万人が売春婦だと言う。夥しい物乞い、人身売買。強制的に障害を負わされた子供の痛ましい物乞い。これが人間のやることか、と怒りが込み上げる。
あまりにも貧し過ぎ、人間性の欠片すら育まれないのだろう。
それに引き替え、日本は飽食であるにも関わらず、愚にもつかないサヨク教育とサヨク政府が最低最悪の政治を行っている。
このままでいいのか?ニッポン!!

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