JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

「けものみち」

2010-12-09 | 映画(DVD)
稀代の「演技者」 追悼・小林桂樹

「けものみち」1965年 東宝 監督:須川栄三

寝たきりの夫を女中勤めで養っている成沢民子は、客のホテル支配人小滝に誘われ、事故死を装い夫を焼き殺した。小滝の紹介で身体の不自由な老人鬼頭の世話をするようになった民子は金にまかせた華美な生活を送る。鬼頭に身体をまかせながらもいつか小滝が忘れられない人となった。一方焼死事件に不審を抱いた久恒刑事は、民子のアリバイを崩せず、次第に民子の美しさに職業を逸脱し、みだらな行為を迫るが・・・。

最近、TVドラマでもやっていたこの松本清張の原作、悪い奴ばかりが出てくるというので、いつか、読んでみようと思いつづけておりました。
映画の方にはあまり興味が無かったのですが、今回、小林桂樹追悼特集に重ねて、池内淳子、池部良まで追悼できちゃうという事で原作を読まぬまま急遽鑑賞。

まず主演女優の池内淳子。
この人は母親が良く見ていたテレビドラマのお母さんのイメージが強すぎて・・・私、あの時間帯のドラマが大嫌いで(タイトルも知りませんがな)従って、池内淳子さんにもあまり良いイメージ持っておりません。
しかし、これは間違いなく、彼女の代表作なんじゃないでしょうか。
中風の夫を嫌々ながら、慎ましく女中の仕事をして養う成沢民子。小滝や秦野(伊藤雄之助)と知り合うようになって自らの美貌に気付き、女の武器を使って、愛欲と陰謀渦巻くけものみちに踏み込む。のし上がっていくヒロインの心情の変化を表現していましたな。その欲望と惚れた男に対する弱みのあたりを名演。
夫を焼き殺した恐怖から小滝を求める壮絶な色っぽさ。
鬼頭の屋敷に入っての入浴シーン。天井から狙ったショットで吹き替え見え見えでしたが、なかなかよろしい。
大塚道子との戦いもあります。
でもやっぱり媚を売る一瞬の表情なんかが池内淳子で、やや萎える。どうしてもね・・・

池部良ここでは、あくまで悪に徹してクール。二枚目俳優の悪人ぶりは見ごたえあります。民子を唆すときの冷静さ、民子に対する距離の置き方、もうシブすぎです。

さて、二枚目じゃない小林桂樹。温厚だったり気弱なサラリーマンの役柄でなく、民子に溺れる刑事。まじめに働くのがバカバカしくなり悪徳の道へ。それでもやっぱり人の良さそうな下膨れ風貌で情けなさ全開なのが堪らない。
「私がそんなに嫌か」という台詞が迫真。
後半どのようにからんでくいるのか期待していたのに小松方正らにあっさり抹殺されちゃう。怖いですねぇ。

その他のキャストの演技も冴えてます。伊藤雄之助、大塚道子、小沢栄太郎、森塚敏、黒部進etc・・・

松本清張原作サスペンスの中でも意外なキャスティングの魅力が光る本作は傑作。そして2010年に揃って逝ってしまった3人によって今年忘れがたい作品になりました。

とにかく面白い面白い、あぁ、原作を先に読んでおきたかったなぁ。
映画の印象が薄れた頃に、読んでみましょっと。

■池内淳子

東海道四谷怪談
セクシー地帯
地獄の饗宴
如何なる星の下に
喜劇 駅前飯店
くたばれ!社用族
喜劇 駅前開運

あら、知らないうちに意外と見てんのね。

池部良

小林桂樹

ゴジラ(1984年)
黒い画集 あるサラリーマンの証言

池袋 新文芸座

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