東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

干支の戌(犬)づくり

2017-10-25 20:23:50 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 今年は上半期に身辺にいろいろあったり、例年に増して催事の準備や納め、特に狐の数が増しているためもあり来年の干支の戌の準備はやや滞っています。本来出来上がったものを画像に撮ってご紹介すべきですが、いまだ型抜き中のものもあり過去に記事で取り上げた画像で完成状態をご推量いただくという予告編のような話ですみません。

 自分の場合、昔の今戸焼で作られていた古い人形を今に再現することを大切にしたいので、干支によって古い今戸のお手本が無い場合には創作することはあっても、積極的に新しく創作したものを今戸人形をいって出したいという欲求は二の次の話です。来年の干支に限って言えば、戌(犬)の人形は今戸焼では過去にかなりたくさんのバラエティー富んだ作例があるので、あれも手掛けたい、これも再現したいというものが山積しているのですが、なかなか時間がとれないので、とりあえず、前の戌年に作ったものなど4種類の人形を準備して、今後できたら今戸のクラシックの人形を更に追加したいと考えています。

 上の画像は現在型抜き中だったり、地塗り途中、彩色途中のものを並べた様子で「犬」「羽衣狆」と「赤犬」それと「洋犬のぴいぴい」の途中品です。

「犬」の画像です。前の戌年の画像だったかと思います。東京の犬張り子の古い型といってもいいかと思います。顔が真ん丸な犬張り子は明治になって定着した造形だと聞いていまして、江戸の古い絵には「ワン」と吠えているような口を開けた姿です。都内各所の近世遺跡からこのタイプに似たものがいろいろ出土していまして、微妙に耳の開き具合の異なるものがあります。画像のものは最後の生粋の今戸焼の人形師であった尾張屋・金沢春吉翁(明治元年~昭和19年)のお作りになったものを手本にしました。明治の同じ型で首輪が群青色のものも確認しています。この人形は従来の2枚の割型で抜き出してから、耳の谷間や前後の脚の谷間を切り出してなめして作ります。出土品には耳を後付けにしたものもあります。

 次の画像の右手前に並んでいるのが「赤犬」です。ぶちを墨にしないでベンガラで塗ってあるから「赤犬」なんでしょうか。これも尾張屋・金沢春吉翁のお作りになったお手本の倣って作らせていただいています。左足先で「お手」をしています。これと同じ型の色のとれた人形が台東区内から出土しているので、古い型のようです。

 上の画像の左端に「羽衣狆」右端中断に「犬」の途中のが映っています。「羽衣狆」は京都の伏見人形が各地に伝播していろいろな土地で作られていますが、今戸の明治できのボロボロの人形をお手本があるので、それに倣って作りました。そのお手本では足先に水色を置いた上に朱で爪を描いているのでそのとおりにしています。羽衣狆にはもっと大きな型違いのものがかつてはあって、右手で「お手」しているものもあるのでやってみたいと思っていますが際に間に合うかどうか、、。

「洋犬のぴいぴい」です。これはもともと一文人形よりやや大きな人形があり、それを大きくしてぴいぴいにしたものです。何年か前「ブルータス」でとり上げてもらったことがありました。「洋犬」は明治の始め、西洋の人が飼っていて"Come on!"と呼んでいるのが「カメ」と聞こえたので洋犬のことを「カメ」と呼んでいたとか聞きます。

 

とりあえず既成の型の4種類の予告編的ご紹介です。現在、狐と同時進行で作っているところです。後に改めてご紹介できればと思います。

 


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