週末にバスでやって来たのは、三重県の土橋(つちはし)さんである。
バンコクからラオス、ベトナムを回り、再びタイに入ってチェンマイへ。
わが宿のことはネットで知り、「これは行かねばなるまい」と体調不良を押して超豪華VIPオンボロバスに乗り込んだ。
なにしろ、山奥の村に生まれ育って、リタイア後はキャンプなどを楽しんでいるアウトドア派である。
子供の頃の懐かしい日本の風景や雰囲気を求めて、旅先でも田舎に行くことが多く、1月に滞在したベトナムの山間部では、なんと雪に降られたのだそうだ。
それに較べれば、わが村の明け方の冷え込みなどは屁でもあるまい。
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土橋さん、これまでに4匹もの犬を飼ってきたという大の犬好きである。
ちょっとかまってもらうと、仔犬の「龍(りゅう)」がやたらと興奮して、じゃれかかる。
椅子に座った膝に両足をかけたり、甘噛みしたり、どんどん図に乗ってくる。
番頭さんがきついお仕置きをするまで収まらないのだから、本当に困った犬だ。
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薬草茶をすすりながらのしばしの歓談のあと、まずは洗濯。
そして、日が傾いて来た頃になって、川向こうの棚田と展望台に案内した。
雲ひとつない抜けるような青空である。
しかし、西の方の山際はうっすらと霞んでいるような感じ。
春霞か、あるいは山奥の方ではすでに野焼きや山焼きが始まっているのか。
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晩飯のおかずは、豚骨ベースのトムジュッ。
豆腐、キクラゲ、干し海老なども入った野菜たっぷりの北タイ料理である。
日本の味付けに似ているから、ちょっと咳の出ているゲストの喉には刺激がないし、体も温まる。
とは言っても、その日は日中の気温は32℃。
夜になっても温かく、番頭さん、久しぶりに半袖、裸足で過ごしたのだった。
スモモの開花が告げてくれたように、やっぱり春になりつつあるのだなあ。
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食後は、星空見物に出た。
月が明るく、薄い雲がかかって、条件は今ひとつ。
それでも、オリオンをメインにして数々の星座が広がっている。
それにしても、このところのわが村は相当に明るくなってきた。
煌々たる軒灯などを灯す家々が増えて来たのだ。
数年前までは街灯もなくあたりは真っ暗で、びっくりするくらいに空が星でぐじゃぐじゃだったのになあ。
今夜の星空は、土橋さんが暮らす村のそれに、ちょっとばかり負けたようである。
く、悔しい。
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こちらこそ。いやあ、懐かしい顔ぶれですねえ。海でも漕いだのでしょうか?