【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【おかまちゃんにぞっこん】

2010年06月02日 | オムコイ便り
 
 朝7時、すでに暑い。

 宿はメコン川に面した絶好の立地なのだが、現在、目の前の川原では大規模な公園づくリが行われており、ブルドーザーやトラックが走り回って、一帯は埃っぽく、殺風景だ。

 工事のせいか、ラオス側の川の水はほとんど涸れてしまっている。

 しかも、宿の周辺の店はすべて観光客向けなので、面白みがない。

 うまい朝飯探しを兼ねて町をぶらぶらしていると、フランスパンのサンドイッチ屋を見つけた。

 ラオスはフランスとベトナムの影響を色濃く受けているせいか、フランスパンがなかなかうまい。

 3年前の今ごろ、ルアンパバーンやバンビエンでよく食したので、ついつい懐かしくなって店先に座り込んだ。

 ハーフカットサイズにハムや野菜をたっぷり詰めてもらい、生絞りのオレンジジュースで喉を潤しながら、大口を開けてかぶりついた。

 ラーも、すっかり気に入った様子だ。

 締めて、100バーツ。

 現地通貨のキップで支払った方が有利なのだろうが、額が大きすぎるのでどうも面倒だ。

      *

 8時過ぎにトゥクトゥクを拾って、タイ領事館に向かった。

 往復8,0000キップ、タイバーツで350バーツだという(1~3人、待ち時間無制限)。

 事前に料金表が提示されるとはいえ、ラオスにはチェンマイのような赤いソンテオがないので、交通費がやたらに高い。

「これくらいの距離、ソンテオならふたりで往復80バーツだ」

 ぶつぶつ言いながら、しかし、この暑さの中で歩く元気はない。

「ビエンチャンのビザ申請所は、やたらに混んでいる」

 そう聞かされていたのだが、今日はさほどでもない。

 順番待ちカードの番号は、120番。

 申請書に必要事項を書き込み、運転免許証取得のときに余った申請規定よりもやや小さめの写真を2枚貼付けて順番を待った。

 9時過ぎに番号を呼ばれ、申請書とパスポートを2番窓口に出すと、パスポートの顔写真のところをコピーして来いという。

 あれ、そんな手順説明はどこにも見当たらなかったぞ(寝不足なので見逃したのかもしれないが)。

 その点、チェンマイのイミグレはとても親切にできていると思う。

 コピーを取って出直すと、係員の態度がやけに横柄だ。

 カチンときた。

「この野郎。国内の騒乱で観光客が減っているから、ヴィザを無料にしたんだろうが。わざわざビエンチャンまで来てやったのに、ありがとうくらい言えよ」

 むろん、そんなことは死んでも口には出さない。

 私の前にいた中年ファランは、なんだか大声を張り上げて係官を罵り、結局ヴィザを棒に振ったみたいだけど・・・。

 番号札を手渡され、今度はビルの中で待てという。

 ラーはすでに待ち疲れて、外で待っているトゥクトゥク運転手としゃべりまくっている。

 30分ほど待たされて、やっと明日午後1時からのヴィザ受領書が手に入った。

 時計を見ると、10時だった。

    *

 思ったよりも早く片付いたので、待たせておいたトゥクトゥクでラーの観光に付き合うことにした。

 1時間で、80,000キップ(350バーツ)だという。

 まずは、大きな黄金の仏塔で知られるタート・ルアンへ。

 正面のブッダ像にお参りして、仏塔の周囲をひとまわりしたが、とにかく暑い。

 そこそこに切り上げて、次はパリの凱旋門を模したパトゥーサイ(戦没者慰霊塔)の展望台に登ることにした。

 ところが、ラーは急な階段と暑さにすぐにへたばってしまい、途中の土産物屋に沈没。

「ビエンチャンが一望できるんだぞ」

 という私の言葉に耳も貸さず、イヤリング試着にのみ耳たぶを貸し続けて、1時間はあっという間に過ぎてしまった。

 ひとりで展望台まで登った私も汗まみれで、早くシャワーを浴びたい。

 ワット・ホー・パケオへの参詣は明日の朝に回すことにして、宿に直行した。

 まあ、ビエンチャン観光なんて、こんなもんだろう。

      *

 シャワーを浴びたら、ビールに決まっている。

 宿の前の屋台に繰り出し、ビアラオで乾杯。



 昨日の昼、夜、そして今日の昼と連続で入り浸っているので、店の人たちが営業用とは違う笑顔で迎えてくれる。

 ラーは例によって、調理場に入り込んで料理法や調味料などについてあれこれ質問し、コックのおかまちゃんとすっかり仲良くなってしまった。

 そして、よく食べること、食べること。

 ソムタム、カオパッ(焼き飯)、ベトナム風春巻き、ラッナー(とろみ太麺)炒め、トムプラームック(エビサラダ)、豚の腸詰め、こんがりと揚げた丸いおにぎり状の米をほぐして細長く削った冬瓜などをまぶしたおこげご飯など、3回でメニューの半分は食べ尽くしたのではあるまいか。



 ついでに、小さな七輪をぶらさげておばさんが店内まで売りにやってきた干しイカまで食ったのには、驚いた。

 とにかく、おかまちゃんの腕が相当なものなのである。

 ラー曰く、

「このおかまちゃんを、オムコイに連れて返りたい」

 そして、実際にそんな話をしてみたらしい。

 彼の返事は、

「うーん、考えてみようかな」

 だそうである。

 私のお気に入りは、辛い辛いトムプラームックと、ちょっと甘みのあるおこげご飯。

 たぶん、今夜もこの店でメコンの夕陽を眺めながら別のメニューに挑むことになるだろう。



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