ある大学教授の思い

ある女子大学で情報、統計、ファイナンスなどを教えております。気がついたことなどまとめてみたいと思います。

激しくなる駆け引き

2011年12月15日 10時50分57秒 | Weblog
COP17

   地球温暖化対策を協議する国連気候変動枠組み条約第17回締約国会議(COP17)は先進国の温室効果ガス削減義務を定めた京都議定書を2013年以降も継続し、2020年には米国や中国を含むすべての国が参加する新たな枠組みを始める「ダーバン合意」を採択した。日本は京都議定書延長に応じず、13年以降は新たな削減義務を負わない。今回もこの会議は議論が紛糾し異例の会期延長となった。これに対して国連事務総長が「歴史的な決断を下した」と評価しているが、空しい結論だ。
  

   議定書の延長期間である「第2約束期間」は2013年から17年までとする案と、新たな枠組みが発効する20年までとする案が対立、両論併記に終わった。京都議定書が終了する2013年以降に排出量削減の法的拘束力がなくなる「空白期間」は当面回避された。各国の削減目標や運用ルールは来年カタールで開くCOP18会議での決定を目指す。第2約束期間への参加国は現在より減り、既にカナダは離脱を表明しているから、欧州連合(EU)やノルウェーが中心となる。日本は延長期間に参加せず、削減義務は負わない。ただ議定書自体からは離脱しないため削減量などの報告義務を負う。政府は省エネや再生可能エネルギーの推進で自主的な排出削減に努め、気候変動分野での国際協力に積極的に貢献する考えを表明した。

   すべての国が参加する新枠組みの構築に向けては、工程表「ダーバン・プラットホーム」を採択した。来年前半に特別作業部会を設置して交渉を始め、2015年までに新枠組みを採択し、2020年の発効を目指すとしている。世界の40%を排出しているが、現在は削減義務を負わない米国、中国に削減を促す効果が期待される。新枠組みの法的な位置付けを最終的に「議定書、別の法律文書または法的効果のある合意」と弱められた。1997年の京都会議でも最後までもつれたが、議長国の日本が譲歩して何とか議定書を作成した。環境に限らず、今後、国際間の協定は先進国が力を弱めて、新興国が前面に出てきているから、ますます合理的な取り決めをすることが困難となるであろう。


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