ある大学教授の思い

ある女子大学で情報、統計、ファイナンスなどを教えております。気がついたことなどまとめてみたいと思います。

自衛隊の守るべきもの

2008年02月29日 15時11分17秒 | Weblog
自衛隊の守るべきもの
 建造費1400億円で最新鋭レーダー設備を備えたイージス艦「あたご」が千葉県沖でマグロはえ縄漁船をはね、乗組員親子が行方不明となっている。「あたご」の事故回避措置が不十分だったとして、海上衝突予防法違反の疑いが出ている。防衛大臣へ事故報告が発生から90分後、首相への連絡は発生から2時間経過していたことから、防衛省の危機管理体制が問題視されている。


 今更、防衛省改革推進チームを発足させても手遅れである。20年前の潜水艦なだしお事件以来、防衛庁は数々の不祥事を続けてきている。前次官のことをはじめ、防衛省になってからますますその増長ぶりはひどくなっているようだ。今回の事故の報告の経緯を見ていると、真実を隠すためのその虚偽の作り方、報告の出し惜しみ、なんとか取り繕うとするやり方など、さすがに防衛大臣も国会で「適切ではなかった」と謝らざるをえなかった。

 こうまでウソで固めて真実を隠そうということが露呈しては、防衛大臣の辞任は避けられないだろう。防衛庁に限らず、霞ヶ関の役人は何とかその場を取り繕うすべを心得ている。税金を使って国民の生命と財産を守る立場にいる人たちが、自分たちの立場とを守ることに汲々としている姿は醜いものである。自衛隊の自の字は日本国のことであった、防衛省のことではない。
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国策捜査

2008年02月28日 13時56分05秒 | Weblog
国策捜査について
 あまり明確な定義が見当たらないが、国策捜査とは国家が自己保存の本能に基づいて、検察を道具にして政治事件を作り出すことのようだ。冤罪事件とは異なり、初めから特定の人物を断罪することを想定して、捜査が始まるので、ほとんどの場合、無罪となることはありえない。いったん標的とされたら、検察当局が用意してある蟻地獄という双六の上がりに落ち込むようになる。
 
 検察庁の職員は全国に約1万人強--そのうち検察官は2000人ほどである。主として国策捜査を担当する東京地検特捜部は検察官38人と検察事務官84人で構成されている。特捜部の38人は検察官の中でもエリートといえる。

 国策捜査は時代のけじめをつけるために行われると言われている。時代の流れを変えるために、何か象徴的な事件を作り出してそれを断罪するものという。ライブドアのH氏が逮捕される前に、特捜部に新たに就任した部長が「額に汗して働く人を尊重する気風が大切」みたいなことをコメントしていたことが思い出される。

別にH氏が無罪だと言っているわけではななくて、経営者の中にはこの程度のことをしている人は探せば必ずいるはずだ。H氏という時代の寵児を逮捕することで、金に走りすぎる風潮を戒めることには相応しいものと判断されたのであろう。

 国策捜査では特捜部はメンツにかけてでも逮捕したものを有罪に仕立てていく。冤罪をするのではなくて、ハードルを下げれば、引っかかってくる罪が出てくるので、それをうまくつかむのが特捜部検事の腕の見せどころのようだ。最近の事件では、ロシアに関係する鈴木宗男氏の事件、事務所経費に関する山本譲司氏の事件、公認会計士の粉飾決算事件、元検事の手形詐欺事件など、この国策捜査に該当すると思われる。それぞれ逮捕された者の関係者または当人から書物が出版されている。

--国家の罠--佐藤 優 新潮文庫--705円--
--獄窓記--山本 譲司 ポプラ社--1575円--
--反転―闇社会の守護神と呼ばれて --田中 森一  幻冬舎--1785円--
--公認会計士VS特捜検察--細野祐二 日経BP社(1800円--
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破産銀行へ追い銭

2008年02月27日 14時18分01秒 | Weblog
破産銀行へ追い金投入
 2005年に知事の肝いりで発足した新銀行東京は、出資金1000億円に対して、昨年末にはそれとほほ同額の赤字を出して倒産寸前にまで来ている。経営難に陥った銀行に対して「追加出資はしない」と再三にわたり明言してきたが、突然に豹変して400億円の税金を投入する議案を提出した。


 文士知事として言葉の重みは十分に分かっているはずであるが、ここにきての政策変更は理解できない。つぶれかかっている銀行に金を投入することはドブに金を投げ捨てるようなものである。すでにここ数年で、大銀行の業績は立ちなおり、サブプライムローンの影響は多少はあるものの、新たに弱小銀行が割って入る隙間はほとんどないからである。

 この知事の発言撤回は、これにとどまらず、「都税を地方にまわすことは理屈に合わない」と言いながら、これもあっさりと認めたし、参院清水谷宿舎建設問題でも、「貴重な緑が残っており、ここを潰すのは反対」と威勢が良かったが、これに対しても折衷したらよいと撤回している。どうもこれには息子の選挙区の事情が絡んでいると噂されている。

 これまでにも、豪華海外視察旅行、税金を使っての息子との会食、親族の全額公費負担の欧州出張など数々の疑惑まみれの知事である。来年秋の2016年五輪開催地で東京が否決されたら、任期終了前の退任あるのみであろう。
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市場主義とは

2008年02月23日 12時11分22秒 | Weblog
市場主義とは何か
 市場主義は新参者や新産業の新規参入を容易にして、経済の新陳代謝を活性化させることで、これにより資本主義経済により産み出されるパイは拡大していく。できるだけ規制を撤廃して、神の手に委ねることで市場の公正さが保たれる。時には株価が騰貴したり暴落したりすることもあるが、公正なゲームが展開されると自然と成長路線を辿っていく。ところが産み出された成果の分配については、人の欲望に限りがないことから、神の手に任せると格差を生じることとなる。公正な市場主義とパイの分配が保障されたら、すべてはうまくいくはずである。
 
 規制撤廃と言いながら新たな枠組みを生み出したり、改革と称しながら別の逃げ道を作ったりして政治家も霞ヶ関もパイを多くすることにはあまり関心がないようだ。さらに分配に至っては派遣労働者など格差を生む方向にばかり指向して、公正なパイの分配とはほど遠いことになっている。

 偽装問題を御旗として、またまた新たな行政機関である消費者庁なる構想を霞が関は打ち上げている。これは、建築基準法の改訂と同じように、生産業者を規制でたたくことで終われば、パイはますます縮小するので、消費者保護とは名目だけで、業者と消費者にとって迷惑この上もないことにならないように祈っている。要は、公正なる市場主義でパイの拡大に貢献し、公平なるパイの配分で格差を是正していけるかどうかにポイントがある。
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バルカン半島の火薬庫

2008年02月20日 14時07分14秒 | Weblog
バルカン半島の火薬庫
 21世紀になり世界各地ではさまざまな紛争が後を絶たないが、これらの争いのカギを解くキーワードは宗教と民族である。バルカン半島には中世の十字軍の遠征以来、キリスト教とイスラム教の混在する地域で、19世紀ごろから民族紛争の絶えないところである。第一次堺大戦のきっかけを作ったのもセルビアだった。コソボにはセルビアとアルバニアの間に挟まれた四国の半分くらいの面積に200万人が住み、そのうち90--がアルバニア系のイスラム教徒という。この地域がスラブ系のキリスト教徒が大半を占めるセルビアからの独立を求めているのは当然のことと思える。


 「世界のすべての国が独立を認め、我々と外交関係を結ぶよう求める」と17日にセルビア南部のコソボ自治州政府の大統領は独立宣言をした。米国や日本をはじめ欧州連合の大半が承認する見込みである。ロシアや中国をはじめ、その領土内に自治州や共和国を抱えている多くの国や地域ではコソボの独立を認めると、自国にもその影響が波及してくるので、そう簡単に民族の独立を許すわけにはいかない。

 ユーゴスラビアの解体後、それぞれに緩やかな連合体で安定を保っていたが、この安定を破壊したのが、セルビアの故ミロシェビッチ大統領である。1998年にコソボへ侵入したことに対してNATO軍が介入して以降は国連の支配下に置かれていた。

 自国内に民族と宗教の対立関係の存在する国は、ロシア、中国、ベルギー、キプロス、スペイン、ルーマニア、スリランカなどであるが、これらの諸国では、コソボ独立反対の意思を表明している。ロシアはチェチェン、オセチア、アブハジア、ナゴルノカラバフなどの自治州や共和国を抱えているし、中国はチベット、ウイグルをはじめとした多くの少数民族を抱えているので、コソボ独立には強く反対する。

 紛争の解決には国連の役割を欠かすことができないが、いまの国連安全保障理事会に民族と宗教の問題を解決する能力があるとは思えない。下手をすれば第三次世界大戦の引き金にもなりかねない。今のところは米国の圧倒的な軍事力の支配があるが、今後、10年間でロシアと中国の軍事力は米国をしのぐ勢いがある。
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G7の結果

2008年02月10日 16時27分55秒 | Weblog
G7の結果はどう出るか
 G7の声明を受けて、11日月曜日のNYダウ平均株価が注目されている。世界経済は困難で不確実な環境に直面しているとしながらも、基礎的条件は堅固と認識し、各国は金融と財政政策で個別にあるいは協調して適切に行動すると声明した。


 米国、欧州、日本ともそれぞれ異なる経済事情のもとで、具体的な景気対策や金融対策が提案されているわけではなく、証券化で世界に広がった住宅ローン問題について、先行き不透明のままである。であるから、月曜日のダウ平均は戸惑いを見せて、上下を繰り返す動きになると予想される。要するに議長を務めた日本は指導力を発揮することができずに、無意味なG7であったということであろう。

 90年代、日本に限定した金融システムの不安だったが、なんとか10年間にわたり邦銀が不良債権処理に80兆円かけてきた実績があるのだから、もう少しこの経験を踏まえて積極的な提案をしてもよかったのではないか思う。脛に傷を持つ日銀総裁と財務大臣に期待しても無理なことのようだ。
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波乱の時代

2008年02月09日 15時59分37秒 | Weblog
波乱の時代
 1987年から2006年までの20年間にわたり、米国の中央銀行総裁として金融政策を司り、世界の金融市場に影響を与え続けたグリーンスパン氏の著作である。上下で1000ページを超える大著であるので、全部読んだわけではないが、日本経済について「日本の行動は他の資本主義国とは違う」として、その理由を「日本人にとって体面を失うことが、いかに屈辱的か」ということを挙げている。


 早期に不良債権処理を断行していれば、「調整期間はもっと短くなり、何年も前に通常の経済に復帰していたはずだと確信していたし、いまも確信している」と記述している。そして「日本人は多くの企業や個人の体面が傷つくのを避けるため、あえて巨額のコストがかかる経済の停滞を受け入れたのだ」とまとめている。

 しかしながら、グリーンスパン氏は最近の米国メディアでは、ITバブルの崩壊を立て直すために、超低金利政策に誘導して、住宅ローンで景気浮揚を図った張本人としているし、遡っては90年代後半にもITバブルで景気浮揚策をとった罪まで指摘されている。音楽でいうところの巨匠マエストロなどという敬称まで付けられているが、ITと住宅で2回もバブルを利用した張本人といわれ、落ちた偶像ではないかとも指摘されている。

 退職後もヘッジファンドや銀行の顧問に就任して、金稼ぎに余念がない。最も在任中に金稼ぎをした日銀総裁よりはましかもしれないが、前FRB議長としての品格が問われている。ひどいのは確信犯的に現在の状況を昨年早々に予言していたことも指摘されているし、サブプライムについてはFRBの責任ではないなどと最近も発言している。まさに老害というべきかもしれない。
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道路大臣の詭弁

2008年02月08日 14時40分52秒 | Weblog
道路大臣の詭弁
 「道路を整備しないと国民の命は救えない」と参議院予算委員会で答弁していたが、牽強付会とはこのことを言うのであろう。年間6兆円もの予算を過去15年以上も使ってきて、病院への救急車も擦れ違えないような道路を放置してきたのは国交省の責任ではないだろうか。それだったら道路を造るよりも病院建設を先にすべきだ。狭い道路を拡幅することはしないで、高速道路や市街地を避けるバイパス道路の建設に大金を投じてきただけである。今になって、暫定税率がないと踏切が開かないとか、救急車が通れないというのは役人の言い逃れ、詭弁としか聞こえない。
 
 地方首長の全員が特定財源維持の署名を直筆でしていたとか、道路財源で購入した公用車の数を低く見積もって公表したりして、嘘答弁を心から深くお詫びしなければならないなどと、道路財源の専守で頭を下げどおしである。その上に職員の疲労回復のために、1台20万円のマッサージチェアを23台も購入していたというから驚きである。それならガソリン税を払っている消費者の疲労回復をどうしてくれるというのだろうか。本当のところ、もう少しレベルの高い国会論争を期待している。
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環境家計簿

2008年02月07日 16時23分30秒 | Weblog
環境会計簿 炭酸ガスの排出量
 現在の大気中にはおよそ 370ppm--0.037%--ほどの濃度で炭酸ガスが含まれるが、南極大陸の氷床などの分析から産業革命以前は、およそ 280ppm--0.028%--の濃度であったと推定されている。濃度増加の要因は、主に石油や石炭の化石燃料の大量消費と考えられている。人や動物は空気中の酸素を吸って炭酸ガスを排出している。大まかな計算をすると、普通に生活している人は1日に約0.8Kgの炭酸ガスを出している。世界の人口を60億人とすると、48億Kgと算出される。
 
 通常の家庭生活でどの程度の炭酸ガス排出になるかを算出するプログラムがネット上にいろいろと用意されている。今回、誰でも使いやすい環境家計簿を使って、管理人の家庭での炭酸ガス排出量を計算してみた。毎月、送られてくる電気、ガス、水道などの請求書に、料金とともに使用量が記入されているので、この数値を使う。

 世帯人数に入力して、電気、ガス、水道以外の項目にも記入して、計算開始をクリックすると直ちに結果が下に示される。入力を訂正したら、再び計算開始をクリックすればよい。各係数は環境庁が発行する環境家計簿を基本としている。毎月記録すると環境家計簿となる。

 ちなみに、管理人はすでに子供たちが独立しているので、現在二人だけの生活である。昨年10月と12月のデータを使うと、二人で320Kgと600Kgだから、一人一日に5Kgと10Kgの炭酸ガス排出量と出された。日本人の年間平均では1日6Kgだから、年間平均にするとその程度の数値になるものと予想される。ふだんからかなり省エネ生活を心がけているつもりであるが、この数値からは必ずしもそうはなっていないことが分かる。
--http://www.teishoin.net/calc2.html
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食糧事情

2008年02月06日 14時30分16秒 | Weblog
中国産食品なしでは生きていけない
 テレビでは評論家先生や大臣までが中国産は輸入禁止にすればよいなどと放言しているが、いまや日本の食料自給率40--だから、中国の大地からとれる作物抜きでは日本国民は日干しになってしまう。日本人が食べている玉ねぎの6割、ニンニクや生シイタケの8割が中国産であり、輸入食品全体に占める割合は1割であるが、野菜関係では6割を超えている。日本で加工している食品で、原材料が中国産の商品も入れると、実際には国民が口にする食料の2割は中国産と推定されている。
 
 2001年の小泉政権が誕生したときには中国からの農林水産物は9000億円だったが、2006年には1.5兆円と倍になった。屋台での焼き鳥やナゲットなどは10万トンから20万トンに増加している。競争原理社会では力の弱い中小企業ではコストカットのために安価な中国産に頼らざる負えなくなっている。稼ぐが勝ちという風潮が広まり、食の安全は二の次というところも出て来て当然である。

 さて、日本の政府と業者のなすべきリスク管理は、問題が起こらないような対策と同時に、起こった時を想定し、問題のある食材の絞込みを迅速に行い、問題の無い輸入食材への影響を最小限にするしくみを、日中政府間で協力して作成することであろう。週末の横浜中華街では通常の人出の半分になったとのことである。今の時点では中国産品を排除することは、日本にとって解決にならない。
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利権顔とは

2008年02月05日 14時18分24秒 | Weblog
利権顔とは
 民主党の菅直人代表代行が先日のテレビ朝日番組で「自民党の道路族議員、国土交通省にとって巨大利権ですからね。古賀さんとか二階さんとか、顔を見るからに、この利権だけは放さないという決意が表れている」と発言した。道路財源問題に絡み、自民党の古賀誠選対委員長と二階俊博総務会長を痛烈に批判している。これに対して二階氏は記者会見で「明らかに名誉棄損だ。法的措置も考える」と怒りを表した。自民党としては「党を代表する顔に泥を塗られた」として、菅氏に謝罪と訂正を求めている。
 
 これに先立ち菅直氏は福岡県八女市上陽町の山間部に架かる「朧--おぼろ--大橋」を視察した。この橋の関連事業費は約90億円で、多くが道路特定財源から出されている。菅氏は、橋の通行量の少なさや橋の先で道路が通行止めになってしまうことなどを挙げ、道路特定財源の使い方に疑問を投げかけた。

 朧大橋は長さ293メートル、高さ70メートルのコンクリートアーチ橋で、隣接する久留米市へのアクセス改善などを目的に02年3月、県が国の補助を受けて、完成させた。しかし、集落につながる道路が未完成で、久留米側から橋を渡って道路を進むとしばらくして行き止まりになっている。八女市は自民党の古賀誠選対委員長の地元で、朧大橋は別名まこと橋などと呼ばれている。この視察で菅氏は「これだけのお金をかけてこの通行量。果たして役立っていると言えるのか」と述べている。古賀氏は「道路族と呼ばれることに誇りを持っている」と述べて、開き直っている。

 道路特定財源は田中角栄氏が地元である新潟の道路開発のために作りだしたものである。もともとは一般道路の舗装や整備のためのものであったが、自動車の普及とともに財源が巨大になり高速道路の建設促進に利用されていった。道路建設以外にも、次々と天下り組織として、多数の関連する財団や独立行政法人がつくられていった。たとえば、年間予算25億円の道路保全技術センターや、予算35億円の交通安全環境研究所などが存在している。
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ヤフーの買収

2008年02月04日 14時42分51秒 | Weblog
ヤフーの買収
 12月決算で2年連続の減益発表をまって、株価が下落したのでマイクロソフト--MS--社が買収に乗り出した。急成長を続けるグーグル社に対して、売上高は増加したが、サービス開発や販売促進費の急増でヤフーは利益を減らした。ヤフー株を現在価格の2倍の1株当たり31ドルで、総額5兆円近い大型買収である。


 ネット検索老舗のブランド力とMS社の資金力でグーグルに対抗する狙いであろう。全米の検索サイトで6割のシェアを持つグーグルは、動画投稿サイトのユーチューブを傘下に収め、携帯電話事業にも乗り出し、さらには、MS社の本丸であるオフイスソフトを無料で配布するなど、MS社への挑戦を続けてきた。

 現在の時価総額はMS社の32兆円に対して、グーグルは26兆円と迫っている。設立わずか10年でトヨタ自動車の時価総額を超える勢いである。すでに欧州ではグーグルのシェアは90%近くになっているが、日本ではいまだにソフトバンクと関係している日本ヤフーが優位を保っている。しかしながら、グーグルはNTTドコモやKDDIとも提携して携帯電話を通しての検索事業拡大を狙っている。

 日本でもいくつかの検索サイトが名乗りを上げているし、中国産の検索サイトである「百度」の日本版も公開されている。ネット上での覇権をかけてシェア争いはますます激しくなっていく。日本のテレビや新聞のマスメディアにも相当深刻な影響が懸念されている。
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格付け

2008年02月03日 14時46分50秒 | Weblog
格付け--Credit Ratings--
 サブプライムローン問題を世界中にばらまいた元が、格付け機関のつける評価のいい加減さであると言われている。それに対して、今月9日に東京で開催されるG7--先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議--では、金融商品の信用度を評価する格付け会社のあり方が議論されるという。

 EU側では今回の市場の動揺のもとは格付け機関であるとの認識であるが、大手の格付け会社は米国にあるので米国側ではその規制には消極的と思われる。議長を務める日本としては指導力を発揮したいところであるが、双方の顔色をうかがいながら、結局はあいまいな結論となるであろう。


 ところで、格付けとは文字通り、企業の成績評価であるが、企業価値評価との関連で必ずしも高いランクがいいとも限らない。企業は金を集めて、いろいろなプロジェクトに投資して、金を増やす、すなわち価値を増大させる活動をする。

 カネは主に銀行などから借りたり、社債の発行で集める債権者サイドの側面と、株式発行で金を集める株主サイドの側面がある。格付けというのは前者に対する債務償還能力で評価される。要するに、債券の元本と利息を発行機関に予定通り支払える能力である。

 この支払い能力に関係する財務指標のひとつに株主資本比率--自己資本比率--がある。この比率が高いほど、すなわち総資産のうち株主資本が大きいほど、有利子負債が少ないから「よい会社」との評価を受けて格付けが上がる傾向にある。一方では、株主資本比率が高いということは、資本コストが高くなり、企業価値からは必ずしも好ましくはない。

 格付けを上げれば、企業価値が上がり、株価が上昇するという単純なことではない。あくまでも、格付けは単に債権者サイドからの企業の債務償還能力を見ているだけである。アメリカの大企業では、シングルA程度の格付けを目指して財務運営をしているところが多いのも、この関係である。
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日本経済のもろさ

2008年02月02日 14時11分09秒 | Weblog
日本経済の脆さのもと
 ウォールストリートはマンハッタン島の南に位置する東西に走る狭い道である。この中ごろの一角にNY証券取引所がある。ここのダウ平均株価が5%降下すると、日経平均株価はその2倍から3倍も降下する。何が原因でこのように増幅された波が日本に来るのであろうか。
 
 2002年当初から日本経済はいざなぎ景気を越えて、第二次世界大戦後最長の景気回復が続いていると言われている。いざなぎ景気とは1965年からオイルショックの1970年にかけて5年近く続いた好景気のことを指している。

 大多数の国民には実感が乏しい景気回復であるが、この原因は日銀の超低金利政策で円安を誘導して、ひたすら日本製品の輸出拡大をしてきただけのことであろう。おもに輸出で利益を上げてきた大企業は国際競争力強化のために、構造改革の美名に便乗して、正規雇用を減らし、社会保障などのセイフティネットを破り、地域格差を拡大してしまった。

 そのために国内での自動車販売の停滞に典型的に表れているように、個人消費の伸びがなくなり、内需が落ち込んだままデフレ状況からの脱出すらできていない。このまま米国の景気減速が続くと、やがて米国に頼っている中国やインドにも波が及び、輸出に頼る日本経済の脆さが広がってしまう恐れがある。

 日本経済の足元を強くするには個人消費の拡大以外にはないように思っている。放置すれば景気後退下の物価高となってしまう。1980年代後半に土地バブルに踊った日本は、2000年代前半に改革バブルに踊っていたような気がしている。
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南京大虐殺記念館

2008年02月01日 11時46分21秒 | Weblog
南京大虐殺記念館
 10年ほど前に南京市を訪問した時に旧館を訪れたことがあるが、昨年12月に敷地面積を元の3倍以上にして、世界遺産への登録をクリアできる面積としたようだ。聞くところによると、新館では元の展示内容からの印象では、いわゆる反日展示が10倍ほどにも拡張されているとのことである。


 パンフレットには「恨みや憎しみを植え付けるのが目的ではない」と館長の言葉が記載されてはいるが、この言葉とは裏腹に、愛国主義教育模範基地として反日世論を喚起して、アウシュビッツや広島と同様に負の文化遺産として世界的な認知を得ようとしていることがうかがえる気がする。

 すでに世界遺産として登録されているアウシュビッツ強制収容所や広島平和記念公園の原爆ドームを訪問したことのある人は理解していることと思うが、人類の愚かな行為を後世に伝えることが主眼とされている。だから客観的な歴史的事実がたんたんと展示されているだけで、ドイツやアメリカに対する感情的な敵対意識はほとんど感じることはできない。

 南京の新記念館を見てはいないので、想像でものをいうことは慎まなければならないが、歴史問題を一党独裁に伴う貧富の格差や政治腐敗などの社会矛盾を隠ぺいすることに利用する姿勢は許しがたいことであるし、ユネスコがそのような政治的意図を全面に出したものを世界遺産として認定することもないと思う。
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