ある大学教授の思い

ある女子大学で情報、統計、ファイナンスなどを教えております。気がついたことなどまとめてみたいと思います。

発信の時代

2012年03月31日 10時04分07秒 | Weblog
ツイッターtwitterとフェイスブックfacebook
  TWの140文字という字数制限は半角も全角も同じである。漢字140文字はアルファベットと比べて3~4倍の情報量があるため、中国語では1、2本の「つぶやき」で十分な主張ができる。日本語も似ているから、ツイッターは漢字文化圏で意外な力を発揮している。中国では禁止されているが、裏ネット社会では生き延びて徐々に浸透している。中国政府は不気味な時限爆弾になることを恐れている。昨年の春、アフリカ諸国の政変はツイッター革命とも言われているからだ。


  ブログを書いている人は、普通は字数制限がないために、ややもすれば文が冗長になりがちである。そして、140文字内では意見を主張することはできないという。筆者も初めはそのように考えていた。その頃はツイッターの日本語サイトがなかったので、確かに英語では挨拶程度しかできないことを実感していた。今では、TWとFBともメモがわりに利用している。


  このツールは、やがてはすべての情報を飲み込むものになると予想されている。子どもの遊びなどと軽蔑せずに、気軽に登録して呟いてみるのも面白い。ケイタイ、パソコン、アイパッドなどどこからでもインプットできる。画像や映像にも簡単に接続可能だから、このサイトにいれば、すべてにアクセス可能だ。また、フェイスブックとの連携もできる。個人情報の流出やセキュリティには当然に配慮しなければならない。


   コンピュータ関係のある調査によれば、twitterに投稿されるつぶやきの7割は無視されているという。カナダの 調査会社によるもので、最近の2カ月間に投稿された 12 億件のつぶやきを分析したものだ。普通は呟きには別に反応を期待してはいない。3割も何か反応がある方が驚きかもしれない。いずれ、つぶやきから新しい何かが生まれてくるはずだ。


***有名人のなり済ましは犯罪に近いツイッターと思う。米国では訴訟まで起きている。もう一つは、プロフに偽と記してある偽物の呟きだ。これをbotという。有名人の名言珍言、作家がよく使う言葉を集めて、人工知能を作り、これが自動的に呟くものだ。フォローしているものがボットかもしれない。botはrobotの略称である。


クラウド

2012年03月30日 08時05分17秒 | Weblog
クラウド・コンピューティング
   ネットワークを雲の絵で表現することはウインドウ95の出た1995年頃から行われていた。明確な言葉としては、2006年8月に開催されたSES会議において、Google社CEOのシュミット氏がクラウドに言及したことで広まったといわれている。企業間ではソフトやデータを自前で持たずにインターネット経由で随時利用できるクラウド・コンピューティング事業は今後ますます成長して行くことになる。
*SES:Search Engine Strategies Conference

   個人ではどうかと言えば、グーグルで検索したり、メールを送ったり、ブログやツイッターで情報発信している人はすでにクラウドの立派な利用者と言える。つまり、これらを利用するときに、個人では特別のソフトを自分のパソコンに導入しているわけではないからだ。ではどこにソフトがあり、どこにこれまでのメールが保存されているのかと言えばクラウドの中と言える。

   この20年間にわたりマイクロソフトMS社は、OSとオフイスソフトをユーザーに購入させて莫大な利益を上げてきた。その最新版はウインドウ7とオフイス2010であるが、この秋にはWIN8がでるという。両方合わせるとフル装備で10万円を超える。これに対して、OSもオフイスソフトもオープンソースで無料で利用できる時代に来ている。クラウドにあるものを利用することができるからだ。

   1998年に設立されたグーグル社がその代表で、メール、ブログ、オフイス相当品などすべてフリーで利用できる体制が出来上がっている。グーグルの玄関を開き、「その他」のメニューから「サービス一覧」を選択すると、テスト中のサービスも含めて、さまざまなものが紹介されている。MSのオフイスの相当するものは「コミュニケーションと共有」にある「ドキュメント」を選択する。「Google docs」画面で「Create new」を選択すると、ワードは[Document]、パワーポイントは[Presentation]、エクセルは[Spreadsheet]であることが分かる。完全とは行かないが、使用してみればわかるが、MSのものと互換性もある。 同様のサービスはfacebookにもある。

*もう一つのクラウド:クラウド・コンピューティングの「クラウド」は“cloud”(雲)。クラウドソーシングは企業がネットを通じて不特定多数の人に問題解決を依頼することで、クラウドは“crowd”(群衆)。


映画鉄の女

2012年03月29日 11時03分31秒 | Weblog
M.サッチャー(1925~ )アカデミー賞

   本年度アカデミー作品の「鉄の女」を見た。映画は老境に入った彼女の回想録風に進む。ある程度、首相在任中(1979~1990)の出来事、特に英国の議会制度や階級社会、北アイルランド紛争、フォークランド諸島紛争、冷戦下の米ソ関係などの知識がないと分かりにくい内容だ。
 
   19世紀、日の沈まない帝国と言われた英国が20世紀に入り老大国として衰退し、特に第二次大戦後は米国の力が大きくなり、古い制度を残存させた政治や経済の行き詰まりから、英国病にかかっていると言われていた。殆ど同じ時期に第49代米国大統領だったレーガン氏(1981~1989在任)とは共通した価値観をもち、規制緩和、小さな政府、国有企業の民営化などを急進的な改革を断行する強い姿勢を保ったが、インフレ政策で失業者は増大して社会不安も醸成した。


   改革を進めるにあたって障害となっていた労働組合の影響力を減らし、所得税や法人税の大幅減税で景気の振興を図り、その代わり付加価値税を8%から15%に引き上げた。教育改革についても、政府の発言力を強める一連の改革を進めた。役者は米国の有名女優メリル・ストリープで、アカデミー主演女優賞を獲得した。米国人の彼女が、サッチャーの英国流の発音をする努力は演技を越えるものがある。

国家の再生

2012年03月28日 15時50分53秒 | Weblog
財政破綻で国は再生する

  国の財政が破綻した例はいくらでもある。財政破綻ではないが、日本でも第二次大戦直後の1946年、国債残高が国内総生産の3.5倍にもなり、預金封鎖と新円切り替えで切り抜けた。この時には預金を持っている人は一部の金持ちだけだったので、彼らの資産で借金の穴埋めをしたとも言える。1980年以降、メキシコ、南アフリカなど多くの国が破綻した。中でも、国際的に影響が大きかったのは、1997年の韓国、1998年のロシアの財政危機である。


  韓国では自由化政策で外国資本を誘致しやすくした事がもとで、自国通貨と株式が暴落した。IMF管理下に入り、エネルギー不足で国民は苦しい生活に陥ったが、銀行など古い組織が一掃された。僅か10年で車や電気製品に限らず、スポーツや芸能文化活動まで日本を凌駕するまでになっている。


  ロシアの場合は、それまでの計画経済から市場経済への移転に伴うギャップがあちこちで表面化し、ルーブルは暴落し、GDPは縮小し、インフレ率が30%にもなり、国債が大暴落した。その後、プーチン大統領がガスなどエネルギー政策を再編して、今ではBRICSと言われているまでに回復した。ただ、ロシアの場合は、ソ連時代から続く役人の腐敗が進行して、市場経済の発展を阻害している。再び大統領につくプーチン氏がどこまで力を発揮できるかによっている。



  消費税増額でギリシャを引き合いに出しているが、ギリシャの財政規模は横浜市程度であり、日本国債のCDSはギリシャの100分の1であることから、同列で比較するのは無理な話である。財政破綻では生活がますます苦しくなるから、これを避けるのは当然であるが、まだまだ増税しなくても破綻などはしない。韓国やロシアなどの例をみると、財政破綻による外圧で国の古いシステムが一掃されて、明治維新や戦後のように、新たなる出発をする可能性に挑戦するのもいいかもしれない。


増税が命か

2012年03月27日 09時39分42秒 | Weblog
増税が命か

消費税論議

  いよいよ今月中に閣議決定するという消費税アップ法案だ。閣議決定したところで、果たしてそのまま進むとは思われない。これまでにも消費税については、様々な問題があることは指摘してきた。主な問題は二つあり、一つは逆進性であり、もう一つは戻し税だ。これの解決法として主として欧州で行われている付加価値税VATに代えることだが、これについては殆ど議論の対象にもされていない。

1997年に消費税を3%から5%に上げた事で、それまで55兆円あった国税収入が激減し、それ以来、一度もその額に達せず、昨年は42兆円にまで20%も縮小した。このことから、いま早急にしなければならない課題は、名目成長をプラスにすることで、増税ではない。昨年は別としてここ10年の日本の経済成長を見ると、実質成長率は平均2%近いが物価成長率がマイナス1%でデフレとなっている。実質成長率2%とインフレ率2%で、名目成長率を4%にすれば、少なくとも5年後には税収が20兆円増加する試算もある。


   このまま消費税が10%になったら、そのしわ寄せは中小企業や飲食店やクリーニングなどの個人サービス業を直撃する。いろいろな試算が出されているが、10%アップになれば、それから3年間で日本の雇用は100万人失われる。次の世代に付けを回すなというが、さらにそのつけを膨らませることになる。日銀が少し動いただけで、円高が是正され株価も上昇に転じている。このような金融政策だけでは限界があるから、いま政府がするべき政策は増税ではなくて、まだまだ掛け声倒れに終わっている規制緩和で既得権益を排除し、福祉、エネルギー、農業などの成長が期待されているか、成長させなければならない分野、中小企業などの技術開発投資振興に重点的に配慮する事で、経済成長のエンジンとすることができる。


再稼働に伴う問題

2012年03月26日 10時13分58秒 | Weblog
原発の安全性
   原子力安全委員会委員長の相変わらずの優柔不断さにはただあきれてしまう。10%の余裕度を見込んで電力がどれだけあれば足りるのか、経済成長を阻害しないためにどれだけ必要なのか何もデータがないのに再稼働という。安全性は何処まで高めたらいいのか、99%なのか、99.9%なのかすら曖昧だ。

   福島原発事故の原因究明がなされていないから再稼働はできないという論理もおかしい。原発と言えば全ての設備は立地条件も含めて同じものはひとつもない。共通する要素はこれまで原発行政を進めてきたシステムだけだ。電力マネーで侵されてきた官僚、政治家、地元、学者の頭を洗い直す事が先決だ。

経済成長率
   「実質成長率2%、インフレ率1%で名目成長率3%」という数値目標は管内閣で閣議決定している新成長戦略だ。野ダメ氏も施政方針演説で「新成長戦略の実行を加速させ・・・」と1月に宣言したばかりだ。この目標達成に本腰を入れて取り組めばまだ評価できるが、言うだけで腰砕けでは信頼できない。命をかけて増税すると言うばかりでは、国民は浮かばれない。

SNSの落とし穴
   SNSの落とし穴、個人情報の流出、なりすまし、匿名、検索エンジンの罠など心配すればいくらでもある。利便性は高いので利用価値もあるが、悪用を狙っている人も多い事は頭に入れておかなければならない。山田順「本当は怖いソーシャルメディア」720円。

命名権
   国が財政破綻を防ぐ方法として、国の命名権をどこかの国や企業に赤字分補填で売り渡すことができるか。希臘なら70兆円で購入できる。そうすると、仮に中国希臘地区とでも命名する事が出来る。幸いにして、日本は1000兆円だから買ってくれる国がないだろう。

高層ビル街
   竹中ー小泉政権の不動産規制緩和で、六本木、品川、汐留、日本橋に超高層ビルが出現した。この裏に不動産王森稔氏がいた。引退後、竹中先生はヒルズの49階にあるアカデミーの理事長に収まった。これこそ究極の天下りと言われる由縁だ。森氏を偲んで竹中氏は最大級の賛辞をつぶやいている

特捜部の方向感覚

2012年03月25日 11時49分05秒 | Weblog
予想通りの進行
2011年7月21日の記事の採録である。

特捜部の方向感覚
変革には時間がかかる
  江戸時代末期の1853年にペリー提督が浦賀に来てから、1868年の明治維新まで15年、さらにそれから1890年の憲法発布と国会開設まで22年もかかって、ようやく封建社会から脱皮して近代日本が誕生した。1945年の敗戦後から64年たって、2009年9月にようやく自民党支配の官僚国家から、脱官僚を目指す民主党政権が誕生した。


  新政権は脱官僚とは言いながら、強固に武装された官僚支配の霞が関城を崩すことは難しく、すでに厚労省、国交省、防衛省、法務省などの大臣の言動を聞いていると、就任当初の勢いは失せて、いかにも官僚に取り込まれた発言が増えてきている。あちこちから「大臣、そうはおっしゃいますが・・・」というセリフが聞こえてくる気がする。初代の鳩山さんは、人がいいのか、たちまちのうちに官僚の仕掛ける罠にかかり、辞めさせられた。2代目のカンさんもいつの間にか官僚の言うままとなってしまった。

 
  一番に警戒していた小澤さんに対して、霞が関城の憲兵である検察庁は、なりふり構わず城の防衛に邁進し、新政権の最高の権力者に向かって次々と攻勢に出ている。これは2009年8月の選挙前から動き出していたことであるが、どうもこの攻撃が裁判では空振りに終わりそうな気配を察知して、第二の矢としては先の人も含めて3人の秘書団の逮捕となって表れた。検察もメンツがあるから、論告求刑で、推認とか、認められるという証拠なしで有罪としたが、9月26日の判決ですべて否認されるであろう。

  10年前の話を持ち出し、土地購入費用4億円は何が何でも企業からの献金としたいみたいだ。もともと野党時代の民主党には公共工事での職務権限がないから、いくらつめても賄賂性は出てこない。確かに帳簿上の記載に不具合があるのかもしれないが、カネには色がついてはいないから、購入代金がどこからきているのかを追及しても成算があるはずがない。問題の人が清廉潔白な人とは思わないが、億単位のカネで困るような人とも思えない。


  ここ数年、特捜検察の仕事では長銀事件、福島県知事事件、厚労省村木事件など空振りが目立ち焦りがあるのか、確証もなしに国会議員を逮捕したりしている。こんなことをしていたら、取り調べの可視化、検事総長の人事権どころか、特捜部は解散させられことになりかねないだろう。情報のリークどころか、強制捜査のときにはNHKをはじめとする各テレビ局に連絡して、タイミング良く映像を撮らせていることまで暴露されている。

   しかもカメラアングルで係員が颯爽と恰好よく映るように、曲がり角を歩く姿まで映させるという。道理で家宅捜査はタイミング良く映せるものと感心していたが、このようなヤラセの裏技にまで検察が配慮していたとは驚き以外の何物でもない。特捜部はこのような曖昧なことに無駄な税金を使うのではなくて、政権引き継ぎ時に官邸から消えた2.5億円の追求とか、1兆円にも達するかもしれない日航の粉飾決算など確実にポイントを稼げるネタはいくらでもあるはずだ。


*参考:ネットEYEさんのブログ
*NYタイムズでも紹介「旧勢力に揺すられる指導者」

偏差値算出法

2012年03月24日 09時35分12秒 | Weblog
入試と偏差値
  入学試験のシーズンも終わった。誰でも知っている偏差値であるが、以外と言うべきかどのようにして算出して、どういう意味を持っているか知らない人が殆どだ。例えば、或る科目で100点をとっても偏差値は100とはならない。統計的な分布の中で、最も基本的なものが正規分布であり、この分布を平均値Aがゼロで、標準偏差Dが1の分布に変換したものを標準正規分布と言う。この分布の基になる関数はガウス関数とか誤差関数と呼ばれている。これ以上は数学の話はここではしない。
 

  まず、ある生徒のテストの点数がXだった場合、偏差値Zは「Z=10×(X-A)÷D+50」で計算される。AとDはこのテストを受けた全員の得点から算出できる。テストの得点分布は、正規分布に従っているものとしている。生徒数が25名以上であれば、この仮定による誤りは数パーセント以下となる。そこで、偏差値の式にある「(X-A)÷D」という変換をして、この値を10倍して50を加えた分布は、平均値が50で標準偏差が10の分布となる。平均値の計算はできると思うが、標準偏差の計算は少し複雑だが、エクセルにはこれらを計算する関数がついている。



  ここで、データのバラツキの範囲を標準偏差の3倍以内とすると、殆どのデータは「50±3×10=20~80」の間に収まることになる。20点より低い人、80点より高い人は計算により1000人中3人程度となる。これは品質管理では3シグマルールと呼ばれていて、管理の1つの基準としと使われて来た。1000個生産したら、3個ぐらいの不良品は許容するという考え方だ。つまり、99.7%は合格するという基準だ。競争の激しい現在では6シグマルールなどと言う考え方もある。


沖縄の運命は返還時に決まった

2012年03月23日 09時13分04秒 | Weblog
沖縄密約問題の真相

  TBSのドラマ「運命の人」が終わった。密約問題も山崎豊子氏の小説で創作され、TVドラマで脚色されて、真実の姿が見えなくなっている。沖縄では地上戦があったこと、1972年5月15日まで占領下だった事、米軍基地の70%があること、返還に伴う密約があった事は事実だ。1972年に起きた「西山事件」の概要を振り返ってみる。1974年に佐藤栄作氏は沖縄返還協定の歴史的功績が認められて、ノーベル平和賞を受賞した。


  その外交交渉の過程で毎日新聞の西山記者は、日米間の極秘扱いの電信文を入手した。アメリカ側の負担すべき補償費400万ドルを日本が肩代わりするというものだ。ニュースソースの特定を避け、その電信文の存在に触れなかったため、あまり注目されなかった。佐藤政権を退陣に追い込もうとしていた社会党の横路孝弘議員が、これに目をつけ、記者から電信文のコピーを手にした事から事態は変化した。衆議院予算委員会で議員は電信文の存在を暴露してしまった。


  佐藤首相はこれに怒って、西山記者を逮捕するように命じた。初めは国家の密約事件だったが、一審で外務省の蓮見事務官が有罪、西山記者は無罪となってから、様相は一変した。国家機密を漏洩した新聞記者を検察は許すことができず、事件はいつの間にか男女の情事の事件へと変わった。自分が有罪で西山氏が無罪には納得できない蓮見氏もテレビや週刊誌でこれに一役かって出た。世間からも、悪は西山氏、善は蓮見氏となって、これには西山側は手も足も出なかった。


  1978年に西山氏は逆転有罪が確定した。公開されている米国側の文書でもこの密約の存在は確認されている現在、あらためて真に裁かれるべき事は、国家が犯した密約という犯罪であろう。しかもこの時にかわされた協約により、現在の沖縄の置かれている立場も確定したのだから、首相のノーベル平和賞と引き換えに日本が失った国益は計り知れない。

*澤地久枝著『密約 - 外務省機密漏洩事件』岩波現代文庫, 2006年

増税よりも経済成長

2012年03月22日 10時46分53秒 | Weblog
財政再建

  米国第42代大統領のクリントン氏は1993年から2001年まで在任した。その間、様々なスキャンダルに見舞われたが、その人気は未だに高い。奥さんが現在の国務長官として重責を果たしている。彼の前任者は後任のブッシュ大統領の父親だったが、3000億ドルという巨額な財政赤字を残した。クリントン氏は就任して5年後の1997年には赤字を解消して黒字にした。これが未だに彼の人気を支えている源だ。時期的にはマイクロソフトなどのIT関連企業が活躍し始めた事にもよるが、政策的には経済成長しやすい環境を整えた事が大きい。


  それとは対照的に、日本では1997年に消費税を3%から5%に上げた事で、それまで55兆円あった国税収入が激減し、それ以来、一度もその額に達せず、昨年は42兆円にまで20%も縮小した。このことから、いま早急にしなければならない課題は、名目成長をプラスにすることで、増税ではない。昨年は別としてここ10年の日本の経済成長を見ると、実質成長率は平均2%近いが物価成長率がマイナス1%でデフレとなっている。実質成長率2%とインフレ率2%で、名目成長率を4%にすれば、少なくとも5年後には税収が20兆円増加する試算もある。


  日銀が少し動いただけで、円高が是正され株価も上昇に転じている。このような金融政策だけでは限界があるから、いま政府がするべき政策は増税ではなくて、まだまだ掛け声倒れに終わっている規制緩和で既得権益を排除し、福祉、エネルギー、農業などの成長が期待されているか、成長させなければならない分野、中小企業などの技術開発投資振興に重点的に配慮する事で、経済成長のエンジンとすることができる。
*https://twitter.com/#!/goroh



司法の奥の手

2012年03月21日 10時21分57秒 | Weblog
司法は何を考える
   「特捜部は司法の支配者然とした傲慢さだ」と、よほど腹にすえかねていたとみえる。さて、こうなると司法の頂点に位置する最高裁事務総局はどのようにこの事件を収めるのだろうか。このまま負けを認めると日本の司法は総崩れとなりかねない。何か秘密の奥の手を用意している気がする。霞が関の総意としては小澤復権はできるだけ避けたい。だが検察のヘマが明るみに出てしまっては、なかなか世論操作も難しくなっている。何か秘策はないか頭をひねっている最中だろう。

日本の出番 REM
      希土類元素REMはアラブの原油か中国のREMかと言われるほど重要な戦略物質だ。世界の埋蔵量の50%を中国は占めている。米露も合わせて40%だ。日本にはこれまで に世界で使われたREMの30%が貯まっている。これから抽出する技術、REMと同等物質の開発が技術開発の方向だ。

イラン問題
    イランとイスラエルが暴発したら、経済的に最も影響を受ける先進国は日本だ。脱原発で化石燃料に依存している電力がアウトとなる。まさにお先真っ暗となるだろう。原発再開を進めながら、両国に良好な関係のある日本が動く時だが、情けないことに政府には人物がいない。

テポドン
    北朝鮮は米国と食糧援助の約束をしたばかりで、早速ミサイルを打ち上げるという。どうやら内部で指導権争いが始まっているみたいだ。国際派と民族派とで金正恩も揺れている姿が浮き彫りとなってきた。体制崩壊が近づいたとも思われる。中国もロシアもどうやら手の打ちようがないみたいて、テポドンには不快感をあらわにしている。

財政破綻とは何か

2012年03月20日 10時02分18秒 | Weblog
財政破綻で国は再生する

  国の財政が破綻した例はいくらでもある。財政破綻ではないが、日本でも第二次大戦直後の1946年、国債残高が国内総生産の3.5倍にもなり、預金封鎖と新円切り替えで切り抜けた。この時には預金を持っている人は一部の金持ちだけだったので、彼らの資産で借金の穴埋めをしたとも言える。1980年以降、メキシコ、南アフリカなど多くの国が破綻した。中でも、国際的に影響が大きかったのは、1997年の韓国、1998年のロシアの財政危機である。


  韓国では自由化政策で外国資本を誘致しやすくした事がもとで、自国通貨と株式が暴落した。IMF管理下に入り、エネルギー不足で国民は苦しい生活に陥ったが、銀行など古い組織が一掃された。僅か10年で車や電気製品に限らず、スポーツや芸能文化活動まで日本を凌駕するまでになっている。


  ロシアの場合は、それまでの計画経済から市場経済への移転に伴うギャップがあちこちで表面化し、ルーブルは暴落し、GDPは縮小し、インフレ率が30%にもなり、国債が大暴落した。その後、プーチン大統領がガスなどエネルギー政策を再編して、今ではBRICSと言われているまでに回復した。ただ、ロシアの場合は、ソ連時代から続く役人の腐敗が進行して、市場経済の発展を阻害している。再び大統領につくプーチン氏がどこまで力を発揮できるかによっている。



  消費税増額でギリシャを引き合いに出しているが、ギリシャの財政規模は横浜市程度であり、日本国債のCDSはギリシャの100分の1であることから、同列で比較するのは無理な話である。財政破綻では生活がますます苦しくなるから、これを避けるのは当然であるが、まだまだ増税しなくても破綻などはしない。韓国やロシアなどの例をみると、財政破綻による外圧で国の古いシステムが一掃されて、明治維新や戦後のように、新たなる出発をする可能性に挑戦するのもいいかもしれない。


AIJ事件 厚労省のまいた種

2012年03月19日 11時14分38秒 | Weblog
厚労省の責任逃れ

  企業が恣意的に決算方法を変えては、真実の姿が分からなくなるために、企業会計にはいくつかの原則がある。真実性、正規簿記、資本取引と損益取引区分、明瞭性、継続性、保守主義、単一性の7原則が定められている。中小零細企業が集まってつくる厚生年金基金は全国に600近くあり、その内70%超が代行割れ、すなわち基金の積み立て不足が明らかとなった。


  代行割れは企業倒産と同じで、今頃になって突如浮上したわけではない。長い間にわたり運用ミスが積み重なってきたはずだ。監督官庁の厚労省では当然にそのことは知っていた。そこに企業会計原則を無視した厚労省の巧みな仕掛けがあったはずだ。破綻させては旧社会保険庁の天下り先が亡くなるからだ。今でも合計700人近くもこれらの基金に天下っているという。


  バブル崩壊後の1990年代後半には、景気の悪化による株価低迷のために多くの基金がマネーメイクに失敗した。厚労省では連鎖倒産を防ぐために、会計方法を変えた。取得時の原価で評価する事になっていたが、株価が低迷しているのに、購入時の高い株価で評価したのでは、大幅な赤字が避けられない。そこで、時価評価への変更を認めた。これは継続性の原則に違反するが、バランスシートは一時的に改善した。


  このようなその場しのぎはいつまでも続かない。そこで2008年になって、今度は原価でも時価でもそれぞれに基金が都合のよい方を選択してもよいとした。このような会計操作での延命工作ではいずれは破綻することは分かっていた。これでますます基金は窮地に追い込まれていった。AIJ事件でその一端が暴露されたが、基金の救済よりも天下り先を優先した厚労省の犯した大罪だ。薬剤汚職、年金隠し、公害健康被害など厚労省は腐りきっている

法の論理と物理学

2012年03月18日 10時39分19秒 | Weblog
法学と物理学

  物理学は法則を数学化して、あとはひたすら数学的な操作だけで様々な結論を導く。その結果がすべて物理的に同じ価値の内容をもつとの保証はない。それを確認するためには、数学的な操作の途中で数式から得られるイメージを描き出して、物理現象との整合性を見なければならない。以上の言葉はノーベル物理学賞受賞者の朝永振一郎先生の「物理学とは何だろう」に出ていたものだ。
  

  法律的な問題は、法学上の概念や法律の内容に置き換えて、それによって導かれる推論をひたすら形式的に推し進める。その結論が必ずしも妥当性を持つという保証はない。だから、推論を進める適当なポイントで現実的な問題や常識と照合させて、不都合な箇所がないかを確認する。形式的な推論を現実的な意味で確認する必要がある。裁判も同じことだ。


  法律は論理の組み立てで成り立っているが、その論理は単なる数学的なものではなくて、必ず現実的なあるいは常識的な思考過程との調整が必要となってくる。法律学も物理学も重要なのは、ある結論に至る論理の筋道だ。法律学では得られた結果が日常生活の常識を壊すようなものであってはならない。ところが、物理学では、数学的な道筋で推論して、常識とは異なる結果が出てきても、それが直ちに誤りということにはならない。そこのところが法律と物理の決定的に差である。

*https://twitter.com/#!/goroh

ネット利用法

2012年03月17日 10時16分12秒 | Weblog
SNSの使い方

   ツイッターTWやフェイスブックFBに続き、次々とSNSが生まれてくる。すべてネット上のサービスを提供して、いかにして広告料を稼ぎだそうかという仕組みだ。日本からもミクシィMXやDeNAなども参加しているが、会員数などでも評価はあまり芳しくはない。一般人はどのように利用すればいいのか、利用しなければいいのかは人それぞれだ。


   タレントなどの有名人がTWなどに参入すれば、すぐに大量のフォロワーがついてくる。けれども内容は「起きた、食べた、どこへ行った」などの類が多くてよほどのファンでなければ直ぐに飽きてしまう。いま管理人が使っている方法は、TWをメモ代わりにして、FBではグループを作り親類や知人などの仲間のサイトとし、これらの中から少し掘り下げてみたいテーマをブログにまとめるというやり方だ。


   そして原則として、ブログも含めてネット上での議論はしないことにしている。文字だけの議論は誤解を与えることが多く、その誤解を解くことはかなり難しいからだ。メールも同じことで、メールは会合などの単なる情報の交換にとどめている。ネット上の犯罪は日進月歩で、次々と新たな手が出てくる。被害を避けるためには、共通のIDやPWにしないで、面倒だがこまめなケアが必要だ。特にネット銀行などではPWは指示に従って定期的に変更することだ。