伊勢すずめのすずろある記

伊勢雀の漫歩…。
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  感性の趣くままに-。

シングル盤レコードに見る伊勢・志摩の歌謡曲

2010年07月19日 | 三重の歌謡曲

伊勢市の、ある町興し歌をリリース

 最近、伊勢市のある町興し事業に関係し、町興し歌を書いた。地元ゆかりの新人女性歌手が盛んに歌ってくれている。C.Dはメジャー盤ではあるが、地方リリースなので、なかなか全国へは波及せず、ヒット曲とは行かない。それでも、初盤は売り切れ再盤を重ねた。

 

伊勢・志摩のご当地ソング ~ 音頭もの ~

 道中伊勢音頭・別れの唄(A面)/ 正調伊勢音頭(B面) さて、このようなご当地ソングを、伊勢・志摩地方について調べてみると、シングル盤レコード(E.P盤)の時代から見て意外に多いことが分かった。おそらく、ドーナッツ盤が普及した戦後の昭和年代には、地方自治体のレベルでも簡単に制作できるようになったからであろう。「何々音頭」と言うのが実にたくさんある。

 ご当地ソングの内、音頭ものは、「伊勢音頭」に代表されるように、昔からその歌が民謡(何々節を含む)として庶民に歌い継がれて来たものもあるが、市町村の記念事業イベントのひとつとして創られているケースや、市町村史のように隣の町村がつくったから我が町村もと、まねたものも無いでもない。昨今は、地方のミュージシャンらが自由にパソコンで、手軽にインディーズ盤を創れる時代であり、一般には知られていないマイナー系ご当地ソングのC.Dをも拾い出すとなると、どれだけあるのか定かではない。ちなみに、シングル盤レコードとして制作された伊勢・志摩の「音頭もの」を掲げてみると、やはり、一番種類の多いのは「伊勢音頭」であり、次のものが確認できた。

キングレコード盤「伊勢音頭」
片面はちゃっきり節、唄:両面とも佐藤松子
ビクターレコード盤「伊勢音頭」
片面は串本節、唄:両面とも市丸 ※この盤以外に別の盤もある
CBS・ソニー盤「伊勢音頭」
B面。A面は河内音頭、唄:両面とも梅若
テイチクレコード盤「伊勢音頭」
SIDE1。SIDE2は激流、唄:両面とも鉄砲光三郎
東芝E M I盤「道中伊勢音頭・別れの唄(A面)/ 正調伊勢音頭(B面)」
伊勢市観光協会制定盤、唄:伊勢検番芸妓連 ※この盤以外に別の盤もある

 その他のものを列挙すると、

伊勢矢持音頭
A面:平家哀歌、唄:両面とも志摩みよし。東芝E M I 制作盤
鳥羽音頭
片面:鳥羽金刀比羅、唄:松田トシ・他、鳥羽市民文化会館落成記念。コロムビア・レコード制作盤
阿児町音頭
唄:葵 ひろ子、SIDE 2:演奏。東芝E M I制作盤
波切音頭
片面:新大漁音頭、唄:両面とも金沢明子、大王町観光協会発売。ビクター音楽産業制作盤
奥志摩音頭
唄:都 はるみ、片面:奥志摩小唄。日本コロムビア制作盤
新浜島音頭
唄:都 はるみ、片面:海のリズム(行進曲)。日本コロムビア製作、ソノシート盤
五ヶ所音頭
唄:小林 順・丘 多恵子、片面:五ヶ所・初恋・入江町。テイチク・レコード制作盤
宿田曽音頭
B面:宿田曽小唄、唄:英 亜里。制作:フラワー・オフィス、CBS・ソニー盤
南勢音頭
唄:葵 ひろ子、SIDE 2 カラオケ、合併25周年記念盤。東芝E M I 製造
南島音頭
唄:鎌田英一、B面:カラオケ、町制施行30周年記念盤。クラウン・レコード制作

などとなる。

 

伊勢・志摩のご当地ソング ~ 音頭もの以外 ~

 音頭以外の歌曲となると、民謡の他、町興し歌や歌謡曲(演歌)等となる訳だが、全国ヒットした伊勢・志摩のご当地ソングの例はまずない。これは、歌謡曲の世界では、ヒット・チャートに載る要素として、庶民感覚に受け入れられやすい都市や町があって、伊勢や志摩はそれから外れているのか、誰が歌ってもこれまでは、結果は芳しくなかったようだ。

 過去にヒットした歌謡曲を見ると、

「東京」「大阪」「京都」「札幌」「小樽」「函館」「長崎」「博多」「横浜」「横須賀」「神戸」「新宿」「銀座」「浅草」「有楽町」「赤坂」

など、首都圏や大都会を歌ったものがダントツである。しかし、意外に多いのは

「長崎」「博多」「小樽」「函館」「札幌」「津軽」

と、首都圏から南北遠く離れた両極端の町であり、かなり偏っている事が伺える。

 また、ヒット曲のタイトルの接尾語を見ると、

「~みれん」「~しぐれ」「~慕情」「~エレジー」「~ブルース」「~夜曲」

や、

「~の夜」「~の女」「~の人」「~の恋」「~の丘」「~の宿」「~の旅」「~の街」

等であり、接頭語によく使われるのが、

「恋の~」「愛の~」「雨の~」「夜霧の~」「別れの~」「北の~」「男の~」

等である。

 この他、

「町」「駅」「港」「船」「娘」「夢」「花」「波止場」「酒場」「海」「湖」「岬」「灯台」「橋」「坂道」「旅路」

なども、比較的よく使われている言葉である。

 今は昔と違い、メジャー系レコード会社の専属歌手や、大手プロダクション所属のビッグ歌手が歌ったからと言って、必ずヒット曲となるとは限らない時代である。それでも昨今は、地方の良さが見直されてか、多くの演歌歌手らが競ってご当地ソングを歌っている。

 かつてのE.P盤を見ると、ビッグ歌手北島三郎が「伊勢の女」(クラウンレコード)を歌い、同じく三波春夫が「伊勢はよいとこ」(テイチクレコード)を歌い、当時御三家の一人だったアイドル歌手・橋幸夫が「お伊勢ばやし」(ビクターレコード)を歌い、元大関琴風が「伊勢にかえろう ~夫婦岩~ 」(ディスコメイトレコード)を歌ってっている。

 また、最近では、鳥羽市出身の鳥羽一郎歌手が「志摩半島」(カップリング曲「大王の疾風」)や「紀州街道」をリリースし、演歌歌手・岡ゆう子が「夫婦岩」を歌っているが、ヒットの程は定かではない。

 

 最後に、伊勢志摩の歌謡曲(ご当地ソング)について、かつてリリースされたものを、戦後のドーナッツ盤(マイナー盤E.P)から拾い出してみると、次のような曲がある。

ふたりの伊勢
唄:川西 清、東芝E M I制作盤
あゝ五十鈴川
唄:川崎千恵子、ビクター音楽産業制作盤
五十鈴川哀唱
唄:大川友子、クラウンレコード制作盤
二見かえる
唄:志摩ひろみ、テイチクレコード制作盤
花の夫婦岩
唄:志摩みよし、ミノルフォンレコード制作盤
伊勢路の旅
唄:志摩みよし、東芝E M I制作盤
志摩旅情 / 志摩ごころ
唄:森 はるみ、ユニオンレコード制作盤
志摩みれん
唄:英 竜也、東芝E M I制作盤
志摩育ち
唄:中村佳代子、東芝レコード制作盤
奥志摩ごころ
唄:若杉幸二、キングレコード制作盤
奥志摩の女
唄:小林 順、テイチクレコード制作盤
志摩の海
唄:村田英雄、日本コロムビア制作盤
浜島みなと町
唄:森 昌子、キャニオン・レコード制作盤

 

 だいたいこのような処であるが、他にかつて台湾で制作された海賊版カセット・テープに、松山恵子の「志摩の恋唄」がある。だが、オリジナル・シングル盤は見つかっていない。

 

ふたりの伊勢 浜島みなと町
志摩の海 志摩育ち
コメント
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