三無主義

 ~ディスパレートな日々~   耶馬英彦

TBSドラマ「カルテット」

2017年01月17日 | 日記・エッセイ・コラム

TBSドラマ「カルテット」の冒頭を観た。
http://www.tbs.co.jp/quartet2017/

よくわからない展開ながら、キャストの満島ひかりが以前にNHKの「とっとテレビ」で若き日の黒柳徹子を好演していたのを観ていたので、今回もすこし期待して観はじめた。
ところが、はじまって10分ちょっと過ぎたくらいの、カルテットの4人が食事をするシーンで、唐揚げにレモンをかけるかけないの話になり、それが怒り対蔑みという小学生レベルの論争になってしまったのを見て、このドラマを見るのをやめてしまった。
唐揚げにレモンをかけたくない人もいるので、断わりなしにレモンをかけるのはどうかという発言は、大人としてはけっして発すべきでない無礼な言葉だ。食事の際に同席者の気分を損ねるのは、唐揚げに勝手にレモンをかけるよりもずっと非常識な振る舞いである。この発言をするのが高橋一生で、松たか子がその発言に同調する。満島ひかりと松田龍平は閉口するという図式だ。このシーンは、このドラマが今後どういう展開になるかを既に物語ってしまっている。
今後は4人が我儘組と常識組の2人ずつに分かれ、我儘組に常識組が振り回されながら、ストーリーが進んで行くだろうが、唐揚げの議論に象徴されるように、登場人物の誰にも哲学がなく、精神的な余裕もない。これでは深い世界観は期待できないし、安っぽい展開にしかならないことは、誰が見ても明らかだ。

TBSの火曜日22時といえば、一大ブームとなった「逃げるは恥だが役に立つ」の枠だっただけに、あまりの落差の大きさに、開始10分ちょっとで早くも落胆してチャンネルから離脱してしまった。
たったひとつのシーンでそこまで決めつけなくてもと思う人もいるかも知れないが、ドラマや映画のシーンはひとつひとつが非常に大事で、いまどき小学生でもしないような低レベルの論争を延々と出演者に演じさせる、演出家の精神性の低さは、すべてのシーンに影響するだろう。ドラマ全体を深みのない、浅薄なものにしてしまうのだ。せっかく4人の達者な俳優を使うのに、残念至極である。