三無主義

 ~ディスパレートな日々~   耶馬英彦

終わってみれば・・・~天皇賞結果

2007年04月29日 | 競馬
 終わってみれば4歳馬、というのが大方の率直な感想だと思います。メイショウサムソンは4角手前からまくって行ったときに、勝ち負けにはなりそうな感じでした。マツリダゴッホはやや距離が長かったかな。エリモエクスパイアは前々走が2着だったものの、当時は53kg。56kgで臨んだ前走日経賞は1秒3も離された10着ですから、58kgを背負う今回、人気がなかったのも仕方がありません。アイポッパーは不可解な負け方をしました。案外、アンカツ騎手は長距離が下手なのかもしれません。デルタブルースは相も変わらず決め手不足のジリ脚を露呈。ネヴァブションは3連勝とはいえ、菊花賞の比較からメイショウサムソンには遠く及ばなかった。出遅れもありました。
 メイショウサムソンと同じオペラハウスの皐月賞馬テイエムオペラオーは、母方の血筋がナスルーラー系で素軽さがありましたが、サムソンの方は母方もダンシングブレーブで、やや重い気がします。ノーザンダンサーの3×4なんて、凱旋門賞馬にありそうなインクロスです。それでいて日本の高速馬場で勝ってしまうところが、地味に強い。ダンゴで行って直線ヨーイドンの競馬は得意ではないでしょうが、長距離の消耗戦ならしぶとく伸びてくるような印象で、改めてダービー馬の底力を見直しました。
 それにしても私の馬券は、正月の好調はどこへやら、すでに何連敗しているのか自分でも分からないくらい外れまくっています。この調子で外れ続けると、あっという間に競馬資金が底をついてしまうので、ボチボチ当てないとまずい。馬券を買うのをやめようとはもちろん思いません。競馬をやめたら一気に老け込んで痴呆症になりそうな気がして怖いんですね。


天皇賞~馬券

2007年04月29日 | 競馬
 ドリームパスポートが骨折してしまったものですから、今日の天皇賞はあまり気乗りのしないものになってしまいました。普通に考えれば日経賞組と阪神大章典組の争いで、それぞれのレースで3着までに入った5頭の組み合わせを買えば当たる気がします。

◎12番 トウカイトリック
○8番 アイポッパー
▲14番 ネヴァブション
△10番 トウショウナイト
△1番 マツリダゴッホ

といった感じですね。デルタブルースメイショウサムソンダークメッセージなんかも気になりますが、あまり手を広げてもなんだし、今回は馬単のBOXを少しだけ買いました。

受付番号:0001   受付時刻:13:57   受付ベット数:20
受付内容
件数 場名 レース 式別 馬組 金額 的中
(1) 京都(日) 11R 馬 単 BOX 01,08,10,12,14 各3,000円(計60,000円)   
購入金額 60,000円 


身勝手な親子連れ

2007年04月27日 | 政治・社会・会社

 間もなく大型連休ですが、この時期になるとどこに行っても見掛けるのが自分勝手な親子連れです。交通機関やホテル、ショッピングセンター、飲食店などの公共の場所で身勝手な言動をしているのはたいてい親子連れで、共通しているのは子供の傍迷惑な行動を放ったらかしにしているバカ親が、その脳タリンのガキのしでかしたことで見ず知らずの他人と争うという構図です。相手が一般の人ならまだ、こんなバカ親に対して正面から反論できますが、気の毒なのは店舗の従業員で、どんなバカ親子でも客は客ですから客商売の鉄則「お客様は100%正しい」に従わざるを得ず、アホガキが店内を走り回ってぶつかったり転んだりして勝手に怪我をしたのに、床が滑るだの、ぶつかるようなところに物を置くのが悪いだの、ヤクザ顔負けの難癖をつけてくるバカ親に対して一言の反論も許されずにひたすら謝らなければならないという理不尽な立場にじっと耐えなければなりません。親バカという言葉は特定の親や親の持つある一面を指すのではなく、親というものの特色をそのまま表した言葉ではないかと思います。そして私のところにも、そういうバカ親からの苦情がこれから殺到するのかと思うと、憂鬱極まりない大型連休になりそうな気がします。合掌。


皐月賞の反省とダービーの展望

2007年04月19日 | 競馬
 勝ちタイムからするとお世辞にもレベルが高いとは言えない皐月賞でした。常に勝った馬が強かったとしか言えないのが競馬ですが、今回の皐月賞は全体に中途半端な印象で、必ずしもヴィクトリーが強かったとは言えないレースでした。ラップタイムを見るとよくわかります。さほど速いペースでもないのに後続の馬はなし崩し的に脚を使わされて、普通なら差し切れるはずのレースの上がりタイム35.9秒を差してきたのはフサイチホウオーのみ。誰が見ても脚を余して負けた感があり、ダービーではおそらく一番人気が予想されます。父親のジャングルポケットが2度GIを勝った舞台で距離は文句なし。鞍上もアンカツ騎手だし、単勝2倍くらいの高い支持率になるでしょう。
 しかしこういうときに思い出すのが10年前のサニーブライアンや26年前のカツトップエースで、皐月賞を人気薄で逃げ切ってダービーでもさほど人気のない馬が再び逃げ切ってしまいました。また、20年前の皐月賞の4コーナーで前が詰まって抜け出せなかった1番人気マティリアルがダービーでも1番人気になったものの、18着に惨敗しました。鞍上は名手岡部騎手だっただけに不可解な惨敗でした。近いところでは去年のアドマイヤムーンが皐月賞1番人気で4着に負けてダービーでも7着に沈みました。今年もこれらと同じような結果が十分に考えられます。ヴィクトリーが再び逃げ切ってアドマイヤオーラは馬群に沈みフサイチホウオーは追い込んでは来るものの2着がやっと、3着に人気薄が飛び込んで再び大荒れの3連単馬券となるのかもしれません。
 個人的にそのレース振りとバネの利いた走り方、それに父親がステイゴールドの小柄な牡馬というところが気に入っているドリームジャーニーですが、ダービーではおそらく人気を落としているでしょうから、逆に狙い目かもしれません。贔屓の引き倒しにならないことを願いつつ、もう少し追いかけてみようと思っています。


ドリームジャーニーの頭!

2007年04月15日 | 競馬
 あたかもサンデーサイレンス3世の争いの感もある皐月賞ですが、以前から決めていた通りここはステイゴールドの仔ドリームジャーニーに賭けてみようと思います。今年のメンバーは重賞で2着以下を何馬身も突き放して勝つようなゴール前の強烈な強さを持つ馬がなく、混戦が予想されます。4連勝のフサイチホウオーは共同通信杯以来なのと言われているようにトニービン系は中山を苦手とする傾向があります。ローレルゲレイロは1600mまでの経験しかありません。マイネルシーガルフライングアップルと共にスプリングステークスでたまたま流れ込んだだけの印象。ブラックシャンツェは前走で2400メートルを使って中1週のローテーションはきつすぎます。フェラーリピサは芝未勝利で狙いづらい。サンライズマックスはキャリア5戦でまだ1勝で連帯率が4割。ナムラマースは4勝馬で狙いごろですが前走が実績のない毎日杯。サンツェッペリンは前走の負け方がちょっとという感じ。弥生賞で4着に負けたメイショウレガーロの巻き返しもありそうな感じではありますがどうでしょうか。ニュービギニングは毎日杯で最速の上がりを記録しましたが、安定感がありません。アサクサキングスはきさらぎ賞以来のローテーションがどうか。モチは実力不足。エーシンピーシーは前走の負け方がひどい。アドマイヤオーラはもっとも減点材料の少ない馬ですが、やはりどこか力強さに欠ける印象。フライングアップルは見るべき点が前走のスプリングステークスだけでレースのレベルに疑問あり。ヴィクトリーは休み明けの若葉賞を勝って2000mのラジオNIKKEIでフサイチホウオーとタイム差なしの2着でここは狙いごろ。ココナッツパンチは前走いい競馬をしましたがなにせキャリア2戦。
 ということで非常に絞りづらいレースなので、最後は直感で。

◎ドリームジャーニー
○アドマイヤオーラ
▲ナムラマース
△ヴィクトリー
△メイショウレガーロ

受付番号:0001   受付時刻:11:35   受付ベット数:16
受付内容
件数 場名 レース 式別 馬組 金額 的中
(1) 中山(日) 11R 馬 単 1着ながし 1着:06
相手:08,10,15,17 各10,000円(計40,000円)   
(2) 中山(日) 11R 3連単 1着ながし 1着:06
相手:08,10,15,17 各5,000円(計60,000円)   
購入金額 100,000円   払戻金額 0円 

 関口さんには悪いのですが、フサイチホウオーには消えてもらうことにして、ドリームジャーニー頭の馬単と3連単を買いました。


東京都の新条例(案)

2007年04月14日 | 政治・社会・会社

 人類史上最低の国、アメリカ合衆国の大統領でさえも、三選を禁止しています。それは長いことやっていると必ず癒着が生じるからです。5歳の子供にもわかるこの理屈だけでも選ばれるべきではなかった石原慎太郎ですが、発言のひとつひとつとこれまでの東京都政を振り返ってみれば、新しい条例がいくつかできそうです。

新条例1 ババア取締条例
定義 ババアとは閉経後の女性を言う。文明がもたらしたもっとも悪しきもの。
罰則 女性が生殖能力を失って生きているのは罪なので、全員死刑とする。

新条例2 国家呼称条例
三国人の国を中華人民共和国などと呼ぶことはない。「中国」ではなく「支那」である。教科書もすべて「支那」に変更する。英語はチャイナ、フランス語はシナなのだから日本だけ「中国」と呼ぶ必要はない。

新条例3 スパルタ教育推進条例
教育者の暴力はこれを処罰しない。たとえ生徒児童が死に至ることがあっても、一切処罰しないものとする。このときの教育者とは都が教育者として認めたものに限る。

新条例4 情報公開に係わる条例
東京都は都が必要と認める場合、情報を公開する。都民の要求に応じて情報公開する場合、都がその情報公開を必要と認めることを前提とする。

新条例5 知事特別法
知事の業務は24時間多方面に亘っており、非公開を原則とし予算はすべて認められる。予算の内容についても公開しないものとする。なおこの条例は2011年までの時限条例とする。

新条例6 国旗国歌条例
都民はすべて国旗を所有し、国民の祝日および都が必要と認める日時には正面玄関または門扉に日の丸を掲揚しなければならない。東京都の公立学校および都立のすべての施設もこれに準じ、個別の行事においても国旗を掲揚し、国歌を斉唱することを義務とする。これに違反した教員、職員および管理者は懲戒免職とする。

新条例7 新安楽死条例
「ああいう人」と知事が認める者は安楽死処分とする。

新条例8 説明責任条例
東京都の政策に対して反対する者は、反対の理由をメディアを通じてきちんと説明する責任がある。東京都には政策の説明責任はない。東京オリンピック誘致の是非についての分析を説明する責任は、東京都にあるのではなくて、反対意見を伝えるメディアにある。メディアは説明責任を果たさずに反対意見を報じてはならない。

 書いているうちに腹が立ってきました。腹が立つなら書かなければいいというご意見もあろうかとは思います。しかしもしかすると現実にこういったひどい条例が成立してしまう日が来ないとも限りません。もしそうなったとしたら、都知事選でああいう人に投票した有権者のせいなんだということを書きたかったわけです。
 明日は皐月賞。都知事選はいい加減忘れましょう。


281万人の白痴たち

2007年04月12日 | 政治・社会・会社

 前回の衆院選挙で小泉自民党が圧勝したときも思いましたが、先週の都知事選挙で石原慎太郎が当選したことでいよいよ確信しました。この国の国民も東京都民も、もはや救いようがありません。あれほど都民のお金を私物化した最低の男に再び都政を任せようというのですから、泥棒に追い銭とはまさにこのことです。それとも2000年前の教えに従って、右の頬を打たれたら左の頬も打たせないと気がすまないのでしょうか。打たれるのがあの下劣漢に投票した白痴たちだけならまだいいのですが、そうではなくて社会的な弱者が毎日のように容赦なく鞭打たれることがこれからも続いていくのです。タカ派の石原を勝たせたことは同じタカ派の安倍軍国主義政権の掩護射撃にもなってしまいます。安倍政権は国家の罪や過ちを弱者になすりつける国家主義政権ですから、老人や身体障害者、貧乏人などが誰からも助けられることなく、明日に何の希望も持てないまま、ただ生きているだけだったりあるいは自殺したりする絶望的な日々がずっと続くのです。石原慎太郎に投票した白痴たちは、ただ白痴であるだけならまだしも、間接的な殺人者でもあるのです。切り捨てられた弱者たちの死、軍隊と化した自衛隊が未来に殺すであろう外国人ときには日本人の死、それに戦地に送られて犬死にする子孫たちの死、これらの死について、石原に投票した人たちはおそらく考えたこともないでしょう。しかし彼らの責任なのです。何らかの形で責任を取ってもらわねばなりません。人を殺すくらいなら殺される方がましだ、というのが普通の人の普通の感覚だと思っていましたが、いまはそうではないようです。勝ち組だとか負け組だとか意味のない区分けを勝手にしている馬鹿な企業に倣って自分たちのことも勝ち組と負け組に分けている阿呆な東京都民たち。自分たちが勝ち組だと思って負け組が悲惨な運命に落ちるのは当然だと考える冷血漢たち。人類に勝ち組も負け組も存在しないということがどうしてわからないのか、不思議です。


桜花賞~上がりが速すぎ

2007年04月08日 | 競馬
受付番号:0001   受付時刻:15:30   受付ベット数:12
受付内容
件数 場名 レース 式別 馬組 金額 的中
(1) 阪神(日) 11R 3連単 1着ながし 1着:14
相手:01,15,17,18 各5,000円(計60,000円)   
購入金額 60,000円   払戻金額 0円 

 というわけで、ウォッカはまさかの2着。勝ち馬と同じアグネスタキオン産駒のショウナンタレントエミーズスマイルは13着と15着に惨敗しました。実力負けですね。武豊のアストンマーチャンはやはり距離が問題だった感じがします。これからはスプリンターズステークスが目標になるでしょう。カタマチボタンイクスキューズが3着と5着に来たところを見ると、東京コースのクイーンカップは意外にレベルの高いレースだったのかも知れません。イクスキューズはマイラー血統だからどうかと思いますが、カタマチボタンはダンスインザダークだから距離伸びてよさそうなので同じ東京コースのオークスの穴馬になりそうです。それでも2着ウォッカから3馬身半も離されているので、実力といった部分で少し足りない面はあります。
 ウォッカとすれば、3コーナー手前でダイワが行った時についていくのが正解だったのかなとは思いますが、そうすると持ち味が出ないかもしれないし、なんとも難しいところです。私の見たところでは四位騎手の騎乗はそう悪くなかったと思います。馬も無理をしていないし、実力は十分に発揮しました。今回は安藤騎手がうますぎたと言えるでしょう。
 それにしても、「魔の桜花賞ペース」と言われたのはいつの日のことだったのでしょうか。最近の桜花賞は古馬のレースのようで、昔みたいにガリガリと先頭を奪い合いながらすさまじいハイペースでレースが進むということがなくなりました。今日のレースもこれが桜花賞かと疑うくらいのスローペースで、直線の上がりの競馬になってしまったので、いくらウォッカの末脚がすごくても、レースの上がりが33.9秒では差し切れるはずもありません。
 上がりが33秒台でも驚かなくなったのはいつ頃からだったかはもう定かではありません。たしか1984年から2000mに短縮された天皇賞でミスターシービーが勝ちましたが、その前哨戦の毎日王冠で上がり33秒台を記録したのが私の記憶の中では最も古い上がり33秒台ですね。そのときは本当に驚きました。それまでは上がりタイムというと35秒台が普通で、34秒台の前半を記録したりすると、たいていのレースでごぼう抜きにできたものです。毎日王冠のミスターシービーの末脚を、スポーツ新聞が「究極の鬼脚」なんて表現をしていました。
 そのときはまだ、滅多に上がり33秒台を記録する馬はなく、強かったメジロマックイーンやテイエムオペラオーでも33秒台というのはそうは出していなかったと思います。それが最近ではディープインパクトをはじめ、2歳のうちから33秒台の末脚を披露する馬が続出していて、馬のポテンシャル自体が以前に比べるとずいぶんと高くなったと言えると思います。だからこそ海外のGIを日本馬が1番人気で勝つことにつながってきたんでしょう。日本の競馬のレベルはここ20年くらいで本当に上がってきました。今も上がっています。
 競走馬は日進月歩です。人間はどうなんでしょうか。


今年は大型馬

2007年04月08日 | 競馬
 桜花賞の出馬表を見ていて気づいたのですが、出走馬18頭のうち前走で馬体重が450kgを下回っていたのはイクスキューズフローラルカーヴベリーベリナイスエミーズスマイルの4頭だけで、あとはみな牡馬並みの体格の馬ばかりなんですね。人気のウォッカダイワスカーレットは共に488㎏で男馬でもやや大きい方です。カノヤザクラなんて500㎏を超していて、いかにも短距離馬のイメージ。そういえばメンバーを見渡してみても長距離が向きそうな馬はというと、どの馬もピンと来ません。今日のレースはともかく、距離の長いオークスはとてつもなく荒れそうな予感がします。
 今朝はまじめに都知事選挙の投票に行ってきました。誰に入れるかはもうずっと前に決めていました。
 同じく桜花賞もどの馬から買うかはとうの昔に決まっていまして、問題は2、3着争いがどうなるかでしょう。カタマチボタンイクスキューズピンクカメオハギノルチェーレなども気になるところですが、ここはアグネスタキオン産駒の3頭と武豊のアストンマーチャンの計4頭に絞ります。ウォッカ流しの3連単。5,000円ずつかな。

◎ウォッカ
○ダイワスカーレット
▲エミーズスマイル
△ショウナンタレント
△アストンマーチャン

そんなところでしょう。今回は無難に決まるはず。


タバコは悪くない

2007年04月07日 | 日記・エッセイ・コラム
 禁煙して2年あまりになります。その前は相当なヘビースモーカーで一日にハイライトを一箱と缶ピースを半分ほど吸っていました。両方ともニコチンとタールの多い強いタバコです。一日約50本。タバコの場合、「強い」の反対は「弱い」ではなく「軽い」といいます。別に「弱い」でもいいと思うのですが、それだと吸っている人まで弱々しい印象になってしまうからなのでしょうか。たしかに「僕は軽いタバコを吸っている」だと「健康に気をつけているのね」という感じですが、「僕は弱いタバコを吸っている」だと「どこか具合でも悪いの?」と聞きたくなります。そもそも「弱い」という言葉自体があまりいい印象の言葉ではありません。人間は生き延びて子孫を残すのが目的の動物のひとつですから、当然弱いよりも強い方が有利だし望ましい訳です。弱い男よりも強い男の方が女性に人気がある理由です。もっとも、男よりも女の方がはるかに強く生き延びるであろうという議論は置いての話です。私自身は強い方がいいなんてちっとも思っていません。そもそも人間が生き延びて子孫を残さなければならない理由なんかどこにもないのです。
 ま、そんな話はともかく、タバコをやめた直接のきっかけは引越しでした。荷物の片付けと部屋の掃除をしていると4年間でこびりついたヤニが部屋の至るところに付着していまして、たとえば本のカバーがタバコのヤニで茶色くなってしまうと、拭いても元のようには戻りません。2200冊を超える蔵書の大半がそんな状態になってしまい、この際だから全部買い取ってもらおうとブックオフを呼びました。ところがやってきたお兄さんが言うには、128冊しか買い取れないとのことでした。蔵書の中には深瀬基寛さん翻訳のオーデン詩集の初版本など、わかる人には価値のある本もあったのですが、そういう本も容赦なくはじかれていました。そこで買い取りの基準を尋ねてみると、本の外見がきれいかどうかの一点だけで、それ以外の、作者もタイトルもジャンルも初版本か否かもまったく関係がないとのことでした。なるほどと思いました。誰にでも理解できる簡単な判断基準があればこそ、本に精通しているとはとても思えない若いお兄さんでも買い取りに来れる訳です。仕方がないので残された本のうち前述のオーデン詩集をはじめとした私にとってある程度思い入れのある本は取っておき、それ以外を捨てることにしました。結果的に100冊以上も手元に残すことになりましたが、読み返す機会を得たと考えることにしました。ただ、その他の約2000冊を捨てるのにゴミの回収業者を呼んだところ、5000円もかかったのには閉口しました。物を捨てるのにお金がかかるとなると、買うときは相当慎重にならないといけません。
 タバコの話に戻りますが、捨てたのは本だけではなく、スーツや上着、布団や折り畳みベッドも捨てました。染み付いたタバコの臭いがどうしても気になったのです。ついでにタバコとは無関係ですが腰を痛めたこともあって、ゴルフセットも捨てました。そうして身の回りからタバコの臭いがする物を取り除いてしまわないと、帰宅したときにどこからかタバコの臭いがしてくるのです。これはタバコを吸う人には決してわからない部分です。前にJTが「しかし煙はぶつかった」というCMを流していましたが、禁煙する前は、煙くらいいいじゃないか、そう目くじらを立てるほどのことではないだろうと思っていました。しかし禁煙して身の回りからタバコの臭いを排除して、そしてそれに慣れてくると、CMの感覚が実感できます。普段タバコの臭いに接しない生活をしているとイガラっぽさに耐えられなくなるのです。だからスーツも上着も布団もベッドも捨てることになりました。非喫煙者からすると、自分の着ているものや持ち物がタバコ臭くなるのは勘弁して欲しい訳で、「しかし煙はぶつかった」というのは非喫煙者からすると当然の苦情なのです。だから嫌煙権を主張する人を以前はヒステリックだなと感じていたのが、いまではある程度やむをえない感情だと思っています。とは言っても、以前は私もタバコを吸っていたのですから、他人が喫煙することを禁じたり、タバコをやめるようにすすめたりはしません。それから寿司屋のカウンターで隣に座っている人から「タバコを吸ってもいいですか?」と聞かれたときも、「どうぞ」と言います。しかしもうその店には行きません。タバコをヘビーに吸っているときも、寿司屋のカウンターではタバコは吸わないことにしていました。寿司の繊細な味がタバコで台無しだし、隣の人にも申し訳ないと思っていたからです。最近はレストランでも禁煙のところが多くなりました。夜は喫煙できるけれども満席になるランチタイムは禁煙とか、そういうふうにしている店舗が多いようで、タバコを吸わない人間にとっては誠にありがたい。

 ということでタバコを吸わないことがあたかも非常にいいことであるかのような書き方をしてしまいましたが、実はいまだに、タバコを吸う夢を見ることがあります。吸いたい気持ちがまだ意識の底でくすぶっているんでしょうね。タバコをやめたらストレスがたまってやたらに食べて太ってしまいましたし、そのせいかどうかわかりませんが、腰を痛めたのもタバコをやめた後でした。もともとがせっかちな性格なので、タバコを吸わないと、ひとつの仕事を終わってからも休まずに次の仕事をすぐに始めてしまうことが多く、やっぱり体に無理をさせたのも腰を痛める原因になったのでしょう。タバコは悪いものではありません。
 タバコを吸うのは個人の自由ですが、一度私のようにやめてみると、タバコを吸わない人の視点が理解できると思いますね。明日は桜花賞と都知事選です。