(1)副島隆彦は米国のインテリジェンスに強いシンクタンクとすごくいい関係を持っている。シンクタンクでは、最悪情勢分析をやる。これはロシアでもイスラエルのインテリジェンス機関でもそうだ。荒唐無稽な話ではなく、現実的に、今、最悪の事態としてどういうことが想定し得るかを徹底的に予見する。
〈例〉イランのロウハニ政権が国際原子力機関(IAEA)との合意を無視して、核開発に走るとする。米国はそれを阻止できないので、イランは10ヵ月後に広島型原爆を持ってしまい、その小型化作業に入るかもしれない。
これはあり得るシナリオだ。
(2)(1)-〈例〉の場合、その状況をサウジアラビアが見て、サウジアラビア=パキスタン秘密協定を発動させ、パキスタン領内にある核弾頭のいくつかをサウジアラビアの領内に移すとする。
サウジアラビアの領域に核弾頭が移ったことによって、核不拡散(NPT)体制が崩壊する。
その結果、アラブ首長国連邦、カタール、クウェート、オマーンが核兵器をパキスタンから購入する。エジプトは自力で核を開発する。ヨルダンも自力で核を開発するようになるかもしれない。
核を購入する国と核を開発する国に分けたが、基礎的な学術水準の違いがあるので、核をつくれる国とつくれない国があるからだ。
(3)そうやって、核拡散が起きる。そこでNPT体制が崩壊する。
NPT体制が崩壊すると、ブラジルやアルゼンチンも核を持つようになる。
その影響は極東に現れてきて、北朝鮮のみならず、韓国と台湾が核兵器を持つようになるかもしれない。
(4)そうなったとき、どうなるか。それでも恐らく日本は核兵器を持てない。なぜなら米国の核の傘の下にあるから、その傘を外すことに対しては、米国も周辺国も反対するはずだからだ。
何でそういうことになるかというと、日本は第二次世界大戦で全世界を敵に回して戦った実績があるからだ。そういう国は核を持てないのだ。だから日本とドイツは最後まで核を持てない。
それで他の国が核を持つような時代になると、竹島問題にしても、慰安婦問題にしても、第二次世界大戦中の徴用工問題にしても、核を持った韓国と日本は外交で交渉していかないといけないなら、これは相当押し込まれるようになる。
こういうのが最悪情勢分析だ。
□佐藤優「第一講 地政学とは何か」(『現代の地政学』、晶文社、2016)pp.28-29
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【参考】
「【佐藤優】トルキスタンの分割、変容する民族意識、ユーラシア主義の地政学」
「【佐藤優】地政学から見る第二次世界大戦前夜」
「【佐藤優】地政学とファシズムと難民」
「【佐藤優】最悪情勢分析 ~NPT体制の崩壊~」
電通はアメりカが操る洗脳広告代理店であり、テレビ、新聞、週刊誌、ラジオ等のマスコミによる偏向報道によって、見事な洗脳に晒され続け、思考停止状態にある日本人は、自分自身の脳、すなわち思考そのものを点検せよ! 我々はハッ、と気付いて用心し、注意し、警戒すれば騙されることはない。 すべてを疑うべきなのだ!