次の(1)~(5)まで合計すると60兆円を超える。(6)の費用も加算すると、60兆円よりもっとかかる。
(1)復興費用 35兆円
東日本大震災の被害総額は、16~25兆円(政府試算)。復興費用は、北海道南西沖地震における奥尻島の場合、被害総額の1.4倍弱だった。25兆円に奥尻方式を適用すると35兆円になる。
(2)弔慰金と障害見舞金 1,000億円
死者・行方不明者は合計23,000人。「災害弔慰金の支給等に関する法律」に基づく死者、行方不明者(3ヵ月以上)に対する弔慰金は、生計維持者は500万円、それ以外の家族は250万円だ。仮に4分の1が生計維持者とし、残りをそれ以外の家族とすれば720億円になる。震災で障害を負った人にも災害障害見舞金が弔慰金の半額を支給されるから、併せて1,000億円だ。
(3)生活再建のための支援金 4,800億円
「被災者生活再建支援法」に基づき、損害の程度や再建方法に応じて最大300万円が支給される。警視庁まとめの全壊・半壊の数値【注1】をこれにあてはめると、4,800億円となる。
(4)原発から20km圏内の土地買い上げと住民への補償 20.3兆円
5月31日に開催された原子力委員会では、岩田一政・日本経済研究センター理事長が、原発から半径20km圏内を政府が買い上げる、という案を提示した。この案が採用された場合、南相馬市、楢葉町、富岡町、大熊町、双葉町、浪江町の土地を日本経済研究センターの試算同様に4.3兆円で買い上げ、さらに6市町内の総生産8,000億円を20年間にわたって補償すると、20.3兆円となる【注2】。
(5)廃炉費用 5兆円
「日本経済研究センター」の試算では、最低で7,400億~15兆円と試算している。東電は2年で1兆円と見込んでいる、とされる。廃炉に10年かかるならば、5兆円だ。
(6)その他
(a)雇用・生活支援
震災の影響による倒産は、6月7日現在、154社。被災地企業にはさまざまな特例措置があるので、実態としてすでに経営破綻している企業を加えれば、もっと多い。また、被災地以外の地域でも倒産する企業が増えている。通常は倒産は再生を前提としたものが多いが、震災の影響で倒産した企業の9割以上は清算型の倒産であり、雇用への影響は大きい。
失職しなくとも、節電による輪番休業や営業時間の短縮は、3人に1人とされる非正規雇用者の収入減に直結する。 失職しなくとも、節電による輪番休業や営業時間の短縮は、3人に1人とされる非正規雇用者の収入減に直結する。これらの者(直接の被災者ではない)のうち、国の援助を求めざるを得なくなる人も増加する【注3】。
(b)アレバ社
放射能汚染水の処理に当たっているアレバ社へ支払う費用は、衆議院決算委員会で、汚染水1トンに付き2億円、合計20万トンで40兆円という数値が取りあげられた。ただし、アレバや東電は、この数値を否定している。
(c)健康診断
今後30年という長いスパンで見なくてはならない【注4】。JCO臨界事故の際のように無料で健康診断を行う場合、福島県民205万人が通常5,775円かかる健康診断を毎年受診すれば年間118億円要する。若年層には、被曝との因果関係が明らかな甲状腺ガンのエコー診断(3,000~5,700円)も必要だ。
【注1】この記事は具体的な数字を示していないが、少なくとも全壊102,923棟、半壊58,817棟、一部破損304,326棟はある(防災科学技術研究所)。
【注2】この記事によれば、民間シンクタンク「日本経済研究センター」は、今後10年間で半径20km圏内の土地買い上げに4.3兆円、避難を余儀なくされる住民の所得補償に6,300億円、廃炉費用を含めると原発処理と賠償金だけで最大20兆円かかる、と試算している。
【注3】全国の生活保護受給者は今年3月時点で202万人余となった。200万人を超えたのは、終戦直後の1952年度(月平均約204万人)以来約半世紀ぶりだ。大震災の前から保護率が上昇しつつあったが、大震災によって拍車がかかった。
【注4】しかも、健康診断を必要とする人は、福島県民に限らないことが明らかになってきた。
以上、記事「震災復興と原発賠償で60兆円 この国にカネはあるのか」(「週刊現代」2011年7月2日号)に拠る。
いささか怪しげな試算で、殊に(4)は、「日本経済研究センター」が住民の所得補償に6,300億円と試算しているところを、敢えて6市町内の総生産8,000億円を20年間にわたって補償する、と仮定した理由が分からない。しかし、国の負担、つまり国民が負担することになる全貌の把握は必要で、この記事は(週刊誌の中では)その嚆矢となる栄誉を担っている。
なお、東電は、精神的損害に対する賠償を880億円と試算している(2011年6月23日4時13分 NHKオンライン)。
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(1)復興費用 35兆円
東日本大震災の被害総額は、16~25兆円(政府試算)。復興費用は、北海道南西沖地震における奥尻島の場合、被害総額の1.4倍弱だった。25兆円に奥尻方式を適用すると35兆円になる。
(2)弔慰金と障害見舞金 1,000億円
死者・行方不明者は合計23,000人。「災害弔慰金の支給等に関する法律」に基づく死者、行方不明者(3ヵ月以上)に対する弔慰金は、生計維持者は500万円、それ以外の家族は250万円だ。仮に4分の1が生計維持者とし、残りをそれ以外の家族とすれば720億円になる。震災で障害を負った人にも災害障害見舞金が弔慰金の半額を支給されるから、併せて1,000億円だ。
(3)生活再建のための支援金 4,800億円
「被災者生活再建支援法」に基づき、損害の程度や再建方法に応じて最大300万円が支給される。警視庁まとめの全壊・半壊の数値【注1】をこれにあてはめると、4,800億円となる。
(4)原発から20km圏内の土地買い上げと住民への補償 20.3兆円
5月31日に開催された原子力委員会では、岩田一政・日本経済研究センター理事長が、原発から半径20km圏内を政府が買い上げる、という案を提示した。この案が採用された場合、南相馬市、楢葉町、富岡町、大熊町、双葉町、浪江町の土地を日本経済研究センターの試算同様に4.3兆円で買い上げ、さらに6市町内の総生産8,000億円を20年間にわたって補償すると、20.3兆円となる【注2】。
(5)廃炉費用 5兆円
「日本経済研究センター」の試算では、最低で7,400億~15兆円と試算している。東電は2年で1兆円と見込んでいる、とされる。廃炉に10年かかるならば、5兆円だ。
(6)その他
(a)雇用・生活支援
震災の影響による倒産は、6月7日現在、154社。被災地企業にはさまざまな特例措置があるので、実態としてすでに経営破綻している企業を加えれば、もっと多い。また、被災地以外の地域でも倒産する企業が増えている。通常は倒産は再生を前提としたものが多いが、震災の影響で倒産した企業の9割以上は清算型の倒産であり、雇用への影響は大きい。
失職しなくとも、節電による輪番休業や営業時間の短縮は、3人に1人とされる非正規雇用者の収入減に直結する。 失職しなくとも、節電による輪番休業や営業時間の短縮は、3人に1人とされる非正規雇用者の収入減に直結する。これらの者(直接の被災者ではない)のうち、国の援助を求めざるを得なくなる人も増加する【注3】。
(b)アレバ社
放射能汚染水の処理に当たっているアレバ社へ支払う費用は、衆議院決算委員会で、汚染水1トンに付き2億円、合計20万トンで40兆円という数値が取りあげられた。ただし、アレバや東電は、この数値を否定している。
(c)健康診断
今後30年という長いスパンで見なくてはならない【注4】。JCO臨界事故の際のように無料で健康診断を行う場合、福島県民205万人が通常5,775円かかる健康診断を毎年受診すれば年間118億円要する。若年層には、被曝との因果関係が明らかな甲状腺ガンのエコー診断(3,000~5,700円)も必要だ。
【注1】この記事は具体的な数字を示していないが、少なくとも全壊102,923棟、半壊58,817棟、一部破損304,326棟はある(防災科学技術研究所)。
【注2】この記事によれば、民間シンクタンク「日本経済研究センター」は、今後10年間で半径20km圏内の土地買い上げに4.3兆円、避難を余儀なくされる住民の所得補償に6,300億円、廃炉費用を含めると原発処理と賠償金だけで最大20兆円かかる、と試算している。
【注3】全国の生活保護受給者は今年3月時点で202万人余となった。200万人を超えたのは、終戦直後の1952年度(月平均約204万人)以来約半世紀ぶりだ。大震災の前から保護率が上昇しつつあったが、大震災によって拍車がかかった。
【注4】しかも、健康診断を必要とする人は、福島県民に限らないことが明らかになってきた。
以上、記事「震災復興と原発賠償で60兆円 この国にカネはあるのか」(「週刊現代」2011年7月2日号)に拠る。
いささか怪しげな試算で、殊に(4)は、「日本経済研究センター」が住民の所得補償に6,300億円と試算しているところを、敢えて6市町内の総生産8,000億円を20年間にわたって補償する、と仮定した理由が分からない。しかし、国の負担、つまり国民が負担することになる全貌の把握は必要で、この記事は(週刊誌の中では)その嚆矢となる栄誉を担っている。
なお、東電は、精神的損害に対する賠償を880億円と試算している(2011年6月23日4時13分 NHKオンライン)。
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♪心身に障害を抱える人が世界で少なくとも10億人
どういうデータか、不明ですが、日本でさえ全貌を示す数値が出ていないのに、世界の数値が出せるのか、ちょっと疑問です。
「18歳のバイク事故による脳挫傷の後遺症」なら、発達障害ではないでしょう。高次脳機能障害かと拝察します。
発達障害者の数は、正確なところは不明ですね。発生率から推定するくらいです。
高次脳機能障害に至っては、近年公認された障害なので、症状も対策も、まだ研究中ですし、日本全体でこの障害を有する人の数は不明です。