語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【朝日俳壇抄】為政者の驕り露見や青嵐 ~7月10日~

2017年07月10日 | 詩歌
【凡例】☆印は共選作。①、②以下丸文字は一席、二席等。

<稲畑汀子選>
 ①夏至の日もなんだかんだと暮れにけり (佐賀県基山町)古庄たみ子
 ③水動く時涼しさの生まれけり (高松市)梶万喜子
 ⑥海賊の国に忘れし夏帽子 (奈良市)田村英一
 【評】一句目。一年で一番日が長い夏至。暮れるのが遅いと思いつつ、いつの間にか暮れた。つい気を許した一日になった。(中略)三句目。水を動かし、涼しさを作るのは風と知った。

<金子兜太選>
 ②山百合を山ごと負うて妻の墓 (群馬県東吾妻町)酒井大岳
 ⑥雲の峰昭和に飢ゑといふ記憶 (日立市)國分貴博
 ⑧返すすべ失せし一書を曝(さら)しけり (名張市)長山千栄
 ⑨花も実も子も無き六十路しやぼん玉 (島根県邑南町)高橋多津子
 ⑩為政者の驕(おご)り露見や青嵐 (野洲市)深田清志
 【評】(前略)酒井氏。山百合で亡き妻の墓を埋め尽したい。(中略)十句目深田氏。都議選を予見か。

<長谷川櫂選>
 ①反古(ほご)にする約束ひとつ沖縄忌(東京都)野上卓
 ②豊かなる胸よ心よ雲の峰(いわき市)馬目空
 ③よろよろと命の水へ夏の蝶(尾張旭市)久永満
 ⑤薫風や第九すなはちEU歌(ドイツ)ハルツォーク洋子
 【評】一席。ほんとうは「ひとつ」どころではないのだが。反古の山の島というべきか。二席。夏の讃歌である。あふれるような入道雲。三席。炎天下、水に集まるアゲハの群れを見たことがある。蝶たちもまた渇いているのだ。

<大串章選>
 ④戦にも地震にも耐へし大夏木(合志市)坂田美代子
 ⑦産土の今は蛍の里となり (川越市)大野宥之介
 ⑨空梅雨の三連水車廻りけり (伊万里市)松尾昭良
 ⑩枇杷(びわ)の実の人無き里に落つるのみ (明石市)小田龍聖
 【評】(略)

□「朝日俳壇」(朝日新聞 2017年7月10日)
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 【参考】
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