城壁と城壁との間の道を昇り又降り
その一角から内部に逼いりこみ
投げだされるように逼い出て一日を終える
冬になれば路上には風の塊りがなだれ落ちる
そのなかで人はよく微笑をたもち
もはや温和にしか言葉を話さない
偶々傍らの花瓶に花が挿してなかったとしても
所詮言葉と言葉との間には無数の迷路がある
城壁は泥土の上に連なって聳え
眺瞰する陰湿な低地の隅々に
迷路にみちびかれた夥しい人の住家がある
夜 平原に灯が乱舞するころ
人はおのがじし城壁をつむ 陰湿な低地の隅に
すでに風の塊りを防ぐほどに城壁は強固であろうか?
□中村稔「城」(『鵜原抄』、思潮社、1966:高村光太郎賞)
↓クリック、プリーズ。↓
【参考】
「【詩歌】中村稔「埴輪」」
「【メンタル・スケッチ】群衆」
「【メンタル・スケッチ】挽歌」
「【本】この1年に出会った本」
「【中村稔ノート】凧 ~戦禍の記憶~」
「【中村稔ノート】ある潟の日没 ~震災と戦災~」
「【読書余滴】追悼、森澄雄の生涯と仕事」
「書評:『本読みの達人が選んだ「この3冊」』」
「書評:『加藤周一自選集8 1987-1993』」
その一角から内部に逼いりこみ
投げだされるように逼い出て一日を終える
冬になれば路上には風の塊りがなだれ落ちる
そのなかで人はよく微笑をたもち
もはや温和にしか言葉を話さない
偶々傍らの花瓶に花が挿してなかったとしても
所詮言葉と言葉との間には無数の迷路がある
城壁は泥土の上に連なって聳え
眺瞰する陰湿な低地の隅々に
迷路にみちびかれた夥しい人の住家がある
夜 平原に灯が乱舞するころ
人はおのがじし城壁をつむ 陰湿な低地の隅に
すでに風の塊りを防ぐほどに城壁は強固であろうか?
□中村稔「城」(『鵜原抄』、思潮社、1966:高村光太郎賞)
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【参考】
「【詩歌】中村稔「埴輪」」
「【メンタル・スケッチ】群衆」
「【メンタル・スケッチ】挽歌」
「【本】この1年に出会った本」
「【中村稔ノート】凧 ~戦禍の記憶~」
「【中村稔ノート】ある潟の日没 ~震災と戦災~」
「【読書余滴】追悼、森澄雄の生涯と仕事」
「書評:『本読みの達人が選んだ「この3冊」』」
「書評:『加藤周一自選集8 1987-1993』」