語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【原発】東電電気料金値上げの根拠となる計算法は疑問だらけ

2012年09月02日 | 震災・原発事故
 水上貴央・弁護士によれば、東京電力の電気料金値上げの根拠となる計算方法は、東電に「焼け太り」を許すものだ。

 (1)高い自己資本報酬率の計上
 自己資本報酬率の算定ルールについて、電気事業の事業経営リスクを示す値を高くする計算方法の採用を許したため、実質破綻企業である東電に高い自己資本報酬率の計上を認めることとなった。つまり、原発事故によって、東電は焼け太り企業になるのだ。
 さらに、この計算方法が、原発事故を起こしていない他の電力会社にも適用される可能性がある。

 (2)負担金額の非開示
 東電は、原子力損害賠償支援機構法によって公的資金が投入されているにもかかわらず、自己資本報酬のうち特別負担金、一般負担金への拠出額を明示していない。

 (3)調達等における殿様商売
 さらなる徹底的な合理化が可能であるにもかかわらず、随意契約の見直しがきわめて甘い。

 (4)契約内容の非開示
 原発による購買電力について、原価算定期間における受電量をゼロと見積もっているにもかかわらず、原発の維持管理や安全対策工事等の費用として、1,000億円超の費用が料金原価の算入に認められた。しかし、その費用負担が妥当な理由を示すもの(東電と相手方間の契約内容)はいっさい開示されていない。よって、「受電しないにもかかわらず、なぜ費用を負担しなければならないか」という問題への根拠が何ら示されないまま計上できた。

 (1)から(4)まで徹底的に検討すれば、経済産業省が要求した圧縮幅を合わせると「値上げの必要はない」という結論もあり得る試算になる。
 最終判断の際に消費者庁が一石を投じたものの、結局は大臣の間で手打ち。
 ただし、会計検査院が東電を検査することになった。民間会社の会計全体を検査対象とするのは稀れだが、経産省がこれまでも、これからもチェック機能を果たせないことが明確な中、会計検査院が徹底した検査を行えば、「焼け太り」が少しはスリムになるはずだ。

 以上、吉田有里(国会議員秘書)「東京電力電気料金値上げの根拠となる計算法は?だらけ これでは焼け太り」(「週刊金曜日」2012年8月31日号)に拠る。
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