語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【保健】身近な食品で今日から健康に(1) ~チョコレート~

2016年12月09日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)愛知学院大学、愛知県蒲郡市、お菓子メーカー明治の共同研究。

 (2)2014年6月から7月にかけて、45歳から69歳までの347人の男女を対象とし、カカオポリフェノールを多く含むカカオ分72%のチョコレートを1日25グラム、4週間食べ続けてもらい、摂取前後の身体の変化を調べた。
  (a)顕著な結果が見られたのは血圧。被験者平均の血圧で、上(収縮期血圧)が2.6、下(拡張期血圧)が1.9下がった。注目すべきは血圧が高めな人ほど低下量が大きかったこと。正常血圧の人は1.6ほどの低下だったが、140以上の高血圧群では6程度の血圧低下が確認された。
  (b)認知機能に係る数値も改善された。脳由来神経栄養因子(BDNF)の値が増加した。これは近年の認知症研究で注目されている記憶力を向上させるタンパク質で、認知症や鬱病に罹ると減少する。チョコの摂取前は男女平均で6.07だったが、摂取後は7.39に改善した。男女別にみると、わずかだが女性の方が増加量が多かった。BDNFは、これまでも運動により増加することが知られていたが、チョコを食べるだけで増加したのは画期的なことだという。
 チョコを食べるだけで、なぜこうした効果が起きるのか。
 (a)については、チョコに含まれるカカオポリフェノールの抗炎症作用が、血流を妨げている血管内の炎症に対して働きかけたことが要因と考えられている。炎症を軽減し、血管を広げて血流を改善したことにより、結果として血圧を低下させた。余談ながら、肌のしわは炎症反応により発生する。カカオポリフェノールの抗炎症作用で、しわ予防も期待できる。
 (b)については、カカオポリフェノールの抗酸化作用により、BDNFが増加したものと見られる。体や脳の酸化を防ぐ作用で、アンチエイジングにも効果がある。

 (3)チョコは高カロリーだが、肥満リスクについては、1日25グラムはチョコ5粒で、150キロカロリー程度でしかないから、被験者の体重やBMIには変化が見られなかった。メタボリックシンドロームの心配はない。
 なお、食べるのはカカオ分を多く含むチョコがよい。目安は7割以上。それ以下だとたくさん食べる必要があるので、カロリー過多になる可能性がある。

□守屋浩司・編『人生を変える! 食の新常識/カラダにいい食事 決定版』(文春ムック、2016)の「身近な食品で今日から健康に!」(初出「週刊文春」2015年5月28日号)
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 【参考】
【保健】意外や意外、卵で糖尿病は予防できる

【社会哲学】言語社会学の諸問題--ひとつの集約的報告 ~ベンヤミン~

2016年12月09日 | 批評・思想
 
 ベンヤミンが「社会研究誌」に発表した論文は5編だ(10編に及ぶ書評を除く)。
 そのうち「言語社会学の諸問題--ひとつの集約的報告」(1935年)は、ヘルダーの言語理論からはじまって、ゴルトシュタイン(神経生理学者・精神医学者)の最新の研究までを見渡したものだ。ジャン・ピアジェの発達心理学、さらには、間接的とはいえ、ソシュールの言語論にも触れられていて、ベンヤミンの特異な言語論の背景を考える上でも貴重な論考だ。そもそも、言語学と社会学の接点に焦点を置いた、言語社会学という発想自体が当時としては斬新だ。

□細見和之『フランクフルト学派 ホルクハイマー、アドルノから21世紀の「批判理論」へ』(中公新書、2014)の「第3章 亡命のなかで紡がれた思想--ベンヤミン」 
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 【参考】
【社会】格差社会における「承認の欠如」 ~第三世代のフランクフルト学派~