主流経済学が想定する人間は合理的経済人。
需要も供給サイドも市場においてプレーヤーは自らの利益を最大化するように行動する。やがて競争原理のふるいにかけられ均衡に達し、価格が安定し適正な利益がプレーヤーにもたらされる。自らの利益を最大化するように行動することが、最大多数の最大幸福をもたらす、なんてベンサムは説いた。
「市場」で展開されるビジネスは競争原理と合理的経済人を前提としているから、人は自分の利益になることしかしない、とか、なんでも損得勘定で考える、ということが基本となる。
ビジネススクールでの教育もいきおい競争原理に打ち勝つ合理的経済人養成になりがちだ。したがってマジメにビジネスを勉強しすぎると、自分の金銭的利益を最大化する行動をとる。市場経済が想定する合理的経済人を地でゆくような人だ。
・自分の利益を最優先してものごとを進める。
・機密を漏洩する。
・恩をアダで裏切る。
残念ながら、こんなことを平気でするMBAホルダーを知っている。
たぶんその人なりに言い訳や、言い分はあるだろうが、
もう、そうゆうような人とは二度と一緒に仕事なぞやりたくない、
と身の周りの人が思い、ひとりかけ、ふたりかけとなる。
こんな反省があってかどうか知らないが、最近のビジネススクールでは倫理(Ethics)を正規科目にしている。べつに倫理を正規科目になんかしなくてもいいのだが。
人間の心模様の喜怒哀楽、葛藤、懊悩、煩悩、機微に触れるのは歴史や文学にまさるものはないだろう。これらを一般教養なんていうノッペリしたコトバでかたづけるのはよくない。他者と深い部分で交わることができる共感性に裏うちされた人間力こそが、どんな仕事にとっても大切だと思う。
専門科目の履修で忙しいかもしれないが、僕のコースやゼミでは件のMBA氏のような人間は創りたくない。時間をつくって歴史や文学に親しんで欲しい。そして卒業してからも長くつきあえる友人を一人でも多くつくってほしい。
ソーシャルアントレプレナーにとって自覚的に合理的経済人モデルを超越することが大切だとおもう。なぜなら、社会起業家は共感という無形資産をテコにしてモノゴトを進めるからだ。
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