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自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

リスクを取る! MOTシンポジウム 議論百出・・・

2008年10月10日 | 技術経営MOT


大岡山の東工大に奇人、変人(Outstanding personsという意味)が集まった。黒川清、冨山和彦、坂本幸雄、村口和孝。秋あたかも金融恐慌進行中の昨今。だいたいこういうメンツの言いたい放題系の講演会はそうそうあるものではない。いい企画だ、傑出している。ということで、東工大MOT藤村修三教授の軽妙なモデレーションで、4人から議論百出・・・。

東工大の博士学生が考える「リスク」と四氏の所見を対置させる図式でディスカションが進む。以下ポイントのみ。

村口和孝さん:

・人間は未来に投資をするサル。
・お受験、イイ中学、イイ高校、イイ大学、イイ会社の経路にどっぷり使っていると何がリスクなのか分からなくなる
・お受験、イイ中学、イイ高校、イイ大学、イイ会社の経路のなかでは、誰も「リスクへの対応=忍耐、独立心、本当のカネ儲けの仕方を教えない。
・みんながかよった代ゼミ、四谷大塚、駿台で、受験校や大学でこんなこと教える先生いるかい?いない。
・で、奇妙な迷信がまかりとおっている。
・迷信を信じている人が世間的にいうガッコウエリートには多い。
・迷信を捨て、経験科学的精神を持つべきだ。
・この講演会、学生の参加者が少ないが、もはやイイ大学の学生は「リスクを取る」ことにさえ興味を示さないのではないか?
・桃太郎のおばあさんは桃太郎に投資をして、桃太郎は鬼退治をして成果をあげた。
・桃太郎のおばあさんのような人が本当の投資家だ。知恵モノばあさんだ。
・サル性を取り戻すことが大事。
・ものごと、計画通りなんかには行かない。私だって、計画どおりにいったためしはない。たえず、反応を謙虚に見て自分の行動を修正するだけよ。

黒川清さん

・若者の留学志向が急減している。
・大学の先生にも留学経験者が少なくなってきている。
・みんな日本のなかでこじんまり内向きでおとなしくしている。
・ソトと交わってこすれずに、日本のなかでおとなしく気持ちよくなっていることが最近のトレンド!
・他流試合をして、いいもの(理論や本当に優秀な教授、学生)に触れないと鈍化する。
・で、みんな進んでいると思っていながら実はみんなで気持ちよく鈍化しているのが最近の傾向である。
・ニッポンガラパゴスだ。
・こりゃ、そうとうヤバイ!
・僕は14~5年くらいアメリカいってたけど、ホント凄い奴らにでくわしたよ。
・東工大の技術系エリート諸君も、こんなんではダメだぞ!
・北京オリンピックでもそうだが女性のほうが元気。笑)留学生は女性のほうが志願者、実行者ともに多い。これからは女性に期待しましょうね。
・女性はいつも出口や窓を考えているから強いの。
・人間、内向きになると変化に対応できなくなる。
・なぜならば差異=価値の違いに触れる機会が減少してくるからだ。
・Melting Pot→Salad Ballにようにアメリカ、先進国の社会は変化している。Salad Ballでは個々の野菜や素材は原型をとどめ、それぞれの味、個性がある。それが、まとまって多元的な味わいとなってくる。
・だから、際立つ能力、個性こそが大事だ。
・日本人の若者はもしかして没差異化、没個性化になっている?

冨山和彦さん:

・リスクは「分散」である。
・評論家、コメンテーターは99%バカばかり!
・学力が低い奴らがギャーギャー、バカを言っている。
・資本主義はもう終わりだとか、新自由主義は終わりだとか。
・いいかげんそういう議論はやめてくれ。マスコミの質が劣悪。ジャーナリストも。
・今度の金融恐慌では、日本国内の製造業もそうとうヤラれるはずだ。
・既存の大企業や研究所なんかに行っても、いいことはなにもない!
・みんな、特に学生さん、妄想から醒めないとマズイね。
・大企業や研究所中心のキャリアでやりたいことができるというのはただの妄想。
・集団的妄想にかかっているとしか言いようがない。
・先生もこのあたり、よくわかっていないからなにも言わない、言えない。
・大企業ほど、リスキーということを学生も大学教授も知るべきだ。
・数少ない脱藩組み(登壇者のような)がリスクを取っている=リスクヘッジしている。
・大企業に入っても社内調整、談合的意思決定、少ないリターンに辟易となるだけ。
・誰もそういう真実を伝えていない。
・だから東工大の優秀な学生でも、右へならえで大企業、研究所へ行っている。
・つまんない人生を選んでいるだけ。
・いったん会社はいって、辞めたり、放浪したり、起業するのもいいもの。
・起業して会社をつぶすことなんかはなんでもない。有限責任なのだから。
・でもたいていの人間は分からないことに恐怖心を抱く。
・知らないから変わったキャリアを歩く勇気が持てない。
・恐怖を感じる局面で3回連続して意思決定に失敗すると、たいがいの経営者は破綻していく。
・修羅場のなかで冷静な自分を維持して合理的に判断できる人が生き残る。
・経営者は罪のない人を切るような理不尽な意思決定に耐えることが出来る人。
・しかし首を切るのは殺人じゃない。人も会社も新陳代謝をしないと淀むね。Macro的に見れば、首切りは経済を活性化させるので良いことだ。
・そして、つぶれた会社から出てきた人は頑張っている。長銀、興銀、山一など。
・だから経営者は、首はスパッと切らねばいけない。
・しかし他人の人生の責任はとれないし、とらない(とるべきではない)(これは本音)
・今後は徹底的に資本集約的な企業か、徹底的に知識集約的な企業でなければサバイブできない。どっちつかずの中間領域にいる企業はダメになる。
・市場競争メカニズムの深刻な不全状態を糾して優勝劣敗、淘汰再編の世の中をつくるべきだ。

坂本幸雄さん:

・個人に力がありさえすれば、どこでも勝負できる。
・私は勝負してきた!株主を儲けさせた。
・大企業からやってきたバカで仕事をしないオジサンは帰ってもらった。
・大企業に長くいすぎると、人間ダメになります。
・彼らは個人の責任でモノゴトを決めない。
・ただみんなで調整して大事な決定を先のばししているだけよ。
・ああいう連中とは絶対いっしょに仕事はしたくないね。
・真に実力がある個人から見れば、どこの会社で働くかは問題ではない。
・チャレンジしないことのリスクのほうが大きい。
・世の中の会社のほどんどは社内会議、調整に75%くらいの時間を使っている。
・エルピーダではそんなことはしないし、さねない。
・出張の飛行機だって6時間以内なら全員エコノミーですよ。
・ほとんどの時間を実質的な仕事、顧客訪問に使う。
・成長期は夢、情熱で動く。
・成熟期は責任感で動く。
・やがて組織は官僚化して衰退していく。
・なので、日々これ進歩、日々これ改善で行くしかない。

ということで、株価暴落中の絶妙なタイミングで、非常にいい講演会だった。いい集まりはアウトプットが多いが、それを知識化して行動に繋げてゆくのは参加した個人に依存することもまた事実だろう。さて。

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