ブログ人気投票にクリックいただけると幸いです!
「一問必答」は、「一問一答」に掛けた造語として、今回のシリーズで用います。中学受験した学校に合格するために、ぜひ正解してほしい問題の中で、特に経験的に修得すべき基礎的知識を含む今春の問題を取り上げ、ポイントを解説します。
今日のテーマは、日常においても様々な場面で常識として取り扱われる考え方を含む問題です。特殊算の中でも、最も有名な問題の一つである「植木算」について取り上げます。
長年この問題は、入試問題として出題され続けています。規則性の問題ですが、物事をしっかりと考える習慣のない人は、ミスしがちな問題の一つです。
【今春の入試問題】 (分数の表記は、実際の入試問題と異なります。)
1.開智中学校
100cmのアメを、5cmごとに切り、20個のアメに分ける作業を行います。この作業は、1つ切り分けるために20秒かかり、1つを切り分け終えてから、次を切り分け始めるまでに10秒かかります。すべてを切り分けるためには、□分□秒かかります。
2.大妻中学校
縦3cm、横8cmの長方形の紙を、のりしろを□cmにして、横方向に16枚つなげてできる長方形の面積は321cmです。
3.桜蔭中学校
同じ大きさの小さい正方形の紙をはりあわせて大きい正方形を作ります。小さい正方形の紙の1辺の長さの1/8の長さをのりしろとして、たて、よこ12枚ずつ、全部で144枚の小さい正方形の紙をはりあわせます。大きい正方形の面積は小さい正方形の面積の何倍ですか。
【解答と理解しておくべきポイント】
植木算は、他の学校でも、その考え方を使う問題が多く出題されています。単に木を植えたり、旗を立てたりする問題以外に、様々な問題に顔を出す考え方です。ですから植木算は、自在に使いこなせる基本的知識として、しっかりとマスターする必要があります。それでも毎年出題されるのは、基本を覚えず勘違いする受験生が多いからでしょう。
まず開智中学の問題から解説しましょう。
この問題は丸太を輪切りにする問題で、よく出てきます。単に植木算の考え方を使う問題というよりも、ちょっとした注意力を試す問題として出題されます。
アメを2つに切り分けるとき、1回切ればよいことは分かりますね。アメを20個に分ける場合、切る回数は20-1=19回です。これは、植木算の考え方です。ただし、間の10秒は、最後に切ったときだけ、必要ありません。切り終えて、10秒休憩した後に、切り終えました!と言うことはありません。
こうした問題を出題する教師は、よほど受験生の注意力を試すことに固執していると言えるでしょう。
20×(20-1)+10×(20-2)
=380+180
=560(秒)
560秒=9分20秒・・・答え
次は、大妻の問題です。
小さな長方形をつなげてできた大きな長方形の面積とたての長さは分かっています。この条件から、横の長さを求めます。
321÷3=107(cm)・・・横の長さ
8cmの紙を横にのりしろ無しで16枚つなげた時の横の長さは、8×16=128(cm)です。
16枚の長方形をつなげると、のりしろは16-1=15箇所できます。ここが、植木算の考え方です。
128-107=21(cm)短くなった理由は、のりしろ15箇所の長さの合計です。
よって求めるのりしろの長さは、21÷15=1.4(cm)です。
最後は、桜蔭の問題です。
方針としては、小さい正方形の一辺の長さを1と置きます。大きな正方形の一辺の長さを、植木算を使って出し、その結果から大きい正方形の面積が小さい正方形の面積の何倍になっているかを求める方法をとります。
小さい正方形の1辺の長さ(1とする)の1/8の長さをのりしろとして、12枚つなげた大きな正方形の一辺の長さは、のりしろが12-1=11箇所(植木算)あることを考えて求めます。
1×12-1/8×(12-1)
=12-11/8
=85/8・・・大きな正方形の一辺の長さ
したがって、求める大きな正方形の面積は、
(85/8)×(85/8)
=7225/64
小さい正方形の面積は、1×1=1ですので、求める何倍かという問の答えは、
7225/64=112と57/64倍(実際の分数表記と異なる)となります。
「植木算」は、大きな範疇に含まれる問題ではありませんが、考えの詰めがしっかりとできるか試す問題です。そうした力を見る問題は、他にも幾つかあります。
例えば「2けたの整数で、2でも3でもわれない数は幾つありますか。」といった問題です。この例題は、「1から100までの整数の中で~」の条件に比べて、計算量が3倍となります。それから2けたの数は、10から99まで90個あるのを、89個としてしまうと、いっぱいやった計算の努力が水の泡となってしまいます。
また、日数・曜日計算は、植木算と同様に詰めが甘い受験生にとって、ミスが出る問題の一つです。例えば、「11月25日が火曜日なら、その年の7月7日は何曜日でしたか。」などが代表例です。日数計算で1日ずれる場合があります。また、曜日計算も同様にミスするポイントがあります。自分がやっていることを理解し、細かい点に注意力を働かせることができる受験生は、それらのミスしやすいポイントを、的確に解いて間違えることはありません。
以前に、植木算を含む特殊算についての考察を、以下のブログで綴りました。興味ある方は参考にご覧下さい。
マッキーが教える小学生の算数…算数の『特殊算』について考える