「マッキーのつれづれ日記」

進学教室の主宰が、豊富な経験を基に、教育や受験必勝法を伝授。また、時事問題・趣味の山登り・美術鑑賞などについて綴る。

マッキーの一問必答(6):基本的な考え方を含む植木算

2014年11月25日 | 学習指導法



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 「一問必答」は、「一問一答」に掛けた造語として、今回のシリーズで用います。中学受験した学校に合格するために、ぜひ正解してほしい問題の中で、特に経験的に修得すべき基礎的知識を含む今春の問題を取り上げ、ポイントを解説します。

 今日のテーマは、日常においても様々な場面で常識として取り扱われる考え方を含む問題です。特殊算の中でも、最も有名な問題の一つである「植木算」について取り上げます。

 長年この問題は、入試問題として出題され続けています。規則性の問題ですが、物事をしっかりと考える習慣のない人は、ミスしがちな問題の一つです。


【今春の入試問題】 (分数の表記は、実際の入試問題と異なります。)

1.開智中学校

100cmのアメを、5cmごとに切り、20個のアメに分ける作業を行います。この作業は、1つ切り分けるために20秒かかり、1つを切り分け終えてから、次を切り分け始めるまでに10秒かかります。すべてを切り分けるためには、□分□秒かかります。


2.大妻中学校

縦3cm、横8cmの長方形の紙を、のりしろを□cmにして、横方向に16枚つなげてできる長方形の面積は321cmです。


3.桜蔭中学校

同じ大きさの小さい正方形の紙をはりあわせて大きい正方形を作ります。小さい正方形の紙の1辺の長さの1/8の長さをのりしろとして、たて、よこ12枚ずつ、全部で144枚の小さい正方形の紙をはりあわせます。大きい正方形の面積は小さい正方形の面積の何倍ですか。


【解答と理解しておくべきポイント】

植木算は、他の学校でも、その考え方を使う問題が多く出題されています。単に木を植えたり、旗を立てたりする問題以外に、様々な問題に顔を出す考え方です。ですから植木算は、自在に使いこなせる基本的知識として、しっかりとマスターする必要があります。それでも毎年出題されるのは、基本を覚えず勘違いする受験生が多いからでしょう。

まず開智中学の問題から解説しましょう。

この問題は丸太を輪切りにする問題で、よく出てきます。単に植木算の考え方を使う問題というよりも、ちょっとした注意力を試す問題として出題されます。

アメを2つに切り分けるとき、1回切ればよいことは分かりますね。アメを20個に分ける場合、切る回数は20-1=19回です。これは、植木算の考え方です。ただし、間の10秒は、最後に切ったときだけ、必要ありません。切り終えて、10秒休憩した後に、切り終えました!と言うことはありません。

こうした問題を出題する教師は、よほど受験生の注意力を試すことに固執していると言えるでしょう。

20×(20-1)+10×(20-2)
=380+180
=560(秒)
560秒=9分20秒・・・答え

次は、大妻の問題です。

小さな長方形をつなげてできた大きな長方形の面積とたての長さは分かっています。この条件から、横の長さを求めます。

321÷3=107(cm)・・・横の長さ

8cmの紙を横にのりしろ無しで16枚つなげた時の横の長さは、8×16=128(cm)です。

16枚の長方形をつなげると、のりしろは16-1=15箇所できます。ここが、植木算の考え方です。

128-107=21(cm)短くなった理由は、のりしろ15箇所の長さの合計です。

よって求めるのりしろの長さは、21÷15=1.4(cm)です。



最後は、桜蔭の問題です。

方針としては、小さい正方形の一辺の長さを1と置きます。大きな正方形の一辺の長さを、植木算を使って出し、その結果から大きい正方形の面積が小さい正方形の面積の何倍になっているかを求める方法をとります。

小さい正方形の1辺の長さ(1とする)の1/8の長さをのりしろとして、12枚つなげた大きな正方形の一辺の長さは、のりしろが12-1=11箇所(植木算)あることを考えて求めます。

1×12-1/8×(12-1)
=12-11/8
85/8
・・・大きな正方形の一辺の長さ

したがって、求める大きな正方形の面積は、
(85/8)×(85/8)
7225/64

小さい正方形の面積は、1×1=1ですので、求める何倍かという問の答えは、

7225/64112と57/64倍(実際の分数表記と異なる)となります。


「植木算」は、大きな範疇に含まれる問題ではありませんが、考えの詰めがしっかりとできるか試す問題です。そうした力を見る問題は、他にも幾つかあります。

例えば「2けたの整数で、2でも3でもわれない数は幾つありますか。」といった問題です。この例題は、「1から100までの整数の中で~」の条件に比べて、計算量が3倍となります。それから2けたの数は、10から99まで90個あるのを、89個としてしまうと、いっぱいやった計算の努力が水の泡となってしまいます。

また、日数・曜日計算は、植木算と同様に詰めが甘い受験生にとって、ミスが出る問題の一つです。例えば、「11月25日が火曜日なら、その年の7月7日は何曜日でしたか。」などが代表例です。日数計算で1日ずれる場合があります。また、曜日計算も同様にミスするポイントがあります。自分がやっていることを理解し、細かい点に注意力を働かせることができる受験生は、それらのミスしやすいポイントを、的確に解いて間違えることはありません。


以前に、植木算を含む特殊算についての考察を、以下のブログで綴りました。興味ある方は参考にご覧下さい。

マッキーが教える小学生の算数…算数の『特殊算』について考える

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マッキーの随想:山登りと火山

2014年11月18日 | 時事随想



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 趣味の一つとして、私は長年山登りを続けています。私の山登りのスタイルは、歳とともに変わってきました。私が夜行日帰りで出かけていた頃は、多くの若者が山登りに興味がありました。その後、若者の趣味が多様化し、若者と入れ替わるように、女性と中高年の登山者が増え、日本百名山がその人達のバイブルとなる時代になりました。
最近はトレイルランを行っている人たちが増えました。スポーツ性の高いこうした行為は、今までの登山者とは異なる人たちを呼び込み、高尾山周辺の山は、多くの人々で混雑しています。

 私の山登りは、体を目一杯動かすことを目的とした山登りから、若い頃は無視していた山の植物を愛でながら歩く山登りへと変化しました。この変化は、ひとえに加齢のせいでしょう。

 山登りは、一般道を歩いているわけではないので、様々な危険を伴います。特に高齢者の山登りは、転倒滑落などにより、思いもよらない場所で重大な事故に遭うことがあります。また、山の知識や経験が乏しいことが主な原因で、天候の急変ルートファインディングミスに対応できずに、命の危険に遭遇することも稀ではありません。

 突発的な落石や、普通の天候時における突然の落雷などの危険は、回避することが難しい場合があります。登山における多くの事故は、注意して避ける事ができるのですが、このように注意していても起きる事故もあることは確かです。


 今回の御嶽山噴火直後は、この災害をブログで語る気になりませんでした。山登りが趣味なら、一度は登りたい山が御嶽山です。私も未踏なので登りたいと思っていました。昨年知人から御嶽山登山に誘われましたが、都合がつかずに、知人だけが登ってきました。御嶽山は、それほど一般的な山であり、私が噴火時に、その現場にいても不思議ではない山です。多くの登山愛好家は、そう感じたことでしょう。あれからおよそ50日が過ぎ、57人が亡くなり、いまだに6人が行方不明となった災害を、ようやくこのブログで総括してみようと思いました。

 紅葉シーズンの9月27日(土曜日)のお昼時、御嶽山に登頂した登山者は、天候にも恵まれ、幸福な一時を過ごしていたはずです。多くの登山者でにぎわう御嶽山は、突然水蒸気爆発を起こし、大量の噴石が登山者に降り注ぎました。死亡者の大半が、この噴石に当たったことによる損傷死だったと報道されています。紅葉時期で、登山者が特に多い休日のお昼時という最悪のタイミングで、御嶽山は突然噴火しました。

 「危険な火山」に登るからいけないんだ。「君子危うきに近寄らず」でしょう。登山に無縁な人は、そう感じるかもしれません。けれども、日本には活火山が110火山あり、気象庁が常時監視している火山は47火山にのぼります。そして、その多くが、日本百名山になっている山なのです。すなわち登山対象の多くの山が、活火山なのです。

 日本列島は、環太平洋造山帯・環太平洋火山帯・環太平洋地震帯に属しています。そして、世界の地震の90%火山噴火の75%が、このエリアで起きているとも言われています。私たち日本人は、火山と地震の上で生活していると言っても言い過ぎではありません。

 御嶽山は、今回の噴火前は「噴火警戒レベル1」と評価され、火山活動は静穏であるとされていました。世界文化遺産となり、登山者が急増した富士山も、同じレベル1です。御嶽山登山は、三千メートル峰登山ですが、困難な山登りではなく、どちらかと言えば家族やグループで楽しめると言ってよいでしょう。

 では、今回の噴火による災害は、何が問題だったのでしょう。登山者に過誤があったわけではありません。では、火山を監視する気象庁に問題があったのでしょうか。今回の噴火が、マグマ溜まりが上昇して溶岩を噴出する本格的な火山活動(塾では小5で学習)ではなく、水蒸気爆発だったことからすると、今の技術で予報に限界があったとも考えられます。(ただ、後になってデータを分析すれば、それらしき兆候が認められるという報道もされています。)

 御嶽山は、噴火後にレベル3となり、入山規制となりました。この災害で気象庁は、今後より神経質に全国の火山の警戒レベルを変更することが予想されます。

 極論すれば、「火山性の山に登るな」と言うことは、「地震国日本に住むな」と言うに等しいと思います。登山愛好者は、火山情報をより厳密に判断するようになるでしょうが、活火山に登ることをあきらめることはしないはずです。予定していた富士登山を、山に異変がない限り変更することもしないでしょう。

 しかし、登山に出かける、すなわち火山性の山に登る行為は、登山の基本である、自己責任で判断し準備して実行するという原則を理解し、くれぐれも慎重な登山計画をたてる必要があります。

 今回、多くの老若男女が亡くなられたわけですが、アンラッキーとしか言いようがありません。ただ、山登りは、そうした危険を伴うものだという認識が、希薄になっていたように思います。まさに「天災は、忘れた頃にやってくる」という格言を忘れてはなりません。また、火山活動の監視およびその研究は、火山国・地震国の日本において十分だったのか、そして活動期にある活火山の登山道周辺における緊急時のシェルターの設置など、その予算を含め検証してみる必要があります。そうしたことが、今回不幸にも災害に遭遇した人たちの死と近親の方々の痛みを、いくばくか和らげることに繋がると確信します。

 文末になりましたが、亡くなられた多くの登山者の冥福を、心より祈りたいと思います。


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マッキーの『四季を楽しむ』:今年の新宿御苑菊花壇展

2014年11月14日 | 四季の植物と風景



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 季節が移り変わる時期、それを実感できる場所を訪れる楽しみをお持ちの方は幸せです。例えば咲いている花を思い出しても、あの公園のスイセン、あの川沿いの桜、あの神社の花菖蒲、あの植栽のクチナシ、公園入口のキンシバイ、あの駅横のギンバイカ、あの登山路のユキノシタ、あの山のガクウツギ、あの下りのサラシナショウマ、あそこでひっそりと咲くフシグロセンノウ、あの海岸のハマユウ、あの民家のヘブンリーブルー、あの丘で揺れるコスモス、秘密の場所のミツバ・モミジガサ・ハナイカダ~、・・・・・・季節と地図と画像が、止めどなく私の頭の中に浮かんできます。

  その時期が来ると、そうした花々は、私をその場所へ誘うのです。

 秋のこの時期、そんな楽しみの一つが、頻繁に訪れる新宿御苑で11月の初旬から中旬にかけて開催される菊花壇展です。菊は天皇家を象徴し、皇室ゆかりの新宿御苑ですから、その力の入れようは半端ではありません。菊の素晴らしさを堪能できます。今日のブログは、菊の奥深さと、綺麗な菊の画像を楽しんで欲しいと思います。



 新宿御苑は、いくつかのブロックに分かれています。その一つの回遊式の日本庭園内に、上家(うわや)とよばれる建物が、この時期に仮設で設置されます。それぞれの上屋ごとに、特色ある種類の菊の花々を鑑賞することができます。

 それぞれの菊花壇には、その菊の特徴が書かれた案内が設置されています。菊には門外漢の私も、それを参考に、様々な菊の花を楽しむことができます。


【江戸菊花壇】












 このように日本人に親しまれている菊が、秋の七草に入っていないのは、とても不思議なことです。この事は、以前のブログで綴りましたので、興味ある方はご覧下さい。

マッキーの『四季を楽しむ』:菊の季節・・・その1




【大作り花壇】






 毎年この菊の「大作り」を見る度に、その仕立ての労苦を感じざるを得ません。この菊は、1株から数百輪の花を半円形に整然と仕立てて咲かせる技法であり、新宿御苑独自の様式なのです。


【 伊勢菊・丁子菊・嵯峨菊花壇】






 この菊花壇は、少し特徴のある変わった菊が多いようです。花弁が上にまっすぐに伸びたものや、下に垂れ下がったものなど、変化を楽しむことができます。




【懸崖作り花壇】



 私たちの周りに最もよく見られる植物の一つが、キク科の植物です。特に、秋には多くのキク科の植物を楽しむことができます。ここで、キク科の植物について(塾ではその多くを小5で学習)まとめておきましょう。

【キク科の植物】・・・
ウィキペディアより参照

 キク科は、被子植物真正双子葉類に属する1分類群である。もっとも進化し、もっとも分化している植物とされる。
草本(そうほん)または木本(もくほん)。

 
キク、タンポポのように小さな花(小花)がたくさん集まり、さらにそれが一個の花に見える点が形態上の主な特徴である。このような花の形状を頭状花序(とうじょうかじょ、略して(頭花)という。

 また、その基部の、ガク(萼)のように見える部分を総苞片(そうほうへん)と称す。頭状花序(頭花)をつくる小花には、筒状花(管状花)と舌状花の二種類がある。ハハコグサは前者のみで花ができており、タンポポは後者のみで構成される。ヒマワリの花では、周囲を舌状花、中央を筒状花が占める。

 普通、花が筒状花のみまたは周囲に舌状花を持つキク亜科と、舌状花のみからなり茎葉に乳液を含むタンポポ亜科とに分類される。キク亜科をさらに数亜科に分けることもある。

 
世界ではおよそ950属2万種、日本では約70属360種のキク科植物が知られており、地球上のほとんどの地域で生育可能である。また、そのため、キク科には多くの栽培植物帰化植物が存在している。


【肥後菊花壇】






 ここは私が最も好きな菊花壇です。極めて繊細な花弁が葦簀に映えて、とても美しい菊です。どちらかと言えば細い花弁が、パリッと伸びきって、夏の線香花火を見ているようです。









 直植の花壇もあります。芝生の一部をこの時期に、菊の花壇として作っています。


【インフォメーションセンター】



 新宿門にあるこのインフォメーションセンターには、菊の解説コーナーが設置されていますので、立ち寄るとよいでしょう。今回は、11月3日の祝日でしたが、午後1時過ぎまで教室で業務がありましたので、その後に出かけて閉園間近の4時まで御苑を楽しみました。休みの少ない私は、半日を有効に使って、精神的休養に役立てています。

 今回紹介した菊花壇について、以前のブログでより詳細に解説しました。興味ある方は、ご覧下さい。

マッキーの『四季を楽しむ』:菊の季節・・・その2


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マッキーの一問必答(5):約数の性質を理解する

2014年11月10日 | 学習指導法



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 「一問必答」は、「一問一答」に掛けた造語として、今回のシリーズで用います。中学受験した学校に合格するために、ぜひ正解してほしい問題の中で、特に経験的に修得すべき基礎的知識を含む今春の問題を取り上げ、ポイントを解説します。

 今日の課題は、約数・公約数を求めるとき、ベン図を使って考えたり、具体的に書き並べて考えることができるようにしておくことです。また、最大公約数・最小公倍数を連除法で求める方法を理解し、その中で使われる数値の関係性を知ることです。

【今春の入試問題】 (分数の表記は、実際の入試問題と異なります。)

 このシリーズで取り上げる今春の中学入試問題は、私が作成した解説および解答を見ずに、まずは自力で解いてみることをお勧めします。大人には頭の体操になりますし、また受験生は、算数に対する興味や面白さが、倍増するはずです!

1.本郷中学校

A/42と表される0より大きく1より小さい分数について、これ以上約分されないような分数になるときに、Aに入る整数は何個ありますか。

2.開成中学校

以下の文章のア~ウに当てはまる数を答えなさい。3つの整数ア、イ、ウがあります。アとイの最大公約数は21、イとウの最大公約数は35、アとウの最大公約数は98です。また、アとイとウの合計は1000以下です。


【解答と理解しておくべきポイント】

大学合格実績が大きく伸びた本郷と、御三家開成の問題を取り上げます。

まず本郷の問題です。

前回も解説した分数の約分に関わる問題です。これ以上約分できない分数を既約分数と呼びますが、与えられた条件内の既約分数の個数を求めます。

分子のAは、条件から1以上41以下の整数です。

分母の42を素因数分解すると、42=2×3×7となります。分子Aと約分されない分数の数をもとめるためには、41個の数字から、2と3と7の倍数の数を除けばよいことは直ぐに分かりますね。

ただし、2と3と7の倍数の個数を求めるのは、小学生にとって少々難しい問題となります。集合で、2つの倍数の個数を求めるのは小4のテーマであり、3つの倍数の個数を求める問題は、小5の学習範囲です。3つの数の倍数をベン図で考えると、円が2重に重なった部分と、3重に重なった部分があることが分かります。小学生にとって、ちょっと大変な計算となります。

けれども今回の入試問題は、考慮すべき数の範囲が小さいので、本来の計算で出す方法を採らずに、書き上げて求めた方が遙かに簡単にできることに気づく必要があります。

2と3と7の倍数の数を除いた数を順に書いていきますが、偶数はすべて2の倍数ですからすべて除かれ、チェックする数はかなり限定されます。

よって求める分子を数え上げると、1,5,11,13,17,19,23,25,29,31,37,41の12個となります。

ちなみに計算で出す方法を記しておきましょう。(無論、ベン図を書いて考えます。)

2の倍数…41÷2=20あまり1
3の倍数…41÷3=13あまり2
7の倍数…41÷7=あまり6
2と3の公倍数(6の倍数)…41÷6=あまり5
2と7の公倍数(14の倍数)…41÷14=あまり13
3と7の公倍数(21の倍数)…41÷21=あまり20
2と3と7の公倍数(42の倍数)…

よって2または3または7の倍数の個数は、
20+13+5-6-2-1+0=29(個)
1から41までの整数のうち、2でも3でも7でもわれない数は、
41-29=12(個)

多くの問題は、数え上げるのではなく、計算で出すように指導しますが、今回の問題のように、計算で出すよりも数え上げた方がはるかに簡単な問題もあることを知っておく必要があります。



次は開成の問題です。与えられた最大公約数を素因数分解した形で条件を整理すると、以下のようになります。

 ア     イ     ウ
3×7     3×7
        5×7   5×7
2×7×7      2×7×7

アからウまで、それぞれの下に書かれた2つの最大公約数について、次にその2つの数の最小公倍数を下に書いてみましょう。

  ア        イ       ウ
2×3×7×7  3×5×7  2×5×7×7
=294×△ =105×□  =490×○

ア・イ・ウは、それぞれ294・105・490の整数倍であり、△と□と○は「互いに素」の関係の数字が入ります。

ここまで整理すると、この先が難しい問題となりますが、「アとイとウの合計は1000以下」という条件で救われます。

アからウまで書かれた最大公約数の最小公倍数の和は、294+105+490=889となります。したがって、△と□と○はそれぞれ1とせざるを得ず、ア=294、イ=105、ウ=490が答えとなります。

ちょっと待ってください! □を2としても、合計は999となり、条件に合うのでは?

しかし、最終的なアの因数には2が含まれいますから、イの因数の中に仮に2があるとすると、アとイの最大公約数は、与えられた条件の3×7ではなく、2×3×7となってしまい、題意に合いません。

基本をしっかりと押さえておけば、開成の入試問題さえ、正解することができます!


 今回で、今春の入試問題における「計算」・「数の性質」の問題を終了して、次回から毎回出題され間違いやすい文章題(小問)や図形の小問について、経験的に覚えておくべき問題を取り上げ説明しましょう。                         


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マッキーの『四季を楽しむ』:この川にトビハゼ?!

2014年11月06日 | 四季の植物と風景



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 10月下旬、江東区と江戸川区の境を流れる川岸を散歩して、護岸に潜むハゼを眺めていました。もうそろそろ、河川でのハゼ釣りは終わりを迎えようとしている時期です。かつて私は頻繁にハゼ釣りをしていましたが、ここ数年一回もハゼを釣るために竿を出すことはありません。

 釣りライター・故盛川宏直伝の薫陶を受け、頻繁に海釣りに出ていた時期がありました。冬には、マコガレイを釣るために、よく船宿から東京湾に出ました。そんな時、マコガレイの外道として、マハゼが良く釣れます。そうしたハゼは、刺身にできるほど無臭で、型も良いものが釣れます。けれども、川で釣るハゼは、夏から秋にかけてで、釣る楽しみはありますが、川魚臭くてあまり食べる気になりません。

 そんなハゼを目で追っていると、護岸の岩に上がっている小さなハゼに出くわしました。この河川をここ十数年眺めてきましたが、ハゼが護岸の石の上に登っている姿は初めてでした。マハゼも幼魚の時は、時として水面上にこのように出ていることがまれにあるのだろうか?何か変だな。



 近づいて観察しようとすると、水中に潜ってしまいました。そこで、周辺の護岸を歩いて探すと、4~5cm程の小さなハゼを、護岸の岩の上で何匹か見つけることができました。干潟のドロの上で生活するトビハゼみたいだけれど、こんな川の護岸に生息しているのだろうか。

 姿形は、小さなムツゴロウといった風で、やはりいつものマハゼとは異なります。じっくりと観察していると、突然立ち上がった状態で、水面を尾ビレで強く叩いてすばっしっこく水面上を1.5m程移動し、別の岩にたどり着きました。その移動方法に、私はびっくりしました。これぞまさにトビハゼの「すいとんの術」を見た思いがしました。



 干潟にムツゴロウのように生息しているトビハゼが、河口近くの河川の護岸に住んでいるとは、驚きでした。トビハゼをネットで調べてみました。

 『トビハゼ(跳鯊)は、スズキ目ハゼ科トビハゼ属に分類されるハゼの総称。干潟の泥上を這い回る魚として有名である。成体の体長は10cmほど。体は灰褐色で小さな白点と大きな黒点のまだら模様がある。眼球は頭頂部に突き出て左右がほぼ接し、平坦な干潟を見渡すのに適応している。胸鰭のつけ根には筋肉が発達する。同じく干潟の上を這い回る魚にムツゴロウもいるが、トビハゼの大きさはムツゴロウの半分くらいしかない。また各ひれの大きさも体に対して小さい。

 
通常の魚類はエラ呼吸を行い、代謝によって発生するアンモニアを水中へ放出する。このため空気中では呼吸ができない上に、アンモニアが体内に蓄積され脳障害などを起こす。しかし、トビハゼは皮膚呼吸の能力が高い上に、アンモニアをアミノ酸に変える能力があり、空気中での活動が可能である。



 東京湾の干潟から、ちょっと生息しづらい河川の護岸に生息場所を広げたトビハゼ。東京湾の干潟が少なくなって、環境の悪い汽水域の河川の河口に、止むを得ず進出したのか、残る干潟を大切にしているために、生息数が増えて河川に出てきたのか、どちらかでしょう。

 この河川の護岸に、今年迷い込んで住み着いたトビハゼが、東京湾に戻って産卵し、来年再びこの河川に戻ることがあれば、新しい環境に適合したトビハゼが持続的に棲息することになるでしょう。

(画像は、それぞれ別個のトビハゼです。これらのトビハゼの子孫を、来年もこの場所で見られますように!)

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マッキーの一問必答(4):分母・分子の因数に注目して解く

2014年11月02日 | 学習指導法



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 「一問必答」は、「一問一答」に掛けた造語として、今回のシリーズで用います。中学受験した学校に合格するために、ぜひ正解してほしい問題の中で、特に経験的に修得すべき基礎的知識を含む今春の問題を取り上げ、ポイントを解説します。

 今日の入試問題のポイントは、わり算および分数の約分において、因数に注目した解き方をマスターすることです。整数のわり算を分数に表記すれば、分母の因数がすべて分子に入っていれば、約分されて整数となります。

 また単位分数(分子が1の分数)の中で、1/2=0.5のように割りきれる分数と、1/3=0.33333・・・・のように割りきれずに、循環小数(同じ数の繰り返し)となってしまうものがあることを知っている必要があります。

 そうした基礎的な数値の知識を問う問題が、今日の一行題です。

【因数とは】
 
因数という言葉をブログでは、私は使っていますが、小学生の授業中では用いない言葉です。ただし、素因数分解という言葉を使い、さまざまな問題を解いていますので、因数とはどういった言葉かは、子供たちはおおよそ理解しています。因数とは、整数
が幾つかの整数の積の形で表されているとき、そのそれぞれの整数をいう言葉です。また,因数はその整数の約数でもあります。例えば12=2×2×3という風に、12を素数の積で表すことができますが、それぞれの数が因数です。


【今春の入試問題】 (分数の表記は、実際の入試問題と異なります。)

 このシリーズで取り上げる今春の中学入試問題は、私が作成した解説および解答を見ずに、まずは自力で解いてみることをお勧めします。大人には頭の体操になりますし、また受験生は、算数に対する興味や面白さが、倍増するはずです!

1.東京都市大学附属中学校

整数を1から81まで順にかけ合わせた数1×2×3×・・・・・・・×81は、15で□回割りきることができます。

2.慶應義塾普通部

1/4を小数で表すと0.25となり、わり切れます。1/3は0.333・・・となり、わり切れません。偶数の積2×4×6×・・・×20をAとするとき、B/Aがわり切れるような最も小さい整数Bを求めなさい。



【解答と理解しておくべきポイント】

入試問題では、特に最初に出てくる一行題的な問題には、受験生に知っていてほしい大切なポイントが必ず1つ含まれています。それが何なのか?・・・それを的確に見つけることが必要です。

まず、東京都市大学附属の問題です。

1×2×3×・・・・・・・×81÷(15×15×15×・・・)
=1×2×3×・・・・・・・×81/15×15×15×・・・
上のように、わり算を分数の計算として考えると分かりやすいですね。そして約分することにより、分母が1となる時の15の最も多い個数を求めます。

15=3×5素因数分解できます。約分とは、分母分子を同じ数で割ることです。分子の数値を素因数分解すると、3という因数はいっぱい出てきますが、5という因数はさほど多くはないことに気づく必要があります。

要するに、分子=1×2×3×(2×2)×5×(2×3)×7×(2×2×2)×(3×3)×(2×5)・・・・・・、このように10までの積を素因数分解すると、3が4個で5が2個あり、3の方が5の2倍あることが分かります。

そのことから、15の個数は分子の中の5の個数によって決まる!・・・ここを押さえることが必要です。

1×2×3×・・・・・・・×81の中に、5の因数がいくつあるかを考える場合、5の倍数がいくつあるかを調べればよいことは分かりますね。
81÷5=16・・・1(5の倍数は16個

では、5という因数が16個かと言えば、それは間違い。5×5=25の倍数は、5という因数を2個持っています。5×5×5=125の倍数は、5という因数を3個持っています。

そこで、25の倍数の個数を考えます。
81÷25=3・・・6(25の倍数は3個

ただし、25の倍数が3個あれば、その中に5の因数は6個あります。しかし、25の倍数は、5の倍数としてすでに1回数えているので、数えていない因数5は3個です。

よって分子の中の5の因数の個数は、16+3=19(個)となり、15で19回割りきることができるというのが正解です。


次に慶應普通部の問題です。

ちょっとこの問題と関連して、分母が偶数の単位分数の中で、分数を小数にしたときに、わり切れるものとわり切れないものを分類してみましょう。

わり切れる・・・・・1/2,1/4,1/8,1/10,1/16,1/20
わり切れない・・・1/6,1/12,1/14,1/18

この分類が即座にできるでしょうか。どうしてわり切れないのかといえば、分母に3または7の因数を含んでいるからです。したがって、求める分子Bが、分母に含まれる3と7の因数の積であれば、分母の中の3と7
の因数は約分されて無くなり、わり切れる分数となります。

2から20までの偶数の中で、3と7の因数を含む数は、
6=2×3、12=2×2×3、14=2×7、18=2×3×3です。

よって、求める分子のBは、3が4個と7が1個の因数で構成される数とすればよいことになります。

このことから、B=3×3×3×3×7=567が答えとなります。


 数を取り扱うさまざまな問題の学習を行う時に、数の性質をしっかりと理解して行うことが大切です。ただ単に、解答を得るだけではなく、数が持つさまざまな性質に目配りすることは、数を鳥瞰的に見て利用する力を養成することにつながります。

 一流のサッカー選手が、自在にボールを操るのと同様に、与えられた数を自由に使えるよう練習するとともに興味を持って楽しんで学習することが大切です。



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