小学校で学習する算数で、最も重要な課題の一つが割合の考え方です。
また、この「割合」の考え方は、生徒にとっても一つのハードルとなっています。
割合の考え方を理解し、上手くそれを使って問題を考えることができるかどうか、それによって大きく算数の学力差がついてしまうことになります。
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満開の淡いピンクと白のツツジ
中学入試において、割合を使って考える主な問題は、
①相当算、②売買算、③混合算、④仕事算、
一部の⑤分配算・⑥年齢算・⑦還元算、
そして割合に関係するグラフとして、⑧円グラフと帯グラフ
比を使った、⑨比の利用の比例配分・比例式・連比の問題、
⑩倍数算、⑪比例と反比例、⑫相似・縮尺の問題、
⑬辺の比と面積に関する問題
その他、⑭速さの様々な文章題や、⑮過不足算なども、割合を使うとうまく解答できる問題
また、おうぎ形の弧の長さや面積を求める公式の、最後に書く《中心角/360度》も、円周や円の面積をもとにする量として、それに《中心角/360度》という割合をかけているのです。
以上のような広範囲な割合の考え方の利用を勘案すると、中学受験の算数では割合の考え方をしっかり理解していることが鉄則となります。
もちろん、中学受験生に拘わらず、小学校の算数で学習する項目として、「割合の考えかた」は、最も重要なテーマです。
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花が咲き乱れる、春爛漫の花壇
では、割合とは何なのか? そして、どうして生徒は割合を苦手とするのでしょう?
第1回目の今回は、家庭で指導する場合の、割合の概念を導入する時のポイントを伝授します。
割合の表し方には、整数・分数・小数・百分率・歩合・比などがあります。
割合を学習するのに、百分率が先か、歩合が先かなどの議論がありますが、あまり意味のあることではありません。
重要なことは、割合とは何かを、子どもににしっかり理解させることができるかどうかです。
そこができていれば、割合の表し方の教える順番などは、どうでも良いことなのです。
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用事で出かけたついでに寄った、門前仲町の富岡八幡宮
では、割合とは何かを、生徒にどう教えたらよいのでしょう。
【例1】 「この団子は、あの団子より大きいね。」
この文では、「あの団子」を基準(もと)にして比べると、この団子は大きい」という意味です。
この様に、日常において様々な場面で、私たちは他との比較で、物事を認識する習慣があります。
実は、この「他との比較」が割合の考え方の基本になっているのです。
ということは、改めて割合をことさらに難しいこととして語る必要性はないのです。
【例2】 「この団子は、あの団子の2倍の大きさだね。」
こうなると《立派な割合の問題》です。
あの団子《もとにする量》をもとにすると、この団子《比べる量》は、2倍《割合》の大きさがあると言うことです。
ですから、低学年で習った「~倍」の考え方が、まさに割合の考え方なのです。
ここを、生徒に十分に理解させることが大切です。
割合が分からない生徒の多くは、低学年で習った整数で出てくる「~倍」の問題から、発展できないでいる生徒です。
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【例3】 「100円は、50円の2倍です。」
この文では、「50円をもとにすると、100円はその2倍」という意味で、《もとにする量》が50円で、《比べる量》が100円で、2倍というのが《割合》です。
この様に、割合を簡単に言うと、《もとにする量》を決めておいて、ある量《比べる量》が、《それに比べてどのくらいの大きさなのか》を表す数です。
したがって、割合に関する問題を考えるとき、もとにする量が何なのかを考えることが最も大切です。
線分図で表したとき、もとにする量の割合は必ず1とおく数量です。
【例4】 「お母さんの体重は、よし子さんの体重の、2倍です。」
「もとにする量は、何ですか。」という質問をすると、「お母さんの体重」と答える生徒がいます。
《もとにする量》は大切だから、国語の文の《主語》になるだろうと勘違いして、「~は」がついた言葉を、答えとした生徒です。
お母さんの体重=2倍(割合)となりますから、~はという部分は、もとにする量となり得ません。
割合において、もとにする量の割合は常に1とおくので、割合を出す問題にはなり得ません。
「□は、▲の~」ときたら、□はくらべる量、▲はもとにする量と、機械的に教えている方も見受けられますが、割合を出す問題の主語は、上の理由でまずもとにする量にはならないことを、しっかり指導した方がよいでしょう。
「ぼくは、君より、格好いい!」
文脈上最も大切な、主語(ぼく)となる「くらべる量」が、いったいどういった数値なのかを評価するために、ある量(君)「もとにする量」と比べ、相対化させるために、割合を算出するわけです。
ですから、「くらべる量」(ぼく)は、もとにする量(君)の選び方によって、どのようにも評価(割合)が変わります。
そうした意味では、割合を算出する上では、何をもとにするかが大切なポイントとなります。
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モクレンの花
【例5】 「お父さんの体重は75kgです。りかさんの体重は25kgです。では、お父さんの体重の、りかさんの体重に対する割合はいくらですか。」
まず、この問題は、割合を聞いていることが分かります。
次に、もとにする量は何かを考えます。問題の言い回しに注意しましょう。
「お父さんの体重の…割合はいくらか」と聞いているのだから、お父さんがもとにする量の筈はありません。もし、お父さんの体重がもとにする量ならば、答えは1となってしまいます。
重要なことですが、割合においては、常にもとにする量の割合は1となります。
もとにする量は、りかさんの体重25kgです。すると、お父さんの体重75kgは、比べる量となり、その割合を聞いていることになります。
したがって、75÷25で、答えは3(倍)となります。
割合の問題というと、割合を分数・百分率そして歩合で表記する方法を指導した時点で、生徒に割合の考え方を指導することが多い。
その結果、《割合の考え方+割合の表記方法+分数や小数計算》が加算され、一層生徒に割合を難しいものと、認識させているようです。
そうした意味で生徒にとって、「割合」の学習は、トリプルパンチの攻撃を受けているようなものですから、それに耐えられる生徒は、ほんのわずかと言うことになります。
注意すべきことは、中学受験を指導する塾においては、割合の考え方およびそれを用いた文章題を、一気に指導していきますから、気を緩めないで学習していくことが求められす。
割合の考え方を教えるときには、整数値で考えることができる問題練習をしっかりやっておくことが重要です。
そして、その練習の先に、小学校課程で、最も重要な公式である、《割合の公式》を完全にマスターさせましょう。
この次のブログで、この先のお話しをしましょう。
割合に関する教え方は、以下のブログで紹介しています。
興味ある方は、ご覧下さい。
マッキーが教える算数…最も重要な公式「割合の公式」の教え方(2)
マッキーが教える算数…最も重要な公式「割合の公式」の教え方(最終回)
マッキーが教える算数…割合のポイント:歩合や百分率を小数に直す
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