「マッキーのつれづれ日記」

進学教室の主宰が、豊富な経験を基に、教育や受験必勝法を伝授。また、時事問題・趣味の山登り・美術鑑賞などについて綴る。

マッキーの随想:スティーブ・ジョブズは、かく語りき

2011年11月05日 | 時事随想



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17歳のとき次のような一節を読んだ。

"If you live each day as if it was your last, someday you'll most certainly be right."

「毎日を人生最後の日であるかのように生きていれば、いつか必ずひとかどの人物になれる。」

私は感銘を受け、それ以来33年間毎朝鏡を見て自問している。

・・・for the past 33 years, I have looked in the mirror every morning and asked myself: "If today were the last day of my life, would I want to do what I am about to do today?"

『もし今日が自分の人生最後の日だったら、今日やろうとしていることをやりたいと思うだろうか』と問い掛ける。

そして答えが「ノー」の日が続いたら、何かを変えなければいけないと思う。

自分が間もなく死ぬことを覚えておくことは、人生の重要な決断を助けてくれる、私が知る限り最も重要な道具だ。

なぜならほとんどすべてのこと、つまり、他の人からの期待や、あらゆる種類のプライド、恥や失敗に対するいろいろな恐れ、これらのことは死を前にしては消えてしまい、真に重要なことだけが残るからだ。

いつかは死ぬということを覚えておくことは、落とし穴を避けるための、私が知る最善の方法である。・・・

これは、2011年10月5日に
亡くなった、米アップルのスティーブ・ジョブズ前最高経営責任者(CEO)が、2005年6月12日に米国スタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチの一節です。


(桜の紅葉)

ご承知の通り、スティーブ・ジョブズは、商用パーソナルコンピュータで世界初の成功を収めたアップル社の共同設立者の一人であり、一旦アップル社を追い出され、後に再びトップに返り咲くなど、不死鳥のような人物でした。

ジョブズが病を理由にCEOを退任する2011年8月には、Appleは時価総額でエクソンモービルを抜き、世界最大の企業となりました。

その急成長の原動力となったのは、2007年にジョブズが発表したiPhoneでした。

iPhoneはスマートフォンを再定義する製品となり、2011年までに携帯電話事業はAppleの総売上高の5割を占めるまでに成長しました。

新製品を次々と発表するジョブズの画像が配信され、この時期から日本においても、一般の人に彼の名と顔が認知されるようになったと思います。

彼のラフなファッションは、三宅一生デザインの黒のタートルネック・リーバイスのジーンズ・ニューバランスのスニーカーで、それを自分のユニフォームと位置づけ、毎日それだけを着続けるようになったと言われています。



先のスティーブ・ジョブズの言葉に戻りますが、
毎日を人生最後の日」のように生きるとは、 「一日をどれだけ有意義に過ごすか」ということに繋がっていくと思います。

その考え方は、自分の限りある時間を、どれだけ意味あることとして使っているのか、自分の今について自省することを強要するでしょう。

そうやって毎日を過ごせば、「いつか必ずひとかどの人物になれる」ということに、感銘を覚えたという
スティーブ・ジョブズに、私は共感を覚えました。


私はスティーブ・ジョブズのこの考え方を、なかなか学習が身に入らず、日頃の生活における時間の使い方がまずい、高校生2年生A君に話しました。

もちろん彼の意識を高めることを狙っての事でした。

彼も、アップルのスティーブ・ジョブズを知っていましたし、最近亡くなったことも知っていました。

その話を聞いたあと、彼は異を唱えるように、私にこんなことを言いました。

「先生、今日が自分の最後の日だったら、絶対勉強などしない!やりたいことを好きなだけやって死ぬ!」

「・・・・・・そうか、そういう考え方もあるな。」・・・心の中で、私は思いました。

無論、「教育的な配慮」をしながら、スティーブ・ジョブズの生き方を私なりに賞賛して、話を終わらせました。

「毎日を人生最後の日であるかのように生きていれば、いつか必ずひとかどの人物になれる。」

この考え方にみんなが共感すると私は思いましたが、さまざまな受け取り方があることを認識させられました。


スティーブ・ジョブズは、このスピーチの最後を、
Stay Hungry. Stay Foolish. 」(ハングリーであり続けろ。愚かであり続けろ。)
で締めくくっています。

経済的に安定し、そこに安住の地を得てしまうと、ともすると人は挑戦する意欲を失う・・・だからハングリー精神を忘れるな!

また、社会的常識に縛られ「おりこうさん」になってしまったら、独創的で革新的な仕事などできっこない・・・多くの人から「愚かだ」と思われることを恐れるな!

ジョブズの言葉は、そんな意味だろうか。

だから、一般的な私の解釈より、自分なりの考えを述べたA君に、ジョブズは微笑みながら軍配を上げたかもしれないとも思います。


スティーブ・ジョブズ・・・並外れた創造力、それを現実のものとする行動力、言動が周囲に多大な影響を与えるカリスマ性といった経営者としての美点が語られる一方、極めて人間臭く、どちらかといえば泥臭い言動もあった人物のように思われます。

彼の死を悼み、各界の著名人が寄せたコメントの一部を、最後に紹介しておきます。

・スティーブほど深い影響力を与えられる人間は、めったにいない。その影響はこれからの多くの世代にも受け継がれるだろう。 ビル・ゲイツ)

・スティーブは毎日が最後の日であるかのように生き、私たちの生活を変え、全産業を再定義し、私たち一人一人が世界を見る方法を変えました。 バラク・オバマ)

・我々はジョブズのことを現実歪曲空間と呼んでいたのさ。 (ジェフ・ラスキン)

・精力的で、構想力があり、カリスマ的で、さらにおおむねは強情で、譲らず、まったく我慢のならない男だ。 (ジョン・スカリー)

・民主主義に沿ってたんじゃ、素晴らしい商品なんて創れっこない。闘争本能の固まりのような独裁者が必要なんだよ。 (ジャン・ルイ・ガセー)

 

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