ほさか邦夫の日記帳

前志木市長、地方自立政策研究所理事長

新年の御挨拶

2024-01-01 10:00:01 | Weblog
 あけましておめでとう御座います。皆様には輝かしい新年をお迎えのことと、心よりお喜び申し上げます。本年も宜しくお願い致します。
 昨年は内外共に様々な出来事がありました。国際的にはウクライナに対するロシアの侵略行為は終結のメドがつかないまま、新たにイスラエルとハマスの全面戦争が勃発し、年を越しました。
 国内ではガソリンを始め、輸入品の価格が上昇すると共に大幅な円安もあって物価が高騰し、庶民生活を直撃しています。さらに年末には自民党の派閥で行われていたパーティ代金の不正処理が発覚して、大きな政治的混乱を招いています。
 本年はどんな年になるのでしょうか。内外共に様々な課題が山積みしていますが、地方にとって解決すべき直近のテーマは「行政の効率化」と「地方の個性化」であると捉えています。
 第一の「行政の効率化」ですが、皆様も御承知の通り、我が国は膨大な債務を抱えています。国債を歯止め無く発行することは極めて危険であると共に、金利が少しでも上昇すると償還と合わせ利息の支払いがさらに歳出増に拍車をかけ、様々な施策に対して影響を及ぼすことになります。
 国の財政悪化は地方財政を直撃します。コロナに対する地方への財政負担の軽減策や物価高騰対策等もあって地方交付税は増大してきましたが、財政環境の悪化によって地方交付税は削減される危険が待ち受けています。これらの変化に対応するためには地方自身が行政運営の効率化を図り、住民への政策投資資金を確保することが大きな課題となります。少子高齢化は加速し、税収の落ち込みや福祉費の増大が懸念される状況にあります。かつてパーキンソンが警鐘を鳴らしたように、行政組織の肥大化は大丈夫か、様々な施策は住民にとって最高の手段となっているか、執行方法にムダはないかなど多様な角度からの再検証が求められています。
 さらに「地方の個性化」も重要な政策課題のひとつです。その理由は人口減少化における地方の「生き残り」に直結するからです。地方に対する国の姿勢は一貫して「全国一律護送船団方式」です。この方策は地方のすべてを均一化する危険があります。地方の個性化は単に目玉的な施策を指すのではなく、行政の全てに渡ります。上下水道は人口の減少下にあって現行の方式でよいか、庁舎のあり方はどうか、商業振興策は個々の地域環境にマッチしているか、地域の特性に合致した福祉施設かどうか、新たな福祉のあり方を取り入れるべきではないか、義務教育はどうすべきか、コンパクトシティづくりはどうかなど、個々の政策を打ち出すのではなく行政の全てに渡ってメスを入れ、個性化を図る独自の自治体づくりに挑戦することです。
 本年もこの2つのテーマを中心に様々な課題に取組み、さらなる発信を続けてまいります。昨年同様、皆様の御指導、御支援を賜りますようお願い申し上げます。

新年の御挨拶

2023-01-01 10:00:30 | Weblog
 あけましておめでとうございます。
本年も宜しくお願い致します。
 昨年はコロナに加え、ロシアのウクライナへの侵攻や度重なる北朝鮮のミサイル実験、中国における軍事的圧力の増大が重なり、国防の強化が議論され、将来における防衛費の増大が予定されています。既に2023年度予算において防衛費が増額され、さらにロシアに対する経済制裁や円安の影響で物価が上昇し、これらへの対応や少子高齢化の加速による福祉予算の増額など、歳出の拡大を余儀なくされています。
 皆様も御承知の通り国家の基盤は地方にあると言われています。内外における財政環境の悪化に対して、地方の有り方についても真剣に取り組まなければなりません。特に本年は4年に一度の統一地方選挙の年にあたっています。平成の大合併等もあって、該当する地方自治体が減少しているとは言え、国民の関心を呼ぶことの出来る絶好の機会であることは言うまでもありません。

・地方改革の限界
 地方の改革ついては議会を中心に地方制度調査会(以下、地制調)が改革の答申を重ねていますが、いずれも地方の全体像を視野に入れない「木を見て森を見ず」の改善案に終始しています。コロナ対策等により国の財政支援が急増し、地方財政の黒字化が顕著になっていますが、国任せの黒字化と言っても過言ではありません。
歳出の拡大に対して今まで以上に国債の発行を積極的にすべきとの議論もありますが、無尽増に増加するというわけにはいきません。イギリスで起きたような財政の悪化が国債の大暴落に直結することは、国内消化率の高い我が国では考えられませんが、極端な財政悪化は国際的信用の低下につながるため、避けなければなりません。増税が限定されることを考えますと、国は地方に対する財政負担の軽減策を取らざるを得ない状況が考えられます。地方は人口の大小にかかわらず、過大な行政経費を必要とする二元代表制を堅持しています。しかし、二元代表制の維持にも様々な問題が起きています。

・地方議員のなり手がいない「二元代表制の現実」
 現実的な課題は地方議会の議員に「なり手がいない」という現象です。地方議員のなり手がいないため、各所で無投票選挙が拡大すると共に「定数の不足」が顕在化しています。地制調は兼業制限の緩和などを答申していますが、いずれも小手先の改革に終始しています。議員のなり手がいない最大の原因は、現行制度において議会と首長の権限が対等と位置づけていますが、実態は首長の権限が際立って大きく、一人一人の議員が活躍する場が極めて狭小なため存在意義を見いだせないことに起因しています。これらの状況に加え、住民も地方議員に対する期待感を失ってしまったことが重なっています。
我が国の基礎的自治体も二元代表制が機能していない実態と厳しい財政危機に直面することを考えますと欧米諸国のように、多様な自治制度を採用することが現実になってきます。日本は首長と議会の二元代表制が全ての自治体に規定されていますが、アメリカを例にとりますと、弱市長制、支配人制(シティマネージャー制)、強市長制、委員会制、町総会制などがありますが、その中でも支配人制(シティマネージャー制)は人口25,000以上の自治体の約60%、10,000人以上の自治体の60%弱、5,000人以上の自治体では約50%が採用しています。議員の担い手がいない現実に加え、二元代表制を維持するのに膨大な行政経費がかかっていることを再認識する必要があります。我が国は二元代表制が地方の民主主義を守る唯一のシステムだと考えられていますが、アメリカはもとよりヨーロッパにおいても多様な地方制度が取り入れられ、民主主義をしっかりと守っています。       
「日本の自治体における二元代表制は諸外国に比較して優位性が高く、維持すべきだ」と主張する有識者も多いと思いますが、人口300万人を超える横浜から人口1,000人の村に至るまで同じ二元制に固定する現行のシステムは人口の減少、過疎地域の増加などの社会の激変や議員希望者の減少による無投票の増大、議員定数不足による二元代表制の機能の低下や膨大なシステム維持費を考えますと、多様な自治制度を導入するような抜本的な改革が求められています。             

・シティマネージャー制度の提案
 私は市長時代に「日本型シティマネージャー制度」の導入を国の構造改革特区を活用して提案をしました。二元代表制の理想と現実が大きく乖離しているからです。現行制度は首長と議会の双方に政策機能を与えているため、仮に両者の機能が十分に発揮されれば首長と議会が衝突するか、あるいは行政サービスの歯止めのない膨張が生まれてきます。
直近の国と地方の財政は、お互いが約100兆円の規模を有し、地方は都道府県と市町村が50兆円ずつ2分していました。我が国の歳出圧力は益々上昇します。小手先の改革ではなく、抜本的な地方の制度改革を行い活力ある地方政治を実現することが急務です。
本年も地方の自立と個性ある自治体づくりに取組んでまいります。皆様の御協力、御支援を心からお願い申し上げます。

新年の御挨拶

2022-01-01 10:00:01 | Weblog
明けましておめでとう御座います。

 昨年は様々な活動に御協力を賜わり心から厚く御礼を申し上げます。今年もまた、NPOの活動や研究大会を通じて「新たなまちづくり」への様々な提言をしてまいります。皆様の御協力を心からお願い申し上げます。

 扨て、昨年もまたコロナ感染に直面した1年でした。ようやく沈静化するのではと大きな期待を持っていましたが、オミクロンの出現によって本年もどんな1年になるのか。コロナの終息を期待しながらも、一抹の不安を感じながら新年をスタートしています。

 皆様も御承知の通り、コロナ感染による国民生活や経済活動の様々な分野で大きなダメージを受けました。特に社会的弱者と強者の差が増幅し、社会の歪みを拡大しています。国も多様な施策を打ち出していますが、地方自治体にとっても独自の施策が求められています。

 そのひとつは地域の弱者対策です。国の施策から漏れた方々に、明日への希望の持てる施策(サービス)を展開しなければなりません。さらに地方経済も疲弊しています。商店や中小企業を運営する住民の方々に必要な潤滑油を提供しなければなりません。どちらも旧態依然の方法ではなく、サービスを受ける立場に立った、発想を転換した新たな施策の展開です。

 これらの施策には新たな発想と財源が不可欠です。新たな事業の要求にややもすると「財源がない」と予算化を見送るケースが数多く見受けられます。財源は「ない」のではなく創り出すものです。コロナ感染対策にも気配りしながらの財源の捻出です。

 財源確保の最大の手段は、何と言っても現在実施している各種事業のスクラップです。かつて、カナダ連邦政府は財政危機に陥った時に各事業の予算査定に6つの原則を適用しました。第1はこの事業に公益性があるか、どうかの判定です。この事業は不特定多数の市民が受益することが出来るかということです。第2はこの事業は税を預かる行政がやる必要があるのかということです。市民が自分で出来ることは市民に委ねるという判断です。第3はこの事業は国・県・市町村のどこがやるべき仕事なのか。第4は予算化した事業は公務員がやるべき仕事か。NPOや民間に委託した方が効果的ではないか。第5は現在の執行方法でよいのか。対費用効果はベストかどうか。第6は納税者の税金の範囲内でやるためには事業の優先順位はどうか。仮に、この事業のための負担増を住民は受け入れるかどうかの6つの検証です。これらの検証によってカナダ政府の財政は見事に立ち直りました。決して困難な作業ではありません。

 地方自治体を「基本特性(弱者と強者の共生)+非営利+独占的サービス事業体」と私は位置付けています。この理念を基に各自治体は地方の公共サービス機関として、コロナで傷ついた市民や地域経済の再生を図らなければなりません。ややもすると慣行的に行ってきた従来の事業を抜本的に見直し、独自の予算査定基準を設定し、全事業のスクラップアンドビルドに挑戦しなければ新たな財源は生み出せません。

 全ての自治体が、自立する・個性的なまちづくりを目指し、生き生きとした新たな地域社会を創造することが、コロナ禍からの新たなスタートになるのではないでしょうか。

 本年も宜しくお願い申し上げます。

新年の御挨拶

2021-01-01 10:00:01 | Weblog
                                                   令和3年元旦

 明けましておめでとうございます。
 本年も宜しくお願い申し上げます。

 昨年の第12回研究大会(会場・明治大学アカデミーホール:5月31日~6月1日)はコロナ感染の影響から中止とし、会員を中心に学会初の「オンラインセミナー」を開催致しました。参加された多くの皆様に改めて心から感謝申し上げる次第です。

 本年も新型コロナ感染は猛威をふるうかと思われますが、一方でワクチンの実用化を迎えており、新たな展開の1年になると期待しています。当学会も例年通り、本年5月に「東京会場・仮予約」で開催することを予定しております。関係者一同無事に開催されることを心から祈っております。

 扨て、コロナ感染対策における国の対応策は後手にまわり、多くの国民の批判を浴びています。トラベル推進事業も感染の拡大による一部停止が迅速に行われず、特に東京都と国は権限の所在をめぐって押し問答が続けられるなど国民の失笑を呼んでいます。当初課題だったPCR検査の拡充においては「目づまりが起きた」など不可解とも思える現象が喧伝されました。何故でしょうか。原因は「国と地方の役割分担」が明確でなかったからです。アベノマスクにおける配布の大幅な遅延や飲食店に対する「優良店」の看板設置事業も国や都道府県よりも実態を知る区・市町村の担当であることが明らかになりました。

 全ての公共事業は国と都道府県と市町村の役割分担を明確にすることが、行政効果を上げると共に税金のムダ使いを無くし、行政効果を上げる最大の手段であることが緊急時ゆえに浮き彫りになりました。

 私達は今回のコロナ禍を単に災難としてとらえるだけでなく行政システムにおける今までのあり方を反省し、確かなシステムを構築することがこれからの日本のあるべき姿をつくる基本軸になるといっても過言ではありません。

 今回のコロナ感染の拡大は日本経済にも大きな打撃を与え、税収は大きく落ち込むことになりました。一方では財政支出が大幅に増加し、我が国の財政は悪化の一途を辿っています。

 国家財政の悪化は将来に大きな禍根を残すと共に地方にとっても無関係ではありません。地方交付税の大幅減額が避けられないことになります。この際、国と都道府県と市町村の役割分担を明確にしてムダをなくし、痛みの伴わない行政経費の大削減を断行することが国家財政再生の重要な手段となるでしょう。

 私達のNPO法人の役割分担の検証結果では、補助金の改廃を含め国と地方で約30兆円にのぼる行政経費のムダ使いが算定されました。

 本年も皆様と共に、コロナ対策事業で明らかにされた「国と都道府県と市町村における役割分担の明確化」と「地方の自主・自立」を目指して、さらなる活動を展開してまいります。
 皆様の御理解と御協力を心よりお願い申し上げます。

新年の御挨拶

2020-01-01 09:01:01 | Weblog

                                                                 令和2年元旦

 明けましておめでとうございます。
 本年も宜しくお願い申し上げます。

 昨年は予想を超える自然災害が日本の各地を襲い、甚大な被害をもたらしました。特に過疎化が進む地方では、再生することが極めて困難な状況です。もとより大災害は国の対応が第一ですが、当事者である地方自治体も真正面から立ち向かわなければならない重要な課題となりました。今までは自然災害は全て、国でなければ解決できないと考えてきましたが、地方でなければ果たせない大きな役割と責任があるからです。

 それは事前の防止策の作成と事後の再生策に対する国への提案です。河川決壊や越水危険箇所の検証と把握、電力を保全する電柱や高圧線の倒壊想定状況、上下水道の防災対応策や家屋浸水予想地域の把握など自治体における最低限の事前準備責任です。これらの作成にあたっては、各関係機関に協力を求めるのは当然ですが、完成した資料を国や都道府県、自衛隊などの諸機関に対して情報を提供すると共に、住民に対する公開が最も重要です。さらに、災害後における復興や再生も現場の実態を知る自治体が積極的にかかわり、計画案についても地元の意見をいち早く国に上申すると共に施策を実施する優先順位も地域の明確な意志を示すことが大切です。

 一方では、災害時に地方議会・地方議員の姿を見ることが出来ないのは極めて残念なことです。これからは議会も自然災害について、対策案や再生計画を議員全体で策定するなど積極的に関与しなければなりません。自治体の首長は「まちの経営支配人」であり、全ての地方議員は「単なる経営執行監視役」だけでなく議員一人一人が施策を議決する「経営者」そのものであるからです。

 皆様も御承知のように人口減少と少子高齢化が加速し、自治体にとって100年に一度と言われる大改革が今求められています。この問題は国だけの取組みではなく、地方の存亡をかけた自治体自身が当事者であるという自覚のもとに、積極的な施策を展開することが重要です。特に従来の「まちの経営方針」を踏襲するのではなく、大胆に発想を変えた「まちの経営方策」が求められていることは言うまでもありません。

 例えば自治体の消費財源を考えますと政令指定都市を除くと、役所は地方最大の大企業と言っても過言ではありません。地方の再生や活性化を図るために、この大財源をどのように活用するかなど、抜本的な発想の転換が必要です。諸外国の都市経営のあり方についても参考にすべきです。

 本年も地方の再生と自立を果たすためにあらゆる機会を通じて自治体に、そして全国に大胆な意見を発信してまいります。皆様の御指導と御協力を心からお願い申し上げます。

                                  平成から新時代へ

2019-01-01 09:01:01 | Weblog
~国と地方の役割分担を明確にする~


明けましておめでとう御座います。

本年は31年間続いた平成から、新しい時代を開く通過点に私達は立っています。言いかえれば各世代の方々が2つの時代、3つの時代、4つの時代を経験するという貴重な年になります。 

最近における様々な事象を捉えると永い間提唱された「地方分権」は影をひそめ、より強固な中央集権に向かって走り続けているような気がします。

昨年12月の国会で水道法が改正され、公営と民営の是非について様々な議論がおきました。諸外国の失敗例や地域独占的な水道事業が民営化したならば利益重視の経営が行われ、値上げを阻止できない極めて危険な状態が予見される。あるいは品質の保持も業者任せになって劣化する危険があるなど、様々な意見が交わされました。

しかし、多様な意見が出されたにも関わらず、自治体の水道運営における公設・民営の選択の余地が拡がっただけだとする意見は皆無でした。当然議論されるべきであった自治体自身の力量が問われることなど、どこにもありません。とても不思議です。同時に地方自治のあり方に不安感をおぼえたのは私だけでしょうか。

同じ様に東京都の財源であった地方法人税や地方事業税9200億円を他の自治体に移譲するという今回の処置も、地方財源の不均衡緩和策のひとつとしか捉えられず、東京都という行政機関が反対の声を上げるだけで住民サービスが減少するであろう都民自身の反対のうねりは一向に高まっていません。財源移譲の是非はともかく都知事選で高まった都民の声がまったく聞かれなかったことに、驚きと大きな不安を感じています。

地方分権が叫ばれた時代はもう過去のことで、我が国は絶対的な中央集権を望む時代へと移ってしまうのでしょうか。

私は国民・市民が身近で学ことの出来る地方自治の基本理念が崩壊すると極めて危険な状況になると危惧しています。少子高齢化の加速によって日本経済が縮小される中で、福祉費や防衛費の増加が加速し、国家予算が拡大し続けるとすれば、財政赤字は増大し、近い将来、抜本的な行政経費の削減が求められることになるでしょう。行政経費のムダは国だけでは不可能です。なぜならば、国と地方は同額に近い行政経費を費消しているからです。

さらに、このまま中央集権体制が加速すると、全体主義を誘引して、民主主義の堅持さえ危ういことになりかねません。

私達は新たな時代を迎えるにあたって「地方分権」の是非をもう一度議論する必要があるのではないでしょうか。現在のようにうわべだけの地方自治が行われ、実質的な権限の全てを国家が担うという制度設計の大欠陥を、もう一度検証してみる必要があるのではないでしょうか。

地方分権は地方が国からの権限を求めるだけだと誤解されますが、国と地方(都道府県や市町村)の役割分担を明確にすることが真の分権国家をつくることになります。

分権は国と地方における役割分担の明確化であり、新しい時代に向かっての「真の民主主義国家」の実現であることをこれからも強く主張してまいります。


穂坂邦夫の著書

2013.1 Xノートを追え!中央集権システムを解体せよ・朝日新聞出版(1,470円)
―いじめをなくし、教員の資質を高めるために―
2005.7  教育委員会廃止論・弘文堂(1,600円)
―国と地方を救う役割分担の明確化―
2008.4  地方自治 自立へのシナリオ(監修)・東洋経済新報社(3,150円)
―健全化への処方箋―<行政・議会・住民の協働による地方再生マニュアル>
2008.5  自治体再生への挑戦・株式会社ぎょうせい(2,500円)
―市町村長を廃止するー<地方を変える、国を変える、徹底した比較・検証・調査>
2008.12  シティマネージャー制度論(監修)・埼玉新聞社(1,500円)


~ピンチをチャンスに変える~

2018-01-01 10:00:01 | Weblog
明けましておめでとう御座います。

本年も宜しくお願い致します。

 皆さんも御承知のように、いよいよ2025年問題が近づいてきました。団塊世代の方々が後期高齢者となり、一方では人口の減少が顕在化してきます。

後期高齢者の激増は医療・介護費を直撃し、国家財政を更に悪化させると共に少子化は大都市一極集中もあって地方の過疎化を加速させています。この、我が国がかつて経験したことがない危機を乗り越えるためには、今まで国が取ってきた対処療法的な施策を大転換しなければなりません。しかし、マスコミを始め多くの方々が国家財政の悪化に警鐘を鳴らし始めていますが、本年度の国家予算を見ても史上最大の規模になりそうです。

行政の現場に身をおいた一人として、今こそ様々な機会を活用し、このピンチをチャンスに変える方策を国民に訴えていかなければならないと思っています。

その方策の一つとして、国と地方の仕組みを改めて見直す必要があります。地方の裁量権を制限し、国家主導の中央集権制度を抜本的に改革することが必要です。地方は国を上回る行政経費を費消しながら衰退を続けているからです。鳴り物入りで展開した「地方創生事業」はどこかに消えてなくなりました。膨大な財源を投入しながら「保護行政」が成功しないことは農業を始め多くの過去の事例が証明しています。

(以下次号)

穂坂邦夫の著書

2013.1Xノートを追え!中央集権システムを解体せよ・朝日新聞出版(1,470円)
―いじめをなくし、教員の資質を高めるために―
2005.7  教育委員会廃止論・弘文堂(1,600円)
―国と地方を救う役割分担の明確化―
2008.4  地方自治 自立へのシナリオ(監修)・東洋経済新報社(3,150円)
―健全化への処方箋―<行政・議会・住民の協働による地方再生マニュアル>
2008.5  自治体再生への挑戦・株式会社ぎょうせい(2,500円)
―市町村長を廃止するー<地方を変える、国を変える、徹底した比較・検証・調査>
2008.12  シティマネージャー制度論(監修)・埼玉新聞社(1,500円)

(財)日本自治創造学会研究大会を開催

2017-03-01 12:00:01 | Weblog
私が理事長を努める(財)日本自治創造学会が今年も「人口減・高齢化を乗り越える~前例から創造へ~」をテーマに、5月18日~5月19日(明治大学アカデミーホール)の両日、研究大会を開催します。素晴らしい講師陣と共に私も久しぶりに基調講演を行います。詳細は学会のホームページを是非ご覧戴きたいと思います。

扨、我が国は少子高齢化が加速すると同時に、国家財政は悪化し続けています。将来的には重大な岐路に立っていると言っても過言ではありません。さらに地方を振り返ってみると、国家主導が顕著となり、いまでは東京都だけに話題が集中し、「地方自治・地方の自立」が忘れられたかのような状況です。

 最近では自治体のスリム化を促進するため、民間委託の推進やふるさと納税に対する行き過ぎた見返りの是正、国の立案による英語教育の強化など地方に対する一方的な国の指導が矢つぎ早に出されています。

 国は少子化や高齢化に対する地方自身の創意や工夫は期待できないと確信しているかのようです。しかし、国の保護政策によって農業や林業が衰退したことを忘れているのでしょうか。地方創生も東京圏に人口の一極集中が進み成功には程遠い状況にあります。財政悪化がこれ以上進むと最後の手段は平成の大合併に続く強制市町村合併です。紛れもない住民自治の後退です。

 傍観を余儀なくされる都道府県にとっても、市町村の自治が後退すると、地方は国の強い管理のもとに運営される運命が待ち受けています。住民に直結する地方自治体の力が弱体化すると国家に対する住民の圧力がなくなり、全体主義的な政治が台頭することを私は強く恐れています。今こそ、地方自治体は主体者として将来展望を明確にし、自立の道を確立することが求められています。創意と工夫と住民に対する責任感によって、その道は確実に拓くことが出来ます。

穂坂邦夫の著書

2013.1 Xノートを追え!中央集権システムを解体せよ・朝日新聞出版(1,470円)
―いじめをなくし、教員の資質を高めるために―
  教育委員会廃止論・弘文堂(1,600円)
―国と地方を救う役割分担の明確化―
  地方自治 自立へのシナリオ(監修)・東洋経済新報社(3,150円)
―健全化への処方箋―<行政・議会・住民の協働による地方再生マニュアル>
  自治体再生への挑戦・株式会社ぎょうせい(2,500円)
―市町村長を廃止するー<地方を変える、国を変える、徹底した比較・検証・調査>
  シティマネージャー制度論(監修)・埼玉新聞社(1,500円)

                          ~地方議員の新たな役割~

2017-01-01 10:00:01 | Weblog
人口減少への対応は地方の自立から


 あけましておめでとう御座います。本年も宜しくお願い致します。

 地方の自治体にとって人口減少は「まち」の存立にかかわるのだが、当事者である首長・地方議員の危機感は薄い。行政のシステムは何ら変わらないばかりか、国から地方に多くの財源が流れ込んでいるからである。

 国家も出生率の低下とともに、地方から大都市へと人口が流入しているのにもかかわらず放置している。
 人口減少社会の加速に加え国家財政の悪化も見逃すことの出来ない大問題である。高齢者の増大は医療や介護に莫大な財源を要するが目をそむけている。国の仕送りを受ける地方もひたすら高度成長期の高い行政サービスを今も取り続けている。私達の調査では地方事業の70%は選択的事業に使われ、地方自身の福祉的事業はわずか30%に過ぎない。

 国家財政が破綻の危機にありながら、現在の地方自治体は黒字基調にある。交付税の高どまりと地方への国庫補助金が急増したからである。しかし近い将来、地方財政も厳しさが待ち受けているのは明確である。

 地方の再生は我が国の存続にもかかわる。地方だけでなく人口が過度に集中する東京はもとより、大阪や福岡などの大都市も極めて深刻な事態が待ち受けている。特に首都東京は現在でも特老への待機老人は4万3千人と言われている。オリンピックは2020年だが高齢社会のピークは2025年で、まだ入口にすぎない。莫大な高齢者の介護費用はもとより、施設の整備やマンパワーなどの確保からも、さらなる経費が追い打ちをかける。現在でも国庫支出金は東京都がトップで大阪、神奈川と続く。自立度が高いと言われる東京都などに巨額の国費投入が現在でも行われているのだ。今後さらに膨大な財政支援が必要だが、国家財政はパンク寸前である。

 いうまでもなく都市一極集中をくい止めるためには、地方の再生が急務である。第一点は地方自治体自身の「危機意識」の醸成である。火災の現場である地方自治体が何の危機感も無く傍観していたのでは、全てが焼け野原になることだろう。自治体自身が危機感を持ち、自己責任を大原則としてありったけの知恵と工夫を発揮しなくてはならない。

 第二は、地方における雇用機会の拡大である。雇用の機会を拡大すれば人口の流出を防ぐだけでなく、都市からUターン組もある。国の保護行政は農業や林業をことごとく潰した。一定の保護政策は理解できるが、様々な規制や補助金づけで維持できるものではない。これからは発想を変え規制を撤廃し、新たな農業や林業の再生に取組むことが求められる。
 地方への企業誘致にしても情報システムの整備などを進めると環境の悪い大都市にだけに集中する意味がなくなる。アメリカを見ればよく理解出来る。地方の働き場を確保するためにはインターネットの活用と共に観光事業も極めて重要である。

 今は高齢者に支えられた消費力に頼っているが、いずれその資金も枯渇する。生産年齢人口(15歳~60歳)が特に減少する地方にとって観光事業は極めて有望な事業と言える。現在の1千万人を超える程度の観光客を10倍の一億人を目指す。地方も独自の情報インフラの整備を図る。

 日本の道路は完璧に整備され、カーナビさえあればどこにでも行ける。コンビニは全国に配置され、トイレもあり休憩所にもなる。治安は世界の中でトップクラスである。一千億円もあれば様々な受入れのサービスが整う。地方は地方の特色を存分に打ち出す。いまのような「個性なき一律的まちづくり」ではない。各地域に様々な文化が根付いている日本を世界の「ラストリゾート」と位置づけることだ。

 行政体も開放する。役所の民営化である。市町村の業務の75%は民間人で業務を行うことができる。どの市町村にとっても役所は地域最大の消費型大企業である。これを活用しないなど考えられない。

 雇用さえあれば人は誰しも生れ育った所で生活したい。地域の大学よりも大都市に学生が集まるのは就職のことを考えるからで、働く場さえあれば地域を離れることはない。国と地方が発想を転換し、真剣にその気になりさえすれば地方は再生し、大都市一極集中は是正される。

 これらの再生策の「鍵」は地方議会にあると言っても過言ではない。首長は前例のない、しかも多額の財源を必要とする事業は決断出来ないものだ。私も市長時代に様々な改革を実現したが、いつも「謀反人」の恐怖を持ち続けていた。

 今年こそ、地方議員の一人一人が「議会人としての生きがいと責任」を自覚し、地方再生の狼煙を上げる時ではないか。
(以下次号)

穂坂邦夫の著書

2013.1 Xノートを追え!中央集権システムを解体せよ・朝日新聞出版(1,470円)
―いじめをなくし、教員の資質を高めるために―
2005.7  教育委員会廃止論・弘文堂(1,600円)
―国と地方を救う役割分担の明確化―
2008.4  地方自治 自立へのシナリオ(監修)・東洋経済新報社(3,150円)
―健全化への処方箋―<行政・議会・住民の協働による地方再生マニュアル>
2008.5  自治体再生への挑戦・株式会社ぎょうせい(2,500円)
―市町村長を廃止するー<地方を変える、国を変える、徹底した比較・検証・調査>
2008.12  シティマネージャー制度論(監修)・埼玉新聞社(1,500円)

〝強制市町村合併の危険〟

2016-07-01 10:33:22 | Weblog
 私が理事長を努める(財)日本自治創造学会が去る5月12日(木)、13日(金)の2日間、恒例の研究大会(第8回)を明治大学アカデミーホールで、全国各地から600名近い多くの皆さんを迎えて開催を致しました。今回は様々な講演の他、参加者の方々が各地で実践された議会改革や自治体改革なども発表され、大変参考になりました。

 改革は小さな第一歩から始まります。御承知のように私達の日本は、巨大な借金に加え少子高齢化と人口減少が加速し、地方はいま、大きな転換期を迎えています。国は地方創生、一億総活躍社会の実現などのスローガンをかかげ、地方の再生はもとより保育の充実や高齢化対策など矢つぎ早に様々な施策を打ち出していますが、少なくとも地方の再生は地方自身が当事者であり、主役であることを地方自身が強く自覚することが重要です。

 昨今の地方自治は連日話題になった舛添前東京都知事のスキャンダルばかりで、全自治体が影をひそめている状態にさえ、見受けられます。私達の首長時代には数多くの地方自治体が大新聞の一面を常に賑わせていたものです。

 それぞれの自治体には永年に渡って培われた様々な個性があり、確かな地域力を持っています。遠くの指揮官がどんなに優秀であっても、2000近い地域個性に合致する施策をひとつひとつ立案することは不可能です。人口減少に直面する首長や自治体職員はもとより、地方議員の方々が〝地方独自の施策〟を積極的に打ち出すことが強く求められています。

 これからは国と地方が協力して、公的サービスにおけるお互いの役割分担を明確化し、両者の自己責任を確立して、現在の中央集権的関係から発生する膨大なムダを排除し、国家財政の健全化と共に、自治体の自主財源をしっかりと確保するとともに、地方自身が自らの再生を図っていかなければなりません。

 破綻した北海道の夕張市は再生の努力を続けていますが、従来の行政手法を踏襲しつづけているため、「役所が残って住民が消える」本末転倒の危険性を持っています。人口減少に直面する市町村は、自治体運営の抜本的な改革など発想の転換と大胆な改革手法が必要です。

 このまま、地方が衰退を続けると平成の合併を指導した国は「強制市町村合併」を選択することは間違いありません。だからこそ地方自治体は主体性を発揮して、自らの再生・振興を図らなければならないのです。


穂坂邦夫の著書

2013.1 Xノートを追え!中央集権システムを解体せよ・朝日新聞出版
                                  (1,470円)

―いじめをなくし、教員の資質を高めるために―
2005.7  教育委員会廃止論・弘文堂(1,600円)
―国と地方を救う役割分担の明確化―
2008.4  地方自治 自立へのシナリオ(監修)・東洋経済新報社(3,150円)
―健全化への処方箋―<行政・議会・住民の協働による地方再生マニュアル>
2008.5  自治体再生への挑戦・株式会社ぎょうせい(2,500円)
―市町村長を廃止するー<地方を変える、国を変える、徹底した比較・検証・調査>
2008.12  シティマネージャー制度論(監修)・埼玉新聞社(1,500円)