ほさか邦夫の日記帳

前志木市長、地方自立政策研究所理事長

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(財)日本自治創造学会研究大会を開催

2017-03-01 12:00:01 | Weblog
私が理事長を努める(財)日本自治創造学会が今年も「人口減・高齢化を乗り越える~前例から創造へ~」をテーマに、5月18日~5月19日(明治大学アカデミーホール)の両日、研究大会を開催します。素晴らしい講師陣と共に私も久しぶりに基調講演を行います。詳細は学会のホームページを是非ご覧戴きたいと思います。

扨、我が国は少子高齢化が加速すると同時に、国家財政は悪化し続けています。将来的には重大な岐路に立っていると言っても過言ではありません。さらに地方を振り返ってみると、国家主導が顕著となり、いまでは東京都だけに話題が集中し、「地方自治・地方の自立」が忘れられたかのような状況です。

 最近では自治体のスリム化を促進するため、民間委託の推進やふるさと納税に対する行き過ぎた見返りの是正、国の立案による英語教育の強化など地方に対する一方的な国の指導が矢つぎ早に出されています。

 国は少子化や高齢化に対する地方自身の創意や工夫は期待できないと確信しているかのようです。しかし、国の保護政策によって農業や林業が衰退したことを忘れているのでしょうか。地方創生も東京圏に人口の一極集中が進み成功には程遠い状況にあります。財政悪化がこれ以上進むと最後の手段は平成の大合併に続く強制市町村合併です。紛れもない住民自治の後退です。

 傍観を余儀なくされる都道府県にとっても、市町村の自治が後退すると、地方は国の強い管理のもとに運営される運命が待ち受けています。住民に直結する地方自治体の力が弱体化すると国家に対する住民の圧力がなくなり、全体主義的な政治が台頭することを私は強く恐れています。今こそ、地方自治体は主体者として将来展望を明確にし、自立の道を確立することが求められています。創意と工夫と住民に対する責任感によって、その道は確実に拓くことが出来ます。

穂坂邦夫の著書

2013.1 Xノートを追え!中央集権システムを解体せよ・朝日新聞出版(1,470円)
―いじめをなくし、教員の資質を高めるために―
  教育委員会廃止論・弘文堂(1,600円)
―国と地方を救う役割分担の明確化―
  地方自治 自立へのシナリオ(監修)・東洋経済新報社(3,150円)
―健全化への処方箋―<行政・議会・住民の協働による地方再生マニュアル>
  自治体再生への挑戦・株式会社ぎょうせい(2,500円)
―市町村長を廃止するー<地方を変える、国を変える、徹底した比較・検証・調査>
  シティマネージャー制度論(監修)・埼玉新聞社(1,500円)
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                          ~地方議員の新たな役割~

2017-01-01 10:00:01 | Weblog
人口減少への対応は地方の自立から


 あけましておめでとう御座います。本年も宜しくお願い致します。

 地方の自治体にとって人口減少は「まち」の存立にかかわるのだが、当事者である首長・地方議員の危機感は薄い。行政のシステムは何ら変わらないばかりか、国から地方に多くの財源が流れ込んでいるからである。

 国家も出生率の低下とともに、地方から大都市へと人口が流入しているのにもかかわらず放置している。
 人口減少社会の加速に加え国家財政の悪化も見逃すことの出来ない大問題である。高齢者の増大は医療や介護に莫大な財源を要するが目をそむけている。国の仕送りを受ける地方もひたすら高度成長期の高い行政サービスを今も取り続けている。私達の調査では地方事業の70%は選択的事業に使われ、地方自身の福祉的事業はわずか30%に過ぎない。

 国家財政が破綻の危機にありながら、現在の地方自治体は黒字基調にある。交付税の高どまりと地方への国庫補助金が急増したからである。しかし近い将来、地方財政も厳しさが待ち受けているのは明確である。

 地方の再生は我が国の存続にもかかわる。地方だけでなく人口が過度に集中する東京はもとより、大阪や福岡などの大都市も極めて深刻な事態が待ち受けている。特に首都東京は現在でも特老への待機老人は4万3千人と言われている。オリンピックは2020年だが高齢社会のピークは2025年で、まだ入口にすぎない。莫大な高齢者の介護費用はもとより、施設の整備やマンパワーなどの確保からも、さらなる経費が追い打ちをかける。現在でも国庫支出金は東京都がトップで大阪、神奈川と続く。自立度が高いと言われる東京都などに巨額の国費投入が現在でも行われているのだ。今後さらに膨大な財政支援が必要だが、国家財政はパンク寸前である。

 いうまでもなく都市一極集中をくい止めるためには、地方の再生が急務である。第一点は地方自治体自身の「危機意識」の醸成である。火災の現場である地方自治体が何の危機感も無く傍観していたのでは、全てが焼け野原になることだろう。自治体自身が危機感を持ち、自己責任を大原則としてありったけの知恵と工夫を発揮しなくてはならない。

 第二は、地方における雇用機会の拡大である。雇用の機会を拡大すれば人口の流出を防ぐだけでなく、都市からUターン組もある。国の保護行政は農業や林業をことごとく潰した。一定の保護政策は理解できるが、様々な規制や補助金づけで維持できるものではない。これからは発想を変え規制を撤廃し、新たな農業や林業の再生に取組むことが求められる。
 地方への企業誘致にしても情報システムの整備などを進めると環境の悪い大都市にだけに集中する意味がなくなる。アメリカを見ればよく理解出来る。地方の働き場を確保するためにはインターネットの活用と共に観光事業も極めて重要である。

 今は高齢者に支えられた消費力に頼っているが、いずれその資金も枯渇する。生産年齢人口(15歳~60歳)が特に減少する地方にとって観光事業は極めて有望な事業と言える。現在の1千万人を超える程度の観光客を10倍の一億人を目指す。地方も独自の情報インフラの整備を図る。

 日本の道路は完璧に整備され、カーナビさえあればどこにでも行ける。コンビニは全国に配置され、トイレもあり休憩所にもなる。治安は世界の中でトップクラスである。一千億円もあれば様々な受入れのサービスが整う。地方は地方の特色を存分に打ち出す。いまのような「個性なき一律的まちづくり」ではない。各地域に様々な文化が根付いている日本を世界の「ラストリゾート」と位置づけることだ。

 行政体も開放する。役所の民営化である。市町村の業務の75%は民間人で業務を行うことができる。どの市町村にとっても役所は地域最大の消費型大企業である。これを活用しないなど考えられない。

 雇用さえあれば人は誰しも生れ育った所で生活したい。地域の大学よりも大都市に学生が集まるのは就職のことを考えるからで、働く場さえあれば地域を離れることはない。国と地方が発想を転換し、真剣にその気になりさえすれば地方は再生し、大都市一極集中は是正される。

 これらの再生策の「鍵」は地方議会にあると言っても過言ではない。首長は前例のない、しかも多額の財源を必要とする事業は決断出来ないものだ。私も市長時代に様々な改革を実現したが、いつも「謀反人」の恐怖を持ち続けていた。

 今年こそ、地方議員の一人一人が「議会人としての生きがいと責任」を自覚し、地方再生の狼煙を上げる時ではないか。
(以下次号)

穂坂邦夫の著書

2013.1 Xノートを追え!中央集権システムを解体せよ・朝日新聞出版(1,470円)
―いじめをなくし、教員の資質を高めるために―
2005.7  教育委員会廃止論・弘文堂(1,600円)
―国と地方を救う役割分担の明確化―
2008.4  地方自治 自立へのシナリオ(監修)・東洋経済新報社(3,150円)
―健全化への処方箋―<行政・議会・住民の協働による地方再生マニュアル>
2008.5  自治体再生への挑戦・株式会社ぎょうせい(2,500円)
―市町村長を廃止するー<地方を変える、国を変える、徹底した比較・検証・調査>
2008.12  シティマネージャー制度論(監修)・埼玉新聞社(1,500円)
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〝強制市町村合併の危険〟

2016-07-01 10:33:22 | Weblog
 私が理事長を努める(財)日本自治創造学会が去る5月12日(木)、13日(金)の2日間、恒例の研究大会(第8回)を明治大学アカデミーホールで、全国各地から600名近い多くの皆さんを迎えて開催を致しました。今回は様々な講演の他、参加者の方々が各地で実践された議会改革や自治体改革なども発表され、大変参考になりました。

 改革は小さな第一歩から始まります。御承知のように私達の日本は、巨大な借金に加え少子高齢化と人口減少が加速し、地方はいま、大きな転換期を迎えています。国は地方創生、一億総活躍社会の実現などのスローガンをかかげ、地方の再生はもとより保育の充実や高齢化対策など矢つぎ早に様々な施策を打ち出していますが、少なくとも地方の再生は地方自身が当事者であり、主役であることを地方自身が強く自覚することが重要です。

 昨今の地方自治は連日話題になった舛添前東京都知事のスキャンダルばかりで、全自治体が影をひそめている状態にさえ、見受けられます。私達の首長時代には数多くの地方自治体が大新聞の一面を常に賑わせていたものです。

 それぞれの自治体には永年に渡って培われた様々な個性があり、確かな地域力を持っています。遠くの指揮官がどんなに優秀であっても、2000近い地域個性に合致する施策をひとつひとつ立案することは不可能です。人口減少に直面する首長や自治体職員はもとより、地方議員の方々が〝地方独自の施策〟を積極的に打ち出すことが強く求められています。

 これからは国と地方が協力して、公的サービスにおけるお互いの役割分担を明確化し、両者の自己責任を確立して、現在の中央集権的関係から発生する膨大なムダを排除し、国家財政の健全化と共に、自治体の自主財源をしっかりと確保するとともに、地方自身が自らの再生を図っていかなければなりません。

 破綻した北海道の夕張市は再生の努力を続けていますが、従来の行政手法を踏襲しつづけているため、「役所が残って住民が消える」本末転倒の危険性を持っています。人口減少に直面する市町村は、自治体運営の抜本的な改革など発想の転換と大胆な改革手法が必要です。

 このまま、地方が衰退を続けると平成の合併を指導した国は「強制市町村合併」を選択することは間違いありません。だからこそ地方自治体は主体性を発揮して、自らの再生・振興を図らなければならないのです。


穂坂邦夫の著書

2013.1 Xノートを追え!中央集権システムを解体せよ・朝日新聞出版
                                  (1,470円)

―いじめをなくし、教員の資質を高めるために―
2005.7  教育委員会廃止論・弘文堂(1,600円)
―国と地方を救う役割分担の明確化―
2008.4  地方自治 自立へのシナリオ(監修)・東洋経済新報社(3,150円)
―健全化への処方箋―<行政・議会・住民の協働による地方再生マニュアル>
2008.5  自治体再生への挑戦・株式会社ぎょうせい(2,500円)
―市町村長を廃止するー<地方を変える、国を変える、徹底した比較・検証・調査>
2008.12  シティマネージャー制度論(監修)・埼玉新聞社(1,500円)
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                 ~地方創生の具体策~

2016-03-15 15:44:53 | Weblog
人口減少が加速する市町村の創生策“ふる里が消える”-①「消えるかも知れない北海道夕張市をどうするか」
 

 地方創生が大きな課題となっているが、あたかも国が主役で地方が追随しているように見える。本末転倒の見本である。

 地方の再生・創生策は大きく2つに分かれる。人口の減少が加速する過疎的な市町村(基礎的自治体)と人口減少は少ないが2025年に向って後期高齢者が激増する都市部における市町村である。今回は最悪の事例である「北海道夕張市」を代表事例に取り上げ、再生策を考えたい。

 御承知のように北海道夕張市は10年前の2006年に破綻したが、当時の借入残高が349億、15年度の借入残高は259億(15年度末の見込み)で10年間で90億円を返済している。しかも高い利息を払い続けている。一見すると成功のようだが、私から見ると、当事者には悪いが“大失敗”と言わざるを得ない。最大の理由は膨大な人口の減少である。

 破綻した10年前には13,189人から2016年1月には9,031人となり4,158人大幅に人口が減ってしまった。32%という途方もない減少率である。しかもこの人口減少は出生率の低下によってもたらされたものではなく、地域から人口が流出したことが大きな要因となっている。税収も大幅に減少している。再生失敗の見事なまでの結果である。私は「役所が残って住民が消える危険性がある」と10年前に予告したが不幸なことに見事に的中してしまった。何故だろうか。

 最大の原因は従来の行政運営スタイルを踏襲したまま、巨額の借金を返済しているため、教育などの自主的公的サービスは何も出来ない。住民は居住に必要な必要最小限度のサービスだけに甘んじなければならない。しかもその公共サービスの負担は著しく重い。これでは将来のある若い住民は残るに残れない状態になる。高齢者だけが残り、福祉費の比率が増大する。特に教育サービスが減少すると子供の将来を考える保護者は、ふる里を離れたくない気持ちがあっても、働く場所もある大都市・札幌に移り住むことになる。

 どうすればよいのか。特効薬はあるのか。ある、ある!

 第1は従来の行政運営システムを抜本的に改める。例えば役所を中心とした21世紀型村落協同体への転換である。私は志木市長の時、「現在の役所の仕事は75%が市民化(外部化)できる」との結論を職員に出してもらい、人口の減少が到来する20年後を目標とした「地方自立計画」を立案した。

 夕張市の人件費は約11億円(H27年度予算)で前年より15.2%も増加している。物件費、維持修繕、建設事業費の合計は21億円、人件費を合わせると32億円の再生原資がある。この原資を市民全体の事業費とする。自治体丸ごとの市民化である。

 第2は返済期間の延長と6億円近い借入金利息の減額である。国がいくら返済を急いでも夕張市が消えてしまっては何にもならない。さらに公的資金の利息は高すぎる。現在の利率はマイナス金利であり、国と交渉して現在の妥当な利率に変える。

 第3は子供の将来に対する新たな投資である。教育サービスや保育などは大幅に引き上げる。大都市から環境のよい夕張市への流入を図るなど、積極的な方策が重要である。このままではジリ貧となり、役所が残って市民が消えることが現実化する。

 自治体は「弱者と強者の共生」を哲学とした「非営利独占的サービス事業体」である。議会も市民総会に変え、住民には「市民委員会」を設置して参加をしてもらう。傾いた事業体を再生するためには、従来のシステム・手法を大転換しなければならない。市民が施策決定を含め、市役所の運営や様々な事業にも全て参加するシステムを構築する。市長はシティマネージャーに徹することだ。

 新たな「21世紀型村落協同体」を夕張市に誕生させることが再生と創生に向けての唯一の方策ではないだろうか。自治体は市民がつくったことを忘れてはならない。

(以下次号)

穂坂邦夫の著書

2013.1 Xノートを追え!中央集権システムを解体せよ・朝日新聞出版
                                  (1,470円)

―いじめをなくし、教員の資質を高めるために―
2005.7  教育委員会廃止論・弘文堂(1,600円)
―国と地方を救う役割分担の明確化―
2008.4  地方自治 自立へのシナリオ(監修)・東洋経済新報社(3,150円)
―健全化への処方箋―<行政・議会・住民の協働による地方再生マニュアル>
2008.5  自治体再生への挑戦・株式会社ぎょうせい(2,500円)
―市町村長を廃止するー<地方を変える、国を変える、徹底した比較・検証・調査>
2008.12  シティマネージャー制度論(監修)・埼玉新聞社(1,500円)
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何ひとつ進まない我が国の抜本的改革~国と地方自治の関係を見直す~

2016-01-01 09:01:01 | Weblog
  新年あけましておめでとう御座います。本年も宜しくお願い致します。

扨、本年度の予算案が96.7兆円に決定しましたが皆さんはどんな感想をお持ちでしょうか。私は強い危機感を持っています。

  税収を過去最大の57兆6千億円と見込みながら、財政健全化は今回も先送りされています。ギリシャを超える財政悪化によって我が国の格付けは一段と格下げされているのにもかかわらず、何の危機感も感じることができません。

  新規国債の発行額は34兆4300億円で予算の三分の一強を借入金に頼り、国債の残高(長期借入金)は今年度末より26兆円も増加し、838兆円になり、地方の借入金を加えると1000兆円を遥かに超えることになります。

  仮に、税収の伸びが5.6%増以下に留まると大変です。さらに借金が増加することになります。特に本年度の予算は社会保障費を抑制しながら、防衛費や土地改良予算などの伸びが目立つ、弱者に厳しい予算とも言えるのではないでしょうか。

  一方の地方自治体は一部に庁舎の建設が予定されるなど財政的に見ると三極化傾向が見受けられます。

  類型化すると第一群は高い税収に支えられる大都市、第二群は地方交付税など、国の高い支援によって支えられる過疎地。いずれも借入金の多いのが特長です。第三群は財政力指数(一般的収入÷一般的支出)が比較的高いものの、「1」前後の小都市で、借入金もままならない厳しい財政運営を余儀なくされている自治体です。

  しかし、その三群はそれぞれの財政事情が異なるにも関わらず、共に財源の不足を共同で訴え、地方交付税の増額を要求しています。別格の富裕都市である東京都でさえ、財源の移譲には大反対ですが、他の自治体からの反論は皆無に近いと言えます。

  自立の思いはどこにいったのでしょうか。法令によって、自治体の住民に対する経費と負担が分離されているうえ、国の巧妙な采配による自治体の統治がされているのかも知れません。あるいは自治体の財布が国に握られているため、その宿命を甘んじて受け入れようとしているのかも知れません。

  私は公教育の問題と共に、〝国による地方自治体の統治方式〟の実態や改革など自治体の自立を目指し、本年も精一杯努力をしてまいります。


穂坂邦夫の著書

2013.1 Xノートを追え!中央集権システムを解体せよ・朝日新聞出版
                                  (1,470円)
―いじめをなくし、教員の資質を高めるために―
2005.7  教育委員会廃止論・弘文堂(1,600円)
―国と地方を救う役割分担の明確化―
2008.4  地方自治 自立へのシナリオ(監修)・東洋経済新報社(3,150円)
―健全化への処方箋―<行政・議会・住民の協働による地方再生マニュアル>
2008.5  自治体再生への挑戦・株式会社ぎょうせい(2,500円)
―市町村長を廃止するー<地方を変える、国を変える、徹底した比較・検証・調査>
2008.12  シティマネージャー制度論(監修)・埼玉新聞社(1,500円)

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いじめ〝増加(特に小学校低学年)〟を無視した教員の削減~小・中学校の教育に関心を~①

2015-11-02 18:42:08 | Weblog

○小学生のいじめが増加している〝公立は異質な集団で形成〟

 小学生のいじめが増加している。特に小学校低学年の増加が顕著である。これらを気づくことなく放置すると、やがては高学年・中学校の〝いじめ〟となって現れる。とても危険な兆候である。

 公教育は私学と異なり、多様な資質を持つ子供たちが集団を形成している。生活環境や成熟度も異なる異質な生活集団での経験は、これからの国際社会への対応を考えると貴重なものだが、異質な故に生徒間の反発もあり〝いじめ〟が多発する危険を持つ。

 一方の私学は、それぞれの教育方針を選択した同質の家庭環境をもち、選択試験によって教育水準も均一化された集団を形成している。公立に比較して生きる力を養ううえではある種の懸念はあるものの、同質的な集団であるため〝いじめ〟が少ない特長をもつ。

○教育現場の環境を無視した37,000人の教員削減方針〝教育環境の整備は後退〟

いじめの増加を無視するかのように、公立小中学校の教員を今後9年間で37,000人を削減することを財務省は求めている。生徒数が減少するので現状の教員配置を基準にすると削減は可能で、国の借金増に歯止めをかける狙いもある。所管する文科省でさえ現行制度(小学1年生35人学級、2年生から中学3年生まで40人学級)を是認し、生徒数の減少から5000人程度はやむを得ないと判断している。

いずれもいじめの問題を学校や教員だけにその責任を押しつけている。義務教育における少人数学級が大きなうねりとなった15年前と比較して、今昔の感がある。

 我が国は資源に恵まれないことから〝人材こそが資源〟といったことを私たちは忘れてしまったのだろうか。

○いじめの防止には少人数学級編成が必要である〝教員が、もっと生徒と接したい〟

 私は市長時代に全国で初めて〝小学校低学年における25人程度学級〟を導入した。少人数学級の効果が直ちに〝学力アップ〟に結びつくものではないが〝いじめの防止〟には役に立つと断言できる。何故なら現行の基準である40人学級よりも25人程度の学級定員のほうが教師の眼がいきとどきやすく、いじめに気づくことが出来る。誰も異論はないだろう。

さらに、わが国の教育行政は文科省を頂点とした中央集権型上意下達主義で、報告書類などの作成が多く教員の事務量は極めて多量である。このため教員の多くは、もっと〝生徒と接する時間がほしい〟と訴えている。医者が〝患者を見る時間がほしい〟というのと同じである。この現実はいじめなどに眼が届きにくいことを、如実に物語っている。

○諸外国と比較をする〝我が国の教育環境は劣悪〟

先進国では25人程度の学級編成が基準(特に低学年)である。そのうえ、家庭・社会・学校の役割が明確にされており、放課後のクラブ活動などは地域社会がしっかりとその役割を果たしている。わが国では子どもに対する家庭や社会の役割まで学校や教員に委ねられており、先進国と比較して多様な任務を背負っている。特に欧米では上位官庁による一定の制約や評価はあるものの学校単位の自己責任が確立されているため現場の自由裁量権が認められており、直接的な教育以外の業務は皆無に近い。OECD(経済協力開発機構)の調査でも日本の中学校教員の勤務時間は週53.9時間と参加国(34ヶ国)の中で最も多い。小学校も同様である。

○義務教育の仕組み「実施主体は区・市・町・村」〝住民の力で義務教育を変える〟

公立小中学校の実施主体は、区・市・町・村である。しかし義務教育の方針や教員配置基準は国が定めている。私が25人程度学級(志木市)を導入した時も、文科省はもとより埼玉県も当初は反対であり、いわば志木市は義務教育における謀反人として様々な圧力を受けた。

しかし、住民の賛成と理解があれば志木市が導入したように、少人数学級の実現や教育環境の改善は可能である。特に少人数学級編成は、いじめだけではなく、世界の教育が求めている〝思考力〟の向上にも欠かせないものである。私達はもっと義務教育に関心を持ち、我が国を担う子供たちにとってよりよい教育環境をつくらなければならない。地方自治は住民の声を直接つたえることのできる、民主主義の学校とまで言われているのである。(以下次号)

穂坂邦夫の著書

2013.1 Xノートを追え!中央集権システムを解体せよ・朝日新聞出版
                                (1,470円)
―いじめをなくし、教員の資質を高めるために―
2005.7  教育委員会廃止論・弘文堂(1,600円)
―国と地方を救う役割分担の明確化―
2008.4  地方自治 自立へのシナリオ(監修)・東洋経済新報社(3,150円)
―健全化への処方箋―<行政・議会・住民の協働による地方再生マニュアル>
2008.5  自治体再生への挑戦・株式会社ぎょうせい(2,500円)
―市町村長を廃止するー<地方を変える、国を変える、徹底した比較・検証・調査>
2008.12  シティマネージャー制度論(監修)・埼玉新聞社(1,500円)



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新年の御挨拶

2015-01-01 09:01:01 | Weblog

 あけましておめでとうございます。

昨年中は大変お世話になりました。今年も宜しくお願いします。
2014年は皆様にとってどんな年だったでしょうか。

 昨年暮れの総選挙は解散の大義など、様々な批判もありましたが安倍総理の作戦勝ちに終わりました。アベノミクスが道半ばであり、まだ恩恵を受けていない国民さえ、これからの成果に期待を持っていましたし、期待した民主党政権の迷走を、国民が忘れていないことなどの要因もあったと思います。

 ある雑誌に民主党の野田前総理が「解散には大義がなく私利私欲だ」と批判していました。しかし、野田さんが行った当時の解散に大義があったのかと考えてみますと、勝利した当時の民主党のマニフェストは、「消費税増税」が政策の柱であったでしょうか。仮に政権を担った予算編成で増税を痛感し、自分達の責務だと考えたのであれば、その時点で増税を争点として、解散し、国民に信を問うべきだったのではないでしょうか。国民の眼には、勝手に増税を言い出し、追いつめられ、自壊した姿だけが残ったのではないでしょうか。

 一方の安倍政権もこれから大きな課題が待ち受けています。円安で苦しむ市民や中小企業の方々がアベノミクス効果を本当に実感することができるのかどうか。大胆に金融を緩和した日銀政策の出口をどうするのかなど、経済効果を争点にした選挙であったが故に、大きな責任を背負っています。

 さらに地方の再生も大きな課題です。出生率のアップを始め地方における雇用の増加など様々なアドバルーンをあげていますが、具体的な施策はこれからです。特に私が心配しているのは、施策の多くが「国家の指導」によるもので、いわば火災の現場である地方のやる気が一向に伝わってきません。もっと地方自身が先頭に立って「やる気」を出し、「自己責任」を感じ、それぞれの地域環境に応じた「個性的な人口減少の抑制策」や「雇用の拡大策」などに取組むことの出来るような、システムづくりをしなければ「笛吹けど踊らす」の危険が待ち受けています。農政などの失敗のように、縦横に張りめぐらした地方に対する様々な規制は自治体の国への依存体質を堅固にし、地方の自主性や創造性を失わせています。

 私も市長時代に市独自の25人程度学級の導入や収入役の特別職設置の自由化を訴えましたが、全て「全国一律」の原則にしばられると共に、国にたてつく「謀反人」のプレッシャーに悩まされ続けました。

 このように安倍政権における当面の課題は数多くありますが、少なくとも「国と地方のあり方」については地方自治に関わる私達にも解決しなければならない責任を感じています。

 国が動かなければ都道府県と政令指定都市、市町村が真摯に話し合い「地方間における役割分担(全ての事務・事業)の明確化」も大改革の突破口になるかも知れません。

 本年も人口の増加をはじめ、雇用の拡大など地方再生に直結する地方の自立に向かって、様々な提案をしてまいります。
本年も昨年同様、御指導を下さいますようお願い申し上げます。




穂坂邦夫の著書

2013.1 Xノートを追え!中央集権システムを解体せよ・朝日新聞出版
                                  (1,470円)
―いじめをなくし、教員の資質を高めるために―
2005.7  教育委員会廃止論・弘文堂(1,600円)
―国と地方を救う役割分担の明確化―
2008.4  地方自治 自立へのシナリオ(監修)・東洋経済新報社(3,150円)
―健全化への処方箋―<行政・議会・住民の協働による地方再生マニュアル>
2008.5  自治体再生への挑戦・株式会社ぎょうせい(2,500円)
―市町村長を廃止するー<地方を変える、国を変える、徹底した比較・検証・調査>
2008.12  シティマネージャー制度論(監修)・埼玉新聞社(1,500円)

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衆議院の解散と地方の創生―自治体消滅から再生へ―

2014-12-01 09:30:01 | Weblog
―自治体消滅から再生へ―

衆議院の解散と地方の創生


衆議院が解散されました。消費税2%値上げの先送りとアベノミクスの是非を問う選挙だと安倍内閣は強調していますが、今度の解散は国民の理解を得られる大義があるでしょうか。

消費税の先送りは各党・各会派が全て賛成をしていますし、デフレからの脱却はもとよりアベノミクスの是非についても、いまだ道半ばです。日本経済の振興と密接に関連する地方の再生や女性の社会進出などもこれからの課題です。第3の矢と言われる抜本的な規制改革は手つかずであり、具体的な施策化には程遠い状態です。国民の中には、日銀の大胆な施策の是非を問う選挙なのかと揶揄する人もいます。自民党が期待する若手政治家の小泉進次郎さんも「なんのための解散か分からない」と明確に言い切っています。

このような状態の中で選挙が行われるわけですが、一強多弱の状況は幾分変わるかもしれませんが、大勢は現状と変わらない構図になるでしょう。しかし、残念なことに地方の再生問題を真正面から取り上げている政党は今回も皆無です。

私はかねてから、地方の再生は当事者である地方自身が真剣に取組まなければ国のリーダーシップだけで解決されるわけがないと、あらゆる機会をとらえて訴えています。「自治体消滅の危機」がどんなに強く言われても主権者である地域住民の多くは無関心です。首長や議会も危機意識を持っているのは極めて一部に過ぎません。このような状況の中で、現場から遠い国のリーダーが、いくら火事だと騒いでも、火事現場の地方が無関心であれば火を消し止めることなど出来るはずがありません。本来であれば自分のまちに大火が起きれば当事者である地方自身が真っ先に消火活動に取組むのが当然ではありませんか。

このような不可思議な現象が何故地方の現場に起きてしまっているのでしょうか。もう一度再考することが重要なキーワードであり、再生へのスタートになると確信しています。この奇妙な現象を返り見ることもなく、国家が独断と錯覚をしたまま、アメとムチで地方を誘導し、再生しようとしても成功するはずがありません。

この不可思議な現象の原因は、地方を身動きのとれない状態にし、主体性を持たせなかった中央集権という長い間のシステムにあります。多くの方々もその原因を知りながら真正面から問題提起をしないことが不可解でなりません。
(以下次号)

穂坂邦夫の著書

2013.1 Xノートを追え!中央集権システムを解体せよ・朝日新聞出版
                         (1,470円)

―いじめをなくし、教員の資質を高めるために―
2005.7  教育委員会廃止論・弘文堂(1,600円)
―国と地方を救う役割分担の明確化―
2008.4  地方自治 自立へのシナリオ(監修)・東洋経済新報社(3,150円)
―健全化への処方箋―<行政・議会・住民の協働による地方再生マニュアル>
2008.5  自治体再生への挑戦・株式会社ぎょうせい(2,500円)
―市町村長を廃止するー<地方を変える、国を変える、徹底した比較・検証・調査>
2008.12  シティマネージャー制度論(監修)・埼玉新聞社(1,500円)

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現行制度の温存で地方の創生は成功するのか-25年後の自治体消滅を前にして-

2014-10-01 00:01:01 | Weblog
現行制度の温存で地方の創生は成功するのか

-25年後の自治体消滅を前にして-



臨時国会が「地方の創生」をメインテーマに開会しました。人口の減少と高齢社会の加速による地方の衰退を国のリーダーシップでくいとめようとするものです。

しかし日本が直面する大問題の解決には越えなければならない様々な課題が山積しています。

第1は、何故地方に十分な財源をあてながら、漫然と時を過ごしてきた地方の運営姿勢やその実態をしっかりと見つめ直し、原因がどこにあるのかを検証すべきではないでしょうか。

第2は、どんなに国がリーダーシップを取ろうとしても、地方の運営は地方の人達が行っています。運営当事者の自主性と自己責任がなければ自立心も自律性も生まれるものではありません。何故地方から、自己責任が生まれてこないのかも、検証しなければなりません。

第3は、地方議員の不祥事も常識から極めて遠いものであり、人間としての資質が欠落しています。このような人達を何故住民が選んだのかの検証も必要です。単に地域住民が悪いと言ってしまうほど単純ではありません。住民と自治体・地方議会が乖離する大きな原因があるはずです。

第4は、再生・創生という大仕事をするには国の役割と地方の役割を明確にしなければなりません。お互いの役割を明確にするためには、お互いの権限を明らかにしなければなりません。何もかも全て手つかずです。

第5は、創生本部は各省庁の出向組で編成されています。省庁の壁をこえてと言いますが、緊急を要した東日本大震災の復興で、出向組で構成された本部は、その機能を十分に発揮されていないことが証明しています。しかも創生本部の主力は総務省です。総務省は地方の再生を市町村合併からわずか10数年でコンパクトシティに変えています。市町村合併の検証もされないまま、地方は二度に渡ってその方向性を国に変えられようとしています。スローガンはあるものの明確な内容を持たない創生本部の方針も心配です。

-以下次号―


穂坂邦夫の著書

2013.1 Xノートを追え!中央集権システムを解体せよ・朝日新聞出版
                                  (1,470円)
―いじめをなくし、教員の資質を高めるために―
2005.7  教育委員会廃止論・弘文堂(1,600円)
―国と地方を救う役割分担の明確化―
2008.4  地方自治 自立へのシナリオ(監修)・東洋経済新報社(3,150円)
―健全化への処方箋―<行政・議会・住民の協働による地方再生マニュアル>
2008.5  自治体再生への挑戦・株式会社ぎょうせい(2,500円)
―市町村長を廃止するー<地方を変える、国を変える、徹底した比較・検証・調査>
2008.12  シティマネージャー制度論(監修)・埼玉新聞社(1,500円)

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25年後に自治体の多くが消える“コンパクトシティが最善の方法か-②”

2014-08-01 09:30:16 | Weblog
25年後に自治体の多くが消える

コンパクトシティが最善の方法か-②



 人口減少の自治体に対する国家の方針は「コンパクトシティ(集約型都市構造)」をめざしています。一定の人口密度を維持することによって医療・福祉などの生活サービスの提供が維持される集約型の都市構造をつくり出す政策です。言葉を変えると拡散型の居住地から市街地の一定エリアに生活地域を集中させ、必要な都市機能も集約させることになります。

 具体的には都市再生措置法を改正(2014年5月成立)して公共交通を中心として、都市機能誘導区域(福祉・医療・商業等の都市機能の立地促進を図る地域)と居住誘導区域(居住を誘導し、人口密度を維持するエリア)を設置するのです。国は集約化を進めるために社会資本整備総合交付金や容積率の特例、都市機能立地支援事業などで支援する仕組みです。さらに商業施設や医療・福祉施設、集合住宅の集積には民間活力を導入して、地域の活性を図ることも目指しています。

 しかし、このようなメニューを見せられると、かつての市町村合併を思い出してしまいます。合併さえすれば全ての地方にとって「バラ色」の未来が待っていると国は様々なメニューを提供しました。結果はどうだったでしょうか。ある大手のマスコミが合併後10年を経過した時点で住民意識調査をした結果、約80%を超える住民が「合併しない方が良かった」あるいは「何も変わらなかった」と答えています。あれからわずか15年です。人口減少は予測されていたのにもかかわらず、国の方針はまた大きく変わってきたのです。

 さらに全国各地で地方の一極集中化が進むと、時には思いがけない現象も生まれる危険性があります。例えば人口密集地の大都市は出生率が低下する傾向から人口減少が加速することも考えられます。集中エリアは都会化し、エリアを外れた地域は荒れ放題になるでしょう。のどかな故郷は消えていくことになります。様々な施策は先見性と共に多様な角度から「住民の視点」に立って立案されなければなりません。コンパクトシティ構造も、もう一度丁寧な説明のもとに住民の賛否を受ける必要があるでしょう。くるくる変わる国の方針に危惧感を持っています。

 確かに人口減少は加速します。しかし従来の高度成長期の行政構造や役所の運営システム、様々な補助制度などを変えることなく全国を一律的に「コンパクトシティ」づくりに押しこむことは、大きな疑問を感じざるを得ないのです。住民の様々な意志を一律化し、合理性だけが求められる地域の再生について私達は真正面から議論することが求められています。市町村合併のような「全国一律型地域構造システム」では我が国の市町村を再生できるはずがないからです。

-以下次号―

穂坂邦夫の著書

2013.1 Xノートを追え!中央集権システムを解体せよ・朝日新聞出版
                                  (1,470円)
―いじめをなくし、教員の資質を高めるために―
2005.7  教育委員会廃止論・弘文堂(1,600円)
―国と地方を救う役割分担の明確化―
2008.4  地方自治 自立へのシナリオ(監修)・東洋経済新報社(3,150円)
―健全化への処方箋―<行政・議会・住民の協働による地方再生マニュアル>
2008.5  自治体再生への挑戦・株式会社ぎょうせい(2,500円)
―市町村長を廃止するー<地方を変える、国を変える、徹底した比較・検証・調査>
2008.12  シティマネージャー制度論(監修)・埼玉新聞社(1,500円)

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