ほさか邦夫の日記帳

前志木市長、地方自立政策研究所理事長

このままでは国も地方も崩壊する

2010-08-17 10:13:13 | Weblog
~政治の混乱・経済の停滞・デフレや円高の無策・国と地方の乖離と相互の無責任体質・高齢者の不明に見る地方行政の劣化など~

 しばらくブログを御無沙汰しました。何の理由もありません。なまけグセもありますが「沈みゆく日本」に対する将来への不安に“何をこれから訴えればよいのか”という模索の時間だと思って下さい。
 我が国の将来に対する不安は私だけでなく、あらゆる階層の数多くの方々が感じています。成熟社会が加速し人口が減少する中で、諸外国とは比較にならないほど経済の成長率は低迷し、第一四半期におけるGDPの急減速、輸出に悪影響を与える円高についても他人事のように「慎重に見守る」という政府の態度、100歳を超える高齢者の大量の行方不明に見る地方行政力の劣化、地方空港だけでも98もつくり続けたうえに、ハブ空港機能もアジアの国々に大きく遅れをとっている現実。日本の拠点空港として羽田を超えるハブ空港として建設した成田国際空港もアクセスの悪さを放置してきたため、ハブ空港として機能していない現状。今更のように、羽田にハブ空港としての機能をもたすのであれば、成田国際空港建設のエネルギーを羽田沖の埋め立て拡張に全力を尽くすべきではなかったのか。空港と同じように取扱い量の低下に悩む港湾の整備もまったく進んでいない現状を考えると、様々な分野で我が国の劣化が進んでいることを感じる。日本国民の底力を固く信じている私にさえ不安がつのる。
 鬱積した国民の様々な不安の中で、解決を期待されて誕生した民主党政権も、「この国の行方」について何のコンセプトも国民に示さないまま、バラマキとも言える政策に終始している。地方行政についても地域主権を標榜しながら、核心には一切ふみこんでいない。従来のように実質的な中央集権を温存したまま“地方のため”という甘い言葉と小泉政権への批判だけで一兆円近い地方交付税を増額して交付している。現政権は何の目的で何を地方に何を期待したのだろうか。国益をどう考えているのだろうか。日本の将来を憂い、様々な批判を繰り返しているメディアでさえ、高齢者の行方不明者問題について地方に対する国の関与強化を声高に主張するコメンテーターに拍手を送る的外れの司会者もいる。小中学校のいじめ、教師の不祥事も相変わらず続いているが抜本的な対策は実施されていない。
 我が国が抱える様々な課題は国家の無策の結果と言わざるを得ない。何故ならば、日本と同じように外需に依存し、高齢化も経験しているドイツはマイナス要因とも言える東ドイツの併合を乗り越えて確実な成長を続けており、EU内においても力と個性を十分に発揮しているからである。これからの日本はどうすればよいのだろうか。解決する方策は様々だが、たったひとつ確証をもって言えることは、国と地方の行政責任はもとより、国民のひとりひとりの自己責任を放棄させている「昭和システムとの決別」ではないだろうか。言いかえれば自己責任を明確にさせない致命的欠陥を持ちながら戦後一貫してとられてきた「中央集権的な行政システム」の抜本的大改革である。自己責任の失われたところに国民の道徳的規律はもとより、政治的責任も存在することができないからである。

―以下次号―

穂坂邦夫の新書
―国と地方を救う役割分担の明確化―
◦2008.4  地方自治 自立へのシナリオ(監修)・東洋経済新報社(3,150円)

―健全化への処方箋―<行政・議会・住民の協働による地方再生マニュアル>
◦2008.5  自治体再生への挑戦・株式会社ぎょうせい(2,500円)

―市町村長を廃止するー<地方を変える、国を変える、徹底した比較・検証・調査>
◦2008.12  シティマネージャー制度論(監修)・埼玉新聞社(1,500円)