ほさか邦夫の日記帳

前志木市長、地方自立政策研究所理事長

                      “Xノートを追え”から

2013-05-02 15:56:10 | Weblog
よみがえる行政指導
「日本式中央集権制度の温存と規制緩和頓挫の危険」

アベノミクスは国民の支持を得て順調に進んでいるように見える。大型の財政出動と大胆な金融緩和は長い間円高に苦しんできた輸出産業に活力を与え、株価の急上昇は出口のない閉塞感に覆われていた日本社会に明るさをもたらしている。

しかし、アベノミクスの最大のポイントである規制緩和は、竹中私案に見られるように様々な課題の設定は確かなものの、明確な道筋は明らかにされていない。ある日刊紙が「かつての日本は行政指導の国であった。各省庁は所管する業界の企業行動に口をはさみ、日本銀行は銀行の融資をコントロール(窓口指導)しようとし、旧大蔵省は金融機関の経営を一律に守ろう(護送船団行政)とした。こうした行政指導は政治家の利益誘導を生み、天下りの温床となった。既得権益擁護型・現状追認型の政策スタンスをもたらすという弊害があった。この行政指導的な政策運営が現在よみがえりつつあるように見える。明確なルールに基づかない政治指導的な介入によって、自主的な経済活動や経営判断をゆがめるようなことをすれば将来への不確実性が高まり、かえって企業行動を委縮させることになりかねない。目的が正しければ手段が正当化されるというわけではない」と〝よみがえる行政指導〟に強い懸念を示している。

安倍政権は経済運営ばかりでなく地方に対しても地方公務員給与の減額要請や日本式中央集権制度を改めないまま、道州制の導入を計画するなど、地方に対する国の関与をなしくずし的により強固にする姿勢を推し進めている。このような姿勢の中で大胆な規制緩和など実現出来るのだろうか。はなはだ疑問である。規制緩和は国の関与を出来るだけ放棄することに等しく、現在の政府の姿勢とは正反対の行動を求められているからである。

国の関与を放棄することの最大のテーマは、日本社会に最も大きな弊害をもたらしている日本式中央集権制度の解体であることは言うまでもない。この命題に首相自身が気づき、解体に向けて強いリーダーシップを発揮しなければ課題の設定がどんなに適切であったとしても、規制改革など夢のまた夢で終ってしまうのではないだろうか。


穂坂邦夫の著書

〔新刊〕2013.1.22発売・Xノートを追え!中央集権システムを解体せよ・朝日新聞出版
                                  (1,470円)

2005.7  教育委員会廃止論・弘文堂(1,600円)
―国と地方を救う役割分担の明確化―
2008.4  地方自治 自立へのシナリオ(監修)・東洋経済新報社(3,150円)
―健全化への処方箋―<行政・議会・住民の協働による地方再生マニュアル>
2008.5  自治体再生への挑戦・株式会社ぎょうせい(2,500円)
―市町村長を廃止するー<地方を変える、国を変える、徹底した比較・検証・調査>
2008.12  シティマネージャー制度論(監修)・埼玉新聞社(1,500円)