ほさか邦夫の日記帳

前志木市長、地方自立政策研究所理事長

税金をムダにしない“役割分担の明確化”を図るー④

2009-08-15 00:01:01 | Weblog
国と地方の役割分担明確化(実施主体・地方分権)を実施する「実務者の三者合同検証委員会(国家公務員・都道府県職員・市町村職員)」と明確化(案)を検証する「三者合同検証委員代表+有識者及び国民代表を交えた合同委員会」の設置について



○明確化を再検証する「三者委員会代表+有識者・住民代表合同会議」は何故必要か


明確化(主権の決定)の「素案づくり」は専門性と実務的な知識を求められるため「国(中央政府)と都道府県(地方広域政府)と市町村(地方政府)」の中立的な職員(実務者)が中心となるが国民の意志も尊重されなければならない。これらを担保するために、三者の代表(各2名~3名程度)が素案の説明員と質疑の答弁者となり、国民の代表(インターネットによる募集と抽選で選出30名~50名程度)と有識者(10名~20名程度)によって合同会議を設置し分類された理由等について質疑を受け、活発な議論を展開する。時には修正があるかも知れない。
実務者の決定した素案に住民と専門性の高い有識者の様々な意見を加えたものが国民の代表である「政治家」によって決定されることになる。我々の提案は税金のムダ使いをなくし、財政の健全化を果たし、成熟社会における新たな財源づくりの第一歩となると確信している。

―以下次号―

穂邦夫の新書
―国と地方を救う役割分担の明確化―
◦2008.4  地方自治 自立へのシナリオ(監修)・東洋経済新報社(3,150円)

―健全化への処方箋―<行政・議会・住民の協働による地方再生マニュアル>
◦2008.5  自治体再生への挑戦・株式会社ぎょうせい(2,500円)

―市町村長を廃止するー<地方を変える、国を変える、徹底した比較・検証・調査>
◦2008.12  シティマネージャー制度論(監修)・埼玉新聞社(1,500円)

税金をムダにしない“役割分担の明確化”を図るー③

2009-08-03 17:55:16 | Weblog
国と地方の役割分担明確化(実施主体・地方分権)を実施する「実務者の三者合同検証委員会(国家公務員・都道府県職員・市町村職員)」と明確化(案)を検証する「三者合同検証委員代表+有識者及び国民代表を交えた合同委員会」の設置について


○実務者中心による三者合同検証委員会の設置は何故必要かー(1)
 2回に渡る自立研のブログ(7/1・7/15)で、必要な公共サービスをカットしないで30兆円(国と地方)を超える行政経費を削減し「国家財政の健全化と新たな行政需要に対応」するためには、国と地方の各行政機関(独立行政法人などの一切を含む)が、現在実施している事務・事業をひとつひとつ検証し、実施主体と主権を明確にすることによって実現されることを訴えてきた。言いかえれば「やる気」と「手順」さえ間違えなければ容易に実現できることになる。
 今回は30兆円の削減を実現するためには、実務者を中心とした三者が一堂に会した「実務者による三者合同検証委員会」の設置が何故必要なのか。そして何故検証後による「三者機関プラス有識者プラス住民代表」の合同委員会の設置が必要なのかについて、その理由を具体的にしたい。
 私が一昨年実施した地方における公共サービス(補助金を含む)の担当を明確にする明確化研究会(実施期間平成18年5月14日~平成20年3月:東洋経済新報社が平成20年4月に発行『地方自治 自立へのシナリオ』)の経験からだが、第一点は我が国の公共サービスは行政的にも法制的にも国と都道府県と市町村(独立行政法人や第三セクターなどを含む)がそれぞれ連動しているため、三者が同席し、議論し、お互いの立場からそれぞれの事務・事業の明確化を検証しなければ利害の調整などを含め確かな結論が出せないこと。当然のことだが三者の議論は一方的ではなく平等な立場で行うことが担保されなければならない。第二点は、各行政機関(地方政府・地方広域政府・中央政府)は様々な公共サービスを提供し、その役割を担っているが、遠い指揮官である国家が市町村や都道府県の行うべきサービスや運営方法にまで関与しているため膨大なシステム上のムダを生じていることが指摘されている。一方では行政行為における国家の主権も明確化されていないケースがある。さらに私達が実施した経験から地方間(都道府県・市町村)についても役割分担が錯綜している事務・事業が数多くある。これらを整理するためには事務・事業のひとつひとつに精通している国家公務員(中央政府)・都道府県職員(地方広域政府)・市町村職員(地方政府)が政治的な中立性を担保したうえで、現在実施している事務・事業をより住民に近い(ニアーイズベスト)機関で実施することを基本に、各行政機関のもつ基本的な権能と補完性の原則をふまえて明確にする必要がある。役割分担が錯綜している事務・事業を整理するためには、ひとつの行政機関が一方的に決めるのではなく、それぞれの立場や視点から議論しお互いの理解のうえで分類する必要があり、各行政機関の実務者(国家公務員・都道府県職員・市町村職員)が一堂に会することがここでも求められる。しかも事務・事業のひとつひとつを精緻していなければ議論にならず、委員を「実務者」を中心とした最大の理由である。さらに後述するがサービス担当の明確化には必要な行政費用の算定、補助金を含む行財政制度の仕組みや諸法令の改廃など幅広い実務的な検討も必要とするからである。当然のことであるが主権の明確化は税金のムダ使いを無くすだけでなく自己責任の確立にもつながり、サービスの向上にも直結する。
 第三点は、三者が一堂に会し、各行政機関の全事務・事業を同一の委員が同時に検証することによって重複する事務・事業の整理が可能となる。単一機関だけの事務・事業の検証や単一行政機関だけの議論では解決されない。
 第四点は、事業の役割分担の明確化をしていく過程で必ず「地方広域政府・都道府県」の地域(面積)規模が問われることになる。明らかに地方の仕事に分類される仕事であっても市町村はもとより現在の47都道府県の規模では処理することが出来ないことが具体的な事務・事業によって明確になる。言いかえれば様々な事業について、地方広域政府としての適正な規模が三者の異なる視点からの議論によって明らかになる。
 第五点は、分類された事業の必要性(公務の領域)についても異なる三者の視点で議論することができる。官民の役割分担を様々な角度から検証し、社会環境の変化によって国民や市民に不必要な事務・事業の改廃をしなければならない。各政府における公務の領域を実務的に熟知し、権能の異なる立場から議論することが重要である。
 第六点は、事務・事業の外部化だが、国は一方的に近い形で指定管理者制度を地方に勧めてきた。その一方、国が推進しなければならない市場化テストは天下り先への配慮などもあって遅れている。市町村や都道府県は様々な立場で外部化を図っている経験から、国における事務・事業について多様な議論と意見が出されるメリットがある。
 第七点は、国の各省庁間における重複した事業の整理である。これにはより住民に近く、補助金を通じて実施する事業をつぶさに見ている都道府県と市町村の視点が必要である。国は類似しているが目的が異なると理由付けをするが、3つの目的をひとつの事業に集約することもできる。
 第八点は、補助金(国庫負担金等も含む)の改廃には各政府間の異なる視点による議論が何よりも重要である。補助金を設置する確かな理由を持つ中央政府とそれらを使って事業を執行する地方には大きな捉え方の違いがある。さらに都道府県にも市町村に対する補助金が数多くある。
 第九点は、明確化を阻む法令の改廃である。分類した実体験に基づく三者の視点と法の連動性を理解する知識が必要である。
 第十点は、事務・事業の担当における明確化に基づく必要財源の算定並びに各行政機関(中央政府・地方広域政府・地方政府)の基本的な配分と都道府県間及び市町村間の配分方法を明らかにしなければならない。それには利害の相反する三者が住民の視点で行うことが基本条件となる。御承知の通り、三位一体改革の失敗はその対象を一部分だけにとどめたことに尽きる。行政システムの改廃は権限(分権)と地方交付税、補助金はもとよりすべての事務・事業を一括して対象として、同時に行わなければ何の効果もメリットもない。
 知事会や市町村会が税源の地方移管を総会などで国に要請しているが各行政機関の仕事(役割分担)を明確にしなければ結論など出せるわけがない。いわば力関係で決定することに等しい。また自治体間での配分も、国が議論に参加しなければ一歩も進むことができない。国がすべてを決定する現在の中央集権的なシステムでは、国の参加が必要不可欠なことは明白である。
 三者が一堂に会しての作業は市町村で約2000件前後、都道府県で約5000件前後、国は7000件前後(独立行政法人を含む)の事務・事業であるとすれば、目をむくような困難さではない。容易にできる。しかも議論の対象になるのは事務・事業の20%(国庫補助金は全件数)程度である。国家が行っている外交や防衛・通貨政策など議論の対象になるわけがないからだ。

―以下次号―

穂邦夫の新書
―国と地方を救う役割分担の明確化―
◦2008.4  地方自治 自立へのシナリオ(監修)・東洋経済新報社(3,150円)

―健全化への処方箋―<行政・議会・住民の協働による地方再生マニュアル>
◦2008.5  自治体再生への挑戦・株式会社ぎょうせい(2,500円)

―市町村長を廃止するー<地方を変える、国を変える、徹底した比較・検証・調査>
◦2008.12  シティマネージャー制度論(監修)・埼玉新聞社(1,500円)