**画像は『Shaking Tokyo』撮影風景(産経新聞izaより)**
引き続き、ポン・ジュノ監督講演会ルポ。
最後は、新作のオムニバス映画『Tokyo!』のお話です。
日本のシステムで撮影したことで、今後は日本映画も!?という話も出ました。
オムニバス映画『Tokyo!』についても、最後にご紹介しますね。
>今回、オムニバス映画『Tokyo!』を日本で撮影されましたが、
韓国と日本の映画システムの違いは?
<ポン・ジュノ監督>
韓国映画の環境は、2~3年前は良かったが、最近は変わってきている。
予算的に、投資会社からの締め付けが厳しくなってきています。
今回、30分のオムニバス映画で、3週間の撮影期間でしたが、
日本のシステムを体験しました。。
多分、韓国の撮影システムも、資金・スケジュールの面で、日本化していくと思います。
これまでの韓国映画界では、スタッフは作品ごとに契約をしていました。
ですから、撮影期間が延びても、人件費は変わりません。
しかし、労働組合ができ、今後は1週間ごとの給与になりました。
ですから、これからは、いかにタイトに、スケジュールをこなすか、
というのが重要になってくるでしょう。
今の韓国映画の撮影期間は、3~4ヶ月、長いものは、もっとかかります。
日本の場合は、1ヶ月~1ヵ月半。
費用面から考えれば、日本のように、短い期間での撮影に移っていくのでは。
スタッフの福祉面では、合理的で喜ばしいことですが、
今までの長所=長く時間を掛けることによって生み出される「パワー」がなくなるかもしれません。
ちなみに、次に予定している長編映画の資金は、
『吠える犬は噛まない』と『殺人の追憶』の中間くらいの予算になると思います。
>『Tokyo!』では、東京をどんな風に捉えて、描く予定ですか?
<ポン・ジュノ監督>
東京に対する印象は、「みんな寂しく見える」んです。
どこに行ってもすごい人ごみなのに、なぜ、みんな寂しく見えるのか?
一番寂しい人物として「引きこもり」をえらびました。
インスピレーションを得たのは、写真集『TOKYO NOBODY』です。
TOKYO NOBODY―中野正貴写真集 中野 正貴 リトルモア このアイテムの詳細を見る |
これを見て、東京都民がみんな引きこもりになったら・・・、という設定にしました。
>東京での撮影は、どうだったか?
<ポン・ジュノ監督>
東京や、その近郊で撮影し、東京らしく見えるリアリティを求めた。
場所よりも、エモーショナル=日本的な感受性に、リアリティを求めた。
日本と韓国は隣の国で、近い国なのに、僕はやっぱり異邦人なんです。
どれくらい日本人に近づけるか?が問題でしたが、
俳優さんたちに、とても助けられました。
感情的な交流をして、近づけました。
>監督は日本マンガが大好きだそうですが、映画化したい日本の作品はありますか?
浦沢直樹さんと対談したこともありますが、彼の作品を映画化してみてほしい。
<ポン・ジュノ監督>
日本の作品で映画化したいのはいっぱいあって、20本はあるかな。
『寄生虫』はアメリカに買われたし、『ドラゴン・ヘッド』は日本で映画化されてしまったし。
3本ほど、実際に、映画化してほしいというオファーがありました。
浦沢直樹さんの作品も、その1本だったのですが。
私は慎重派で、日本の映画産業の中で、自分に撮れるのか自信がなく、
その怖さのために、断ってしまいました。
今なら『Shaking Tokyo』を経験したので、やれるんですけどね!
ただ、日本のマンガの版権は、すでにハリウッドで買いあさられていて、
アジアの監督が撮るのは、難しい状況になってきていると思います。
*****
以上、2時間弱、たっぷりとポン・ジュノ監督は語ってくれました。
以前から聴いていましたが、
監督は、本当に日本のマンガやアニメ、写真集などに興味を持っていて、
インスピレーションを感じていることがわりました。
マンガやアニメの独特の感性を、リアリティある映画にして、世界に発信してほしいわ~。
いっそのこと、ハリウッドに行ってもいいじゃん!
でも、あれだけの才能があるのに、怖がりだったのは意外でした^^
東京の人たちが寂しく見える、というのは、私も感じます。
元々、関西の人間なので、異邦人的に感じるのかもしれません。
溢れるほどの人なのに、だ~れも互いに関心がなかったりとか、
街中でしゃべっている人も、あまり見かけないし。
だから、同じことを感じた監督が、どんな映画を見せてくれるのか、とても楽しみです。
<オムニバス映画『Tokyo!』について>
産経新聞izaより
世界が見た“東京”とは? 映画「TOKYO!」
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/entertainment/movie/93551/
「外国人の目に、この大都市がどう映っているのか?」をテーマに、
世界を代表する監督3人がメガホンを取るオムニバス映画。
制作は、フランスの映画会社で、日本人女性がプロデューサーを勤めます。
リストアップした10人の中から、交渉の末、
東京に強い関心を示し独創的な脚本を仕上げてきた3人の監督に決まったそうです。
撮影条件は「東京で撮ること」のみで、テーマも自由に選ばれました。
ポン・ジュノ監督は、ハリウッドからの依頼など、すべてを断り、
この映画に専念したそうです。
監督以外は、キャスト、スタッフとも、基本的に日本人で構成されます。
新しい形のコラボ映画で、どんな映画になるのか、楽しみです。
来年のカンヌ映画祭でお披露目の予定。
Cinema Topics Onlineより
『Tokyo!』
http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=8409
Cinema Cafe.netより
世界を代表する監督が集結!
東京を舞台にした『TOKYO!』(仮題)製作決定
http://www.cinemacafe.net/news/cgi/release/2007/07/2174/
「Shaking Tokyo」
(ポン・ジュノ監督/出演:香川照之・蒼井優・竹中直人)
10年間引きこもり続ける男。
ある日、彼はピザ配達の女性に恋をした。
勇気をふり絞って、彼女に会いに行こうと外に出ると、
東京中の人々が引きこもりになっていた!
家に引きこもってしまった恋した彼女を見つけ出した刹那、地震が都市を揺らし始める…。
「Hiroko & Akira in Tokyo」
(ミシェル・ゴンドリー監督/藤谷文子・加瀬亮・妻夫木聡・伊藤歩)
とある地方から恋人とともに上京してきた女性。
映画作家を目指す彼について東京へやってきたが、自分自身の目的のなさを実感する。
「なぜ私はここにいるのだろう…?」。
ある日、彼女は体の異変に気づいた。
肋骨の一部が木になってきているのだ!
「Merde」
(レオス・カラックス監督)
東京で不可解な男が下水溝から現れる。
言葉も通じず、存在自体が異様なその男は繁華街で事件を起こし逮捕される。
裁判で不条理な発言を繰り返す男に、市民の声は賛否両論。
男の存在を認めるか否か──判決はどちらに!?
***この記事の前記事は、こちら***
hoppenの韓的な日々♪より
ポン・ジュノ監督、講演会 in東京工芸大学 ①監督デビューまで(2007.11.05)
http://blog.goo.ne.jp/hoppen_2006/e/abd71bf8e8e69ff5657d71524b546972
ポン・ジュノ監督、講演会 in東京工芸大学 ②3本の長編映画について(2007.11.05)
http://blog.goo.ne.jp/hoppen_2006/e/50e722a51de542a130e85598604465f9
***こちらの記事も、あわせてどうぞ***
hoppenの韓的な日々♪より
シンポジウムin東京工芸大学:『マリといた夏』のイ・ソンガン監督も参加(2007.11.05)
http://blog.goo.ne.jp/hoppen_2006/e/75c48bb551d91245771804d8c4beeeff
「Tokyo!」面白そうですね^^
韓国はあまり地震がないのですか いいですね
世界的に見て「東京」のブームは過ぎ去ったように思うのですが....??。
私は「東京」はディズニーランドに行く途中の街 最近では俳優イ・ビョンホンに会う途中の街 なのでとてもイメージがいいのです^^
寂しい都会に見えないのよ^^
大阪よりグリーンが多いし ビルもおしゃれだし 道を聞いても結構皆さん親切だし....。
東京という都会の無味無感想な部分が 自分の心を反映するのかな~?
お母さんもファンなんですか?
それはいいですね^^
行かれる事になさったのね^^
良かった^^
地震プレートの地図を見たことがあるんですが、
日本列島だけが、すっぽりと地震の線に囲まれているんです。
すぐ近くの韓国には、あまり、ないんですよね。
だから、韓国は、釜山でも、超高層の団地がいっぱい建っています。
日本人から見ると、怖くて、住めない感じがするのですが・・・。
日本公開中の韓国映画、ユ・ジテ主演の『ノートに眠った願い事』は、
韓国のデパート崩壊事件がベースになっています。
この事件は、現実にあった事件ですが、
このデパート、本当にいい加減に建てていたんですよ!
地震国・日本では、考えられません。
韓国の方は、日本の小さな地震でも、かなり恐怖を感じるみたいです。
youkoさんの東京のイメージは、楽しいんですね♪
確かに、目的があって出かけるのには、本当にいい所。
便利だし、キレイだし、やりたいことは何でもできるし。
でも、居場所を見つけられない人にとっては、結構、きつい場所かもしれないです。
冷たいわけではないんですけどね。
『めがね』の舞台・与論島とは、正反対の場所かも。
『Tokyo!』と見比べると面白いかもしれませんね~。
>お母さんもファンなんですか?
そうそう。
母は、私以上にビョンホンssiの純粋なファンなのです。
(引っ張り込んだのは、私ですけどね)
私は不真面目なので、いつも、しかられております。