yama room

山コンビ大好き。

ブログではなくて妄想の世界です。

きらり

いつか part10 完

2017-08-21 21:27:50 | いつか









「うわー懐かしい。凄い昔の雑誌まである」


智は何だか嬉しそうだ。


そして俺はというと。
心臓が今にも飛び出してしまうのではないかと思うほど
凄くドキドキしている。


「うん、ブックオフでね」


雑誌に写っている本人が。
その人が雑誌を見ながら話をしている。


「ブックオフ?」


智が何それ?って顔をする。
可愛いんだけどね。


でも何だか本人を目の前にしてやっぱり恥ずかしさを隠せない。


「うん。今は売ってない昔の雑誌とかも置いてあってね…」


智の事を知りたくて来る日も来る日もあちこちの古本屋を巡っていた。


「ふうん」


そんな事を知らない智は、懐かしそうに昔の雑誌を見ている。








そして。








雑誌をぱらぱらと見ていた智の手が


ある1ページで止まった。





それは二宮さんと二人で楽しそうに写っているページだった。





一瞬、泣きそうな顔になって


でも、


ふと我に返って、慌てて俺に何でもないと笑顔を見せる。


「うわあ、CDやDVDもたくさんある」


そして誤魔化すようにそう言った。


「うん、それもさ通常版は手にいられても限定版とかはなかなか手に入れられないんだよね」

「そうなの?」

「そう。でもそれにしか入ってない曲とかもあってさ、
だからどうしても手に入れたくてヤフオクで落としたりして…」


だから気付かなかったふりをして話をする。








「ヤフオク?」

「うん」


プレミアがついちゃって、もの凄い世界になっちゃってる事を
智は当事者なのに知らないんだろうなぁと思いながら
それを手に入れた日の事を思い出す。


「うわっうちわもある」

「ああそれもね色々と手を尽くしてね。何か他のグッズとかも毎回違うんだね…」


今までアイドルとかに興味なかったから全然知らない世界だったけど
本当に凄い世界なんだね…。
これを手に入れるのにどれだけの苦労したか。
しかも不思議と色々欲しくなって止まらなくなる恐ろしい世界だし…。


「何だか俺のめちゃめちゃファンの人みたい」


そんな事を思っていたら智がそう言っておかしそうにくすくす笑った。


「うん、多分重症」

「んふふっ」

「ひいたでしょ?」

「ううんひかない。びっくりしたけど」


智が嬉しそうに言う。


「でも分かったでしょ? 俺がどれだけあなたにはまっているか」

「んふふっ」


その言葉に智は可愛らしく笑った。


「だから信じられなかった。っていうか今でも信じられない」


そんな人が家にいて一緒に本人のものを見てるだなんて。


そして今さらながらその状態を考えると何だか無性に恥ずかしくなって
顔が赤くなっているのが自分でもわかった。










でも。


ずっと会いたいと願っていた
でももうテレビでしかその姿を見ることはないだろうと思っていた。
だからもう後悔はしたくはなかった。


「今も手ぇ震えてるよ」

「え~うそ」


いつも画面や雑誌で見ていたその人が目の前にいて
一緒に話をしているという現実に、どうにかなってしまいそうだ。


「ほら」

「んふふっ信じた」


そう言って震える手を差し出すと、智は可愛らしくそう言って笑った。


でもやっぱり信じられない。
こうして再び出会えたこと。
こうして話をしていること。


そして自分の家に智がいて、こうして一緒に智のものを見ていること。









それなのに。









「……」

「……」


智がまたあの時と同じように何か言いたそうな顔で見つめてくる。


その美しい顔に心が持っていかれそうになる。
自分自身歯止めがきかなそうになる。


だけど。


あの時と同じ視線。
あの時は気付かないふりをした。


意気地がなくて、自分自身が怖くて。
何でもないふりをして、それで智と会えなくなってしまった。


だから。


もう二度とそんな思いはしたくない。







手は相変わらず震えている。
心臓はバクバク言って今にも飛び出しそうな勢いだ。


目の前にはずっと画面や雑誌で見ていた智の綺麗な顔がある。
頭の中には大きくきらびやかな舞台で堂々と歌って踊る智の姿と
何万といるファンの子のキャーという歓声が聞こえる。


そして数え切れない位の無数のペンライトの美しい光。


その透き通るような綺麗な歌声に聞き惚れていた。
キレのある美くも圧倒的なダンスに見惚れて
何度も何度も飽きることなくその映像を見ていた。


そして智という存在に夢中になっていた。










その智の肩を優しく掴み、そのままその身体を押し倒す。


自分の下には智の華奢な身体と綺麗な顔があって


真っ直ぐなまなざしで見つめてくる。


ドキドキが止まらない。


あの智が自分に組み敷かれている。


そう思うだけで心臓はドキドキと鳴りやまない。










夢中で何度も見ていたその智が自分の下にいて、


瞬きもせず、じっと見つめてくる。


「好き だ」


掠れる声でそう言って


智の手首を両手で掴んだままゆっくりと顔を近づけていく。


智の視線を痛いほど感じる。


ドキドキが止まらない。








遠くて、手の届く存在ではないと


簡単には触れてはいけない存在だと思いながらも


どうにかなってしまいたいと思いと


どうにでもなれという気持ち。


もう、立ち止まれない。


立ち止まらない。


そのまま角度をつけ自分の唇を智の唇に近づけていく。


智の綺麗な目がゆっくりと閉じられる。


そして唇が智の唇に軽く触れた。


ドキドキが止まらない。


あの智とキスをしている。


あの画面で何度も見ていた智と。


心臓はバクバク言っていつまでもいつまでも鳴りやまない。










「俺も、好き」


唇をゆっくり離し視線が合うと、智がそう言ってくすっと笑った。


あの智が。


俺も好きだと言った。


もう現実か夢かさえわからない。


ただ心臓の音が煩いくらいにバクバクと音を立てている。


智を見ると、智がゆっくりと腕を伸ばしてきて


背中に手を回しそのまま智の方へと身体を引き寄せられる。









そして智の口が小さく開いたかと思うと


そのまま導かれるように唇を重ねる。


頭が、身体が、カッと熱くなる。


そのキスはさっきの触れるだけのキスとは違う。


智に求められるように舌を差し入れると絡ませあい深いキスをする。


もう何も考えられない。









さっきまでずっと頭の中で鳴り響いていたたくさんの歓声と


何万と見えていた美しいペンライトの光はすっかり消えて


頭の中は、真っ白になる。


そして、夢中で智を求めた。


















智が高台にあるこの場所から街並みを眺めている。
その姿を見ながらやっぱり芸能人だと。
オーラがあって凄く綺麗だなと思う。


「俺、ここから見える景色好き」

「うん、俺も好き」


智がこちらを見るとそう言ってにこっと笑った。
笑った顔はやっぱり可愛いなと思う。






「……二宮さんって どんな人だったの?」

「うーん、犬?」

「やっぱ、犬か」

「んふふっ。んとねぇ犬みたいにいつもまとわりついてきて
笑いかけるととしっぽふって凄く嬉しそうにするの。
でもいざっていう時は俺の事を全力で守ってくれて」

「そっか。本当に智の事が好きだったんだな」

「んふふっ」


そう言うと可愛らしく笑う。


「じゃあこれからは俺が番犬の様に智くんの事を守るよ」

「翔くんが、番犬?」


智が意外そうな顔をする。
そんな意外な事かな?


「うん、さしあたって俺はシェパードってとこかな?」

「え~?」


そう言うと智はえーと言っておかしそうにクスクス笑った。


「変かな?」

「うんだってシェパードっていうより、リスみたいなんだもん」


だから心配になってそう聞くと智は平然とそう答える。


「り、リス?」

「うん、ひまわりの種とか口いっぱい頬張ってるイメージ」


そう言ってくすくす笑っている。
可愛いんだけどね。


でもひまわりの種をほおばってるって。


「それってハムスターじゃね?」

「んふふそうなの? でもそんな感じ」


そう言いながらいつまでもおかしそうに笑っている。


「そっか、リスとかハムスターか」


その智の可愛さについつられて笑ってしまう。


「うん」

「まじか」

「うん」

「そっか」

「うん」


ま、いいか。
リスでもハムスターでも。


「あまり頼りにならないかもしれないけど、俺が代わりに智くんの事守るよ」


その言葉に智がえ? って顔で見る。


「俺が二宮さんの代わりにずっと守る」


そう言うと智がじっと見つめた。







そしていつか。









いつか、あなたの心の底にある傷が癒えますように。


いつか心から笑える日が来ますように。


そのふとした瞬間に見せる悲しげな視線が癒える日がきますように。


俺がずっと祈っているから。


俺がずっと見守っているから。


だから。


もう、悲しい出来事を忘れるためにと知らない人と
酔いつぶれるまで飲むなんて危ないことしないで。


自分をそんなに責めないで。


そう思いながらその身体を引き寄せ優しく抱きしめる。










この霊園のはずれにはちょっとした広場があって


高台にあるこの場所からは綺麗な街並みが一望できる。


芝生があって


大きな木があって


その大きな木はまるでお墓で眠る人たちと


眼下に広がる街の人たちを見守っているようだ。


そこから街を眺めていると気持ちのいい風が流れる。


上を見上げると青空が広がっていて


大きな木の間から木漏れ日から差し込む。


そしてそこには智くんの綺麗な顔があって


風が吹くと柔らかそうな茶色い髪をさらさらと揺らす。


その目にかかってしまった前髪を優しく手で払うと


智がありがとと言って微笑む。


最初見た時と変わらず儚くて美しくて


でも凛とした強さも感じられる。










その街並みが見渡せる大きな木の下で





「好きだよ」と






そう、智に言って






大きな木の影に隠れるようにそっとキスをした。









これでおしまいです。
4年越しになってしまって本当にすみません💦

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4 コメント

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4年間ありがとう(智っさん風に) (白紙)
2017-08-21 23:12:22
 物語の中の時間は違うのですが、なんとなく、翔さんが4年越しの恋を実らせたかのような読後感です。おめでとう翔さん。そして智くんが幸せになってよかった。実は、お話の中、翔さんがブックオフで手に入れたお宝の数々が、本気で羨ましいです。アジアツアー映像とかFREESTYLEの舞台裏とか…。私は嵐さんが10周年を迎えたくらいのころから知ったので、後で、デビュー当時・前の智くんの写真などを見たとき、女の子みたいでびっくりしたものでした。翔さんはそんな智グッズに囲まれながら、今の智くんと仲良くしているなんて贅沢。ニノがちょっとかわいそうな設定だけど、これからも智くんの中で大切な人としてあり続けるということで。
 私はここ数年、本当についてないことばかりで、今年も転職活動に躓いて、凹んでいるところなのですが、きらりさんのお話読むと、なんか幸せな気分になります。いつもありがとうです。それではまた。
白紙さんへ (きらり)
2017-08-22 22:20:54
白紙さん、こちらにもコメントありがとうございます。

4年もかかってしまったので、もしかしたらそんな感じがするのかも知れないですね。
でもそう言って頂けると嬉しいです。
限定版のものとかはなかなか後から手に入れるのは難しいですよね。
あってもめちゃくちゃ高額だったり、そもそも出なかったり。
翔さんは、ありとあらゆる手を尽くし手に入れてそうですが。
昔の智さんも手に入れ今の智さんともなんて本当に贅沢ですね。
ニノちゃんがいつもかわいそう設定で大宮ファンに本気で怒られそうです。
でも重要な役って私の中ではやっぱりニノちゃんなんですよね。
転職活動大変ですね。でもそんな中でも幸せな気分になると言って下さって嬉しいです。
ゆっくりですがこれからも幸せな話を書いていけたらいいなと思っています。
こちらこそいつもありがとうございます♪
Unknown (しーな海狸)
2017-09-29 00:28:28
歴史の長いこの話。エンドマーク&ハッピーエンドが見れてうれしいです。翔くん随分うじうじ悩んでましたもんね。気持ちは、でも、わかるけど。でもあんまりうじうじしてるから、智くん怒れ〜て思いました。結局相葉くんに助けてもらいました。ニノと智くんは、実際一心同体のソウルメイトだって思うんです。たまたま分かれて生まれて来ちゃったみたいな感じがします。恋人(例えばおやまの翔くん)や家族(例えばにのあいの相葉くん)は自分以外の他人だけどニノと智くんは自分同士なんじゃないか。だから、恋人じゃなくてもいつも近くて重要な役どころにいるんですよね。
大事な大事なニノを失ってしまった可哀想な智くんが畑違いの翔くんに出会えてよかったです。
お医者さんて、ほんと、翔くんのイメージ
しーな海里さんへ (きらり)
2017-09-29 22:07:11
しーな海里さん、こちらにもコメントありがとうございます。
エンドまで翔くんのうじうじした気持ちと比例するかのように
長い事かかってしまいました。すみません💦
ニノちゃんは本当にいつも近くにいて重要な所にいますね。
多分智くんの考えてる事とかを一番多角的に理解している人で
そこが翔くんとの違いなんじゃないかとも思っています。
翔くんは智くんに対して真正面から受け止め
理解していく気がするので。
だからニノちゃんを失ったときは本当に辛かったんじゃないかなと思います。
今回はサラリーマンでしたが、お医者さんって本当に翔くんのイメージありますよね。
ありがとうございました🎵

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