yama room

山コンビ大好き。

ブログではなくて妄想の世界です。

きらり

美女と野獣

2013-12-27 20:55:37 | 美女と野獣



森の中にあるそのお城はひっそりとしていて
まるで誰も住んでいないかのようだった。




智とマサキとカズとジュンは既に両親が他界し
兄弟4人で仲良く暮らしていた。
貧しい暮らしではあったが4人は助け合いながら
なんとかその日その日を生きていた。


ある日。
この日は智の誕生日であったため弟達は何かプレゼントをしようと考える。
しかし毎日生きていくだけで精一杯で余分なお金なんてとてもない。
でもいつも優しく見守っていてくれて父や母のような存在でいてくれる
智にどうしても何か贈りたかった。


森の中を探すがなかなか見つけることができない。
そうこうしているうちにかなり家から離れてしまった。


「ねーねー、これなんてどう?」


マサキが指をさしたのは見たこともない綺麗な花だった。


“こんなところに花?”


カズは不思議に思いながら辺りを見渡す。
探すのに夢中で気付かなかったが目の前には立派なお城があった。


「もしかしたら、ここのお城の持ち主のかもしれないから声をかけてからにしよう」


そう言って呼び鈴を鳴らす。
しかしいくら鳴らしても誰も出てこない。


「誰も住んでないんじゃね?」

「う~ん、そうなのかなぁ?」


確かにそれは立派なお城ではあったがどこか暗い雰囲気で
誰も住んでいないようにも思われた。


「誰も住んでいないんだったら一本位持って帰っても大丈夫なんじゃね?」


マサキはウキウキしたような表情でそう言う。


“まぁ、一本位なら大丈夫かな?”


そう思いながら一枝折ったとたん
「何をする」と目の前におそろしい野獣の顔をした男が現れた。


「何でその花を持っていこうとした?」


恐ろしい野獣の顔をした男はそう問いかける。
3人は顔を見あわせ言おうか言わないかと悩む。


「嘘を言ったら命はないと思え」


恐ろしい野獣の顔をした男がそう言ったため3人は仕方なく答える。
すると野獣はその贈るはずだった相手を連れて来いという。
決して悪いようにはしないが連れてこなかった場合は
その者の命の保障はできないとまで言われ3人は仕方なく
家に帰り智に事情を話す。


智は自分のためにやってくれた事なのだからと
怒ることもせず直ぐにそのお城に向かった。
3人は心配そうに後ろをついていく。



「花を贈るということだったからてっきり女の人を連れてくるのかと思ったら
まさか男だったとは」


野獣はびっくりしながらもまあいいと言って、智を暫く預かるから
3人は帰るようにと告げる。
3人の弟達は嫌だ嫌だと泣いていたが智が大丈夫だから帰りなさいと
優しく諭し3人は仕方なく家へと戻った。



3人が家へと向かったのを見届け野獣は智を城の中へと案内する。


「まさか男の人だとは思わなかった」


そう言いながら頬を赤らめている。
智は不思議そうにその顔を眺めた。


「このお城の中は智の自由に使っていいからね。
欲しいモノがあったら言ってね。
それに着替えも食事も言えば出てくるからね」


野獣は智に優しくそう言った。
智は弟達のことが心配だったがきっと時が経てば
家に帰ることを許されるだろうと言われたとおり
お城で過ごすことにした。


野獣は見かけとは違って優しく紳士だった。


智がする事がなく絵を描いていると後ろから
その姿を優しく見つめる。
智が昼寝をしているとそっと掛物をかけてやる。
智が退屈そうにしていると面白そうなものを持ってきて
智が退屈しないようにとあれやこれやと気を遣う。


そんな感じでいつも気づくとそっとそばにいるという感じだった。
だけどなぜか食事の時だけは決して姿を見せなかった。


「ね、何で食事の時はいつもいないの?」

「……え?」


智はいつも疑問に思っていたことを聞く。
その言葉に野獣は絶句した。


「……それは俺がこんな姿だから」

「……?」


野獣は言いにくそうにそう答える。
智はその言葉に不思議そうに野獣の顔を見た。
野獣は智のまっすぐな視線に耐え切れなくなったのか目線を外す。


「こんな顔を目の前にして一緒に食事したら、食欲も失せるでしょ?」

「え? 何で?」

「何でって…」


智は不思議そうに聞く。
野獣は言葉に詰まった。


「言ってる意味がよくわかんないけど、いつも一人で食事なんて寂しいからさ
これからは一緒に食べようよ」

「……智」


智はそう言って可愛らしい顔で笑った。
野獣は今まで誰にあっても恐れられるだけでそんな優しい言葉を
かけてもらえたことがなかったので涙が出そうになった。





「ね、そろそろ家に帰ってもいい? 弟達のことが心配なんだ」


智がお城に来てしばらく経った頃、一番恐れていた言葉を智が言った。
その言葉に野獣は悲しくなり絶望的な表情を浮かべる。
その顔を見て智は何も言えなくなる。


「……じゃあ一日だけ。元気だってことを伝えたらまた戻ってくるから。お願い」


智は弟達のことが心配で頼み込む。
野獣は仕方なく一日だけという約束で了解した。


「ありがとう」


そう言って嬉しさのあまり野獣の頬にキスをする。
野獣の顔はみるみるうちに真っ赤になった。





智が家に戻り窓から家の中を覗くとみんな元気がなく
今にも病気になってしまいそうな表情をしていた。


「ただいま」

「智兄ちゃん?」

「智兄ちゃん、無事だったの?」


弟達の表情がパっと明るくなる。


「あれ、ジュンは?」


さっきからジュンの姿が見えないことが気になった。


「ジュンはあまりの事に食事も取れず寝込んでいるよ」

「ジュン…」


智が顔を見せるとジュンは弱々しい笑顔を見せた。
智と一緒に過ごすうちジュンは少しづつ元気を取り戻す。
野獣のことも気にはなったがとても兄弟たちのことがほっておけず
一日で帰るという約束を守る事ができなかった。


ジュンがすっかり元気を取り戻した頃、智は夢を見た。
夢では野獣がぐったりとして寝込んでいた。
弟達に心配ないからと伝えると慌ててお城へと戻る。


「ごめん、一日で戻るって約束したのに」


野獣のぐったりした姿を見てそう言って智は涙を流す。
その涙が野獣に触れた途端野獣の姿は
端正な顔立ちの王子の姿に変わった。


「智のおかげで魔法が解けたみたいだ」

「魔法?」

「そう。魔法によって野獣の姿に変えられていたから」


そう智に説明するがあまりの出来事に
智は意味がわかんないって顔をして見つめる。


「でも……」

「……?」


そして智は少し考えこむと、でも、と言った。
何を言い出すのかとその綺麗な顔を見つめる。


「でも、その顔だったらもう誰からも恐れられることはないし、孤独じゃないよね。
結婚したいって思う人だってたくさん現れるよ」

「智?」


智が思いがけない言葉を言ってくる。
突然何を言い出すのかと思わず智? と言ってその顔を見つめた。


「よかったね、翔くん。俺は弟達も待ってるし帰るね」


智は姿が戻った事で役が済んだのかと思ったのか
そう言ってそのまま去ろうとした。


「帰っちゃ、ダメ」

「……?」


思わずそう言って智を引き止める。
智は不思議そうな顔で見つめる。


「俺、智じゃないとダメだ」

「……?」

「実は魔法をかけられる前、随分と女の子の方からも寄ってきてくれて
いい気になって泣かせてしまったりもしてしまったんだ。
それで魔法をかけられてしまって」

「……」


智は黙ったまままっすぐ見つめ話を聞いている。


「魔法をかけられた俺にはものの見事に誰もよってこないどころか
顔を見るだけで逃げ出される状態で本当に毎日孤独だったんだ。
だけど智は最初から違ったでしょ」


思っていることを全部ぶちまけた。


「ま、俺は男だしね。あまり男相手に顔は重要視しないっていうか」


智は可愛らしい顔でそう言って笑う。


「まぁそうかもしれないけど、でもすごく嬉しかった。
俺は智にこのままずっとここにいて欲しいと思ってる」

「……」

「それともあの野獣の顔がいいんだったらまた頼んであの顔にしてもらってもいいし」

「いやいやいや」

「俺は智が好きだからこのままここでずっと一緒に暮らして欲しい」


智がずっとここにいてくれるなら野獣の顔だっていい。
智がいてくれるのだったらなんでもする。


「……じゃあ、弟達も一緒に暮らしていい?」

「もちろんだよ。もちろんいいよ」


智は躊躇いながらそう言った。
なんで気付かなかったのだろう。
弟思いの智は随分と弟達のことを心配していたのに
そんなことさえ思いもつかなかった。
そんな懺悔の気持ちをかかえながら智の身体をぎゅっと抱きしめた。








「あの恐ろしい野獣の顔をした人がこの人だったの?」

「ちょっとなで肩だけど、結構イケメンじゃね?」

「まあなで肩は仕方ないにしても、ホント世の中には信じらんない事が一杯あるよね」


弟達3人が影でこそこそと楽しそうに話している。


「しかもあの人、智兄ちゃんにベタ惚れじゃない?」

「いや、俺はそれは最初から気づいていたけど」

「俺も、気づいてた」

「ウソ~俺、全然気付かなかったけど」


マサキは不満そうにそう言って口を尖らす。


「だって最初さ女の人じゃなかったのかとか言いながら顔が嬉しそうに笑ってたの俺見たもん」

「そう、やけにデレデレだったんだよな」


カズがそう言うとジュンもそう言ってのってくる。


「だから智兄ちゃんだけ残してけって言われた時、ちょっと心配もしたんだよね」

「まあね。でも恐ろしい野獣の顔をしたヒトだったけど悪い人には見えなかったからいいかって、ね」

「イヤ、良くないでしょう~。しかもあんた達別れ際号泣してたでしょ~?」


カズとジュンの話にマサキは納得いかないといった顔でそう言う。


「いや、まぁあの時はそうは言っても、みたいなところがあったからさ」

「でも何となくこうなる予感がしてたんだよね~」

「俺も」


カズがそう言うとジュンも俺も、と言う。


「もう~、さっきからジュンは俺も俺もって~。寝込んでたでしょアナタ」

「ま、あれは智兄を取られた寂しさっていうかさ」


そんな話をいつまでも楽しそうに弟達はしている。










「ホント仲いいね~」


ソファから身を乗り出し後ろでわちゃわちゃしている弟たちを見ながら
翔が楽しそうにそう言う。
そして身体を戻すとソファの背もたれに隠れるように
智にちゅっとキスをした。


智の頬が赤く染まる。


「あ、赤くなった」

「うっさいなぁ」


翔が嬉しそうにそう言う。
その言葉に智は照れくさそうにそう答える。


「何で? 野獣の顔の時は自分からチュってしてくれたのに~」

「いいでしょ」


ますます翔は嬉しくなってそう言う。


「ふふっかわいい」

「可愛い言うな」

「だって可愛いんだも~ん」


そう言って翔はまた智の唇にちゅっとキスをした。









ベッドに入り上から智の顔を見つめる。
智も上を見上げ翔を見る。
その端正な顔を見てふっと目をそらす。


「また、目、そらされた」


そう言って翔はふふっと笑う。
ずっと野獣の姿に見慣れてたので何だか照れくさいだけなのだけど
それを言うとますます翔が喜びそうなので智は黙っている。


「ずっとここにいてね」

「うん」


翔がそう言ってきたので上を見上げると目が合う。
翔はその綺麗な顔で優しく微笑む。
そして翔の顔がゆっくりと降りてきてちゅっとキスをする。


「野獣の顔の方がよかった?」

「そんな事はない、よ」

「ふふっ」


翔が角度を変えまた唇にちゅっとキスをする。


「智、好きだよ」


唇を離すとそう言ってまた優しく微笑んだ。


「俺も好きだけど さ」


姿は変わっても優しい瞳は同じ。


そう言うと嬉しそうにふふっと笑う。
そして緩く口を開くと今度は深いキスをしてきた。


ありふれた日常 part21(VS嵐 12/19)

2013-12-24 18:52:06 | 山コンビ ありふれた日常



二人は一緒にボウリングをしたあと
肩を抱き合い、そしてお互いに両手を広げたかと思ったら
そのまま『同期』と言ってぎゅうっと抱き締めあった。




同期(正確には同期ではないらしいが)であること、
そして年齢が一緒というのは何か凄く特別の事のように思う。


それは一つ一つの年齢差が大きく感じる中学時代から
一緒に過ごしてきたせいもあるだろうし、成人式を一緒に迎えた
二人というのもあるかもしれない。


ただ、こんなふうに自分達とはまたちょっと違う
二人だけにしかない、そして二人だけに通じる
特別感というか空気感があって
それが何だか無性に羨ましく感じた。







「今日の面白かったね~」

「VSでしょ? 面白かったねぇ」


久々に二人でゆっくりと過ごす時間。
二人でお互い顔を見合わせるとそう言って笑いあった。


今回のVSはゲストの方々も色々話とか面白かったし、
そして何より同じ年代であり共演経験もある事務所の仲間が
プラスワンゲストだったので何だか無性に楽しかった。


「相葉ちゃんも可愛かったね~」

「ふふっ、ホントにね」


智くんは思い出し笑いをしているのか、そう言ってクスクス笑った。
確かに今回は相葉ちゃんが主役といってもいい位
いい味を出していて面白かった。


たまに凄い笑いの神様が降りてくるんだよね~あの人。
そんな事を思いながら智くんの顔を見るとまだ可愛らしい顔で
クスクスと笑っていた。


“可愛すぎるんですけど”



「……でも さ、やっぱ同期って違うよね?」

「そう?」


智くんはよっぽどおかしかったのかまだ可愛らしい顔で
クスクス笑っている。


「そう。何かさ、俺らが入っていけないような特別な雰囲気があるんだよね」

「そうかなぁ?」


智くんはあまり自覚がないらしく、そう言うと意外そうな表情を見せる。


「まぁ、智くんたち二人が特別なだけなのかもしれないけどさ。
何か二人だけの特別な絆みたいなのを感じて何だか少し羨ましかったんだよね」

「んふふっ、そう?」


やっぱりあまり自覚がない智くんはそう言いながら、んふふっと笑った。
自分にはああいう特別な存在は、いない。
事務所を辞めてしまったり離れてしまったり。


例えいたとしても軽く抱き合う位ならまだしも
あんな風にぎゅっと抱きしめ合うことなんて何だか照れくさかったり
恥ずかしかったりで自分にはとてもできない気がした。


でも智くんは難なくやってしまうんだよね。
それが何だか羨ましくて、そしてほんのちょびっとだけ妬ましい。


「でもそんなこと言ったら、ドラマで共演っていうのも何か特別な感じがしない?
特にさあの時期での、ああいうドラマって」

「え? そ、そう?」


そんな事を思っていたら智くんが思ってもみないことを言ってきた。
こういう時智くんは見ていないようで意外と見ている人だと感じる瞬間
だったりするんだよね。


「うん、そう。それにバ~ンビって言われてた翔くん、その時の顔に一瞬戻ってたよ」

「え? ウソ?」


そんな事を思っていたら智くんはますます思いがけないこと言ってくる。
この人って本当に見ていないようで意外と見ている人なんだよね。


「あの時の翔くんの顔、かわいかったなぁ」


そう言って、にっこりと可愛らしい顔で笑った。
……何だか急にそんな事言われると無性に照れくさいんですけど。


「それにしても武術の師範の免許ってすげぇな」

「……ホントだよね」


そんなことを思いながら一人照れていたら智くんは
もう既に違う話をしていた。
え? 俺の話はもう終わり? かわいいって話はドコ?
そんな少しの寂しさを感じつつ、
以前、武術の免許を何個か取ったという話があった事を思い出す。


でもそのせいかどうかわからないけど同じ位の背格好の二人なのに
智くんの華奢さが目立った気がする。
ニノと並んでいる時はあまり感じなかったけど、やっぱり細いんだよね。


そんなに体格に差がありそうには見えなかったのに
一緒に並ぶとやっぱり細くてただポンポンしているだけなのに
本当に折れてしまうんじゃないかと思って慌てて止めたんだっけ。



「でもやっぱり同期とか同じ年って何かいいよね」

「そうかなぁ。……でもまぁメンバーとはまた違う感じだよね」


やっぱり何だか少し羨ましくてそう言うと、
智くんは少し考える表情をしてそう言った。


「何だか羨ましい」

「……でも」


羨ましいと言うと智くんは不思議そうな顔をする。
そして、でも、と言った。


「……?」

「翔くんとは同期とかそういうんじゃなくて同じメンバーでよかった」


何を言い出すんだろうとその綺麗な顔を見つめる。
智くんは少し考える表情をしたかと思ったらそんなことを言ってきた。


「え? それってどういう意味?」

「え~?」


意味が分からなくて智くんに聞くと
智くんはえ~と言ってはぐらかすように可愛らしい顔でクスクス笑った。


「何で? どういう意味?」

「……だってさ、こうやって一緒にいられる でしょ」


やっぱりどういう意味かわからなくてそう聞くと
智くんは照れくさそうにそう言ってそっぽを向いてしまった。


「……智くん」

「……」


智くんは照れているのか呼びかけても向こうをむいたまま。
ならばと向こうをむいてしまった智くんの顔に手を当てて
優しくこちらに向けた。


「俺も。俺も智くんと同じグループでよかった」


そう言って照れくさそうに少し頬を赤く染めている智くんの顔を見つめる。
そしてそのままぎゅっとその身体を抱きしめた。


少しだけ同期であり同じ年である二人に嫉妬してしまっていた。
だけど智くんと一緒のグループでやってきてこうして一緒にいられて
よかったと心からそう思う。
そう思いながらゆっくりと顔を近づけるとちゅっとその唇にキスをした。


「何か二人に嫉妬しちゃった」

「んふふっ、変なの」


そう言うと智くんは変なのと言って、んふふっと可愛らしい顔で笑った。

ありふれた日常 part20(VS嵐 12/5)

2013-12-11 21:13:55 | 山コンビ ありふれた日常



「幼稚園の頃からでしたっけ?」

「そう、凄いよね〜」


幼稚園の時に見たコンサートで智くんに憧れて事務所に入った
というその少年は二十歳になっていた。


「幼稚園からずっと憧れ続ける知念少年が凄いのか
ずっと憧れの存在でい続ける大野さんの方が凄いのか
どっちが凄いのかもはや分かりませんけどね」

「ふふっ。ホントだよね〜」


楽屋でニノと二人。
そう言って二人で笑いあった。


その少年はずっと智くんに憧れていると言い続けていたので
自分たちの間でも有名だった。


最初に見たのは確か忍者ハットリくんという映画での楽屋映像。
誰が好き?という問いかけにまだ小学校低学年だった彼が
ぴょんぴょん飛び跳ねながら嵐の大野くんとはっきり答えていた。
そしてその後も事あるごとに色々な場面で憧れていると言っているのを
目にしたり耳にしていた。


「でもさ、にのも似たようなもんじゃない?」

「え? 俺?」


そう言うとにのは意外そうな顔をした。


「だって中学の時からずっとあの人のこと憧れていたんでしょ?」

「……まぁ。中学の時はね。でも今は違うよ」


にのは今は違うと言ったけど
表情や言葉に時々出てくるんだよね〜。
もしかしたら本人は気づいていないかもしれないけど。


「ふふっ、でもそんなこと言ったら翔さんもでしょ?」

「え? 俺ぇ? 俺は さ…」


そんな事を思っていたらにのが意味深に笑いながら
思いがけないことを言ってきた。


「俺は、何ですか?」

「俺は……憧れているというよりかは尊敬って感じかな?」

「尊敬 ね」


にのがそう問い詰めてくるので仕方なく答えると
にのはそう言ってまた意味深に笑った。


「あの人ってさ、変な魔力を持ってるんですよね」

「魔力?」


にのは少し考えるような顔をしたかと思ったら
意外なことを言ってきた。


「そう。惹きつけて、心を奪って、虜にする」

「ふふっ、確かにね〜」


確かにそんな状態になった人を何人も見てきた。


「本人は全然愛想も良くないし決して面倒見がいいって
わけでもないんですけどね」

「ふふっホントにね」


そう言ってまた二人で笑った。


「まぁ、魔王ですしね」

「ふふっ、だね」

「あの人、好感度も全然気にしないし」


そう。
いくらだって好感度なんて上げられるのに智くんは決してそうしない。
自分を落としてでも相手を立てる人。


「まぁ、あのクズキャラも知念くんの為でもありますけど
それよりも俺らのためにっていう感じでもありますしね」

「……確かに」

「結構考えてないようで考えてますからね。あの人」

「うん、そうなんだよね」


智くんは考えなしでああいう事はしない。
自分の中でどう振る舞えばいいか空気を読んで行動する人。
そしてそれが例え自分を落とすことになろうとも気にしない。
本当にまわりをよく見てる。
そして自分たちメンバーの事も常に考えている。


「だから俺も翔ちゃんもそうだけどさ、みんな大野さんにやられちゃってるのかもね」

「ふふっ。だね」


そう言ってまた二人で笑った。








家に帰ると智くんがソファにちょこんと座ってテレビを見ていた。
疲れているのか黙ったままボーっと付いているだけのテレビを眺めている。
その姿を見つめた。


「本番で発揮できなくてかわいそうだったね」

「ああ、知念くん?」

「うん」


しばらくテレビを眺めていたかと思ったら
そう小さく呟いてまたテレビをぼーっと眺めた。


“もしかして落ち込んでる?”


「でも最後勝てたんだし良かったじゃん」

「ん、そだね」


智くんは意外とこういうところ気にする人だよね。


「メールしたげれば?」

「そだね」

「ふふっ。そう言ってしないくせに」

「んふふっ」


智くんはばれたかというふうに無邪気な顔でえへへっと笑った。
本当にこの人は。
絶対喜ぶってわかってるのにしないんだよね。
本当に面倒見も良くないしマメでもない。
でもどうしようもなく惹かれて、心奪われて、虜になってしまうんだよね。


「どうしたらいいんだろうね?」


無邪気に笑っているその可愛らしい顔を見つめながらそう呟くと
智くんは何が?って顔をして見つめる。
もうずっと智くんの魔力にかかったままでいる。
十何年も一緒にいるのにずっと
惹かれて、心を奪われて、虜になったまま。


「智くん、好きだよ」


このままずっととけそうもない。


そう思いながらゆっくり顔を近づけていってちゅっとその唇にキスをした。


1126誕生日(2013 part2)

2013-12-03 16:53:53 | 山 誕生日

[遅くなりました]






『お母さんいつも産んでくれてありがとう』


VSで、もはや恒例ともなっている誕生日でのお母さんへのメッセージ。
智くんはそう言ってみんなを笑わせた。


“このギャップがたまらないんだよねぇ”


この日はやたら綺麗な顔をしていて儚げな雰囲気を醸し出していたのに
出てきたセリフは言葉が一つ多いのか、それとも一つ足りないのか。
その絶妙ないい回しに会場が沸いた。







家に帰り録画してあったVSを見ながら智くんの
可愛さを堪能していたらシャワーを浴びた智くんが
頭を拭きながらリビングに戻ってきた。


「あれ? VS見てたの?」

「そう。こないだ智くんがお母さんに誕生日のメッセージを送った回のね」


智くんはそう言って頭を拭きながら
並ぶようにソファに座った。


「翔くんは、いつもちゃんと見直してて偉いよねぇ」

「いや、まぁ」


智くんはそう感心したように言う。
でも本当はあの時の智くんがあまりにも可愛くて
もう一度見たくてみているだけなんだけどね、とは思ったけど
それは言わないでおいた。


「智くんはあんまり見直さない人だよね?」

「ふふっ。そうだね」


智くんは基本見直さない人なのでそう聞くと
苦笑いしながらそうだと答える。
まあそこが智くんらしいといえば智くんらしい所なんだけどね。


「そういえば、この時は髪を切る前だったんだねぇ」

「あ、ホントだ」


髪型のせいかこの収録の日の智くんは儚げな感じで
捕まえていないとどこかへいってしまいそうなそんな雰囲気で。


それでなくてもこれだけ一緒にいても、どこか捉えどころがなくて
捕まえていても、手を握っていても、するすると抜け出して
どこかへ行ってしまいそうな気がしてしまう。
誰よりも長く一緒にいて今もこうして一緒に過ごしているというのに、ね。


「どうしたの?」

「え?」

「何か切ない顔してる」


そう言って智くんが心配そうに顔を覗き込んできた。


「……」


“智くんがどこかへ行ってしまいそうで不安なんだと言ったら智くんは笑うだろうか?”




智くんはいつも産んでくれてありがとうと言ってたけど
それはまさしく自分の気持ち。
いつも智くんの事を産んでくれてありがとうと智くんのご両親に感謝している。


そしてジャニーズというものに興味がなかったであろう
智くんをオーディションに連れてきてくれたこと。
そしてこうして出会わせてくれたこと。
そのどれもが感謝してもしきれないほど感謝している。


「智くん、遅くなっちゃったけど誕生日おめでとう」

「んふふっ。あんまりこの年になるとおめでたくもないけど ね」


お互い忙しくて誕生日は二人でゆっくりできなかった。
だから遅くなっちゃったけど、と言っておめでとうと言ったら
智くんはそう言って苦笑いを浮かべた。


「ふふっ。そんな事ないよ。俺にとってはとっても重要で重大でおめでたい日なんだから」

「んふふっ。翔くん大げさすぎ〜」


智くんはそう言って何でもないことのように笑う。
けど大げさでも何でもない。
智くんがいなかったら人生が変わっていたといっても過言ではない。
だから智くんが産まれた日はとっても重要で大切な日。


「いつも産まれてきてくれてありがとうね」

「んふふっ。バカにしてるでしょ?」


そう言って可愛らしい顔でクスクス笑う。


「ふふっ。バカになんてしてないよ。だって本当にそうなんだもん」

「……?」


いつもあなたが産まれてきてくれたことに感謝してる。
あなたがいない世界なんてとても考えられない。
今も。
そしてこれからも。
ずっとその気持ちは変わらない。


「智くん、好きだよ」

「……うん」


昔からずっと好きだった。
だけど今はもっともっと好き。
これだけ一緒にいても年々その気持ちが大きくなっていくのが
不思議なんだけど、ね。


可愛らしくて、愛おしい存在。
かっこよくて、そしてとても頼りになる存在。
一つだけど年上の長男の自分にとっては唯一お兄さん的存在のあなた。
いつも守りたいと思いながらも守られている。
いつも助けたいと思いながらも助けられている。


「智くんがいなかったら生きている意味も価値もないよ」

「んふふっ。翔くん、何だか今日言ってること大げさ〜」


智くんはそう言ってクスクス笑う。
大げさ大げさと言うけど大げさなんかじゃない。
あなたがいなかったら、あなたと出会わなかったら
今の自分は、ない。


「智くん、愛してる」

「……うん」


愛してるというといつもあなたは照れくさそうに笑って、
そして目を伏し目がちにして俯く。
だからその顔を両手で包み込むようにして優しく上に向かせると
ふふっと可愛らしい顔でやっぱり照れくさそうに笑う。


そのまま顔を近づけていって頬にチュッとキスをすると
やっぱりあなたは照れくさそうに笑って頬を赤く染めた。


「愛してる」


そう言って顔を少し離して目をみつめると目線を上げてくる。
目と目が合う。
そして目があったままお互いにニッと笑う。


「智くん、誕生日おめでと」


唇を近づけていってその唇に唇を重ね深いキスをする。



“あなたがずっと幸せでありますように”


そう思いながらそのままその身体を包み込むようにぎゅっと抱きしめた。