北杜夫さんとうちの親父を同一視することは失礼に
値するが、北杜夫さんが斉藤茂吉氏の息子というこ
とから、文学的な才能だけでなく、様々なものを遺
伝子として引き継いでおられるようです。
ということは、ほなさんも「困った親父」のどうし
よもない部分を引きついでいるのは間違いなく、鏡
に写るふとした表情に親父をみてしまうことも度々
、しかも老人になればなるほど、その遺伝子は活躍
するのだから、困った親父の継承者になることは違
いないことだろう。
過去一度も親父を悪く言わなかった女房が、
「あなたはお義父さんのようにならないでね。
そうなったら知りませんよ。」
と真顔で言ったので、女房も内心では腹立しいと思
っていたことがわかり、その心の底の深さに、ぞっ
としたのだった。
女房は親父を理解する一番であったし、よく同情し
話し相手になっており、実の息子でさえ、もっと怒
りをもって接してもよいのではないか、と進言した
いくらいだったからだ。
結婚して30年以上、朝から晩まで24時間のほと
んどを一緒にいても、女の想い、奥深さは知る由も
ないと正直に思った。
変わった父、変わった夫、これらの言うことを聞か
ねばならなかった女房は、だんだん鍛えられ、そし
て強くなってきたのだろう。
もとより彼女にその素質があったものだから、より
一層弱く貧相になる私に比例して逞しくなり、内外
での評価は上がり、気が付けば、家中のことでも私
に相談する者がいなくなりつつあるように感られる。
女房は、東京で仕事をしている娘と毎日のように電
話して、夫の知らないいろんな決め事をしているよ
うであるのに、
「それはお父さんに相談しなさい。」
と言われた娘から、ほなさんへ直接電話がかかって
くることがあった。
娘からの直接の電話なんて珍しい、ちょっとウキウ
キ気分で電話にでると、これは失敗。お金の無心だ。
そういえば、前の電話もそうだったと気づいたとき
はもう遅い。
女房から小遣いもほとんど貰えない私に、
「こういう大事なことは、お父さんに頼みなさい。」
と女房がフったそうで、
「引っ越しするからお金がいるの。」
と、かわいい娘の口で言われてしまえば、お父さんは
もうまな板の鯉にならざるをえなかった。
いつもこうやって女房と娘の共同作戦で、撃沈させ
られるのが「父」という役目だと、承知はしている
が、金の工面をしなきゃならん。これで当分、本コ
ースに行けないなぁと思い、少しは女房に愚痴りたい
が、
「どうせスコア悪いんでしょ。」
とかえってきそうで言えなかった。
いつからこんなに弱くなったのだろう、とマクドの
無料券で頂戴した0円コーヒーをすする、ほなさん
でありました。ちなみに無料のコーヒー券は、同情
した息子が、そっとくれたものであります。
値するが、北杜夫さんが斉藤茂吉氏の息子というこ
とから、文学的な才能だけでなく、様々なものを遺
伝子として引き継いでおられるようです。
ということは、ほなさんも「困った親父」のどうし
よもない部分を引きついでいるのは間違いなく、鏡
に写るふとした表情に親父をみてしまうことも度々
、しかも老人になればなるほど、その遺伝子は活躍
するのだから、困った親父の継承者になることは違
いないことだろう。
過去一度も親父を悪く言わなかった女房が、
「あなたはお義父さんのようにならないでね。
そうなったら知りませんよ。」
と真顔で言ったので、女房も内心では腹立しいと思
っていたことがわかり、その心の底の深さに、ぞっ
としたのだった。
女房は親父を理解する一番であったし、よく同情し
話し相手になっており、実の息子でさえ、もっと怒
りをもって接してもよいのではないか、と進言した
いくらいだったからだ。
結婚して30年以上、朝から晩まで24時間のほと
んどを一緒にいても、女の想い、奥深さは知る由も
ないと正直に思った。
変わった父、変わった夫、これらの言うことを聞か
ねばならなかった女房は、だんだん鍛えられ、そし
て強くなってきたのだろう。
もとより彼女にその素質があったものだから、より
一層弱く貧相になる私に比例して逞しくなり、内外
での評価は上がり、気が付けば、家中のことでも私
に相談する者がいなくなりつつあるように感られる。
女房は、東京で仕事をしている娘と毎日のように電
話して、夫の知らないいろんな決め事をしているよ
うであるのに、
「それはお父さんに相談しなさい。」
と言われた娘から、ほなさんへ直接電話がかかって
くることがあった。
娘からの直接の電話なんて珍しい、ちょっとウキウ
キ気分で電話にでると、これは失敗。お金の無心だ。
そういえば、前の電話もそうだったと気づいたとき
はもう遅い。
女房から小遣いもほとんど貰えない私に、
「こういう大事なことは、お父さんに頼みなさい。」
と女房がフったそうで、
「引っ越しするからお金がいるの。」
と、かわいい娘の口で言われてしまえば、お父さんは
もうまな板の鯉にならざるをえなかった。
いつもこうやって女房と娘の共同作戦で、撃沈させ
られるのが「父」という役目だと、承知はしている
が、金の工面をしなきゃならん。これで当分、本コ
ースに行けないなぁと思い、少しは女房に愚痴りたい
が、
「どうせスコア悪いんでしょ。」
とかえってきそうで言えなかった。
いつからこんなに弱くなったのだろう、とマクドの
無料券で頂戴した0円コーヒーをすする、ほなさん
でありました。ちなみに無料のコーヒー券は、同情
した息子が、そっとくれたものであります。